この記事の目次
長野・涸沢小屋に泊まろう
長野県松本市に安曇の山中にある涸沢小屋は、涸沢カールを望む標高2350メートルの南斜面の高台に建つ山小屋です。この山小屋は、穂高連峰登山の拠点として、また、疲れを癒す休憩スポットとして、広く登山者に愛されています。ここでは、そんな涸沢小屋について、宿泊料金や混雑具合、おすすめのメニューや人気の個室などの情報を交えながら紹介します。
長野・涸沢小屋へのアクセス
涸沢小屋は上高地の奥の方へ約6時間ほど登ったところにありますので、まず、上高地へのアクセスが必要です。上高地へ東京方面または名古屋方面から電車でアクセスする場合、中央本線経由でJR松本駅へ行き、松本電鉄上高地線に30分ほど乗車し、新島々駅で路線バスに乗り換え上高地に向かいます。
電車でのもう一つのアクセス方法は、東京または名古屋方面から高山本線経由で高山駅まで行き、高山駅から路線バスで上高地に向う方法です。上高地へは、緊急車両以外は夜間の車両乗り入れができないため、新島々駅や高山駅からの最終バスの時間を確認の上、余裕を持ってでかけることをおすすめします。
マイカーの場合は、東京方面から中央自動車道を進み、岡谷JCTで長野道を松本方面に向かい、松本インター出口から上高地方面へ国道158号線を沢渡駐車場まで約1時間走ります。夏のハイシーズンには混雑が予想されますので、早めのスタートをおすすめします。上高地へはマイカーが入れないため、シャトルバスまたはタクシーに乗り換えて上高地へアクセスします。
名古屋方面からは、東名自動車道を大阪方面へ進み、小牧JCTで中央自動車道に入り、岡谷JCTで長野道を松本方面に進み、松本インター出口から上高地方面へ、国道158号線を沢渡駐車場まで走ります。その後は、東京方面からと同様、シャトルバスかタクシーで目的地に向かいます。
長野・涸沢小屋への登山準備と心得
涸沢小屋は標高2350メートルの高度があり、上高地から徒歩で6時間ほどかかる上、その小屋を起点にして、標高3000メートルを越える穂高連峰を目指すことから、相応の準備と心構えが必要になります。山の天候は変わりやすく危険に晒されることと混雑することを念頭に入れ、早朝に出発し、昼には山小屋に着くような計画を立てる必要があります。
登山届や入山届の提出は任意となっていますが、遭難や行方不明時の初動捜索をやりやすくするため、必ず提出するよう徹底しましょう。また、登山の途中で人とすれ違う場合は登りの人が優先されますので、ルールを守ることと、混雑時でも気持ちよくすれ違うことができるよう、挨拶をすることを心がけましょう。
登山道を外れると、落石や転落の危険があるばかりでなく、鉱山植物を傷つけることにもなりますので、登山道から外れないよう心がけるとともに、小屋の中やテント場では大声を出し安眠を妨げるような行為は慎みましょう。また、登山靴には用途により色々な種類がある他、履き慣れない靴で登ると足が痛くなり登山に影響が出ますので、慎重に選ぶことが大切です。
長野・涸沢小屋への登山道
上高地から標高2350メートルの涸沢小屋へアクセスするには、歩いて登るしか方法がありません。約6時間の行程となりますが、上高地から明神まで約1時間、明神から徳沢まで約1時間、徳沢から横尾まで約1時間歩き、横尾からは急な登り坂を約3時間かけて人気の涸沢カールまで登ります。
長野・涸沢小屋への登山道1:上高地から明神
上高地バスターミナルは涸沢への起点となる場所で、この場所には登山届の提出箱があり、トイレや水場もありますので、しっかり準備してから出発しましょう。歩くこと約5分で河童橋に到着します。河童橋からは、奥穂高を筆頭に美しい穂高連峰を仰ぐことができます。河童橋から10分ほどで小梨平キャンプ場に出ます。
小梨平キャンプ場は林の中にある静かなキャンプ場で、学生の団体や家族連れでキャンプをしている姿が目につきます。バスターミナルから約1時間で最初の休憩スポット、明神館に到着します。明神館からは、眼前に標高2931メートルの明神岳を望むことができます。上高地から明神までは約1時間ほど歩きます。
長野・涸沢小屋への登山道2:明神から徳沢
明神館から梓川に沿ってしばらく行くと、古池があり、池面に映る景色の素晴らしさに、しばし心を打たれます。次の休憩スポット・徳沢キャンプ場は、徳澤園のそばにある広々とした草原のキャンプ場で、人気の槍ヶ岳、涸沢岳、穂高への登山の出発地点として利用する人も多いようです。また、徳澤園には、井上靖氏の小説「氷壁」に登場する山の宿・みちくさ食堂があります。
長野・涸沢小屋への登山道3:徳沢から横尾
徳沢から20分ほど林の中を進み、分岐点を左に行くと新村橋があります。この橋から迂回してパノラマコースから人気の涸沢へ行く方法もありますが、初心者にはむずかしいコースとなります。新村橋から穂高連峰の雄姿を左手に見ながら進んでゆくと横尾山荘に到着します。ここを直進すれば槍ヶ岳に向かうコースとなります。おすすめの横尾山荘が最後のトイレ休憩場所となります。
長野・涸沢小屋への登山道4:横尾から涸沢
横尾山荘のすぐそばには、横尾大橋という大きなつり橋があります。そしてここからが本格的な登山道となります。コースの途中で、日本でも最大級のおすすめの岩場「屏風岩」が見えてきます。写真で見る屏風岩は大したことがなさそうに見えますが、実際に近くで見ると、その迫力には圧倒されます。ここから涸沢まで約3時間かけて登ります。
横尾から涸沢までの中間地点にあるつり橋が本谷橋です。揺れの激しい橋ですので、高所恐怖症の人は、右手脇にある小さい橋を渡ることをおすすめします。橋を渡ると急な上り坂が約2時間ほど連続します。ガレ場も多く注意が必要ですが、紅葉の時期には多くの登山者で混雑します。
7月下旬でも残雪の多い時期には、涸沢の下あたりから雪渓の中を歩くことになります。ただし、雪中にステップが切ってあることが多く、アイゼンが無くても登りやすくなっています。上高地から約6時間で人気の涸沢に到着します。かなりのハードワークとなりますが、おすすめの涸沢カールの絶景を見れば、旅の疲れも忘れてしまいます。
長野・涸沢小屋のある涸沢カール
涸沢カールは氷河期に、氷河によって造られたカール地形を持つスケールの大きな絶景スポットです。このおすすめの涸沢カールでは、トレッキングやクライミング、ボルダリング、スキー、キャンプなど、種々のアクティビティーが行われており、登山者の聖地として存在し続けている人気スポットです。
長野・涸沢小屋の歴史と特徴
昭和初期に上高地山案内人組合の中心人物、村上守氏により、涸沢小屋の建設が計画されました。建設にあたって最も配慮されたのは、雪崩の心配がない場所ということでした。涸沢小屋は、背景に約50メートルの岸壁があり、雪崩が起きてもその岩が守ってくれます。また、岩盤の上に建てられているため、地盤がしっかりしていることも判断基準の一つとなりました。
1998年の上高地群発地震が起きた時でも、涸沢小屋は被害から免れています。また、この山小屋は南向きのため、日照時間が長く雪解けも早いため、寒い日でも日向ぼっこができるほどの暖かさがキープできます。そして、小屋の脇には水場があるため、宿泊したり生活する上で困ることがありません。
おすすめの涸沢小屋のある北穂南稜線基部の場所は立地的にも申し分のないスポットです。現在の涸沢小屋は、平成13年に3度目の建て替えが行われており、柴田洋祐社長が経営しています。そして、山や自然が好きな若い小屋番たちにより、明るく笑顔の絶えない接客と山小屋生活が営まれています。個室があるのも人気の一つに数えられています。
長野・涸沢小屋の四季
おすすめの涸沢小屋の営業が開始されるのは4月下旬からで、ゴールデンウイークには雪の斜面を歩く春登山のメッカとなります。また、変化の多い斜面を使った山スキーが7月初旬まで楽しめます。梅雨が明けると夏山シーズンがスタートします。様々な高山植物が美しい花々を咲かせるのもこのシーズンです。
9月に入ると秋山登山のシーズンとなります。そして9月末にはおすすめの美しい紅葉の季節が到来します。涸沢カール一面を埋め尽くす色鮮やかな紅葉は、山岳紅葉の代名詞にもなっています。紅葉が終わる10月中旬から涸沢カールには雪が積もり始めます。そして、11月3日の文化の日が、涸沢小屋の最終営業日となります。
長野・涸沢小屋の宿泊料金
涸沢小屋の営業時間は8時から19時となっており、4月下旬から11月初旬まで営業しています。宿泊料金は、1泊2食付きで9500円、素泊まりだと6500円となります。個室使用の場合は別途料金がかかります。また、弁当を1000円で支給してもらうことができます。学生は年代に応じた割引きがあります。また連泊の場合は、2泊目は1000円引き、3泊目は2000円引きとなります。
長野・涸沢小屋の客室
宿泊するためには、原則として電話による事前予約が必要です。個室使用の場合は、一般の宿泊代、1泊2食9500円に加え、個室部屋のキープ料として一部屋あたり12000円が追加となります。例えば個室を4人で使用する場合なら、一人当たり3000円が個室分の追加料金となります。ただし、混雑具合により、個室設定の無い日があるため注意が必要です。
おすすめの涸沢小屋は南向きの明るい小ぢんまりとした小屋で、客室が10室ほど備わり、100名程度の宿泊が可能です。宿泊は相部屋が基本となります。小部屋は個室として使用できますが、繁忙期には個室も相部屋として使われます。受付には、オリジナルのお土産品などが並んでいる他、マムートコラボグッズのTシャツが人気を集めています。
長野・涸沢小屋の売店
涸沢小屋の売店では、人里離れた山小屋にもかかわらず、本格ソフトクリームが食べられる他、おはぎ、もつ煮、おでんなど、ビールやコーヒーに合いそうな人気メニューが揃っています。また、コーヒーカップもお洒落で可愛いと評判を呼んでいます。日向ぼっこをしながら食べるおすすめの本格ソフトクリームの味は最高です。
売店では生ビールが800円、1カップのお酒が500円、コーヒーが500円、枝豆300円、もつ煮500円、おでん500円で販売されている他、カレーライスやラーメン、豚汁などもあります。目の前の大展望テラスで人気の涸沢カールを見下ろしながら楽しむ生ビールやソフトクリームの美味しさは格別です。
長野・涸沢小屋の食堂
涸沢小屋には窓が広くて明るいおすすめの食堂があります。手作りの夕食や朝食は人気があり、美味しいと評判です。テントに寝泊まりするなど、涸沢小屋に宿泊しない人でも、夕食代2200円、朝食代1200円を出せば手作りの人気料理を楽しむことができます。定食以外にも天ぷらそばなどを堪能することができます。
長野・涸沢小屋のその他の施設
涸沢小屋のその他の施設としては、談話室が1室ありますが、少々せまいのが気になります。また、混雑時には宿泊場所となります。トイレは自己完結バイオ式が設置されており、自然保護のため大きな費用がかかっており、1回につき、チップ制で100円程度を料金箱に入れて使用します。この山小屋には風呂がないため、洗面のみとなります。
長野・涸沢小屋の隣の涸沢ヒュッテ
涸沢小屋のすぐそばにあるもう1件の山小屋が涸沢ヒュッテです。昭和26年にヒュッテが建設され、壁の石積みが全て完成したのは平成10年です。それまでは、毎年雪崩との格闘が繰り返されてきました。ヒュッテの小屋番は、日夜、「センス溢れる快適な山小屋」を目指して仕事に励んでいます。
長野・涸沢小屋の隣の涸沢ヒュッテの宿泊料金
涸沢小屋より大きい涸沢ヒュッテですが、宿泊は個室がなく相部屋のみとなっています。1泊二食付きの値段が9500円、夕食のみが8500円、朝食のみが7700円、素泊まりが6500円となっており、弁当が1000円で支給されます。部屋の収容人数は180名で、3人から12人までの相部屋となります。混雑時に収容人数を越えた場合は、1枚の布団に2、3人が一緒に眠ることもあります。
長野・涸沢小屋の隣の涸沢ヒュッテのレンタルテント
2018年のレンタルテントの貸し出し期間は7月14日から10月13日までとなります。予約は3か月前の同日8時から電話のみの受付となり、1張2名以上の利用となります。レンタルテントは、常設コンパネ板を含み1張が8000円で、シュラフが1泊2000円、銀マットが1泊1000円で借りられます。いずれも幕営料として1名につき1000が別途必要となります。
テント持参の人もシュラフ・マット、コンパネ板をレンタルできますが、当日受付のみとなります。その他、レンタル用品として、軽アイゼンが1000円、ストック2本組が1000円、ヘルメットが1000円でレンタルできます。涸沢カールのカラフルなテント群は見た目にも美しく、夜ともなればイルミネーションのような華やかさとなります。
長野・涸沢小屋の隣の涸沢ヒュッテのパノラマ売店
涸沢ヒュッテのパノラマ売店では、名物おでん他、生ビール、ラーメン、カレーなどがオーダーできます。展望テラスでビールを飲みながらゆったりと食事をするのも悪くないでしょう。また、このヒュッテには、大混雑が予想される7月21日から8月18日までの期間、東京大学涸沢診療所が開設されます。
長野・涸沢小屋の隣の涸沢ヒュッテのオリジナルグッズ
涸沢ヒュッテの本館の玄関スペースには宿泊者専用の自炊場があり、自分たちで食事を造ることができます。談話室は20時まで利用できますが、混雑時は客室として利用されることがあります。また、涸沢ヒュッテオリジナルのグッズが販売されており、ロゴ入りのナルゲンボトルやポストカード、穂高の山々が描かれた手ぬぐいなどが並んでいます。
長野・涸沢小屋を満喫しよう
涸沢小屋は長野県松本市安曇の山中にある山小屋で、氷河期にできたカール地形の涸沢カールを望む高台に建つ三角屋根の山小屋です。涸沢小屋は小さな山小屋ですが、アットホームな雰囲気が人気を呼び、多くの登山者が訪れます。ここでは、そんな涸沢小屋について、宿泊や混雑状況、人気の個室、おすすめのメニューなどの情報を交えて説明してみました。
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