今年も深川八幡祭りがやってくる
気温が上がってくると、各地で夏の祭りの時期が近づいてきた感じがします。その中で江戸っ子が楽しみにしていた祭りの一つが深川八幡祭りです。そこで2018年の深川八幡祭りの日程や内容、またアクセスなどについて紹介します。2018年は深川八幡祭りを楽しみましょう。
深川八幡祭りとは
深川八幡祭りは、東京都江東区にある富岡八幡宮の祭礼です。富岡八幡宮は1627年、初代別当となった長盛法印が霊夢を感じ、八幡様をお祀りしたのがはじまりとされています。そして1642年に江戸幕府三代将軍の徳川家光の長男が世嗣となった祝賀のために行われたのが深川八幡祭りの始まりだそうです。
深川八幡祭りは江戸三大祭りの一つ
このように、深川八幡祭りは江戸時代以来の歴史を持つ祭りで、江戸三大祭りの一つに数えられていました。江戸三大祭りは、この深川八幡祭り(深川祭)のほか、5月に行われる千代田区の神田明神の祭礼「神田祭」、6月に行われる日枝神社の祭礼「山王祭」(日枝神社大祭)があげられます。
当時この三つの祭りは「神輿深川、山車神田、だだっ広いが山王様」と呼ばれていました。このことからわかるように、当時から深川八幡祭りの神輿は有名であり、1807年に起こった永代橋崩落は、この深川八幡祭りの祭礼見物の人があまりにも多く集まったためだとされているほどです。
深川八幡祭りの歴史
深川八幡祭りの歴史を簡単にひもといておきましょう。前述したように、深川八幡祭りが始まったのは1642年、当時の江戸幕府の将軍徳川家光が、長男の世継ぎの祝賀を行ったものです。この長男が後の四代将軍徳川家綱となります。以後、八幡宮ということで徳川将軍家の保護を受け、江戸時代を通じて隆盛を極めました。
また、1717年には有名な紀伊国屋文左衛門が深川八幡祭りのために総金張りの神輿三基を奉納し、さらには大火で焼失した富岡八幡宮の社殿建立に全財産を寄贈したという説も残ります。当時の紀伊国屋文左衛門は没落した後だったとされていますが、それでもそれだけの財力を持っていたということを示すものと言われています。
しかし、この時作られた神輿は、残念なことに1923年に起こった関東大震災で焼失してしまいました。そこで1930年に御鳳輦が新たにつくられました。現在ではこれが本祭りの際に使われています。また震災やその後の第二次世界大戦などを乗り越え、1948年には戦後初めての本祭りが行われ、復興を果たしました。
現在はたくさんの見どころがある夏を彩る祭りとして、多くの担ぎ手が参加し、また多くの観客が訪れています。また徳川幕府の保護を受けたことから、江戸幕府や皇居に関係する年には皇居前まで神輿を担ぐこともあるなど、今でも幕府の保護を受けた時代の名残をとどめています。
2018年の深川八幡祭りの日程は?
それでは、2018年の深川八幡祭りの日程について紹介しましょう。深川八幡祭りは例年、8月におこなわれているのですが、2018年の日程に関しては2018年5月段階で、まだきちんとした予定が出ていません。ただ、例年の予定から見て行くと、2018年は8月11日から8月15日という日程になりそうです。
2018年は御本社祭りの年に当たります。細かい日程の発表もまだ出ていませんが、二の宮神輿渡御というメインのイベントは2018年8月12日に行われる予定となっています。12日は朝から神輿渡御に関する祭礼などが行われ、最終日の15日は例祭祭典が行われる予定ですので、この2日間は午前中から行事がありますが、他の日は午後からの祭りとなるようです。
なお、深川八幡祭りでは、この神輿渡御などの祭礼の他にもさまざまなイベントが行われるほか、毎年屋台なども出ます。これらのイベントの内容や時間に関しては、祭りの時期が近づくと詳しい日程が発表されます。行ってみたいという方は、深川八幡祭りの公式サイトなどをチェックすることをおすすめします。
深川八幡祭りへのアクセス
それでは、深川八幡祭りへのアクセスについて紹介します。まずは富岡八幡宮へのアクセスから紹介していきましょう。富岡八幡宮の最寄駅は「門前仲町」駅です。特に深川八幡祭りの神輿渡御の日は毎年大規模な交通規制が敷かれますので、電車でのアクセスをおすすめします。
門前仲町駅は東京メトロ東西線、都営地下鉄大江戸線の駅です。東西線は東京都の中野から千葉県の西船橋駅までを結んでおり、遠方から来るなど新幹線から乗り換える場合は途中の大手町駅で乗り換えることができます。また、中野駅などで在来線からの乗り換えも可能です。隣の木場駅からもさほど遠くなく、徒歩12分ほどでアクセスできます。
新宿方面からアクセスする予定の場合は、都営地下鉄大江戸線を利用すると便利です。こちらでも下車するのは門前仲町駅で、駅から富岡八幡宮までは徒歩で6分ほどでアクセスできます。どちらのルートを使っても列車の本数も多いので、アクセスに関してはさほど心配はいらないでしょう。
ただ、深川八幡祭りに行くという場合、多くは12日に行われる一番の見どころである神輿渡御に「参加」するために行くことになります。そうなると当日の門前仲町駅周辺は激しい混雑となることが予想されます。なにしろ担ぎ手と観客を含めると毎年50万人以上の人が押し寄せるのですから、タイミングが悪いと身動きが取れない可能性もあるのです。
神輿渡御を見るだけでよいというのであれば、アクセスの範囲はもう少し広くなります。神輿渡御は富岡八幡宮を出発し、永代通りから大門通りを北上、清州橋通りを通って隅田川を渡って新川で休憩を取り、永代橋を渡って永代通りを戻ります。ですからこのルート沿いにいれば神輿渡御を見られるということになるのです。
このルート沿いで神輿渡御を見る場合の注意点は、神輿が通る時間にそのアクセス地点に確実に行くということです。次に述べますが、2018年の神輿渡御は基本的に神輿は一つです。また、途中トラックで移動する場所もあるという口コミもあります。2018年のルートが出たら、通過時間を確認し、余裕を持ってその場に行くように気をつけてください。
深川八幡祭りは年により祭りの内容が違う
ところで、2018年の日程を紹介したところで、2018年は御本社祭りの年にあたると述べました。実は深川八幡祭りは3年周期で祭りの内容が変わります。よくマスコミなどで報道される深川八幡祭りは「本祭り」の祭りで、2017年に行われました。
本祭りは氏子各町会の神輿などが大小120基繰り出し、先ほど紹介したルートで神輿渡御が行われます。神輿の数も多く、また担ぎ手などの参加者も多いので、深川八幡祭りのメインの年と言えます。1930年に作られた御鳳輦もこの本祭りの時にのみ神輿渡御に参加するのです。
では、2018年は何が行われるのかというと、「御本社祭り」と呼ばれる祭りが行われます。この御本社祭りでは二の宮と呼ばれる神輿を担いで、神輿渡御が行われます。2018年は8月12日にこの神輿渡御が行われる予定で、渡御のルートは本祭りとほぼ同じです。ただメインの神輿そのものは二の宮一基となります。
ちなみに2019年、つまり御本社祭りの翌年に行われるものは「蔭祭り」と呼ばれます。蔭祭りが始まったのは2001年からと新しく、どちらかというと次世代の深川八幡祭りを担っていく子供たちが中心になる祭りです。そのため神輿は子供神輿で、距離も永代橋周辺から富岡八幡宮までと短くなっています。本祭りの前祭りのような位置づけです。
深川八幡祭りの見どころ1:神輿
さて、深川八幡祭りの見どころというと、やはり神輿でしょう。先ほど2018年の御本社祭りについて「二の宮」という神輿が出ると述べました。実は深川八幡祭りでは、メインとなる神輿が二基あります。これは歴史のところで述べた、紀伊国屋文左衛門の神輿に関係あるのです。
先ほど述べたように、紀伊国屋文左衛門が作った三基の神輿は、関東大震災で焼失してしまいました。そこで1930年に御鳳輦を作った後、1991年に日本一の黄金大神輿が奉納されました。しかしあまりの大きさのために毎年担ぎ手を募って渡御するのは大変な状況でもあります。
そのために作られたのが御本社祭りで担ぐ二の宮なのです。この二の宮が造られたのは1997年のことで、これ以来、本祭りでは日本一の黄金大神輿と鳳輦が、御本社祭りでは二の宮神輿が渡御することになっています。次の本祭りは2020年の予定なので、また盛り上がることが期待されます。
深川八幡祭りの見どころ2:水掛け
しかし、深川八幡祭りの見どころは、神輿だけではありません。実は深川八幡祭りが最も盛り上がるのは「水掛け」です。深川八幡祭りを別名「水掛け祭り」と呼ぶとのことで、江戸時代に祭りが始まって以来、この水掛けが深川八幡祭りの一番の見どころといってもいいかもしれません。
深川八幡祭りは神田祭や三王祭と違い、8月という真夏に行われる日程になっています。そのため、暑さよけのために担ぎ手などに水を掛けるという風習が広まったと考えられています。水掛けが行われるのは永代橋を渡り切ったあたりからになるので、もし水掛けを見たければ、この近くにアクセスするとよいでしょう。
豪快な掛け声とともに神輿が練り歩き、その担ぎ手たちに思いきり水を掛けるという光景は、他のさまざまな祭りにはない勇壮さです。中にはバケツや消火栓の水を掛けるという人もいるのだそうです。もちろん、担ぎ手だけではなく、見物の側も水がかかってしまうのですが、せっかくですので神輿渡御の日程を確認し、楽しみましょう。
深川八幡祭りの見どころ3:イベント
深川八幡祭りは神輿渡御がメインイベントではあるのですが、その他にもさまざまなイベントが行われる予定です。まだ2018年度のイベントの日程に関しては正式発表になっていないのですが、例年富岡八幡宮で行われるので、2018年もイベントは富岡八幡宮と考えてよいでしょう。
イベントの見どころですが、踊りや音楽、武道の演武などがあります。音楽は神社らしく、琴、三味線などの和楽器もありますが、マリンバやガムラン、ジャズの演奏などもあり、バラエティに富んだ楽器の演奏を楽しむことができます。またお茶席などもしつらえられ、お茶を楽しむこともできるようです。
深川八幡祭りには屋台は出る?
お祭りといえばやはり外せない楽しみなのが屋台巡りです。深川八幡祭りでも屋台巡りを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。深川八幡祭りの場合は富岡八幡宮のほか数か所に屋台がまとまって出るようなので、そのあたりを中心に露店巡りをしてみてはいかがでしょうか。
屋台が出るのは深川八幡宮、深川不動堂の境内から参道、そしてその間の通り、それから深川公園と永代通りの深川八幡宮付近のあたりとなります。広い範囲に屋台が出るので、屋台の数も多く、ゆっくりと見て歩くのにおすすめです。中でも金土日の週末には参拝客が増えることもあって、屋台の数も多くなる傾向にあります。
ですから、屋台巡りを楽しみたいという方は、人通りが多くはなりますが、週末の土日あたりを狙って深川八幡祭りに行くと、イベントも屋台も楽しめると推測されます。日程を決める際にはこのあたりのことも考慮にいれると見どころがたくさん楽しめそうです。
深川八幡祭りに参加できる?
こんなに楽しい祭りなら、ぜひとも参加してみたいと考える方も多いのではないでしょうか。神輿の担ぎ手は無理でも、一緒に歩くだけでもと願う方もいるかもしれません。残念ながら神輿の担ぎ手として深川八幡祭りに参加することはできないのですが、違った形で「参加」することはできます。
その「参加」方法とは、水を掛けることです。実は深川八幡祭りで水を掛けるのは、氏子や担ぎ手、担ぎ手の関係者だけではありません。周辺で神輿渡御を見ている参拝客なども掛けていいことになっています。そもそもが担ぎ手の暑さよけのための水掛けなのですから、それは当然かもしれません。
神輿渡御で一緒に掛け声をかけ、水を掛けたら、担ぎ手と一体になって楽しめるかもしれません。観客も水を掛けることができるということは、担ぎ手だけではなく、観客の側も水がかかって濡れる可能性が高いということです。深川八幡祭りの神輿渡御に行くときはそのあたりも覚悟しておきましょう。
深川八幡祭りに行く際の注意
それでは、深川八幡祭りに行く際の注意点を挙げておきましょう。最も注意すべきことはやはり水掛けの水で濡れるということです。これは神輿渡御に行く場合はまず間違いないところです。季節が夏ですから濡れてもあまり心配はいらないかもしれませんが、気になるのであれば、着替えを持つか、濡れてもいいような恰好をしていきましょう。
また、神輿渡御を写真におさめたいという方も多いかもしれませんが、その場合は防水ができる機材を持って行ったほうが無難です。最近では水濡れを防ぐスマートフォンのケースなどもありますので、そういったものを利用することをおすすめします。加えて周辺は満員電車並みの混雑となりますので、子供連れの場合などはぐれないように注意が必要です。
深川八幡祭りの周辺観光スポット
深川江戸資料館
江戸らしい深川八幡祭りを楽しんだ後は、ぜひこちらの博物館に行ってみてください。神輿渡御のルート上にあるのですが、江戸時代の天保年間の深川の町並みが再現されていて、照明の変化と振り売りの声などで江戸時代の一日の流れを体験できるのが見どころです。ぜひ建物の中などのぞいて、江戸時代人の気分を体験してください。
深川八幡祭りを楽しもう
神輿の掛け声と周囲から降り注ぐ水は、江戸時代からの姿を今に伝えます。深川八幡祭りは江戸の昔から庶民の祭りとして楽しまれてきました。ぜひ神輿渡御に「参加」して、水掛けなども楽しみつつ、伝統の祭りに親しんでください。
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