塔ノ沢のおすすめ観光スポット15選！パワースポットや温泉もあり！

塔ノ沢は塔ノ沢温泉として有名で、江戸時代初期から繁栄した箱根七湯の一つです。塔の沢温泉は箱根七湯の筆頭である箱根湯本温泉から早川沿いの隣にありますが、渓谷に入るため湯本温泉とは景色も異なります。箱根温泉全体のなかでも格式が高く、文化財となっている有名老舗温泉旅館が2つあります。文豪も多く訪れる知る人ぞ知る温泉地をご紹介します。

箱根温泉全体のなかでも老舗中の老舗で、明治23年創業の福住楼は数寄屋京普請で有名な温泉旅館です。普請とは建物のことで、京普請とは京都的な建物ということになります。そして数寄屋造りという表現で一般的に言われている建物は格式を重んじる書院造りに茶室のような自由で大胆なデザインを織り込んだ建物です。桂離宮と修学院離宮が代表的です。

数寄屋造りは書院造りにある長押（なげし）がないのが特徴的です。さらに竹や杉をふんだんに取り入れているのも福住楼の特徴で、各部屋に取り入れられています。部屋は17室ありますが、どれ一つ同じ造りの部屋はありません。利用した文人墨客は福沢諭吉、夏目漱石、島崎藤村など数えきれませんが、それぞれ違う部屋を指定したと言われています。

福住楼よりさらに歴史のある老舗が江戸時代初期の1614年に湯治場として開湯した環翠楼です。第14代将軍徳川家茂の正室・皇女和宮が療養で訪れ、そのまま没したお宿です。環翠楼には当時珍しい大広間があったことから、政財界の大物が定宿にしていました。その一人である初代内閣総理大臣の伊藤博文が「環翠楼」という屋号を贈ったと言われています。

環翠楼を訪れた著名人は他にも多くあり、水戸光圀、孫文、篤姫、東郷平八郎、夏目漱石、菊池寛と枚挙に暇がありません。塔ノ沢温泉は今ではあまり知られていませんが、長きに渡り人気の温泉地だったことがうかがえます。環翠楼には歴史ある湯船から近代的な露天風呂まで様々なお風呂があり、夕食付きの日帰り入浴も可能です。

環翠楼の十数年後の1630年に開湯した老舗が一の湯です。木造4階建て数寄屋造りが2009年に国指定登録有形文化財に指定されています。一の湯は箱根に7つの旅館を展開しており、塔ノ沢にも、もう一つ新館があります。湯めぐりと称して、どれかの旅館の温泉に立ち寄り湯すると、当日は他の一の湯も無料で利用できます。

一の湯グループは様々な試みをしています。農園体験や箱根寄木細工体験、ワカサギ釣り体験など体験プログラムを展開しています。また外国人誘致のため芸者芸能体験プログラムも人気を博しています。箱根温泉の中でも外国人宿泊者の比率の高い旅館でもあります。1泊3食のプランで昼食に「瓔珞（ようらく）」の鯛ごはんを採用するのもユニークです。

塔ノ沢から箱根湯本温泉方面に広がる4000坪の敷地を誇る紫雲荘は、入り口の岩山「勝驪山（しょうりざん）」が有名です。この名前は江戸時代に徳川光圀（水戸黄門）が明国の儒学者と一緒に塔ノ沢を訪れた時、儒学者が「唐の玄宗皇帝が離宮を建てた温泉場の驪山（りざん）より優れている」と言ったことからつけられています。

また早川にかかる吊り橋「鶴翁橋」や孟宗竹の「竹林の小径」はマイナスイオンも豊富で人気のパワースポットになっています。1日2組限定で早川の流れや、「鶴翁橋」、竹林の景色を眺めながらテラスで朝食を楽しむこともできます。温泉は敷地内の源泉から湧出する100%天然温泉を大浴場、貸切家族風呂、貸切露天風呂の3種の湯船で楽しめます。

塔ノ沢温泉の多くの旅館は国道1号線沿い、もしくは早川の右岸にありますが「山の茶屋」は国道1号線側から早川にかかる吊り橋を渡って竹林の奥にたたずむ旅館になります。紫雲荘が吊り橋や竹林の景色を建物から眺める形にありますが、「山の茶屋」は吊り橋を渡って竹林に入ったところの一軒宿です。様々なタイプの露天風呂付きの部屋があります。

「山の茶屋」には広々とした4つの風呂があります。創業当時より鎮座する大岩に沿うように作られた「岩戸の野天風呂」、早川の渓谷の景色を望む「渓谷の野天風呂」、落ち着いた雰囲気の内湯「かじかの湯」と木目調の造りに竹が植わった「竹の湯」です。すべてのお風呂が自家源泉になっています。夕食付きの日帰り入浴も可能になっています。

塔ノ沢の人気観光スポットの一つでもある箱根登山鉄道出山の鉄橋の景色を横に眺める吊り橋を渡って向かうのが温泉旅館「金の竹　塔ノ沢」です。早川をわたるこの吊り橋は「金の竹　塔ノ沢」専用の橋とのことです。大人のくつろぎの世界への入り口になります。旅館の名前のごとく、周りはいたるところに竹が配置されています。

「金の竹　塔ノ沢」には大きな開口部に竹を配した大浴場もありますが、全室が露天風呂付きになっています。1階の部屋が御影石の露天風呂付き、他の階が青森ヒバの露天風呂付きです。4階は1フロアに2部屋しかない開放的な部屋になっており、冷蔵庫の飲み物が無料というおもてなしも感動ものです。アメニティや備品も高級品がそろっています。

今までは温泉旅館を紹介してきましたが、日帰り温泉施設もご紹介します。箱根温泉には小涌谷で人気のユネッサンや湯本温泉の天山などの大規模日帰り温泉施設がありますが、塔の沢にもあります。箱根湯寮です。車でのアクセスは箱根湯本駅からの方が便利ですが、地域としては塔の沢になります。すぐ近くに福住楼があります。

また何といっても箱根湯寮のユニークな点は首都圏最大級の19室の貸切個室露天風呂があることです。貸切風呂はある時間帯は付帯の個室も含め占有できますのでカップルや夫婦やグループで宿泊できない人も宿泊した雰囲気になれますので人気があります。2人用から4人用まで様々なサイズが用意されています。落ち着いた食事処で食事すれば宿泊気分です。

塔ノ沢はパワースポットでも有名です。箱根登山鉄道塔ノ沢駅の東の裏（箱根湯寮の裏）を登って行ったところに阿弥陀寺という寺があります。江戸時代初期に6年間洞窟で修業した禅誓上人が開いた寺で、徳川将軍家の菩提寺である芝の増上寺の末寺でもあります。そのため本堂のさい銭箱には三つ葉葵の紋が刻まれています。

療養のため環翠楼に滞在していた皇女和宮が没したのち、阿弥陀寺で通夜、密葬をしたと言われ、和宮の位牌も祀られています。また阿弥陀寺はあじさいでも有名で、6000株のあじさいが咲き誇る景色は圧巻です。あじさいは「あじさい電車」と呼ばれる箱根登山鉄道でもおなじみですが、阿弥陀寺も見逃せません。

塔ノ沢にはもう一つパワースポットがあります。箱根登山鉄道の塔ノ沢駅は箱根湯本駅から1つ目の駅で、トンネルとトンネルの間にありますが、そのホームの上にあると言っても過言ではないのが深沢銭洗弁財天です。電車が来るときに境内からホームの方を見ると鳥居越しに電車が見える珍しい景色が楽しめます。逆に電車を降りたらすぐにお参りできます。

深沢銭洗弁財天は頻繁に塔ノ沢温泉に宿泊された大正時代の実業家がこの地に石の社を建てたと言われています。夢で弁財天の使いで富をもたらすとされる白蛇を見たことがきっかけでした。銭洗弁天は鎌倉にもありますが、ここでも「弁天癒水」と呼ばれる境内の湧水でお金を洗うと金運がアップするといわれています。お札を洗うと持ち帰りに苦労します。

塔ノ沢の観光スポットとして箱根登山鉄道に関する景色も欠かせません。まずは塔ノ沢駅から大平台駅に向かう途中で早川を渡る通称「出山の鉄橋」です。正式名は早川橋梁ですが箱根の人気観光スポットの1つになっています。その魅力の一つが河床から43mという高さにあり、その見上げるような景色は、スイスの山岳鉄道を思い浮かべるということです。

そしてもう一つの魅力が橋の形です。ラチストラス式と言われ、上下の梁の間を斜材がクロスしている姿は珍しく、また強い強度を持っていると言われています。非電化路線であった東海道の鉄橋の流用であるため橋の高さが低いのも特徴で、電車の屋根がスレスレのところを走っています。この景色がむしろユニークで人気の秘密になっています。

箱根登山鉄道のもうひとつの人気スポットがスイッチバックです。急傾斜を登るとき道路はヘヤピンカーブがありますが鉄道は急にまがれません。そのため山の周りをまわりながら高度を上げていくループ方式と、このスイッチバックがあります。言葉の通り急斜面の途中で一度停まり、バックしてさらに登っていくことによりヘヤピンカーブを実現します。

箱根登山鉄道には3つのスイッチバックがあります。塔ノ沢駅と大平台駅の間と大平台駅そのもの、それから大平台駅の先（宮ノ下側）の3つです。スイッチバックの度に運転手は席をかわり逆方向に運転していきます。電車も頻繁に進行方向がかわるという珍しい景色を体験ができますので鉄道ファン以外にも人気です。

全国各地にあるフォレストアドベンチャーが箱根・塔ノ沢にもあります。フォレストアドベンチャーとはフィールドアスレチックをさらにワイルドにしたもので、人工的に作ったものを極力少なくし、自然の森の中を動き回るようになっています。高い所を移動する場合もありますので命綱のロープを常時体に付け、高所からの景色を楽しみます。

フォレストアドベンチャーは全国にあり、その土地ならではの森を楽しめるという醍醐味があり人気があります。全国制覇を目指している人もいます。ここ塔ノ沢にもフォレストアドベンチャーに適した森があったということになります。そして日本唯一の観光地にあるフォレストアドベンチャーなのです。箱根湯本駅から無料送迎バスで3分という便利さです。

阿弥陀寺のさらに上の方には塔の峰城跡というところがあります。下から登るより、さらに北を通る久野林道からアプローチしたほうがいいいでしょう。久野林道は箱根湯本から箱根各地に向かう国道1号線が渋滞するときにバイパスのように使われている林道で交通量が多いところです。ちなみに何の城跡かは定かでなくハイキングエリアとみるといいでしょう。

箱根の人気観光スポットを紹介してきましたが、ここでは食事処をご紹介します。いままで紹介した食事処としては温泉旅館の昼食付日帰り入浴や、箱根湯寮の食事処「囲炉裏茶寮　八里」があります。後者は日帰り温泉施設の付帯施設のようですが、本格会席料理を出す料亭のような存在で、囲炉裏席、座敷、カウンター、テラス席など様々な席を揃えています。

 

その他の数少ない単独の食事処のひとつが「杣の栖（そまのすみか）」です。箱根登山鉄道の塔ノ沢駅から徒歩5分の森の中のお蕎麦屋さんです。竹やぶを抜けたところの山小屋のような店で、蕎麦もさることながら、様々なネタを使った天ぷらが評判になっています。高低差の激しい道を歩く阿弥陀寺を訪れたあとの立ち寄りに最適の食事処です。

もうひとつ食事処をご紹介します。福住楼の少し東にある「瓔珞（ようらく）」です。この近辺の店の名前はなぜか漢字が難しい傾向があります。ここ「瓔珞（ようらく）」は鯛ごはんで有名な店で、店内でも懐石膳としていただけますが、弁当として持ち帰ることもできます。出来立ての味を味わってもらうために作り置きはしていません。

従って、購入するときは事前に電話し出来る頃に訪問するか、出来上がるまで待ちます。待っている間お茶とお菓子が出ます。さらに一の湯グループが1泊3食というプランを実施した時に「瓔珞」が昼食として鯛めしを提供しています。この時もお客様自身が出来立てをとりにいくというこだわりです。弁当は景色を見ながらテラスでいただきます。

箱根湯本温泉は有名ですが、その隣の塔ノ沢温泉は正直言うとあまり知られていないのではないでしょうか。なぜ知られていないのか謎ですが、歴代の政治家や、文人墨客が通うほどの格式ある老舗旅館や趣ある温泉旅館が並んでいるのです。大規模な日帰り温泉施設もあり日帰りもよし、宿泊もよし、是非訪れてみる価値があります。