御朱印帳の使い方は?
近年、御朱印集めを楽しむ方が増えてきています。神社やお寺などを参拝し、御朱印をいただいた御朱印帳は、後で見直すと思い出にもなり、参拝のよい記念となるものです。そこで、ここで改めて御朱印帳の使い方について確認してみました。
御朱印帳とは
御朱印帳というのは、その名前の通り、御朱印を書いていただくための帳面です。御朱印を集めたいと思った時に購入し、お寺や神社に参拝するたびに順番に御朱印を書いていただきます。御朱印にはそのお寺や神社の名前と共に参拝した年月日が入りますから、年月日順に御朱印が並んで行くということになります。
本来、御朱印というのは寺社にお参りをし、写経を納めた際に寺社からいただく「受付印」のようなものでした。13世紀前半には「六十六部」と言い、日本全国(当時66か国ありました)を巡礼し、各国一か所ずつの霊場に法華経を納めていたそうなので、これが起源と考えられているそうです。
御朱印帳の基本的な使い方
このように、御朱印帳はそのお寺や神社に参拝したしるしです。であれば特別な扱い方が必要なのではないかと心配になる方もいるかもしれません。しかし実際には、基本的な使い方さえ守っていれば、さほど気を使う必要はないとされています。
まず、御朱印をいただく前にはお寺や神社に参拝をします。参拝が終わったら、御朱印を授与している場所(お寺や神社によって、社務所やお守りなどの授与所などさまざまです)に行き、御朱印をいただくページを開いてお願いします。蛇腹になっているものはそのままでいいですが、和綴じのものなら紐を緩めて出すと、書く方は書きやすくてよいでしょう。
御朱印をいただいた御朱印帳は、神様や仏様とのつながりとなるものなので、保管するときはそれなりの場所にするとよいと言われます。神棚や仏壇があればそこに保管すればよいですし、そうでなければ貴重品などが入っているところに入れるとよいそうです。
御朱印帳を持ち歩く場合は、御朱印帳袋に入れるとよいでしょう。御朱印帳と共布でできた御朱印帳袋を授与しているお寺や神社もありますので、そういったものを利用してもよいですし、御朱印帳が入る手作りの袋などでもよいでしょう。また、ビニールのカバーがついているものはそのまま付けておくと汚れにくくなります。
御朱印帳の種類
御朱印帳にはいくつかの種類があります。タイプとしては蛇腹式、ブック式、和綴じ式の3種類、サイズは小と大の2種類が一般的で、それぞれに特徴があります。お寺や神社などで購入できる御朱印帳は、蛇腹式のタイプが多いようですが、どのタイプを使ってもかまいません。
タイプの違いと特徴
まず、タイプのほうから説明していきます。蛇腹式はその名の通り、中の和紙が折りたたまれたような形になっています。開くとお経のように横にずらっとページが広がるので、御朱印を広げてみることができる上、ページ面がフラットになり書きやすいという利点があります。また、裏側にも御朱印をいただくことができるという点も魅力でしょう。
ブック式は本のような形になっています。中のページが本のようになっているので、蛇腹式に比べて広がりにくく、持ち歩きやすいと言われます。中の和紙が薄いと、裏側に墨が移ったり、折り目がついたりする可能性があるので、できれば紙がしっかりしたものを選ぶとよいでしょう。
和綴じ式は中の紙が紐で綴じられています。中の紙を綴じなおすことができるので、たとえば霊場巡りなどで札所の順番に行けないときに、後から順番に並べ直すことができるというのが利点です。そのため、「○ヶ寺札所巡り」のような時の御朱印帳にこのタイプが多いかもしれません。
大きさの違いと特徴
御朱印帳の大きさは縦16センチ、横11センチ程度の小サイズと、縦18センチ、横12センチ程度の大サイズが一般的です。お寺では大サイズ、神社では小サイズが多いとも言われますが、特にどちらがどうということはありません。好みのものを選ぶとよいでしょう。
ただし、可能であればですが、大サイズの御朱印帳は一冊持つことがおすすめです。なぜかというと、後で述べますが、書き置きの御朱印をいただいて貼りつける時に、小サイズだとはみ出してしまうからです。小サイズの方が持ち運びやすいので、ふだんは小サイズを使い、書き置きをいただいたときには大サイズに貼るという使い方もできます。
御朱印帳の使い方疑問1:御朱印帳の入手法
それでは、御朱印帳はどこで手に入れるとよいのでしょうか。一般的にはお寺や神社で御朱印をいただく際に御朱印帳を購入するという方が多いのではないかと推測されます。近年では、お寺や神社などでも、その寺社オリジナルの御朱印帳を用意している場合も多く、その御朱印帳そのものが人気というところも多く見られます。
たとえば京都の高山寺の御朱印帳の表紙には、有名な「鳥獣戯画」があしらわれています。鳥獣戯画は高山寺で所蔵されているので、この図柄が使われているのです。また最近は御朱印集めを楽しむ女性が増えてきたことから、かわいらしいキャラクターが表紙にあるものや、パステルカラーの表紙のものなども出てきました。
お寺や神社などによっては、オリジナルの御朱印帳の最初のページに、その寺社の御朱印を最初から入れているところや、特別な御朱印を授与してくれるところもあります。最近では御朱印帳そのものも美しいですし、御朱印をいただく際にチェックしてみてもよいでしょう。
また、御朱印帳そのものは文具店やインターネットなどでも販売されています。こちらも蛇腹式やブック式、和綴じ式などの種類も多く、デザインも豊富なので、好きな御朱印帳を選びたいという方には人気となっています。ただし、御朱印帳として使うなら、専用の「御朱印帳」を購入してください。スタンプ帳やノートでは御朱印帳にできません。
それから、先ほど触れましたが、御朱印帳とともに御朱印袋やカバーなどを購入することもできます。こちらもお寺や神社で扱っている場合もありますし、文具店やネットで購入することもできます。また自分でサイズに合わせて作ることもできます。御朱印帳は持ち歩くものなので、こういったものがあると汚れや傷みを防ぐことができるので、用意しておくとよいでしょう。
御朱印帳の使い方疑問2:いついただく?
最初に述べたように、御朱印はそもそもお寺や神社に参拝し、納経をしたときにいただくものです。ですからスタンプラリーのように御朱印だけをいただいて帰るというのはルール違反です。まずは本堂や本殿に参拝をし、その後で御朱印を授与してくれるところに行きましょう。
ただ、近年は御朱印集めをする方が増えていることもあって、有名なお寺や神社などによっては、先に御朱印帳を預けて参拝し、参拝が済んでから受けとるという方式をとっているところもあります。その場合はその方式に従いましょう。受け取る時には自分の御朱印帳かどうか確認を忘れないようにしてください。表紙の裏に名前を書いておくのもおすすめです。
御朱印帳の使い方疑問3:どこでいただく?
御朱印をいただく場所ですが、神社では社務所や授与所、お寺では納経所などで扱っている場所が多いようです。お守りなどを売っている場所の近くなどに「御朱印授与所」などの表示があるところかおおいので、それを探していくと見つけられます。
御朱印を授与していただける場所に行ったら、蛇腹式やブック式ならそのページを開いて、和綴じ式なら紐をゆるめてそのページを開きます。そして「御朱印をお願いします」と言うと、そのページに御朱印を書いてくれます。
御朱印帳の使い方疑問4:どこでもいただける?
御朱印帳を手に入れてお寺や神社に行くようになると、御朱印帳に御朱印が集まってくるのが楽しいと感じる方も多いのではないでしょうか。しかし実は御朱印がいただけないお寺もあります。代表的なところが西本願寺、東本願寺に代表される浄土真宗のお寺です。
浄土真宗では、御朱印を授与しない理由を次のように述べています。お寺にお参りしたことがあるかどうかではなく、お参りして教えに出会ったことが重要である、またどんな教えに出会ったかが重要なのである、つまりさまざまに変化する状況の中で教えを聞き続けることが大事なのだということが浄土真宗の教えなのだというのです。
御朱印をいただくために一度行って終わりにするのではなく、何度もお寺に行き、教えを聞くことこそが大事なのだという考え方から、浄土真宗のお寺では御朱印を授与していません。ですからここでは無理を言わず、参拝をするのみにしましょう。
また、近年では、住職や神主などがふだんはいないお寺や神社もあります。こういったところでは御朱印をやっていなかったり、前もって御朱印をいただきたいと連絡する必要があったりするところもあります。有名なところはまず心配はいりませんが、不安な場合は前もって確認しておくことをおすすめします。
御朱印帳の使い方疑問5:いくついただいていい?
上とは逆に、お寺や神社によっては複数の御朱印があるところもあります。例えば京都の伏見稲荷大社の場合、山全体が境内となっており、本殿はもちろんですが、山の方にある奥の院などでも御朱印を授与しています。本殿のほか、山の方に登っていくと、そこで別の御朱印を授与していただけるのです。
また、奈良の東大寺では、大仏殿はもちろんですが、二月堂や法華堂(三月堂)、不動堂に鐘楼と、あらゆる建物で別々の御朱印を授与しています。しかもそれぞれの本尊のもののほかに御詠歌のものなどもあり、これだけで10種類を超えると言われます。これだけあると、どれをもらえばいいのか迷ってしまうのではないでしょうか。
結論から言うと、参拝していれば御朱印を複数いただくことは問題ありません。また、一度にすべてをいただかなくても、参拝するたびに別の御朱印をいただくことも問題はないのです。ただし、御朱印が複数あった場合、それぞれにいわゆる「料金」が必要になりますので、その点は気をつけましょう。
御朱印帳の使い方疑問6:いただくマナーはある?
それでは、気になる御朱印をいただくマナーについて紹介します。マナーと言っても、ごく常識的なマナーを守りさえすれば、さほど問題になることはないのですが、それでも時にはトラブルになることもあるようです。
御朱印に関するトラブルで多いのが、授与時間を守らないということです。先にも述べたように、御朱印はスタンプラリーではありません。しかし、御朱印をもらえればいいということで、参拝もせず、授与時間を過ぎてからやってきて御朱印を授与してほしいという方もいるようです。このような行為はやめましょう。
また、御朱印を書いてくださる方は心を込めて一つ一つ書いてくれています。御朱印を書いていただいている時は私語を慎み、静かに心を整えて待たせていただきましょう。くれぐれも自分も相手も心を乱すようなことがないように気をつけます。
それから、次の「料金」に関わることですが、お寺や神社では、料金をお札で払っておつりをいただくことはできます。しかしやはりその分煩雑になるので、できれば小銭を用意しておくとよいでしょう。相手になるべく手間をかけさせないのもマナーの一つと考えるとよいのではないでしょうか。
御朱印帳の使い方疑問7:「料金」はおいくら?
さて、気になる御朱印帳や御朱印の「料金」です。「料金」と書いたのは、御朱印帳や御朱印は「初穂料」という呼び方をするからです。御朱印の初穂料ですが、きちんと金額が書いてあるところと、「お気持ちで」というところがあります。「お気持ち」と言われるとちょっと戸惑うという方も多いかもしれません。
一般的に御朱印の初穂料として言われるのは、お寺でも神社でも300円が多いです。ですから「お気持ち」の場合は300円をめどに支払うとよいでしょう。ちなみに初穂料を「払う」ことは「祓う」に通じ、「穢れを祓う」という意味があると言われます。
御朱印帳の使い方疑問8:お寺と神社は別?
御朱印集めを始めてすぐのころに直面する問題の一つが、お寺と神社の御朱印を一緒にしていいのかどうかということです。実は日本の場合、江戸時代までは神仏習合と言い、神仏が融合した形で信仰されていました。それが明治維新後の神仏分離令(1868年)によって、現在のようにお寺と神社が別々になっていったのです。
そのため、お寺と神社は別々のものとして、御朱印帳をわけてほしいというところもあり、中には混じっていると御朱印は書かないという場所もあるとされています。ですから、可能であれば御朱印帳は別々にしたほうがよいでしょう。なお、七福神めぐりなどでお寺と神社の両方がある場合は一緒にしてもかまいません。
御朱印帳の使い方疑問9:裏側は使っていいの?
そして、御朱印集めを続けていくと、御朱印帳がいっぱいになってきます。そうなると気になるのが、裏側は使っていいのかという点です。特に蛇腹式の御朱印帳の場合、開くと裏側が真っ白になるので、ここに書いていただいていいのか考えた方も多いでしょう。
結論から言うと、裏側に書いていただくのは何の問題もありません。御朱印帳はそもそも厚手の和紙を使っている場合が多く、裏側に墨がにじみ出て汚れるということはめったにないですし、また裏側が汚れて気になるならそのページを飛ばせばいいだけなのです。
蛇腹式の御朱印帳は裏側を利用するときに特に便利です。先ほど蛇腹式は開いて全体を見られると述べましたが、裏側に書いていただくと、両面にぎっしりと御朱印が並ぶ様子を見ることができるのが蛇腹式のよいところです。蛇腹式の御朱印帳を持っている方はぜひ裏側もぎっしりと埋めてみてください。
御朱印帳の使い方疑問10:表紙の紙はどうするの?
最後に、御朱印帳の表紙のところにある紙と、表紙の裏側の部分について紹介します。すべてではないですが、御朱印帳の表紙に白い短冊のような紙が貼られているものがあります。これは一般的には「題箋」と呼ばれることが多いのですが、そのままにしても、何か書いてもかまいません。
御朱印帳の表紙には最初から「御朱印帳」と書いてある場合もありますし、このように表紙に紙が貼られているだけのものもあります。この部分ですが、お寺や神社などで墨で名前などを書いてくれる場合もあるようですし、もちろん自分で書いてもかまいません。ないものもあるので、特に意識しなくてもよいでしょう。
ちなみに表紙の裏側の白紙部分は、御朱印を書くときは開けて書き始めることが多いです。そのため、ここに名前などを自分で書いておくという方も多いです。先ほど述べたように御朱印帳を預けて参拝する場合など、名前があった方が間違えないという利点もあります。
御朱印帳の使い方はマナーを守って
以上、御朱印帳の使い方について紹介してきました。使い方というと堅苦しく感じるかもしれませんが、基本的なマナーを守りさえすればそれほど面倒な使い方はありません。お出かけの時にカバンにしのばせて、おでかけ先でお寺や神社を参拝して御朱印をいただくのも楽しいかもしれません。
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