並木藪蕎麦は浅草で最も行列ができる人気店！おすすめメニューや待ち時間は？

江戸の蕎麦屋には老舗御三家というのがあります。砂場と更科と、そして藪蕎麦です。砂場は大阪発祥、更科は信州発祥に対して藪蕎麦は生粋の江戸生まれです。藪蕎麦は神田藪蕎麦が本店で並木藪蕎麦は暖簾分けされた支店ですが1913年創業の老舗で、今でも予約不可で行列ができる名店になっています。ここでは並木藪蕎麦の人気の秘密を探ります。

まずは並木藪蕎麦がどこにあるかということですが、知らない人のいない浅草雷門が正面に見える道路を150mほど南に行ったところにあります。店に向かって右を見ると雷門が見えます。

周りはビルが林立してその中にひっそり佇んでいます。店はリニューアルされ真っ白な壁が印象的ですが「藪蕎麦」の看板は歴史を感じます。藪蕎麦御三家といわれるように神田藪蕎麦、並木藪蕎麦、池之端藪蕎麦がありましたが、2016年に池之端藪蕎麦は閉店しました。

本店の神田藪蕎麦は、浅草蔵前のそば屋「中砂」（砂場系列）の四代目であった堀田七兵衛が、江戸時代から続く「団子坂藪蕎麦・蔦屋」の暖簾を受け継いで始まりました。

1880年頃と言われています。なぜ藪蕎麦かというと文字通り当時藪のなかに佇んでいたから、この名前が通称としてついたと言われています。正式の屋号は「蔦屋」でした。

堀田七兵衛の三男・堀田勝三は京橋の「藪金（団子坂藪蕎麦の支店）」という名店を譲り受けていました。しかし借地の期限が過ぎて堀田勝三が1913年浅草並木町に店を移転して開業したのが並木藪蕎麦です。名店の血筋は江戸時代から続いています。

並木藪蕎麦は浅草でも一番行列ができる人気の蕎麦屋として評判で、特に土日の昼食時が最も混みあいます。待ち時間も長く、相席になることも多くなります。

てきぱきと蕎麦を食べ、さっと料金を払って足早に店を出ていくのが江戸っ子の粋な蕎麦の食べ方ですので回転は早いです。それでも待ち時間はあります。ゆっくり食事をしたいとか、蕎麦前（お酒）から楽しみたい時は平日の15時過ぎから行けば行列を避けられます。

それでは、この並木藪蕎麦はなぜこんなに人気なのでしょうか。蕎麦そのもののうまさというのは、かなり通でないと分かりにくいものですので、やはり老舗であるというブランド力や昔から通っている人からの口コミも大きな要因と思われます。

しかし、蕎麦そのもの、そして蕎麦つゆ、それから天ぷらや鴨南蛮が本当に美味しいから人気があるのでしょう。それから老舗ならではのベテランの店員の接客も人気の秘密です。

まず蕎麦そのもののうまさについてです。多くの人が風味が豊かだとコメントしています。新蕎麦は香り豊かですが藪蕎麦では一年を通して風味を豊かにする工夫をしています。

風味あるそば粉を選び、打ち方はもちろん手打ちです。水やりや練りの加減で風味ゆたかで蕎麦つゆに合った麺のこしの強さを演出します。またスルッとすすってちょうど美味しい「のど越し」を演出するため細目の切り方をしています。細すぎないことも大事です。

そして並木藪蕎麦の大きな特徴は濃厚な味わいの辛めで醤油味の強い蕎麦つゆです。蕎麦の先端に少しつけてスルッとのどに通すのが美味しい食べ方で、店員さんもすすめています。蕎麦を食べたあとはユニークな容器で出てくるそば湯で5倍ほどに薄めていただきます。

また驚くことに、この「つゆ」は秘伝で門外不出かと思いきや、公開されています。ネットで検索すれば載っていますので試してみるのもいいかもしれません。

並木藪蕎麦は老舗らしく、あくまで蕎麦と蕎麦つゆで勝負していますので、あまり多くのメニューはありません。蕎麦と蕎麦つゆ以外で言えば、蕎麦屋には必ずあるメニューの天ぷらはさすがに定評があります。

蕎麦と蕎麦つゆと天ぷら以外で並木藪蕎麦の人気メニューは鴨南蛮蕎麦と山いもをかけたそば（山かけそば）です。これらのメニューを紹介します。

並木藪蕎麦は蕎麦そのもので勝負ですからシンプルに「ざるそば」が人気なのですが、やはりもう一品ということになると定番メニューの「天ざる蕎麦」が人気です。

並木藪蕎麦の天ぷらは、よくある大きな海老にサツマイモ、かぼちゃ、大葉の天ぷらではなく、上品なサイズの海老が4本に、しし唐をカラッと揚げたさっぱりとした天ぷらになっています。1700円です。蕎麦前（ここでは樽酒）のあてに単品でも注文できます。

並木藪蕎麦の次の人気メニューは鴨南蛮蕎麦です。やみつきになって冬にはこのメニューをもとめて並木藪蕎麦を訪れるリピーターも多いようです。

蕎麦が隠れるくらいたっぷりの鴨肉4枚に鴨つくね、そしてネギがそえられ、少し濃いめのきりりとしたツユがたまりません。寒ければ寒いほどおいしいそうです。季節メニューですので来店前に要確認です。11月頃から3月まで提供されています。1800円です。

ところで、蕎麦屋で江戸っ子はやたらと「抜き」という注文をします。それぞれのメニューから蕎麦を抜くのです。「鴨南蛮蕎麦を抜きで」と注文すると蕎麦のない鴨南蛮が出てきます。いわゆる酒のつまみになるのです。他に蕎麦を抜く注文はあります。

ヘルシーで女性に人気のメニューが山かけそばです。冷たい蕎麦にだしで味付けしたとろろがかかった逸品です。写真はイメージで実際はトロロにだしの色がついています。

もちろん、このだしが美味しくて食べ応えがあります。ヘルシーな食事を目指す女性は「ざるそば」は少し軽いけど、天ざる蕎麦や鴨南蛮蕎麦は少し重いと感じるようです。山かけそばは、その中間でちょうど良いメニューになります。お値段も手ごろな1000円です。

並木藪蕎麦の行列には定評があります。大半のお客様は江戸っ子の粋な食べ方で早く食べてさっと帰るので、回転率がよく行列の長さの割に待ち時間は少ないです。

しかし土日は遠方や海外からの観光客も加わり、必ずしも素早く食べるお客様ばかりでなく、蕎麦前からゆっくり居座る人もいますので待ち時間も長くなります。予約をしたいところですが並木藪蕎麦は予約不可です。待ち時間と予約について紹介します。

特に土日のお昼時は1時間以上の待ち時間になることもあります。暑い夏は水分をお忘れなく。また人気メニューの鴨南蛮蕎麦が提供されるのは寒い時期の11月頃から3月頃ですので、待ち時間にしっかり防寒する必要があるでしょう。カイロを用意するのも得策です。

しかし、冷え切った体での熱燗の蕎麦前(お酒）と鴨南蛮蕎麦も醍醐味があるという意見もあります。いずれにしても待ち時間に風邪をひかないように要注意です。

それでは予約をすればということになりますが、非常に人気があり、かつ回転率の高い店は予約をとらないケースが多いです。なぜなら少しでも予約のお客様が遅れたりすれば、そのわずかな時間でも多くのお客様に利用いただけるという考えがあるからです。

並木藪蕎麦も予約不可ですので大事な人と同行する場合等、どうしても食べたいときは余裕を持っていくか、平日の15時から16時くらいがいいでしょう。神田藪蕎麦は予約可です。

並木藪蕎麦は誰もが知る浅草の雷門から150mのところにありますが、再度くわしくアクセス方法を紹介します。ちなみに車でのアクセスはおすすめできません。

また長い行列と待ち時間で評判で予約不可の並木藪蕎麦ですので、いったいいつから並べば確実なのか、その開店時間と閉店時間や休業日についても紹介します。待ち時間を最小にする秘策も紹介します。

まずアクセス方法です。最寄り駅は浅草駅ですが東京メトロ、東武スカイツリーライン、都営地下鉄の3駅が集中しています。都営地下鉄の浅草駅の場合はA1出口を出て北の雷門方面に140m程行った左側にあります。ひらがなの「やぶそば」の看板が目印です。

東京メトロ、東武スカイツリーラインの浅草駅の場合は雷門方面に出て、まず雷門に行き雷門を背にして南に150m行った右側にあります。右側の歩道を歩きましょう。

営業時間は11時から19時30分まで休みなく営業しています。一番乗りしたければ10時頃から行列に並べば待ち時間も少なく確実でしょう。残念ながら予約はできません。平日の15時から16時ぐらいに行けば並ばずに入店できます。ちなみに神田藪蕎麦は予約可能です。

いずれにしてもまともな昼食時にはなかなか待ち時間を避けることが出来ないのが現状です。日曜日も営業しており、定休日は木曜日になります。

「藪蕎麦」と名乗る他の蕎麦屋を時々見かけます。しかも看板のロゴもよく似ているのですが、パクリではなく、一応本店の神田藪蕎麦から暖簾分けの形を取っています。

以前は「xx藪蕎麦」と名乗れるのは親類縁者だけで「藪xx」のような名前にしていましたが、最近は街の名前と藪蕎麦で名乗れるようになりました。血筋がつながっているのは神田藪蕎麦と並木藪蕎麦だけで他の藪蕎麦とは挌が違います。藪睦会という会を作っています。

神田藪蕎麦は藪蕎麦の本店で並木藪蕎麦より早く1880年創業の老舗です。並木藪蕎麦と同様、大行列で待ち時間が1時間を超えることもあります。こちらは席数は限定されますが予約可能です。東京メトロ淡路町駅から2分の所にあります。

2013年に火災にあいましたが、行燈と看板は健在で見事に復活しお客様も離れていません。こちらも濃いめのつゆに蕎麦を少ししだけのスタイルは同じで、鴨南蛮もあります。

上野藪蕎麦は血縁のない暖簾わけの藪蕎麦として並木藪蕎麦より古い明治23年創業の蕎麦屋です。創業当時は「藪蕎麦」は名乗れず「藪安」と名乗っていました。藪睦会会員になっています。JR上野駅の南にある人気店です。

蕎麦の先だけつける濃くてしょっぱい蕎麦つゆや、細くてこしのある蕎麦等は本家藪蕎麦の伝統を受け継いでいます。こちらには牡蠣南蛮蕎麦があります。

麻布台藪蕎麦は神田藪蕎麦とは血筋はつながっていない藪睦会の会員の蕎麦屋です。この店を訪れたお客様のほとんどは老舗の藪蕎麦の存在を知らない人が多く、普通の街の蕎麦屋と思っているでしょう。

蕎麦やその他の料理について、本場の藪蕎麦との比較コメントはほとんどないですが、看板や店構えは神田藪蕎麦や並木藪蕎麦を意識しているのがうかがえます。

歴史のある老舗で、天ざる蕎麦、鴨南蛮蕎麦、山かけそばが人気の並木藪蕎麦は予約不可で行列が絶えません。老舗のブランド力と本当のおいしさの両方を兼ね備えている強みでしょう。池之端藪蕎麦は店主の体調不良をきっかけに閉店になっていますので、人気を維持するのも大変なことでしょう。並木藪蕎麦に是非何度も訪れましょう。