奈良ドリームランドの跡地はどうなっている？解体された廃墟の現在に迫る！

日本は軍艦島をはじめ、有名な廃墟が多いです。映画の撮影で使われたり、アーティストのミュージックビデオで使われたりした場所もあり、有名なホラー映画やホラーゲームなどでも使用され、日本だけではなく海外にもファンがいる廃墟は多いです。廃墟写真集が発売されたり、廃墟巡りなども観光ツアーで取り組まれることもありました。

遊園地廃墟の持つ不気味でノスタルジックな雰囲気は日本だけでなく世界中で人気があります。シックスフラッグやホーリーランドUSAなど、有名なテーマパーク跡地があり、心霊スポットとしても人気があります。日本でも2000年代になって多くの遊園地が閉園し、その跡地が廃墟となり、心霊スポット巡りや廃墟巡りで訪れる人が多くいました。

日本でも一時期廃墟遊園地が多く存在し、海外からもその跡地を見に訪れる人も多かったようです。奈良市にある「奈良ドリームランド」跡地もその一つ。木製のジェットコースターやお化け屋敷など、閉園後も多くのアトラクションが解体されないまま残っていたため、多くの人がやってきました。

奈良ドリームランドは1961年7月1日に開園した遊園地です。当時は他にない近代的な乗り物やアメリカのような園内の光景、童話の世界のようなアトラクションの数々等、関西一の遊園地と呼ばれたくさんの人がやってきました。1970年代には毎年150万人から160万人の人が訪れ、大変にぎわいました。

2000年以降はウルトラマンのアトラクションやジブリグッズの販売店など、他社のキャラクターのファンも訪れました。夏には3つのスライダーと5つのプールが作られ、冬はスケートリンクなどもあり、様々な取り組みを行ってきましたが、周りに娯楽施設が続々登場したこともあり、2006年8月31日に閉園しました。

奈良ドリームランドには数々の名物アトラクションがありました。三種類のジェットコースターや広い池を泳ぐバンパーボート。ファミリー向けのジャングルのようなアトラクション内を船に乗っていくジャングル巡航船。園内をぐるっと見てまわれる外周列車。家族向けにも優しいアトラクションが多くありました。

解説当初はとても珍しかった木造ジェットコースターのASUKAや、ディズニーランドのシンデレラ城を思わせる大きなお城型の施設、カラフルな街並みやドリームランドの文字がアメリカを連想させる門など、閉園してからも残されていたアトラクションが多く、その寂れていく様子は多くの人に懐かしさと淋しさを抱かせました。

斬新なデザインと近代的なアトラクションで人気スポットとなった奈良ドリームランド。それもそのはず、奈良ドリームランドは設立した松尾國三がアメリカでディズニーランドに行って感銘をうけ、ディズニーランドを日本に誘致することをきっかけに作られたテーマパークでした。

松尾氏の熱意を受けてディズニー社は、経営ノウハウを提供。しかしディズニー社は日本にディズニーランドを設置する予定はなく、形だけ真似たものをディズニーランドとするつもりもありませんでした。誘致を受けたディズニー社と奈良ドリームランドの交渉は決裂。この出来事は後々のディズニーランド誘致の際まで影響を及ぼしたと言われています。

奈良ドリームランドは関西で一番最初の木造ジェットコースターや、開園当初は日本で最も近代的な遊園地と言われていました。ディズニーランドを目指して作られた奈良ドリームランドの園内は斬新で、日本中から多くの人が来ました。しかし、東日本にはディズニーランドが誕生しました。

関西の遊園地が次々に閉園した一番の原因は、USJの開園だと言われています。海外でも人気の高いキャラクター、映画の世界を体験できるアトラクション、日本とは思えないパークの景色。人気の映画作品がそのまま遊園地になった様なテーマパークとして、関西一の観光スポットとして、多くの人が訪れるようになりました。

現在でも、東のディズニーリゾート、西のUSJと言われるほど人気のスポットとなったUSJは、関西のテーマパーク人気を独り占めするように来園者を増やしていきました。ディズニーランドの登場と、USJの開園の影響を受け、多くの遊園地が閉園していき、奈良ドリームランドもその一つとなりました。

奈良ドリームランドが廃墟遊園地として有名になったのは、ネット上に貼られた多くの写真がきっかけと言われています。2006年に閉園後、それまで多くの人が訪れていたので、その後の奈良ドリームランドがどうなっているか気になって様子を見に来た人も多いです。当時はまだジェットコースターなどのアトラクションも多くありました。

さらにドローンを持つ人が増え、中に入ることができなくても空から撮影することができるようになり、空撮動画も公開され人気になりました。2015年9月22日に撮影されたとされる空撮された映像には、まだ木製ジェットコースタや施設がいくつも残っていて、それらが緑色の草木に覆われている姿が映っています。

ディズニーランドを意識して作られていたため、看板や施設は鮮やかな色合いのものが多く、閉園後もその色合いの名残が見れました。多くの遊園地が閉園後、すぐに解体される中、廃墟として寂れていく姿は国内外の廃墟愛好家の関心を寄せ、実際に行ってみたいという人の気持ちを駆り立てました。

元々はとてもしっかりとした造りで、目を引くアトラクションや施設も多かった奈良ドリームランド。その跡地も寂れていく寂し気な雰囲気は映画のセットのように見ごたえがあり、雰囲気も抜群に怖かったため、生きている間に行ってみたい廃墟として人気は年々高まりました。

その関心の高さは、跡地に入った人の動画にも表れました。海外から日本の廃墟を見に来た人の動画で、その中にはまだしっかりと残っているお化け屋敷のセットや、ジェットコースター。同じように侵入した人と遭遇する場面もありました。現在でも多くの人が奈良ドリームランド跡地の動画を閲覧しています。

廃墟遊園地として話題になった奈良ドリームランドは、テレビ番組でも取り上げられたことがあります。2015年11月13日に放送され、ドローンを使って上からの景色も放送されました。当時はまだ解体されることなく、買い取り業者もいない状態だったので、出演者たちを驚かせました。

視聴者には奈良ドリームランドが閉園したことを知らなかった人や、廃墟がまだ残っていることを知らない人もいたため、懐かしく感じた人もいました。廃墟になった後に中がどうなっているか気になっている人もいて、より奈良ドリームランドを有名にするきっかけになりました。

奈良ドリームランドの跡地は心霊スポットになっている、という噂が流れたことがありました。自殺したオーナーの霊が出てくる、奈良ドリームランドの近くには呪われた家がある、という噂が流れ、長い間解体されずに残されているのは、解体作業中に死亡事故が起きたからだ、という人まで現れました。

現在では解体作業が行われているため、根も葉もない噂である可能性が高く、奈良ドリームランドの跡地解体工事でそういった事故があったということもありません。あまりにも有名になってしまいすぎたこと、遊園地のアトラクションが寂れている姿に恐ろしい雰囲気を感じ取る人が多かったことから、心霊スポットと呼ばれるようになってしまったようです。

奈良ドリームランド跡地に以外でも、その雰囲気や寂れた様子から廃墟や遊園地跡地が心霊スポットという噂が流れることが多く、実際には起きていない事故や事件が囁かれるようになってしまうことがあります。そういった噂が好奇心を駆りたて、不法侵入をしてしまう人を招き寄せてしまうことも少なくありません。

遊園地が閉園後廃墟になってしまうのは、解体するのに資金や時間がかかることや、場所によっては交通の便が悪くて、その後の再利用の仕方が難しいことが挙げられます。巨大なアトラクションを解体するには重機が必要ですし、それを運び出すのにも時間がかかってしまいます。また、多くの遊園地が固定資産税を滞納していて莫大な費用が掛かります。

奈良ドリームランドも経営難で閉園後、その跡地や閉園後のアトラクションの解体などをする業者がおらず、長いことアトラクションや施設が放置されることになりました。奈良ドリームランドの跡地の再利用は様々な規制があり、一時期土地の一部を火葬場などに再利用するという案も持ち上がったのですが、近隣住民の反対により実現しませんでした。

解体されないアトラクションや遊園地の跡地を見ようと、不法侵入する人が現れたため、警備員を配備するようになりました。そんなお金があるなら解体すればいいのに、という人もいますが、遊園地の解体費用の方が莫大な金額になるため、跡地を引き取る業者が現れるまで解体はできませんでした。

奈良ドリームランド跡地の動画が動画サイトに多くアップロードされていますが、それらのほとんどは不法侵入して撮影されたものです。柵を作っても、そこを乗り越えたりして中に侵入してくる人は絶えず、奈良ドリームランドの廃墟を写した写真のほとんども、不法侵入によって撮影されたものです。

奈良ドリームランド跡地には多くのアトラクションが残り、周りは物を遮るものも少なく、夕日がさした遊園地跡地の姿は不気味さと寂しががあり、多くの人を魅了する光景でした。それを一目見よう、写真に収めようと海外からも不法侵入する人は絶えず、市が警備員を雇って巡回しなければなりませんでした。

奈良ドリームランドの跡地は海外でも有名になりすぎて多くの不法侵入者を呼び寄せてしまいました。「少しだけだから」「物を壊したり盗んだりしないから」「どうしても写真を撮りたいから」という気持ちで訪れる人は後を絶ちませんでした。奈良ドリームランドに限らず、廃墟巡りで犯罪を犯してしまう人は多いです。

廃墟巡りは不法侵入という犯罪をしているだけでなく、犯罪に巻き込まれてしまう可能性や、大けがをしてしまったり命を落としてしまったりする可能性もあります。廃墟巡りをした経験のある人は、廃墟で人や動物に遭遇して襲われそうになった、という人や、床が抜けて大怪我をしたという人もいます。

違法な廃墟巡りをおこなう人たちの被害は、ただ「自己責任」だけで終わらず、廃墟を管理している人たちや、その廃墟がある地区の責任にもなってきてしまうのです。自分の好奇心を抑えきれなかった代償は自分だけの被害だけでなく、他の人にも大きな迷惑にもなってしまいます。

奈良ドリームランドの広さはディズニーランドの約半分くらいのサイズです。この広大な跡地を再利用できないかと、奈良市も苦労を重ねてきました。しかし、アトラクションを解体して更地にしてしまっても、奈良ドリームランドの跡地には再利用しにくい複雑な事情がからみあっているのです。

跡地になっても消えないもの、奈良ドリームランドの滞納された固定資産税です。この滞納金は7億円にのぼると言われています。奈良ドリームランドの跡地に7億円の価値を見出せる企業は少なく、土地代を破格の金額にして公売にかけられましたが、入札者はなかなか現れませんでした。

2015年、「SKハウジング」によって閉園から十年目にしてやっと入札がされました。しかし、2018年現在でもその跡地は廃墟がわずかに残るまま、再利用の予定もたっていません。奈良ドリームランド跡地が解体されても再利用されにくいのは、都市計画法の市街化調整区域にあたるためです。

この地域に建てることのできる建物はきびしく制限され、奈良では現在病院や学校、社会福祉施設やスポーツ施設が該当します。商業施設の建設は難しい地域なのです。観光スポットとしての再利用や、ディズニーランドのようなテーマパークへの再利用は難しく、解体された後も鉄柵で仕切られ、雑草が茂るだけの場所となっています。

SKハウジングは買い取り後、徐々に中の施設の解体やアトラクションの撤去を始めました。入札後も再利用の用途が定まらず、手つかずになっていたものもあるのですが、奈良ドリームランドが有名になってしまったことや、心霊スポットとして話題になり、不法侵入する人や駐車場で深夜に騒ぐ人が絶えず、解体に踏み切りました。

奈良ドリームランドの周辺は住宅街になっています。廃墟遊園地として話題になり、閉園後にも多くの人がやって来るなか、マナーの悪い人もいて、迷惑になることも多々ありました。ドライブがてらに周辺をくるりと回ることはできますが、中に入ることはできません。しかし、鉄柵を乗り越えて不法侵入をする人が多かったのです。

遠くから見える景色が好きだったという人も多かった奈良ドリームランド。しかし相次ぐ不法侵入により、管理会社は中のアトラクションの解体を決めました。元々外周から中が見れなくなっていたので外からは分かりませんが、ネット上にアップされた多くの写真のような光景は、現在では見ることができません。

現在では跡地にはその痕跡や凹凸を見ることはできますが、遊具や建物、アトラクションや遊園地だったことがうかがえるものはほとんどありません。門にも看板や名残は一切なく、私有地としての鉄柵が並びその先に雑草が見えるだけの広い空き地となっています。それでも訪れる人がいるのか、付近にゴミが散乱している場所もあります。

以前は外からも見えていたアトラクションが現在はなく、遊園地らしさを感じるものもないため、不法侵入する人は減りました。廃墟遊園地としての魅力である、ジェットコースターやモノレール、マスコットキャラクターの置物など、一切のものがなくなっています。そこに不法侵入してまで見る価値を感じる人も減りました。

奈良ドリームランドの跡地は立ち入り禁止になっています。周りは雑木や雑草で覆われていていっさい見ることができません。しかし、どうしても一目見たい、中が気になる、という人はいるかと思います。そんな人が中の様子を見ることができる方法があります。それはインターネットの航空写真です。

ディズニーランドなどのテーマパークも、グーグルの提供する地図機能を使えば、どこになにがあるかはっきり分かることを体験した人は多いかと思います。奈良ドリームランド跡地も航空写真を見れば、アトラクションなどの遊園地を想像する物が何もないこと、凹凸や何かあったと思わせる痕跡だけがあることが航空写真ではっきりと分かります。

グーグルのストリートビューを使えば、現在の奈良ドリームランド跡地の様子や、周りの風景を家に居ながらにして確認することができます。わずかに残る塗料の色や、線路を思わせる模様、池やプールの名残など、奈良ドリームランドが確かにここにあったことがはっきりわかります。

奈良ドリームランドは開園当初、関西で最も大きな遊園地として人気が高く、子供の時には何度も行った人も多い人気のスポットでした。現在では当時のアトラクションも解体済みとなり、その面影は航空写真からしかみることができませんが、廃墟遊園地としての姿を見るのが悲しかったという人もいます。

かつては自分が遊んだ場所や、子供と一緒に訪れた遊園地が、心霊スポットと呼ばれたり、廃墟になって侵入する人が多くいたこと。廃墟の画像や落書きされた壁や壊された遊具を見て、心を痛めていた人もいました。今現在まだ再利用も決まっていないことを残念に思っている人は少なくありません。

日本には奈良ドリームランドのように有名な遊園地廃墟がいくつもあります。その中のほとんどが跡地を再利用されてソーラーパネルの設置上になったりしていますが、近年まで廃墟遊園地として観光地スポットにもなっていた場所がありました。それが「化女沼レジャーランド」です。

化女沼レジャーランドは2017年に業者による買い取りの話が出ていましたが、2018年現在では買い取りには至りませんでした。跡地には人気だった観覧車などのアトラクションはまだ撤去がされずそのまま残っているようなのですが、以前のように入ることはできず、イベントなども決まっていません。

今後廃墟遊園地としての魅力を理解する買い手が現れれば、再び化女沼レジャーランドは廃墟遊園地としてツアーが組まれたり中に入れるイベントが催される可能性があります。廃墟遊園地が続々取り壊されているため、中を自由に見れる廃墟遊園地の復活を願う人は多いです。

奈良ドリームランドのように解体されてしまった廃墟は多く、その跡地を再利用する場所もあれば、解体せずに観光に利用して観光スポットとなった場所もあります。有名なところでは軍艦島。当時の建物がそっくりそのまま残り、日本国内外問わず映画でロケ地として利用されています。現在では世界遺産となり、さらに人気が増し、見学ツアーもあります。

廃墟好きの間では有名な場所は北海道の炭鉱廃墟を見学できるジオパークです。アマチュアのカメラマンが写真を撮ったり、雑誌などでも使用されることがあります。歴史的な遺産としても重要な廃墟なのですが、守られつつも廃墟として崩れていく姿を見ることができ、廃墟愛好家には人気のスポットとなっています。

人々の心を強く引き付ける廃墟ですが、その距離が近すぎれば法に触れてしまいます。さらに、崩れかかった床が抜けたり、天井が崩れたり、建物が倒壊したりと危険はつきません。廃墟を見るときは管理された場所で公式な手続きを踏むか、遠くからその景色を眺めるのがおすすめです。廃墟に行く時にはぜひとも、近づき過ぎない距離を守ってください。