現在のメキシコ国旗は12代目
シンプルな日本の国旗とは違い、デザイン性のあふれている国旗「メキシコ」。メキシコの国旗は独立以降少しずつデザインが変わっており、その時の歴史が一目でわかります。
今回はそんなメキシコの国旗について詳しくご紹介します。メキシコの国旗の意味はもちろん、辿ってきた歴史や由来、そして真ん中に描かれている鳥の意味もお伝えしていくのでぜひ参考にしてみてください。
メキシコの国旗の意味
緑・白・赤のカラーで描かれているメキシコの国旗。国旗の真ん中には国の鳥である鷲の紋章を配置しており、それぞれ意味があります。メキシコの国旗の意味を知ることで、メキシコの歴史も分かっていきます。
カラーの意味、そして真ん中に描かれている鳥の意味はそれぞれ違うので事前に目を通しておくのがおすすめです。メキシコの願いを込めて描かれたデザインでもあるので、メキシコ旅行の前に知っておきましょう。
色の意味
まず、メキシコの国旗で目立つのは緑・白・赤のカラーになります。それぞれのカラーには意味があり、まず緑色の意味は「民族の運命における国民の希望」で、メキシコや国民の独立や希望を意味しています。
真ん中の白色の意味は「カトリックや宗教的な純粋さ」で、メキシコは全体の80%がカトリック教会とかなりの人数を占めています。世界で2番目に多く、メキシコの歴史にも欠かせない宗教団体です。
最後の赤色の意味は「国に殉じた愛国者の血」で、民族の統一を象徴していると言われています。かつて戦争や独立の際にメキシコのために血を流した人々を敬愛している意味もあるとのこと。
真ん中の鳥(国章)の意味
メキシコの国旗といえば、真ん中に描かれている鳥の絵が印象的です。鳥は鷲で、他にもサボテンや蛇が描かれています。この鳥の絵はアステカの首都である「テノチティトラン」を意味していると言われています。
真ん中の蛇の意味は「大地の可能性」、鷲の意味は「太陽の力」、サボテンの意味は「メキシコの自然環境」を表しています。アステカ神話にも由来している国章なので、メキシコらしいデザインとなっています。
真ん中の鳥の絵は湖の中央の岩に生えるサボテン、そこに蛇をくわえた鷲がとまっています。真ん中のデザインはとても印象に残り、他の国の国旗にはない独特のデザインなので、覚えやすいとも。
メキシコの国旗の由来
メキシコの国旗には歴史にちなんで由来がきちんとあります。メキシコの歴史に欠かせない瞬間を国旗のデザインに入れているので、メキシコへ初めて訪れる方は目を通しておくのがおすすめです。
メキシコの国旗は由来を知ることでよりデザインの意味がわかるので、歴史を知るためにも頭に入れておくのがおすすめ。現在、12代目である国旗ですがきちんとメキシコの由来を残しています。
メキシコはかつてテノチティトランと呼ばれていた
メキシコはかつて、テノチティトランと呼ばれていました。かつての首都であるテノチティトランはアステカ文明やマヤ文明が栄えた場所としても有名で、現在の首都メキシコシティに位置していると言われています。
首都メキシコシティは世界最大級の都市として観光客からも人気が高く、今では約2,000万人の人々が暮らしています。かつてはアステカ帝国の首都として栄えており、現在同様多くの人々が行き交っていたと言われています。
テノチティトランは16世紀ころ、スペイン人のコルテスにより征服され滅亡しました。この時、テノチティトランの街中は徹底的に破壊されていったので今ではほとんど形跡が残されていません。
アステカ建国の伝説が由来
メキシコの国旗の由来は、アステカ建国の伝説が由来していると言われています。アステカ建国は14世紀から16世紀ころに栄えたアステカ王国の伝説で、その中でも首都テノチティトランは神託により建設。
現在の国旗の由来となっている真ん中の鳥の絵は、この神託に基づいてデザインされました。その神託とは「蛇をくわえた鷲がサボテンにとまっている地に新しい都を築け」の言葉で、国旗の鳥の絵のまんまです。
この神託により、メキシコのテスココ湖にある沼沢地がその場所だと判断しました。当時では驚くほど巨大な沼を干拓していき、国旗の由来である首都テノチティトランを築いたと言われています。
メキシコの国旗
メキシコの国旗は先ほども紹介した通り、メキシコの歴史を辿っていることでも知られています。メキシコの歴史の通りにデザインを少しずつ変えているので、今では12代目の国旗として数多くあります。
まるで間違い探しのような違いしかありませんが、ちょっとずつ変更しているデザインはメキシコならでは。メキシコの国旗は独立時代まで遡るので、デザインと合わせて歴史も確認していきましょう。
メキシコ独立戦争時
最初に国旗が作られたのは、メキシコの独立時代。当時の国旗にはメキシコ独立運動における初期の指導者「ミゲル・イダルゴ」が描かれており、処刑されましたが今でも「メキシコ独立の父」として親しまれています。
ミゲル・イダルゴは当時、ドローレス・イダルゴの司祭をしていました。その際、メキシコの先住民や労働者達の生活改善に力を入れて、農民の暮らしと向き合う司祭として知られています。
この時、世界ではスペイン独立戦争が勃発していました。そのため、中南米各地では植民地の解放の機運が始まっており、世界が動き始めた歴史でもあります。かなり混乱している中、農民に危機が迫ります。
当時のメキシコはグアナフアト州からケレタロ州にかけて干ばつが目立っていました。干ばつで農民たちによる飢饉が広がっていき、主食のトウモロコシの値段が高騰。人々は苦しんだ生活をしていました。
その状況を変えなければとイダルゴは社会的抗議を意識し始めます。その計画がメキシコ独立革命の発端となり、今のメキシコがある歴史に欠かせない出来事として今でも語り継がれています。
イダルゴは農民に対する苦しみを解消する要求をいくつも挙げていきます。まずは奴隷制の廃止、そして頭税の廃止、農民の土地の返還など人々の苦しみを少しずつ改善させていきます。そのため、今でも崇められている存在です。
メキシコ第一帝政時代
1822年、メキシコはアグスティン1世による政治「メキシコ第一帝政時代」が始まります。こうして君主世が始まっていきますが、議会が政策を厳しく批判し始めたためうまくいかなくなってしまいます。
5月に始まった君主世ですが、わずか5カ月後、10月には皇帝は議会を解散させます。短期間で議会を解散させたこの出来事はメキシコに住む人々に衝撃が走り、解散がきっかけでメキシコ国内で内乱が起き始めます。
その解散に激怒したのが「サンタ・アナ」です。サンタ・アナはイトゥルビデに対して反旗を翻し、最終的には亡命させます。わずか8カ月のメキシコ第一帝政時代ですが、国旗の真ん中には今の鳥の絵と似たデザインがあります。
共和制時代
1823年から始まった共和制時代では、連邦共和制の憲法を廃止しました。そのため、メキシコは中央集権の時期に入り1836年にテキサス共和国が独立したことでも有名です。
現在でいうアメリカのテキサス州周辺が分離して独立し、メキシコに大ダメージを及ぼします。当時のメキシコはテキサス奪還が狙いでしたが、国内情勢が不安定だったのでアメリカに強く出れなかったのも原因です。
テキサス共和国が独立したことで1846年には米墨戦争が起こります。ただしその出来事がきっかけで同じ年には前憲法が復活し、かつてのメキシコ合衆国に戻ったともいわれています。
メキシコ第二帝政時代
メキシコ第二帝政時代の国旗は真ん中だけでなく、国旗の至るところにデザインが施されたカラフルなものになっています。この時、メキシコ議会はナポレオン三世の支持を得て、メキシコ第二帝政時代を樹立させていきます。
マクシミリアンを支持する保守派、ベニート・フアレス率いる自由主義者との間で幾度もなく政争が行われたことでも有名です。国旗に描かれてはいませんが、国の中で分立していた時期でもあります。
幾度となる政争でしたが、1867年にはマクシミリアンは廃位されます。自由主義者「ベニート・フアレス」の命令によって処刑されました。
ディアス独裁政権時代
メキシコ第二帝政時代でマクシミリアンを処刑した「ベニートフアレス」が大統領に就任します。ですが、このベニートフアレスは不正を繰り返して大統領を続けており、それに気づいた「ディアス」が対立します。
ですが、1872年には対立を続けていたベニートフアレスが急死して、1876年にはディアスのクーデターによってトップのいない政権を倒します。その後、ディアスは正式に選挙を受けて大統領へと就任。
ですが、そのディアスでさえも憲法を改正して約30年間大統領を続けていきます。30年以上にわたる独裁権力を維持はディアス独裁政権時代として国旗にも表れています。
メキシコ革命時代
1916年、これまでディアス独裁政権を受けていたメキシコの歴史がついに動き始めます。この時ディアス独裁政権を倒したラテンアメリカ最初の民主主義革命がはじまり、1917年に共和制憲法が成立し革命は終わりになります。
そして、その後1920年からは民族主義的な文化運動が盛んに行われるようになりました。この時は壁画運動が中心となっており、今でも有名なリベラ・オロスコ・シケイロスの画家が注目されていきます。
現在のメキシコ芸術が完成した歴史でもあり、壁画によって国民の民族的自覚が芽生えたとも言われています。メキシコの歴史や自然をわかりやすく絵にしており、今でも見られる壁画が多いです。
国旗の日に現在の国旗に
現在見られるメキシコの国旗は、1940年の国旗の日に設定されたと言われています。当時の大統領「グスタボ・ディアス・オルダス」が決めた国旗になり、現在でも変わらずに使われています。
1940年2月24日の国旗の日からデザインが変わらず国旗を使用しており、国民のシンボルとして愛され続けています。メキシコでは長い歴史の中で幾度となく国旗が変わっている珍しい国でもあります。
メキシコの国旗は細かく見ないと変わった部分がわかりづらいですが、色合いやデザインには意味がぎっしりと詰め込まれています。国民も納得のいく国旗なので、シンボルとして輝いています。
メキシコとイタリアの国旗の違い
世界的な国旗を見てみると、メキシコとよく似ている国旗が「イタリア」。よくメキシコの国旗とイタリアの国旗を間違えている方も多いですが、よく見ると全く違うデザインなのがわかります。
色こそ同じカラーを使用している国旗なので、今一度イタリアとメキシコの国旗の違いを確認しておくのがおすすめです。イタリアの国旗は色の意味も違うので、合わせてチェックしておきましょう。
メキシコの方が色が濃い
メキシコの国旗とイタリアの国旗は、遠くから見るとまったく同じ色に見えます。ですが、実際は緑色・赤色の部分はイタリアの国旗よりも濃く作られています。イタリアのほうが淡い色合いになっています。
イタリア国旗の色の意味は緑色が「自由」、白色が「平等」、赤色が「友愛」を示しています。その点もメキシコの国旗との違いになっており、真ん中には国章も何も描かれていません。
よく見ないと分からない違いではありますが、メキシコの国旗とイタリアの国旗が混ざってしまっている人は1度目で見て確認しておくのがおすすめです。イタリアの国旗はイタリア統一運動のシンボルとなった経緯も。
国旗の縦横比が違う
メキシコ国旗とイタリアの国旗の違いは色合いだけではありません。国旗のカラーとなっている部分の縦横の比が異なっています。メキシコの国旗のほうがイタリアの国旗よりも細長く作られています。
イタリアの国旗は縦横比が2:3、メキシコの国旗の国旗は4:7の縦横の比が指定されています。これも色同様によく見ないと分からない違いではありますが、白色の部分を見比べることで違いがよくわかります。
イタリアに関しては文化も、経済も、食べ物も各地で違うので、3色にすることで国を1つにまとめる目的があったとも言われています。国によって思いが違うので、しっかりと国旗の違いを把握しておきましょう。
メキシコの国旗はメキシコの歴史が詰まっている
現在、12代目であるメキシコの国旗はメキシコの歴史が詰まったデザインとなっています。メキシコの歴史は長きにわたり戦争や政争を繰り返してきましたが、現在では国民も愛する国旗の下で政治が行われています。
メキシコの歴史や文化を物語っている国旗は、メキシコ国内に掲げられている場所がたくさんあります。メキシコの国旗を見たい方、そして意味を知りたい方はぜひこの記事を参考にしてみてください。
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