音楽好きにはたまらないアポロシアター!
1860年代にダンスホールとして設立され、様々な変革の後1934年に黒人エンターテイナー専用のステージとしてニューヨークで唯一の劇場となったアポロシアターは、以来アマチュアの登竜門として「アマチュアナイト」を開催して来ました。今では人種の規制なく出演が可能なアマチュアナイト。見るも楽し、出演するも楽し、です。
アポロシアター「アマチュアナイト」のシステム
まずは予選突破
アマチュアナイトが「アマチュア」の大会であるからといって誰でも出場できるわけではありません。まずは予選を通らなければなりません。毎週水曜日に行われる本選の為に実際にアポロシアターでの予選を受ける事になります。歌やダンス、パフォーマンスなどカテゴリーが沢山ありますから、自分のジャンルをしっかり準備しましょう。
予選を通過すると
「おめでとうございます」見事予選を通過したあなたには証明書が発行されます。出演カテゴリー、出演日、出演順などの確認をして当日に備えて下さい。毎回100組以上の挑戦者が予選会に来ます。この時点で友人や家族に自慢しても良いレベルです。ちなみにオーディションは並んだ順ですから、前日から並んでもオーケイです。
開催日はアポロシアターの掲示板か公式ホームページで
出るのかな?観るのかな?
アマチュアナイトが開催されるのは毎週水曜日の夜と決まっていますが、予選の日時は決まっていません。ご近所に住まわれておられるのであればちょくちょく地下鉄などでアポロシアターに行ってみて下さい。予選開催情報は必ず張り出されています。ただし最近は治安が良くなったとはいえニューヨークのハーレム地区なのでお気を付けて。
Amateur Night @ApolloTheater 8/16! Find out who makes it to the next round! Download the #ExperienceHarlem app for more fantastic events! pic.twitter.com/2usBs0zaqr
— experience: harlem (@xperienceharlem) August 15, 2017
ニューヨークに住んでいない、ないしはニューヨークに住んではいるがハーレムにはちょっと、という方は公式ホームページで日時の情報確認をして下さい。中には予選免除のパフォーマーなどもいるようですが、それは大概がプロ、半プロの方達です。別枠で「ゲスト」の出演もあります。
いざアポロシアターアマチュアナイト!
いよいよ本番!
アマチュアナイト出演が決まり自分の番が回ってきたら、まずは舞台袖(日本の舞台で言う下手側)にある「希望の木(Tree of Hope)」が目に入ると思います。これはその昔、7番街の131丁目と132丁目の間に立っていた大木の切株です。1934年の道路拡張整備の時に切られたものをアポロシアターがその一部を譲り受けた物です。
お願いスリスリ
切り倒される前、黒人ミュージシャンやダンサーが路上パフォーマンスをする時この大木の木陰でパフォーマンスを繰り広げたそうです。そこ出身の有名パフォーマーも数多く生まれました。そのためこの木の切り株を「希望の木」と呼び、出演者は必ずスリスリしてから舞台に出ます。皆さんもお忘れなきよう。見どころの一つです。
アポロシアターで持ちネタ披露
気合を入れて
舞台に上がったら存分に暴れて下さい。とにかく楽しませるのがパフォーマーの務めです。お客さんはブーイングをしたくてしたくて溜まらないのですから。ブーイングがあるレベルを超えると「強制退場」になります。パフォーマンスによっては「以降6か月間出入り禁止」などの措置がとられることもあります。
最近ではアプリで投票も
見事上位(おおむね3位まで)入賞を果たすと月一開催の「ショーオフ」に出演できます。そこで高評価を得ると3か月に一度開催される「トップ・ドッグ」の出場権が与えられます。さらに勝ち抜くと毎年11月に開催される「スーパー・トップ・ドッグ」で年間チャンピオンを争う事ができます。判定はお客さんの拍手の量とアプリ投票です。
子供には優しく
たくさんの見どころがあるアマチュアナイトですが、観客側には幾つかのルールが存在します。前述した「ゲスト」と「子供」にはブーイングは無しの方向で、というのがそれ。ゲストはアポロシアター側から呼んでいるので当然ですが、5歳から15歳の子供部門でもブーイングは禁止です。出場するなら15歳までに一度経験しておきたいですね。
アポロシアター出身のアーチスト
あのサッチモも
アポロシアター入口の地面にはアポロシアター出身アーチスト達のネームプレートが埋め込まれています。ニューオリンズジャズの巨匠サッチモことルイ・アームストロングのネーム・プレートは絶対に外してはいけない見どころの一つだと思います。
マイケルジャクソンは単独で
2009年6月。突然この世を去った天才パフォーマー、マイケルジャクソン。彼もまたアポロシアターとは浅からぬ縁を持っていました。デトロイトのモータウンレコードから世界に飛び出した天才も、実は9歳の時にニューヨークのアポロシアターデビューをしています。
1st prize Apollo Theater's Amateur Night. Look at that sweet face of #MichaelJackson pic.twitter.com/bSYd1uOv10
— MJJJusticeProject (@MJJJusticePrjct) August 27, 2016
5歳の時に兄たちがやっていたコーラスグループに加入し、「ジャクソン5」として活動を始めたマイケルジャクソンらは1967年にハーレムにやってきます。目的はアマチュアナイト出演。ここでパフォーマンスを成功させた彼らはデトロイトへ向かいます。ただしプレートに「jackson5」のネームはありません。
MJ fam in NYC June 25-.6pm EST Apollo Theatre Yrly tribute to Michael Jackson- For his fans, who love him more :heart: pic.twitter.com/PM8X45LpGv
— MJJJusticeProject (@MJJJusticePrjct) June 25, 2015
蛇足ですが、アマチュアナイトを経て大きく羽ばたいたマイケルジャクソンがアポロシアターに戻ってきたのは2002年のことです。彼がアポロシアターでパフォーマンスを行った回数は多くはありません。しかし、彼の死後たびたび追悼集会が行われていることから、在りし日の彼のニューヨークハーレムでの人気が窺われます。
巨匠たちの夢のあと
見どころの多いアポロシアター周辺ですが、埋め込まれているネームプレートの撮影だけを目的に訪れる観光客も少なくありません。早逝したアーチストや天寿を全うしたアーチスト、いずれも一時代を築いた大物ばかりです。その並び方などに含蓄を見出すのも一つの見どころかもしれません。
アポロシアターでアマチュアナイト観戦
約20ドルから40ドル
:microphone: Amateur Night At The Apollo, Aug 30, Buy a ticket: :ticket: → https://t.co/d58eYjeEX9 #Amateur Night At The Apollo https://t.co/8was1lNVZX
— NYC concerts (@NewYorkConcert) August 28, 2017
観戦するのにはチケットの購入が必要です。前もってアポロシアターオフィス:電話番号「(800)-745-3000」に電話をして予約を入れる方法と、「チケットマスター」というインターネット事前予約をしてくれる会社にアクセスしネットでチケット購入をする方法と大体二通りの方法がチケット入手のメインになります。
売り切れる事もあります
チケットマスターでのチケット発券は手数料が多少かかりますが、空席照会をしてくれるうえに席の指定までさせてくれるのでとても便利です。後は直接チケット売り場に買いに行く方法もありますが、「TOP DOG」などのイベントが重なる日ですと売り切れも考えられます。ニューヨークのハーレム近くに住んでいない限り予約がベストです。
アポロシアターの意外な歴史
白人の進出は意外に早い
#MusicHistory 1957 #BuddyHolly & the Crickets became the first white band to play Harlem's famed @ApolloTheater pic.twitter.com/qPO3kZ26py
— Innocent Words Mag (@IWMag) August 16, 2017
アフリカン・アメリカン(アフリカ系黒人)のための劇場としてスタートしたアポロシアターですが、白人のアーチストの登場は意外に早く、1957年に「バディ・ホリー&クリケッツ」が白人バンドとして初めてハーレムのアポロシアターに登場しました。演奏自体は好評だったのですが、この出演にはちょっとした裏がありました。
黒人と間違われて
August 16, 1957…The Crickets began a six-night engagement at Harlem's Apollo Theater, the first white rock 'n' roll act to play there... pic.twitter.com/mtyY4t0rqi
— Psychedelic Jukebox (@60sPsychJukebox) August 16, 2017
実はこの頃、アポロシアター側はまだ白人のアーチストを呼ぶ気はありませんでした。しかしプロモーターがクリケッツの歌声を聴いて勝手に黒人だと勘違いしてオファーを出してしまったのです。ハーレムに到着した彼らを見てプロモーターは焦りましたが時すでに遅し。観客もとまどったそうですが、演奏は充分に受け入れられたそうです。
アマチュアナイトの日本人出場者
平井堅はゲスト枠
最近アマチュアナイトでの日本人の躍進が目立ちますが、そのほとんどがダンスやスタンドアップコメディです。歌手やアーチストとしてはゲスト出演が多く、平井堅、坂本龍一、ナオト・インティライミなど多数のアーチストが日本を代表して出演しています。この方たちには当然「ブーイングは無しルール」が適用されます。
最近ではお笑い芸人さんも
日本のソロダンスパフォーマーやダンスユニットなどが大活躍しているアポロシアターアマチュアナイトですが、過去には嘉門達夫(強制終了の後6か月間の出入り禁止)や相撲パフォーマーのあかつなどが挑戦しています。最近では「ビッグスモールン」の二人組のパフォーマンスがハーレムで話題になりました。日本人の活躍も見どころですね。
アポロシアターでの日本人の評価は高い!
見どころ一杯のアマチュアナイト
日本人でアマチュアナイトに出場する方はかなり増えていますが、日本人パフォーマーの評価はおおむね高いようです。画像の蝦名健一(EBIKEN)にいたってはダンスチーム「BiTriP」として年間優勝した後、ソロダンス部門で7回連続優勝をとげています。日本人パフォーマーの次のスター発掘も見どころの一つだと思います。
アメリカンドリームに挑戦してみませんか?
スーパートップドッグ出場で年間チャンピオンに輝けば1万ドル(約110万円)の賞金が手に入ります。なんとキッズ部門でも2000ドルの賞金が出ます。観光目的のニューヨークハーレムも良いですが、自分が主役となる渡米も夢があって良いと思います。渡米の際はこの記事を思い出して頂ければ幸いです。
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