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リカンベントは楽しみながら走れる乗り物
日本でも一部マニアックな愛好家の間で知られる「リカンベント」は、寝そべるようにして座り、周辺に広がる視界を楽しみながら走ることのできるおすすめの乗り物です。ここでは、ちょっと風変わりな自転車であるリカンベントについて、乗り物自体の機能とおすすめのタイプ、公道走行の際の注意点とその魅力や楽しさについて紹介します。
Verocarから始まったリカンベントの歴史
リカンベントの歴史は、第一次大戦後のフランスにおいて、二人乗り四輪式ペダルの「Verocar」が自動車の代替として考案されたのがその始まりとされています。
Verocarはフランス人シャルルモシェという人によって考案され、その後モシェはその速さを追求していきます。実際Verocarは非常に速く、自転車レースのペース用車両として使われます。そして改良を重ね、今のリカンベントの原型である2輪へと発展しました。
モシェはリカンベントでレースへ参加してその速さを示すため、プロのライダーを探しますが、なかなか見つからずようやく無名のライダー、フランシスファールに託します。
その後ファールはリカンベントで様々なトラックレースに参加し、空気力学的な優勢によって次々と新記録を樹立していきますが、1934年国際自転車競技連合UCIによる競技参加自転車の規定変更により、競技用自転車として認められなくなり今日に至っています。
道交法におけるリカンベントの規定
リカンベントは、自転車競技の世界では自転車としては認められていませんが、人力駆動車の乗り物として公道において自転車と同様の道交法のルールが適用されます。
日本の法令による自転車の規定は、長さ190cm幅60cm以下で、車体構造は側車を付けておらず、運転者席以外の乗車装置を付けていないこと、そして歩行者に危害を及ぼす鋭利な突起物がないこと、とされています。リカンベントはこの規定内にあります。
つまりリカンベントは、道交法においては普通自転車とみなされるため公道における走行は合法となり、基本は自転車と同様に公道の車道左端を走行します。
公道においては一般の道路標識以外に自転車専用の道路標識もあるので、今一度再確認が必要です。忘れてしまっているものや間違って認識しているものなどもあるでしょう。公道においては交通ルールを守って安全に走行することを心掛けましょう。
リカンベントによる公道走行中の注意点
リカンベントで公道上を走行する際に注意する点は、まず肝に銘じておかなければいけない点として、通常の自転車と違って圧倒的に認識されにくいということです。
そのために後方に長いポールを立てて旗を掲げたりしますが、そもそもそういった旗が突如車の横に現れることは通常想定外なので、気づいた時にはすでに左折車に撒き込まれたりといった事故につながります。特に公道で車の側面や後方にいる時は注意が必要です。
リカンベントはその構造上、左右から後方を認識しずらい構造になっています。特に最近はエンジン音がしないハイブリッド車や電気自動車は接近していることに気づきにくく、進路変更や右左折時にはしっかりと認識できるミラーの装着は必須です。
さらに車以上に注意が必要なのが自転車です。急に方向転換したり公道へ飛び出してくる自転車の場合、車高の低いリカンベントは、車の陰に隠れて認識しにくい状態です。
自転車は視線が高いので低いリカンベントを認識できないケースが多々あります。また自転車は走行音がしないケースがほとんで、車の横から発進する際は、必ず左右確認が必須もしくは先に車が発進するまで待つことでリカンベントの安全な走行ができます。
公道で車や自転車からの視認性を高めるには、出来るだけ多くの反射板をシートの背中に貼り付けるなど、目立つようにすることをおすすめします。それとリカンベントの弱点として寝そべっていて後方確認がしづらいので、バックミラーの装着をおすすめします。
筋肉強化とダイエット効果のリカンベント
リカンベントの場合は、足自体の重量で踏み込む自転車と違って、足を前に出した状態で乗車するので足自体の重量はほとんどクランクに掛かっていません。
実際に漕いでみると、ふくろはぎと太もも、それに腹筋を使っていることが分かります。つまり純粋に筋肉の力だけで回すことになり、乗っているだけで筋肉強化になります。
さらにリカンベントはダイエット効果にもおすすめです。直接的に効果があるということではなく、公道を走ることで注目度は半端ないです。注目され最初は恥ずかしかったのが、やがて快感に変わり楽しくなってきます。楽しいことイコール継続ができます。
リカンベントの速度はどのくらい
リカンベントというその風変わりな乗り物は、何といっても寝そべった状態で漕ぐため、実際にさほど速度が出ないのでは、という素朴な疑問がわきそうです。
ところがリカンベントに実際に乗ってみると、低姿勢の状態で漕ぐため通常の自転車に比べると空気抵抗が少なく、楽な姿勢で漕ぎながらかなりの速度が出せることが解ります。直線走行で平均時速40kmまでは楽に出せるので、速度面では普通乗用車に匹敵します。
実際にリカンベントで公道を走ってみると、驚くほど空気抵抗が低く加速できるのが分かります。直線道路であれば圧倒的に自転車よりもリカンベントの方に分があります。
ただし、これはリカンベントに限ったことではないですが、公道においては、歩行者や自転車、お年寄りや子供の不意の飛び出しなど、常に周囲への注意を怠らず、くれぐれも速度の出し過ぎには注意して、楽しいリカンベントでの走行を心掛けるようにしましょう。
リカンベントの最高速度はスポーツカー並み
リカンベントにもいろんなタイプがあって、ローレーサーと呼ばれるものの中には、最高速度が時速130km以上というとんでもない速度を記録したものもあります。
実際にアメリカネバダ州バトルマウンテンで毎年行われているワールドヒューマンスピードチャレンジという人力だけによる自転車の世界最高速度記録に挑戦する大会では、2016年にトッドレイチャート氏が樹立した時速144.17kmという速度記録があります。
ただしこの大会で使われているのは、ローレーサーよりもさらに空気抵抗を少なくし速度を上げるため、個人的にあらゆる箇所に改良を加えカーボンファイバー製の車体を取り付けた「ストリームライナー」と呼ばれるもので、一般には市販されていません。
リカンベントのメリット
リカンベント最大の利点は、楽に速度が出せるという点です。寝そべった状態で両足だけを使って前後に動かし、全体重の力を使って楽に漕ぎ出すことができます。
実際に両足の上下運動と比較してみるとよく分かります。上下運動の場合は、上半身が固定されていないため両手の力と上半身にも負担が掛かりますが、リカンベントの前後運動の場合、上半身が座席に固定されているため足だけに全体重を掛けることができます。
このことが比較的楽な状態で、ある程度の速度に持っていける理由です。しかも低姿勢による空気抵抗の少なさによって、通常の自転車よりも格段に速度が出せるわけです。
リカンベントのデメリット
リカンベントのデメリットは、上り坂に弱いという点です。通常の自転車の場合は全体重を利用して立ち漕ぎをすることが出来ますが、リカンベントは構造上それが出来ません。
必然的に脚力だけに頼り、ギア比を軽くしてひたすら漕ぐことで坂を上って行きます。当然ながらスピードは落ちるので2輪車のリカンベントは安定性を欠きます。車体そのものの重量があるのも上りには不利といえます。公道を走行の際はコースの確認が必要です。
もう1点は、操舵角が小さいので公道の路地でUターンなどをする際には方向転換が必要になります。また大きいカーブや鋭角を曲がる際も同様で曲がり切れない場合があります。
さまざまな種類があるリカンベント
リカンベントという乗り物は、これといった定義がないため、車高の高さや車輪の大きさ、ハンドル系統、駆動系統などによってさまざまなタイプに分かれています。
リカンベントはシートの高さによって、ハイレーサー、ミッドレーサー、ローレーサー、トライクに分かれます。ハイレーサーはセダン型乗用車と同じぐらいの高さで、ミッドがその座席に座った状態と同じぐらい、ローの場合はスポーツカーと同じぐらいです。
ハイレーサーは比較的登坂力があり、ミッドレーサーは取り回しが楽にでき、ローレーサーは直進性に優れ、トライクは安定性に優れているといった特徴がそれぞれにあります。
登坂力と高速走行に適したハイレーサー
ハイレーサーは、車体の大きさ、シートの高さなどから通常の自転車に近く、街乗りやツーリングまで幅広く使える汎用性を持ったおすすめのタイプです。
ハイレーサーは、前後輪700c24inchの車輪で統一され、その車輪の上部の高さに座席があります。高速走行に適しており、登り坂も比較的楽に漕ぐことができます。しかし車高が高いため、ある程度の身長のある方におすすめのタイプです。
初心者にも乗りやすいミッドレーサー
ミッドレーサーは、リカンベントの中でも最も種類が多く豊富なラインナップが揃っていて初心者にもおすすめです。おおよそ20inchの車輪上部辺りが座席の高さになります。
ミッドレーサーの基本的構造は、前輪が20inch、後輪が700c26inchと前輪が後輪よりも小さいのが特徴です。クランクや座席の高さを下げたり、クランクと座席の間を短くして足が届きやすいようにして、身長が低い人におすすめの設計になっています。
空気抵抗を減らし速さを追求したローレーサー
ローレーサーは、もうほとんど寝ている状態と一緒で、地面を這うように漕いで走行します。空気抵抗を減らすための工夫が随所に施され速さを追求したタイプです。
ローレーサーは、クランクの高さを搭乗者の体とほぼ同じ高さに持ってくることで、前方から受ける乱流を防ぎ空気抵抗を減らしています。一方で座席とクランクの距離が長いため、バランスは取り難くある程度の足の長さが必要になってきます。
三輪仕様のリカンベントトライク
前輪が2つで駆動用の後輪が1つの3つの車輪が付いたものが、リカンベントトライクです。子供用三輪車の車輪が前後入れ替わった構造がリカンベントトライクの基本です。
トライクは前輪が2つになったことで、安定した走行ができるので初心者におすすめのタイプです。ただし車輪が3つで車体重量が増え、2輪のリカンベントに比べ空気抵抗が増し速度は落ちます。トライクはゆったりとした走行を楽しみたい人におすすめの乗り物です。
リカンベントトライクの利点は安定感
速度のことだけでいえば、2輪のリカンベントに比べ不利なトライクですが、逆に利点の方が多いかも知れません。何といっても転ばないという点がトライク最大の利点です。
ちょっと休憩するために気に入った場所を見つけたら、その場にトライクを停車して置いておくことができますし、トライクの座席はリクライニングチェアそのものの構造をしているので、青空の下、ゆったりと休息したり昼寝もやろうと思えば可能です。
リカンベントトライクは車体重量の面でいえば、2輪車に比べて不利とされていますが、実はトータルで見た走行抵抗を非常に小さくできるといわれ将来的に期待されています。
2輪車の場合は、まっすぐ走っているように見えていて実は小刻みに左右にブレながら安定を保っています。ところがトライクの場合は、走行時においても安定しているために左右へのブレが最小限ですみます。この走行抵抗は結構な影響を及ぼしています。
最近は、この走行性能に優れたトライクも出てきており、見た目もまさにスポーツカーそのものといったものまであります。公道においても自動車と遜色ない走りができ、これからの省エネ時代の新しい乗り物として注目を浴びるようになるかも知れません。
ハンドル系統も種類が異なるリカンベント
リカンベントには、種類分けの大事な要素として座席の高さとは別に、ハンドル操作の系統があります。それぞれの駆動系統と密接な関係がありタイプが分かれます。
車高の高さに応じたハンドル、走り方に応じたハンドル、走行距離に応じたハンドルなどさまざまなタイプのハンドルがありそれぞれに特徴が異なります。またハンドル自体パーツになっていて、必要の応じて着脱できるようになっているものもあります。
OSSオーバーシートステアリング
オーバーシートステアリングは、横幅の小さい小型のハンドルが、ハンドルポストと呼ばれるパイプの先端に取り付けられ座席の上部に配置されているタイプです。
一見、普通自転車の操作と同様に見えますが、操作は全く違います。通常の自転車は左右にハンドルを回しますが、このタイプは左右にハンドルを振ります。右へ行くには左へハンドルを振り、左へ行くには右へハンドルを振るというようにある程度慣れが必要です。
USSアンダーシートステアリング
アンダーシートステアリングは、肩幅程度の幅広のハンドルが、腰の左右にグリップが来るような形で座席の下部に配置されているローレーサーによく使われるタイプです。
ハンドル操作は見た目に反して意外としやすく、普通自転車のようにハンドルを動かして操舵することができます。また腰の横というUSSのハンドル配置によって前方に車体パーツが来ることがなく、リカンベントらしい開放感と疾走感が得られます。
オープンコックピットハンドル
コックピットという大袈裟な名前の付いたタイプですが、肩幅ぐらいの大きなハンドルをバイクのチョッパーハンドルのように握る形で取り付けられています。
1969年のアメリカ映画「イージーライダー」のチョッパーバイクそのものの形をしたリカンベントなども販売されていて、オールドファンにとっては、長いハンドルを持って座席に跨り、愛好家仲間と一緒に悠々と風を切って走るのが人気のようです。
操作はいたって簡単で、OSSやUSSよりも格段に操作しやすくなっています。さらに腕をのばしてハンドルを掴んでいるので、腕を引いて体を起こすことも可能で、そうすることで足を地面につけることもでき、他のタイプにはない利点といえます。
リカンベントの価格はどれくらい
基本的な価格は通常の自転車に比べてかなり高い価格です。生産台数が限られており愛用者の絶対数そのものが少ないこともあり、どうしても高めの価格になっています。
安い価格でも10万円前後から、高い価格になると60万前後から90万前後と軽自動車並みの価格になります。移動手段として活用されることは少なく、余暇の趣味の一環として愛用されているため一部のマニアックな方に向けた価格設定といえます。
リカンベントの購入方法
市販されているものは外国製になるため、購入する際は直接海外メーカーから取り寄せることになります。主にアメリカ、カナダ製の北米とヨーロッパ製が中心です。
通常、欧米製は高い価格のものが多く取り寄せ料金も合わせるとかなりの価格になります。近年は台湾製も出回っており性能やデザイン面でも遜色ない上に、価格的には比較的低価格の商品があるので、初めてリカンベントを購入しようという方にはおすすめです。
ネットショップやオークションサイト
ネットショップ上にはリカンベントの専門店などもあり、そちらで購入することもできます。ただし商品引渡しの際は、事前に代金振込みか代引き決済がほとんどです。
出来るだけ実績や信頼のおけるサイトを利用されることをおすすめします。通信販売法の表記というページが必ずあるので、そこを開いて詳細な取引内容、返品の場合や免責事項、プライバシーポリシーなどをしっかりと読んだ上で購入するようにしましょう。
もうひとつあるのは、オークションサイトで出品される場合があるので、そちらで購入するのもおすすめです。中には乗ってみたものの扱いづらくてすぐに出品される場合もあり、新品同様のリカンベントが安い価格で購入できるケースもあります。
リカンベントの通販会社NiKIRIN
NiKIRINは、リカンベントの通信販売専門会社です。リカンベントのことなら何でも相談でき、豊富なラインナップの中からぴったりの商品を良心的な価格で選べます。
注文方法は、NiKIRINサイトのメールフォームから問い合わせ又は注文の後、メール及び直接来社の後に注文確定となります。しっかりとした商品説明と操作方法、販売価格など、丁寧な対応で安心して購入することができるのでおすすめです。
なお電話での問い合わせ及び注文は不可で、あくまでもNiKIRINサイトの専用フォームからの問い合わせ及び注文のみとなっています。くれぐれもお間違いのないよう。
住所 | 埼玉県草加市弁天2丁目21-8 |
電話番号 | 048-932-4721 |
ドイツ発おすすめのリカンベント専門メーカー
HPVelotechnik社は、ドイツ発リカンベント専門の新興メーカーです。職人マイスターの国らしく確かな技術に裏付けされたおすすめのメーカーです。
ハイレーサーからミッドレーサー、ローレーサー、トライクに至るまで、新興のリカンベント専門メーカーらしく新しいデザインへの試みが成されたラインナップが揃っています。日本でもサイクル専門ショップなどで取り扱っています。
リカンベントに乗ってのんびりと出掛けよう
リカンベントの良さは、確かに空気抵抗が少なく速く走れる点が魅力のひとつです。しかし本来はスピードを競うのではなく、むしろゆっくりと周囲の景色を楽しみながらのんびり走るのに適した乗り物といえます。たまに踏み込むとスピードが出て風を切って爽快感が味わえる、そしてまたのんびりと走る。リカンベントはそんな魅力ある乗り物です。
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