長野にある飯田線田本駅が秘境すぎた!
長野県泰阜村東部にある飯田線田本駅をご存知でしょうか。名前だけ聞けばどこにでもありそうな駅名ですが、実はこの飯田線田本駅、全国ローカル線秘境駅の中でも鉄道マニアから「この駅が凄い」と言われるほど知る人ぞ知る秘境駅だったのです。どんな点が凄いのか、利用者やアクセスなど、今回はこの飯田線の田本駅について紹介します。
田本駅がある飯田本線とは
田本駅を紹介する前に飯田本線について触れておきましょう。飯田線といえば愛知県豊橋市から長野県上伊那郡を結ぶ東海道本線豊橋及び中央本線辰野までの路線ことです。195kmの長距離路線で、豊川、鳳来寺、三信、伊那電気という四つの民鉄会社によって敷設されたことで、ローカル線としては珍しく95駅と駅数がたくさんあることで知られています。
飯田線は秘境駅の宝庫!
飯田線は駅周辺に民家が少ない駅が多く、秘境駅に巡り合いやすいローカル線です。中でも小和田駅、田本駅、金野駅の三つは利用者が少ないことから秘境駅として鉄道マニアの間で有名です。地元に精通した人でもなければ駅を発見することすらままならないからこそ、それを探索する鉄道マニアの心をくすぐってやまないのです。
田本駅は断崖絶壁にある秘境駅だった!
ではなぜその飯田線田本駅は秘境として名高いのでしょうか?実はこの田本駅、断崖絶壁にある駅なのです。ホームの背中にはコンクリートの壁がたちはだかり、線路下では天竜川を望む断崖絶壁となっています。崖にそのままホームを設置したような通常では考えられない駅構成が飯田線田本駅が秘境駅として名高い理由だったのです。
飯田線田本駅の歴史について
そんな田本駅の歴史を紐解いていきましょう。田本駅は1935年の昭和10年に三信鉄道の田本停留場として作られました。開業から8年後、三信鉄道が国有化されたことで飯田線の一部となり、国鉄がそれを引き継ぎます。それにより停留所から駅に昇格して現在の田本駅になったのです。
田本駅の駅構造について
田本駅はいわゆる単式ホームの駅です。一面一線の地上駅で、駅舎は無人駅なのでありません。とはいえ少ないとはいえ利用者もいますのでホームにはきちんと待合所が設置され、駅ノートには秘境駅に訪れた鉄道ファンや遠方はるばる訪れた利用者たちの書き込みを見ることができます。
田本駅は利用者が少ない
田本駅の一日の平均利用者は極めて低いことで知られています。2007年度から2013年度まで、平均一人、多くて二人が一日平均の乗車人員でした。ところが2014年に利用者が3人になると2015年には5人にまで増えました。これは近年ネットによる秘境駅ブームによって訪れる人が増えたことや秘境駅ツアーなどによる効果でしょう。
田本駅前や周辺はどうなってる?
田本駅の駅前は断崖絶壁となっています。訪れるには徒歩でホームまで足を運ぶしかありません。自動車やバイクといった徒歩以外の手段でアクセスすることは不可能です。人が徒歩で通れる程度の山道があり、県道から徒歩で行くことで田本駅までいくことができます。駅の周辺には吊り橋の竜田橋や民家、泰阜村立泰阜小学校があります。
長野の飯田線秘境駅田本駅のアクセスは
それでは飯田線田本駅までのアクセスです。田本駅までアクセスしたいのであれば電車でアクセスすれば解決です。とはいえ田本駅周辺の秘境度合いを楽しいみたいのならやはり徒歩で散策しながら訪れてみてはいかがでしょうか。電車で田本駅に訪れて下車するのもいいですが、ここは県道から田本駅まで徒歩でいくことをおすすめします。
長野の飯田線秘境駅田本駅のアクセスはややこしい!
とはいえ県道からアクセスしたくても、それらしい目印が何も見当たらないのでかなり迷うことでしょう。近くには「奈川商店」という地元で数少ないお店があり、そこを目的にアクセスする人が多いです。ちなみに田本駅周辺には自動販売機がありません。山道は疲れるので商店の自動販売機であらかじめ飲み物を買っておくのをおすすめします。
田本駅へのアクセスは木看板を目印に
通常アクセスの目印になる駅看板が設置されていますが田本駅のそれはどこにも設置されていません。したがって目印がないのです。誰かが作った手製の木造り看板をみかけることができますが、これが田本駅の案内板だとは最初誰も思わないでしょう。木造り看板の先を徒歩で進めば田本駅までアクセスできます。
田本駅のアクセスは商店と飲食店を頼りに
飯田方面へ進むと町に5つしかない飲食店「焼肉奈川」があり、そのお店の手前のガードレールに手製の田本駅の木看板が設置してあります。普通に走っていたらまず見逃すであろうこの看板ですが、田本駅まで行く大切な道案内板です。ここを徒歩で下っていくと、田本駅までの山道につながっていきます。
長野の秘境駅・田本駅まで徒歩で行ってみよう
田本駅までの山道を見つけたらそこから先は徒歩で進みましょう。一人通るのがやっとなあぜ道をひたすら上へ上へと歩かなくてはいけません。その勾配は高低差約200mもあり、軽い登山の気分が味わえるので、徒歩はおすすめです。地元の人でもめったに利用することのない秘境駅。田本駅は地元からも忘れ去られた利用者の少ない秘境駅なのです
長野の秘境駅・田本駅までの道のりとは
この駅前通りは道が非常に悪いので注意して進まなくてはいけません。道の中央にアスファルトが敷かれているのですが、苔が生えているので滑るのです。すぐ横をみれば断崖なので足を滑らせないようにしましょう。耳を澄ませば天竜川から飛び跳ねる魚の音を聞くことができます。
長野の秘境駅・田本駅の道のりはちょっと怖い!
しばらく歩くとフェンスのような鉄板が敷かれている桟橋を二か所見つけることができます。ここは少々渡るのに勇気がいるポイントです。秘境駅の田本駅までアクセスするにはこうした難関をクリアできるかどうかにかかっています。柵が設置されているのですが、落石の影響でところどころ損傷しているところが恐怖心を煽ってきます。
長野の秘境駅・田本駅へは徒歩約20分を目安に!
この道はつづら折りになっており、曲がるところが何か所かあります。 周辺は草木や昆虫やトカゲを見かけることができますが、蜂もいるので注意しましょう。 木々の隙間からは美しい天竜川の眺望と吊り橋の竜田橋を眼下に見下ろすことができます。県道の木看板からだいたい20分程度で田本駅までアクセスできるでしょう。
吊り橋の竜田橋
ちなみにこの吊り橋は駅前通りの分岐ルートから右に進むとアクセスできます。この吊り橋自体も美しい天竜川を見下ろせる秘境ポイントのひとつです。上流部東側には以前架かっていた橋台のようなものが見つけることができます。橋を渡るとJR飯田線田本駅と田本集落のルートを示す手製の青い案内板があります。
長野県下伊那郡泰阜村大畑から阿南町北上までつなぐこの吊り橋は、渡れば温田駅方面へ抜けることができます。この吊り橋の名前は竜田橋といって長さ105mで幅は約2.2m、1971年12月に現在の吊り橋になりました。この吊り橋は渡らなくても田本駅まで行く山道で何度も目にすることができるでしょう。
吊り橋というとゆらゆら揺れて大人でも怖いイメージがありますが、この吊り橋は何度も補修をされ頑丈に作られていますので安全面で心配はいりません。ただし、竜田橋を渡る前に小さな吊り橋を渡る必要があります。こちらは作りがやや雑な吊り橋なので、吊り橋嫌いな人にとっても少し冷や汗をかくかもしれません。
到達した田本駅はやっぱ秘境駅だった!
軽登山ともいえる歩道を登ってトンネルにつらなる階段を下りればそこは田本駅のホームです。何もないからこそ秘境駅、駅舎も駅員さんもいない無人駅があなたを出迎えてくれます。右手と左手は高くそびえるコンクリートの巨大な壁、天竜川を見下ろす断崖絶壁。そして前と後ろはトンネルによって挟まれています。
駅舎も改札も駅員もいない田本駅
しかし到着した田本駅はさすが秘境駅です。単式ホームの駅なので本当に何もありません。一面一線の地上駅で、無人駅なので切符売り場もありません。とはいえ利用者もいますのでホームにはきちんと待合所が設置され、駅ノートには秘境駅を楽しみに訪れた鉄道ファンや遠路はるばる訪れた利用者たちの書き込みを見ることができます。
切符はどうやって買うの?
素朴な疑問として駅舎も駅員も改札もない田本駅で切符をどうするのかわからない人も多いでしょう。田本駅から乗車する場合は乗車時に、もしくは降りる際に車掌さんにお金を払う仕組みとなっています。利用者が極端に少ないので無賃乗車をする人もいないので、こうした仕組みでも大丈夫というわけです。
長野の秘境駅・田本駅のここにおどろき!
待合室がポツンと佇んでいる以外に一見なんにもない秘境駅の田本駅。それが秘境駅だといわれればそれまでですが、そんな田本駅にも実は鉄道マニアを感心させるちょっとした驚きがあるようです。素人では見逃してしまいがちな田本駅の驚くところ、感心するところ、魅力についていくつか紹介します。
掃除が行き届いている
秘境駅と名高いこの駅は地元の人すら利用しない無人駅です。ですが意外なことに、さびれたような薄汚れた廃墟感はなく、実は駅自体綺麗に掃除が行き届いているのです。最近ではネットで秘境駅の情報がシェアされることで、訪れた利用者が不快な思いをしないように、駅関係者がきれいに掃除しているものと思われます。
点字ブロックがある
そして点字ブロックが路面にきちんと設置してあることに関心する鉄道マニアも多いです。通常の駅であれば当たり前のことですが、極端に利用者が少ない秘境駅ですらきちんと目の不自由な人へ配慮されているのが田本駅の評価が高い理由です。
ゴミ箱や灰皿がない
そしてこれは普通は置いてあるものですが、田本駅にはゴミ箱がありません。ゴミを出す理由となるキオスクや売店、自動販売機がないのでゴミが出ないのです。そもそも駅までゴミ回収業者が回収しにくることができませんので設置できないのです。当然ゴミ箱がないので灰皿もありません。人がいないからといってタバコのポイ捨てをしてはいけません。
でも警察官立寄所の札はある
なにもない田本駅でもきちんと警察官立寄所のお札は飾ってあります。本当かどうか疑わしいですが、実際警察官が田本駅に巡回にくる際は電車を利用して訪れているとのことです。とはいっても極端に利用客の少ない駅なので、酔っ払い同士の喧嘩もなければ迷惑な乗客はいません。仕事をする機会は稀でしょう。
秘境駅の定義ってそもそもなに?
田本駅は秘境駅と親しまれていますが、まず「秘境駅」の定義についてわからない人も多いでしょう。秘境駅という言葉を広めたのが秘境駅訪問家であり文字通り「秘境駅」という著書もある牛山隆信さんです。様々な秘境要素を満たした駅にたいして親しみを含めてそう呼ばれますが具体的どうすれば秘境駅と呼ばれるのでしょうか。そこをまとめてみました。
まずは駅全体の雰囲気が秘境駅と呼ばれるには重要な要素となっています。 駅舎や待合室のたたずまい、周囲の施設や自然の姿、見た目の雰囲気が、神秘的なものを感じさせるかどうかがポイントです。断崖絶壁に囲まれた田本駅が持つ雰囲気は、まさに秘境駅に相応しいたたずまいといっていいでしょう。
そして電車の停車が極めて少なく、そもそも駅自体にアプローチすることが困難であることも求められます。利用者が極端に少なければ少ないほど秘境駅の度合いは増します。田本駅では一日平均乗車数が1人か2人、多くても5人がいいところなので、この条件に一致した秘境駅というわけです。
そもそも駅自体に到着する手段があまりない駅ほど秘境駅としてのポイントが高くなります。歩道を歩くしか到達できない、未舗装の山道を歩かなくてはいけない、車やバイク到達できないといった場合はポイントが高いです。田本駅はそうした条件をすべて満たしているので、秘境駅としてのポイントが高いのです。
そしてスイッチバックや引き込み線、またはループや廃線跡といった鉄道マニアしかわからない鉄道遺産を有しているかもポイントです。田本駅も旧三信鉄道から引き継がれた駅なので、鉄道遺産度も多少なりとも貢献していることでしょう。この要素はどうやら2012年度のランキングから盛り込まれたようです。
そして単純に立地が秘境であることももちろんポイントです。秘境の定義は「世の中に知られてない神秘的な場所」を指す言葉です。人里離れた山奥に駅があったり、深い森林の中にポツンと存在していたり、周囲が断崖絶壁で覆われていたりするとポイントが高くなります。田本駅は立地の観点でも秘境駅と呼ばれるに相応しい理想的なスポットなのです。
田本駅は断崖絶壁に囲まれた神秘的なオススメスポット
いかがでしょうか。飯田本線にある田本駅は地元の人すら利用しない断崖絶壁に囲まれた秘境駅となっています。最寄り駅がこれほどアクセスが困難だと少し困りますが、旅先でちょっと足を運ぶのであれば、見て損をする場所ではないでしょう。もし飯田本線を利用する際は、田本駅で下車して周辺の秘境度合いを楽しんでみてはいかがでしょうか?
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