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和菓子の日をご存じですか?
現在では、一年365日、何らかの記念日が設定されています。もちろん、スイーツに関する記念日もたくさんあり、記念日にちなんだスイーツが販売されたり、イベントが行われたりすることで、市場が活性化している面もあります。中でも日本人に最も深い関わりのあるのが和菓子。もちろん「和菓子の日」もあります。さっそく和菓子の日について見ていきましょう。
和菓子の日は6月16日!
「和菓子の日」は、6月16日です。和菓子の日は、1979年に「全国和菓子協会」が制定した記念日となっています。6月といえば全国的に梅雨入りの時期ですが、なぜこの日が和菓子の日に制定されたのでしょうか。その由来に迫る前に、和菓子の日を制定した全国和菓子協会についてご紹介します。
全国和菓子協会とは?
全国和菓子協会は、1950年6月に全国の和生菓子業者が集まって設立された、長い歴史のある協会です。5月に先行して設立された「東京和菓子協会」が1961年に和生菓子業者のシンボルマークとして「和菓子マーク」を制定したことをきっかけに事業の活性化を図り、店頭掲示用のポスターの制作配布や「和菓子愉しむ展」の開催などを行っています。
和菓子の日関連イベント「手づくり和菓子教室」を開催!
全国和菓子協会は、積極的に「和菓子の日」PR活動を行っています。和菓子の健康性や文化性を訴えるための消費者を対象とした講演会、セミナー、シンポジウムを開催している他、和菓子の日に近い週末に「手づくり和菓子教室」を開催しています。新宿区高田馬場にある東京製菓学校の協力のもと、生菓子を3種類作ることができる人気のイベントとなっています。
和菓子の日の由来は平安時代に遡る!
和菓子の日が6月16日に決まった由来は、西暦848年(嘉祥元年)に遡ります。当時の仁明天皇が、御神託に基づいて6月16日に16の数にちなんだ菓子や餅などを神前に供え、疫病を除けて健康招福を祈誓し、「めでたい」という意味を持つ「嘉祥」と改元したという古例が由来となっています。はるか昔の平安時代から、和菓子が人々の身近にあったことを示すエピソードです。
和菓子の日の由来となった「嘉祥菓子」は、当時はお供えとしての色が濃かったようです。鎌倉時代には、のちの後嵯峨天皇が6月16日に通貨16枚と同等のお菓子を献じるようになり、皇位継承後も続けられました。その後、庶民の間でも通貨16文でお餅やお菓子を16個購入して食べる「嘉祥喰」という風習が生まれ、嘉祥の祝は形を変えながら近世まで続いていました。
戦国時代にも嘉祥菓子の習わしは続きました。豊臣秀吉が始めた「嘉祥の祝」は疫病を逃れ、健康を願う行事として明治時代まで受け継がれてきたそうです。江戸時代には大名や旗本などの武士に菓子を与える「嘉祥頂戴」という行事が行われていたという記録が残っています。この「嘉祥の祝」を由来として復活させたのが、現在の「和菓子の日」なのです。
和菓子の日に開催されるイベントとは?
現代では、厄除けや健康祈願の意味合いは薄れていますが、「和菓子の日」は、和菓子に親しむきっかけとしてなじみ深いものとなっています。和菓子の日には、全国の和菓子店を中心に、さまざまなイベントが行われています。住民に広く呼びかける一大イベントを開催する地域もあります。中でも特に大きなイベントをご紹介します。
明治神宮
東京都渋谷区にある明治神宮では、明治神宮に菓子を奉納する「菓道敬神会」の主催により、6月16日に一番近い週末に、無料で和菓子を配布するイベントが行われます。大々的には告知されていないイベントなのですが、口コミなどで年々周知され、近年では行列ができるほど人気の一大イベントとなっています。
明治神宮の和菓子の日イベントでは、和菓子職人たちがその場で練り切りを作って、参詣客に無料で配布してくれます。練り切りとは、白あんに砂糖、山芋やみじん粉などを加え、調整し練った生菓子のことです。白あんに色を付け、四季折々の植物や風物詩をかたどる繊細な細工を施した練り切りは、祝儀や茶席で使われることが多い和菓子です。
数々の有名和菓子店から集まった和菓子職人さんがその場で作ってくれる練り切りは、お店によって意匠もさまざま。出来立てのほんのりと温かい練り切りはその場で頬張るのも格別ですが、持ち帰ってじっくり眺めながらいただきたくなりそうです。毎回1時間ほどで配布終了となる気のイベントなので、和菓子の日が近づいてきたら情報をチェックしてみてください。
大阪の「笑わず餅」
古くから、6月16日に疫病除けを祈願して行われていた「嘉祥の儀式」では、大阪の民間では16種類のお餅やお菓子を「笑わずに食べる」という風習が伝わっていたそうです。その古事を由来として、現代の大阪では、6月16日に「笑わず餅」を食べるというイベントがあります。これは、「大阪生菓子青年クラブ」が10年ほど前から始めたイベントだそうです。
「笑わず餅」のイベントの由来は、大阪生菓子青年クラブが、古来から厄除けや暑気払いの効果があると言われている小豆をはじめ、ハトムギやクコの実、よもぎなどの「16種類の素材を取り込んでいる」という条件に合う和菓子を「笑わず餅」と命名し、「大阪の和菓子の日に食べる名物」として売り出したのが始まりと言われています。
一般的に、葛餅と水ようかんを合わせたような食感の和菓子を「笑わず餅」と呼んでいますが、お店によって笑わず餅のスタイルはさまざまです。発祥元である大阪生菓子青年クラブでは、和菓子の日の直近に大阪市中央区にある難波神社で「笑わず餅」の献菓式を行い、献菓式の終了後には笑わず餅を無料配布するイベントを行っています。
和菓子の二大老舗「たねや」と「とらや」
全国的に名を知られ、代表的なお菓子が浮かぶ和菓子店はほんの一握りです。そんな中、二大老舗和菓子店と呼べるのが「たねや」と「とらや」です。たねやは滋賀県にある地方のお店ですが、「ふくみ天平」という手作り最中は全国的に有名です。とらやは、都内のほとんどの百貨店で取り扱われていて、「とらやの羊羹」は誰しも一度は目にしたことがあることでしょう。
滋賀の雄「たねや」
全国的に有名な二大老舗和菓子店の一つが「たねや」です。滋賀県近江八幡市に本店を置くたねやは1872年創業で150年近い歴史がありますが、自然環境との共生を目指したフラッグショップを開設するなど、常に新しい取り組みを行っています。たねやでは、上質な素材を使用した手作り最中などの定番の和菓子の他、洋の素材や野菜などを使った新感覚の和菓子もおすすめです。
たねやの2018年の新製品「ピスタチオ大福」(3個入り756円)は、イタリア・シチリア島ブロンテ村産のピスタチオを100%使用。ピスタチオは鮮度を逃さないよう別添になっていて、食べる直前に振り掛けます。3種類の挽き具合でミックスしたピスタチオは、こし餡を包んだ近江米の粗搗き大福とも好相性。ピスタチオが和菓子にも合うことを発見できるおすすめの和菓子です。
「たねや」和菓子の日限定商品:吉兆嘉祥
たねやでは、和菓子の日の限定商品を販売します。豊後の国から都へ一匹の白亀が献上されたのを吉兆のしるしだとして嘉祥と改元したという言い伝えを由来とし、こし餡を包んで染飯(そめいい)を飾ったお団子を亀の甲に見立てた歳時菓「吉兆嘉祥」(7個入り864円)です。たねやでは6月16日に一日限りで販売するようなので、確実に購入するためには予約がおすすめです。
安心のブランド「とらや」
もう一つの老舗「とらや」は、1500年前後に京都で創業、500年以上もの歴史を持つ老舗中の老舗です。現在は東京港区に本社を置き、主要な百貨店はもちろん、ホテルやランドマークタワーにも直営店や喫茶、甘味や軽食がいただける「虎屋菓寮」を多数出店しています。古さを感じさせない洗練された店内は、若い女性を中心に人気を集めています。
とらやと言えば羊羹が有名ですが、季節の生菓子もおすすめです。画像の左側「花氷」(486円)は、白のそぼろきんとんを氷に、紅の琥珀糖を花に見立てたお菓子です。右側の「青」(486円〉は、新引粉(みじん粉)をまぶした求肥生地を砂漠に、中央にはオアシスに見立てた青い琥珀製を配した清々しい意匠のお菓子です。どちらも8月上旬の限定販売です。
「とらや」和菓子の日限定商品1:嘉祥菓子七ヶ盛
とらやでは、和菓子の日限定商品もバラエティ豊かです。「嘉祥菓子七ケ盛」(3240円)は、江戸時代末期に宮中に献上していた嘉祥菓子をもとに作られたお菓子の詰め合わせで、白あんを包んだ外郎「武蔵野」、こし餡を包んだ黒糖の外郎「桔梗餅」、求肥に白ごまをまぶした「浅路飴」など、普段店頭には並ばないお菓子が味わえます。6月上旬までに予約するのがおすすめです。
「とらや」和菓子の日限定商品2:福こばこ
「福こばこ」(2160円)は、縁起の良い意匠の生菓子の詰め合わせです。道明寺製の「なりひさご」、練り切り製の「はね鯛」、干菓子の「御目出糖」がセットになり、見た目もかわいらしくおめでたい印象が伝わるので、贈り物にもおすすめです。「福こばこ」は、和菓子の日の直前10日間ほどの期間限定販売となります。
「とらや」和菓子の日限定商品3:嘉祥饅頭三個入
「嘉祥饅頭3個入」(1296円)は、つくね芋を使った生地で御膳餡を包み、嘉定通宝の意匠を配した黄色の「薯蕷饅頭」、小麦粉生地で小倉あんを包み、小槌の意匠の焼印を押した紅色の「新饅」、白下糖入の小麦粉生地で御膳餡を包み、「全国和菓子協会」マークの焼印を押した茶色の「利休饅」のセットで、こちらも6月10日からの限定販売です。
「とらや」和菓子の日限定商品4:嘉祥蒸羊羹
「嘉祥蒸羊羹」(2160円)は、江戸時代に行われていた嘉祥行事を由来としています。江戸城では大広間に2万を超える菓子が並べられ、大名や旗本に下賜されていたそうです。「嘉祥蒸羊羹」は、この菓子のうちの一つを再現したもので、夏負けを防ぐ効果があるとされる黒砂糖を加えてあるのが特徴です。こちらも6月10日からの限定販売です。
その他の和菓子の日限定商品
たねやととらやだけではなく、全国の和菓子店で、和菓子の日にちなんでさまざまなお菓子が作られています。画像は「叶匠壽庵」の「煮小豆に餅」(216円)です。大納言小豆を炊き上げ、やわらかな羽二重餅で包んだシンプルなお餅で、まろやかな小豆の風味や食感を楽しめるおすすめの和菓子です。和菓子の日の一日だけの販売なので、確実にゲットするには予約がおすすめです。
愛媛県の老舗「一六本舗」の「嘉祥菓子」は、毎年違う内容で販売されるようです。画像の「嘉祥菓子7個入り」は1080円とお手頃価格でおすすめです。6月16日のみの限定販売となります。「一六タルト」で有名な一六本舗では、毎年16日に「一六の日」として限定のお菓子を販売しているそうで、和菓子の他にケーキなどの限定商品も登場するそうです。
和菓子の日におすすめの和菓子たち
あらゆるジャンルのスイーツが手に入る現代、普段あまり和菓子は食べないという方も、和菓子の日くらいは和菓子を食べてみようと思われるかもしれません。そこで、和菓子の日におすすめの和菓子をご紹介します。和菓子の日限定の嘉祥菓子でなくても、お気に入りの和菓子を手に取ってみたり、お取り寄せしてみるのもおすすめです。
和菓子の日は6月なので、6月にちなんだ意匠のお菓子がおすすめです。画像は「鶴屋吉信」の「季のこよみ」(756円)。紫陽花をかたどった色とりどりの琥珀糖の干菓子です。他にも、「中村軒」の紫陽花をかたどった錦玉の生菓子「あじさい」(260円)など、紫陽花をモチーフにした和菓子は多く見られます。初夏らしく涼し気な葛を使った和菓子も登場する時期です。
京都を中心に、半年間の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する神事「夏越祓」が6月30日に行われます。この時に食べるのが、氷に見立てた三角形の外郎生地に小豆が乗った「水無月」です。三角は暑気を払う氷を模し、小豆は魔除けを意味するそうで、全国的に6月下旬には水無月を限定販売する和菓子店が多いようです。画像は「仙太郎」の水無月(227円)です。
和菓子の日には美味しい和菓子を食べよう
和食の一部として、世界無形文化遺産に登録され、古くから日本人の生活に深い関わりをもつ和菓子。平安時代から和菓子を奉納する儀式があり、それが現代の和菓子の日につながっていることも、知れば納得の流れです。普段あまり和菓子を食べないという方も、6月16日の和菓子の日には和菓子を手に取り、優しい甘さを味わいながら、健康を願ってみてはいかがでしょうか。
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