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殺生石は那須の恐怖スポット?九尾の狐の伝説が伝わる観光名所を紹介

殺生石は那須の恐怖スポット?九尾の狐の伝説が伝わる観光名所を紹介
投稿日: 2018年3月22日最終更新日: 2020年10月8日

栃木県那須高原には「殺生石」という怖い名前の石があります。殺生石はしめ縄をかけられ誰も近づくことはできません。殺生石は「那須の恐怖スポット」と言われ、妖怪・九尾の狐の怨念が宿っていると伝えられています。今回は那須の恐怖スポットと噂の「殺生石」の正体を暴きます。

那須のミステリースポット・殺生石見出し

栃木県那須高原にはミステリースポットといわれる「殺生石」(せっしょういし)があります。那須高原は栃木県の名勝地として知られ全国から観光客が訪れる人気のスポットです。緑溢れる爽やかな那須高原に、なぜ「殺生石」と呼ばれる石があるのでしょうか。今回は心霊スポットの噂もある「殺生石」の伝説からアクセス方法までをご紹介します。

殺生石(せっしょういし)とは?見出し

「殺生石」は、溶岩でできた大きな石です。安易に近づけないため殺生石の正式な大きさは不明ですが、殺生石にはしめ縄がかけられています。殺生石の周辺にも石がごろごろと転がっていますが、その中でひと際大きいのが殺生石です。殺生石の間近に近づくことはできないため、柵のこちら側から眺めるしかありません。

無数の石の転がる荒涼とした場所にたたずむ殺生石ですが、「栃木県指定文化財」や「とちぎの景勝100選」「奥の細道の名勝地」に指定され人気の観光スポットとなっています。「殺生石」と名付けられたその背景には、このエリアにまつわる伝説が深く関係しています。歴史ロマンが好きな人には大変興味深いスポットといえるでしょう。

住所:栃木県那須郡那須町湯本182 電話番号:0287-76-2619(那須町観光協会)

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那須に今なお残る九尾の狐伝説見出し

Photo by tosimisi

殺生石が生まれた経緯は、那須地方に古くから伝わる「伝説」から始まります。平安時代初期、帝の寵愛を受けていた絶世の美女「玉藻の前」が伝説の主人公です。玉藻の前の正体は人間の女性ではなく、インドや中国の皇帝たちを荒らした妖怪・九尾の狐でした。玉藻の前の狙いは帝の寵愛ではなく、日本の地を我が物にすることだったのです。

やがて玉藻の前は自分の正体が九尾の狐であることを陰陽師・阿部泰成に見破られてしまいます。玉藻の前はとうとう姿を現し、那須へと逃げ込みました。追い詰められ逃げ場を失った九尾の狐は退治され命を落とし、巨岩となりました。しかし、岩となっても九尾の狐の怨念は尽きることなく近づく人や動物たちの命を奪い続けたのです。

Photo by VARDIGA

時は経ち室町時代、命を奪い続ける殺生石の話を聞きつけた名僧・源翁和尚は那須の地を訪れ、殺生石を杖で打ち砕きます。殺生石は3つに分かれ、備後・会津へと飛び去りました。そのうち残った1つの石が現在の殺生石だといわれており、その魂を鎮めるために温泉神社の中には「九尾稲荷神社」が祀られています。

殺生石の周りは異様な雰囲気が漂う見出し

Photo by さかどん

那須高原は、緑に包まれた爽やかな観光スポットです。しかし殺生石のある場所は不思議なことに草木が1本も育たないといわれています。殺生石の周辺には「賽の河原」と呼ばれる場所があり、その景色は他の場所とは違う異様な雰囲気を放っています。緑美しい那須の地とは対照的な、モノクロームの世界が殺生石の周り一面に広がっています。

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

殺生石へと向かう歩道には、「千体地蔵」と呼ばれる大勢のお地蔵様が並べられています。さらに歩を進めると「盲蛇石」や「無間地獄」などの不気味な名前の場所が見えてきます。異様な雰囲気を味わいつつ200メートルほど進むと、そこには九尾の狐が姿を変えた伝説が残る「殺生石」がこちらを見据えるようにたたずんでいます。

松尾芭蕉も恐れた殺生石の怨念見出し

Photo by Aries Tottle

松尾芭蕉の「奥の細道」にも殺生石が登場しています。那須の地に伝わる伝説を聞いた芭蕉は、興味を抱いてさっそくこの地を訪ねてやってきます。芭蕉はそのときの情景を「殺生積の毒気はいまだに滅びておらず、蝶々などが地面が見えないほど重なり合って死んでいた」と書き記しています。

Photo by taitiro1987

また、殺生石について昔の人が残した言葉の中には「鳥獣がこれに近づけばその命を奪う、殺生の石」や「飛ぶものは雲ばかりなり石の上」といった、安易な気持ちで近づけないほどの霊力を示すようなものが残っています。そのため、いつからか殺生石は心霊スポットとして噂が立つようになりました。

殺生石は現在も立ち入り禁止見出し

Photo by minoir

近づくものは人でも動物でも皆殺しにしてしまう殺生石ですが、現代ではその「霊力」の正体は解明されています。殺生石が溶岩からできていることからも分かるように、この地は火山エリアであり、今でもこのエリアには火山特有の「硫化水素ガス」が発生しています。そのため、殺生石の周りはいつも硫黄の匂いが漂っています。

Photo by sybarite48

実はこの「硫化水素ガス」は長時間吸い込むことで体調が崩れる場合があります。空気より重い硫黄ガスは下に行くほど濃くなり、地面近くを歩く小動物は命を落とすことも珍しくありません。近寄るものすべての命を奪う、と言われた世にも恐ろしい九尾の狐の正体は、この地が発する「硫化水素ガス」だったというわけです。

現在は昔ほど濃度の高くはありませんが、今でも殺生石付近はガスが発生しています。そのため殺生石には今でも近づくことはできず、一帯は柵で囲まれています。付近を散策するにあたっては危険度は高くありませんが、小さなお子さまやペットを連れて行く場合は十分に注意しましょう。

那須の殺生石は心霊スポット?見出し

Photo by torisan3500

九尾の狐の怨念が伝わる殺生石ですが、現在ではその怨念の正体が「天然ガス」であることが明らかになっています。また、千体地蔵や盲蛇石など一見恐ろしげな名前の裏には、名前に反する心温まる逸話が残されています。そのため殺生石のあるエリアは恐ろしい場所ではなく、ひいては「心霊スポット」ではない、と言えるかもしれません。

Photo by amika_san

殺生石付近で起きた心霊現象として「心霊写真が撮れる」というクチコミが見られるものの、実際の心霊現象の情報はとても少ないです。あくまで推測ですが、殺生石には近寄れないことや、殺生石にまつわる伝説のおどろおどろしさから「殺生石は心霊スポット」という噂が自然に発生したものと考えられます。

那須の心霊スポットと呼ばれている場所

しかし、那須高原には1つ心霊スポットと呼ばれる場所があります。それは那須高原を流れる那須川に架かる「那須高原大橋」です。橋の高さが42メートルもあり、下を覗くと吸い込まれそうに感じられることから「自殺の名所」や「心霊スポット」と呼ばれているようです。心霊スポットとしての真偽は定かではありませんが、橋の上からの風景は絶景です。

殺生石周辺の観光スポット1:那須温泉神社見出し

殺生石の近くには那須地方80社の神社の総社となる「那須温泉神社」があります。屋島の合戦で扇の的を射抜いた伝説の英雄・那須与一もこの神社に祈りを捧げていたと伝えられています。ご祭神は大己貴命(オオムナチノミコト)・少彦名命(スクナヒコノミコト)・誉田別命(ホンダワケノミコト)です。この神社は観光スポットとしても人気の神社です。

境内の見どころ:大和さざれ石

温泉神社の社務所の横には「大和さざれ石」という小さな石が祀られています。驚くことに日本国歌の一節にある「さざれ石の巌となりて」の「さざれ石」は、この「温泉神社のさざれ石」を指しているのだそうです。年々成長して大きな岩となるといわれるこの「さざれ石」には強力なパワーが秘められていて、触ることで願いが叶うと言われています。

境内のみどころ:ミズナラの木

「生きる」と名付けられた樹齢800年といわれるミズナラの巨木があります。訪れた人に生命力や活力を与えてくれるといわれ、多くの人から崇敬されています。実際に木に触れることはできませんが、見上げるだけでも大きな力を感じることができます。那須のパワースポットである温泉神社に訪れたときは、このミズナラの木の力ももらって帰りましょう。

境内の見どころ:白い鹿の像

温泉神社の鳥居の横には、1頭の鹿の像が建てられています。この鹿は神様の使者といわれており、体を痛めた鹿が温泉で傷を癒していたことで、村人が温泉を発見したという伝説が伝えられています。心身を癒してくれる温泉と、神様のお導きに感謝するため境内に鹿の像が作られたそうです。

殺生石周辺の観光スポット2:賽の河原見出し

殺生石に進む歩道にある「賽の河原」には、さまざまな伝説が残された見どころスポットが点在しています。殺生石まで歩く200メートルの歩道では、これらのスポットを見逃さないように進みましょう。また、賽の河原には歩きやすい遊歩道が整備されていますので、小さなお子さまや車いすでも観光することができます。

殺生石周辺の観光スポット3:千体地蔵見出し

殺生石に着くまでに、訪れる人を圧倒するのは賽の河原にあるおびただしい数のお地蔵さまの姿です。このお地蔵様の大群は「千体地蔵」と呼ばれ、現在もその数を増やし続けています。モノクロの風景の中800体に及ぶお地蔵様の帽子とよだれかけの朱色が際立ち、周辺に一種異様な雰囲気を放つスポットになっています。

九尾の狐の怨念を鎮めているように見える「千体地蔵」ですが、実はその奥には意外な事実がありました。昭和50年ごろ、那須湯本の教伝地蔵をリニューアルする際、同時に2体の「脇地蔵」が寄進されました。その脇地蔵がしっくりと馴染んだことから「もっと脇地蔵を作ろう」という計画が始まりました。脇地蔵1000体を目指し今でも寄進が続いています。

賽の河原には1体だけ大きな「教伝地蔵」が建てられています。この教伝地蔵にも興味深い伝説が残っています。その昔「教伝」という大変素行の良くない住職がいました。教伝が出かけるとき、母親が作ってくれた朝食を蹴飛ばしたことからバチがあたり、殺生石から噴出した熱湯で焼け死にました。その魂を鎮めるために作られたのが「教伝地蔵」です。

殺生石周辺の観光スポット4:盲蛇石(めくらへびいし)見出し

賽の河原の中に「盲蛇石」と名付けられた大きな石があります。このスポットには殺生石とは違った心温まる1つの伝説が残されています。昔、1人の青年がこの河原で休んでいると、目が見えない大きな蛇と出会いました。これでは厳しい冬を越すことができないだろうと思った青年は、蛇のために小屋を作りました。

季節が春に変わったころ、青年は蛇に会いに再びこの河原を訪れました。しかしその小屋には蛇はおらず、代わりに湯の花が残されていました。蛇は青年への恩を返すために、体を癒す湯の花の作り方を教えて去って行ったのです。その後青年は湯の花の作り方を村に広め、蛇への感謝の気持ちとして石に「盲蛇石」と名付け敬ったそうです。

殺生石周辺の観光スポット5:那須高原展望台見出し

賽の河原から続く遊歩道は、那須高原展望台までアクセスできる1本道です。那須高原展望台は標高1048メートルに位置しており、お天気のよい日には八溝山系が見渡せる人気スポットとなっています。夜になると夜景が楽しめるため、平成22年には日本で100番目の「恋人の聖地」に認定されました。愛の告白やプロポーズの場所としても人気のスポットです。

殺生石周辺の観光イベント:御神火祭(ごじんかさい)見出し

毎年5月の最終土曜日には、御神火祭(ごじんかさい)と呼ばれる殺生石のお祭りが開かれます。祭りの日、参加者たちは狐の顔の化粧を施し温泉神社界隈を練り歩きます。また、このお祭りでは実際に結婚するカップルが参加する「狐の嫁入り行列」や「九尾の狐伝説」の語り部、「白面金毛九尾の狐太鼓」の演奏が行われます。

御神火祭は、那須岳噴火で亡くなられた村人のみなさんの魂を鎮めるためのお祭りです。御神火祭には観光客の飛び入り参加もでき、狐の顔の化粧を施してもらえます。御神火祭が始まるのは日が暮れた夜です。暗闇の中燃え盛る御神火からは神々しさが感じられます。炎の灯りと太鼓の音で始まる日本の祭りをぜひ見学してみてください。

殺生石へのアクセス方法見出し

Photo by nakimusi

殺生石のあるエリアまでは公共交通機関・マイカーのどちらでもアクセスできます。那須高原エリアは観光名所も多いため、豊かな自然環境の中ドライブが楽しめるマイカーでのアクセスもおすすめです。ここからは殺生石のあるエリアへのアクセス方法をご紹介いたします。

公共交通機関でアクセスする場合

Photo by rail02000

殺生石のあるエリアまでのアクセス方法は、公共交通機関の利用が便利です。最寄り駅はJR線「那須塩原駅」または「黒磯駅」です。どちらの駅からもバスが運行していますので「那須ロープウェイ行き」に乗車してください。バスには40分程乗車し、停留所「那須湯本」で下車すると、殺生石までのアクセスは徒歩約3分です。

マイカーでアクセスする場合

Photo by Dick Thomas Johnson

殺生石まではマイカーでもアクセスできます。県外から訪ねる場合は、東北自動車道「那須IC」で降り、県道17号線に合流し那須湯本方面へ進みます。約10キロほど進むと那須湯本・那須甲子道路方面へ向かう道があります。ここまでの那須ICからのアクセス時間は約30分です。現地には30台が停められる無料駐車場があります。

殺生石で不思議な伝説を体験しよう!見出し

栃木県・那須高原は「おくのほそ道の風景地」の1つです。那須高原の中にある「殺生石」は松尾芭蕉も思わず絶句したと言われるミステリースポットです。九尾の狐にまつわる伝説は今でも生きており、当時の人の思いを今に伝えています。一見恐ろしい雰囲気のあるスポットですが、その背景にはさまざまな史実が息づいているのです。

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投稿日: 2018年3月22日最終更新日: 2020年10月8日

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