大船観音寺に行こう！御朱印やアクセス情報に見どころもご紹介！

大船駅の目の前の小高い丘から顔をのぞかせる大きな白い観音様は、大船観音寺の白衣観音、通称「大船観音」です。優しく慈悲深そうなその姿は大船のシンボルとして地域の人々に親しまれています。寺院は国外からも観光客がやってくるスポットで、観音様ゆかりのゆるキャラや最中もあります。大船観音寺へのアクセスや気になるご利益などをご紹介します。

大船観音がある「大船観音寺」は、鎌倉市の大船の曹洞宗の寺院です。寺院として認証を受けたのは1981年ですので、かなり新しい寺院です。実は寺院になるより前の1960年に観音像が出来上がっており、しばらくは財団法人「大船観音協会」の名によって観音像が維持管理されていました。

「大船観音」は1929年に起工式が行われて建設が始まりましたが、世界恐慌や度重なる戦争で中断、再び着工されたのは1957年でした。当初は奈良の大仏の2倍の高さを持つ立像の計画でしたが、地盤が強固でなく計画を断念、現在のような胸から上だけの胸像になりました。座像でないのは、地形との調和を考えた結果だそうです。

「大船観音」は高さ25メートル、幅19メートル、重さ1915トンのコンクリ―ト造りです。上半身だけの大きさなので、実際目にするととても巨大に感じます。離れて見るとつるつるしているようですが、実際表面はざらざらしています。下半身が地面に埋まっていると思っている人もいるようですが、事実ではありません。

「大船観音寺」へのアクセスは、大船駅西口から徒歩5分です。大船駅は東海道本線、横須賀線、根岸線、湘南モノレールが乗り入れており、各方面からのアクセスが便利です。車を利用する場合は国道1号線、影取町交差点から7分(4キロメートル弱)ですが、駐車場はないので寺院では公共交通機関でのアクセスを推奨しています。

「大船観音寺」の拝観料は高校生以上300円、小中学生100円、団体は20名以上で200円になっています（2017年11月)。駅から急な坂を上ったところに入口があるので、そこで支払いをします。拝観時間は2月から10月が9:00から17:00、11月から1月は30分短くなって9:00から16:30です。

住所:神奈川県鎌倉市岡本1-5-3 電話番号:0467-43-1561

「大船観音寺」の御朱印は寺務所でお願いします。番号札をもらって待つ場合もあります。御朱印の真ん中には大船観音の正式名称である「白衣観音」と書かれ、右上から左下にかけて朱印が3か所押された正統派の御朱印です。御朱印はこの1種のみで、行事などによるバリエーションはないようです。

「大船観音寺」にはオリジナルの御朱印帳があります。観音様と桜花が表紙に描かれたデザインは同じですが、色は紺、黒、紫の3通りあり、どれもシックで女性好みです。わざわざこの御朱印帳を買いに大船観音寺を訪れる人もいるほどです。値段は1200円でビニールカバーも付いています。観音像の微笑みでご利益が高まりそうな御朱印帳です。

「大船観音」は背面から胎内に入ることができます。コンクリートの壁や梁が少々意外な部屋の中には、大船観音が造られている時の写真や解説と共に、観音様の20分の1の大きさの像が祀られています。たくさんの卒塔婆も並べられています。正月三が日はここで新年の祈祷が行われるそうです。

「大船観音」の胎内には小さな木彫りの千体仏も納められています。これは太平洋戦争の犠牲者を供養するために彫刻愛好家や一般の人が彫ったもので、希望者のための講習会が開かれます。もう千体を超えましたが「千」というのは「多数」という意味で終わりはないそうです。

大船観音寺の慈光堂から境内へアクセスする途中に1体の地蔵尊がありますが、これが「子宝地蔵尊」です。ここの寺院には平和祈願や無病息災、子供の無事な成長を祈願する人がご利益を求めて参拝に来ますが、中でも多いのが子宝のご利益を期待する人たちです。その人たちは白衣観音だけでなく、この小さな地蔵尊にもお参りに来ます。

大船観音寺が近年とみに子宝のご利益があると評判になったのは、プロレスラーであるジャガー横田さんの逸話が広がったからです。彼女にはなかなか子供ができなかったのですが、ご主人がこの大船観音寺にお参りしてほどなく授かったとか。自然妊娠が難しい年齢だったこともあり、やはり大船観音のご利益なのではと感謝をしているそうです。

「大船観音寺」は平和を祈念する寺院でもあります。境内の一角に「原爆の火」という石の塔がありますが、この中には広島から運ばれてきた「原爆の火」が灯っています。これは原爆投下後、広島に住む叔父の安否を訪ねた男性がくずぶっていた残り火をカイロに移して持ち帰り、それ以後ずっと絶やさずに燃やし続けているものです。

「大船観音寺」には「原爆犠牲者慰霊碑」も建てられており、千羽鶴などが供えられています。9月には神奈川県民で原爆に被災した人たちを追悼する法要が行われ、「原爆の火」をキャンドルに灯して被爆者の慰霊をする「キャンドルナイト」のイベントを行い、2度と被爆者を作らないという強い思いを示しています。

「大船観音寺」では毎年節分の豆まきイベントが行われますが、日にちは2月1日で、普通より2日早くなっています。スポーツ選手や芸能人が来るこのイベントは地元の人たちも多く訪れる大人気行事で、満員になると入れなくなりますので、早めに出かけることが肝心です。観音像の印が押された袋に入った豆をゲットすれば無病息災のご利益が得られそうです。

「大船観音寺」ではブッダの誕生した4月8日、悟りを開いた12月8日、入滅した2月15日にそれぞれ法要のイベントを行っています。また、大みそかの12月31日には200人ほどが除夜の鐘をつく年内最後の法要が行われます。また、イベントではありませんが、7月10日に参拝すると大功徳があると言われています。

「大船観音寺」では月ごと、週ごとのイベントもあります。毎月18日は観音様との縁日で「茶湯会」が行われます。座禅、読経の後、禅の食事の作法に則った中食(ちゅうじき)を頂くイベントです。また、毎中日曜日は午前9時から2時間の「座禅会」があります。こちらは座禅の後に僧侶からの話を聞くイベントです。

2012年、大船観音像をモチーフにしたキャラクターが誕生しました。大船観音から生まれた妖精という設定の「のんちゃん」です。首に「の」の字のペンダントをした可愛い女の子のキャラクターで、名前の「のんちゃん」はもちろん観音(かんのん)からきています。フェイスブックで町内のお店を紹介したり、イベントに参加したり、大船の観光誘致のために活躍しています。

ゆるキャラ「のんちゃん」の好きな花は桜、特に玉縄桜。特技は舟を漕ぐこと、好きなことはザリガニ釣りと太極拳だそうです。なぜ、このような設定なのかは「大船観音寺」と関係があるのかも。ライバルは自由の女神、気になる存在は鎌倉の大仏、というのは微笑ましい設定です。そして「のんちゃん」の好物は最中(もなか)です。

大船観音寺の寺務所では、白衣観音をかたどった「大船観音最中」を購入することができます。なかなか忠実に観音像の形になっており、中は餡と求肥です。皮が香ばしく、餡も甘さ控えめで美味しいと評判の品です。色は白、ピンク、茶の3色でピンクには白餡が入っています。3個セットで値段は400円です。

「大船観音最中」を製造しているのは地元の和菓子店の「龍月」です。もちろん「龍月」の店頭でも「大船観音最中」を購入することができ、ばら売りにも対応してくれます。この最中は「かまくら推奨品」にも選ばれているそうなので、参拝の折には是非どうぞ。

住所:神奈川県鎌倉市大船1-15-17 電話番号:0467-46-3805

大きな姿で町を見つめる「大船観音」は信仰を集めていることはもちろん、ゆかりのゆるキャラやお菓子などで地域に根づき、親しまれている存在です。電車からその姿を見て気になっていた方は是非大船で下りて観音様にお参りしてみませんか。駅から近くてアクセスも便利です。大船観音寺への参拝は、ご利益もさることながら平和を祈念することにもつながります。