奈良の興福寺とは
五重塔が有名な興福寺について、簡単にご説明します。興福寺は、南都六宗の1つである法相宗(ほっそうしゅう)の大本山です。興福寺は、「神仏霊場巡拝の道」の奈良県の第十六番になっています。また、五重塔の隣に建立されている「東金堂」は、西国薬師霊場の第四番札所、「南円堂」は、西国三十三所の9番札所です。
興福寺の歴史について
興福寺の歴史は、688年に藤原鎌足の妻である「鏡大王(かがみのおおきみ)」が「山階寺」を創建し、645年頃に鎌足によって造立された「釈迦三尊像」を安置したのが、起源とされてます。672年頃「山階寺」は、大和国高市郡厩坂(うまやさか)に移転し、「厩坂寺」と称しました。710年平城京遷都に伴い、藤原不比等が飛鳥から「厩坂寺」を移転し、名称も「興福寺」としました。興福寺は、藤原家に縁のあるお寺です。
興福寺は、「古都奈良の文化財」の一部として、世界遺産に登録されてます。興福寺の敷地は、約14ヘクタールあり、広大な敷地内に国宝建造物である五重塔、三重塔、東金堂、北円堂、重要文化財である南円堂、大湯屋の伽藍が建立しており、阿修羅像や運慶作品など、数多くの国宝や重要文化財を所有しています。日本の歴史と共に歩んできた興福寺、1,300年以上の時を経て、今なお新たな歴史を歩み続けています。
住所:奈良県奈良市登大路町48 電話:0742-22-7755
興福寺・五重塔へのアクセス
徒歩でのアクセス
徒歩で興福寺・五重塔へ行く場合、最寄りの駅は「近鉄奈良駅」になります。ルートは大きく分けて、2つあり、県庁側の裏通りから行くか、三条通りからの表通りから行くかになります。裏通りルートの方が、表通りルートより近道ですが、時間に余裕があるのなら、古の奈良時代から続いている三条通りからの表ルートをおすすめします。
表通りルートは、近鉄奈良駅「出入口2」を出て、東向商店街を通り、三条通を左に曲がり、真っすぐ歩いていくと五重塔に着きます。裏通りルートは、近鉄奈良駅「出入口2」を出て、県庁方面に進み、2つ目の角、興福寺の石碑がある所を左に曲がります。興福寺の駐車場の角を左に曲がり、東金堂へ向かうと五重塔に着きます。
バスでのアクセス
バスを利用して興福寺・五重塔へのアクセスは、JR奈良駅東口の2番乗り場から、奈良交通のバス「市街循環(外回り)」に乗車し、「県庁前」バス停下車になります。裏通りから興福寺に入り、五重塔へ向かいます。JR奈良駅から県庁前バス停までの所要時間は約5分です。近鉄奈良駅西口の1番乗り場からも奈良公園方面のバスが運行しています。
車でのアクセス(興福寺駐車場)
車を利用して興福寺・五重塔へのアクセスは、国道368号線「県庁前」の信号から、興福寺の駐車へ向かいます。興福寺の駐車場は「国宝館」横にあります。
営業時間:9:00~17:00 電話:0742-22-4096(駐車場) 駐車台数:46台(普通車)、16台(バス) 駐車料金:1,000円(普通車)、500円(タクシー)、2,500円(バス)
車でのアクセス(奈良登大路自動車駐車場)
興福寺の駐車場以外では、奈良県庁の隣に県営の「奈良登大路自動車駐車場」があります。普通車のみ駐車可能で、奈良公園利用者や観光客用に開設されているので、おすすめです。
住所:奈良県奈良市登大路町80 営業時間:6:00~22:00(出庫24時間可能) 駐車台数:275台(普通車) 駐車料金:1,000円 (2時間迄の利用は無料)
興福寺・五重塔の意味
興福寺の「東金堂」の隣にそびえ建つ「五重塔」は、仏塔で仏教的な宇宙観を表しており、五重の屋根の意味は、下から「地」「水」「火」「風」「空」と5つの世界を表現しています。仏塔は、釈迦の遺骨を祀るお墓なので、五重塔は墓標の意味になります。仏塔の歴史は、紀元前3世紀頃、古代インドから始まった言われており、日本へは中国から朝鮮半島を経て、楼閣(重層)形式の仏塔が伝えられたました。
興福寺・五重塔の歴史
興福寺・五重塔の歴史は、730年に聖武天皇の妃、藤原不比等の娘である「光明(こうみょう)皇后」が、建立しました。その後、5回の焼失、再建を繰り返しています。現在の五重塔は、1426年頃(室町時代)再建された木造建築で、高さは50.1メートル、本瓦葺きの仏塔です。興福寺の五重塔は、日本で2番目に高く、奈良市で一番高い建造物になります。
興福寺・五重塔の構造
興福寺・五重塔は、木造建築であるので、何度も焼失していますが、地震や台風(強風)で倒壊した記録はありません。地震と台風の多い国日本において、再建から約600年もの間、地震や強風に耐え続けた五重塔の秘密は、実は構造にあります。
五重塔の内部は、宗教的意味もあり、塔の一番上にある「相輪」を支えている1本の心柱があるだけです。五重の屋根があるので、5階建てのように錯覚しますが、内部は空洞になっています。心柱が各層の軒を支えるために、複雑に木材が組み合っています。このことにより、地震や強風に負けない免振構造が施されています。ちなみに、東京スカイツリーは、この構造をヒントに建てられています。
興福寺・五重塔の拝観料
五重塔は、通常一般には公開がされておらず、初層(1階部分)内部の拝観ができません。しかし、数年に一度特別公開されることがあるので、そのチャンスに興福寺・五重塔へ、是非行くことをおすすめします。
初層には、創設時の伝統を受け継ぎ、東に「薬師浄土変(やくしじょうどへん)」、南に「釈迦浄土変(しゃかじょうどへん)」、西に「阿弥陀浄土変(あみだじょうどへん)」、北に「弥勒浄土変(みろくじょうどへん)」が四面に向いて安置されています。これは四方仏を意味しており、仏教では、東西南北にはそれぞれ一人の如来がいると考えられています。
ご参考までに、2016年8月26日から10月10日の五重塔・三重塔特別公開の時の拝観料は1,000円でした。通常、五重塔の内部は拝観できないので、拝観料はかかりません。興福寺で拝観料がかかるのは、東金堂と国宝館です。2017年は耐震工事の為に国宝館は休館になっており、通常非公開の「仮講堂」で、阿修羅像などの国宝が、春と秋の期間限定で特別公開されてます。「「東金堂・仮講堂」連帯拝観料は、900円(一般)となります。東金堂のみの拝観料は300円(一般)です。
夜の興福寺・五重塔
奈良公園内では、興福寺・五重塔や浮見堂などの国宝や重要建造物のライトアップを一年中おこなっています。昼間とは違う姿の五重塔が浮かびあがるので、夜も行かれることをおすすめします。
実施時期:通年 実施時間:午後7時頃~午後10時、9月:午後6時頃~午後10時
興福寺の伝統行事・イベント
五重塔で行われる伝統行事はありませんが、興福寺では、様々な伝統行事が行われてます。主な行事として、2月3日の節分は、「東金堂」で追儺会(ついなえ)、お釈迦様の命日である2月15日には、「本坊」で涅槃会(ねはんえ)、お誕生日である4月8日には、「南円堂」の前庭で仏生会(ぶっしょうえ)、5月第3金・土曜日には、「南大門跡」で薪能などがあります。特別公開のイベントもあるので、日程が合えば、是非行かれることをおすすめします。
奈良公園のイベントで、「五重塔」が一段と美しい姿を現す時がいくつかあります。特におすすめなイベントは、1月第4土曜日に開催される「若草山焼」、8月上旬に開催される「なら燈花会」、8月15日に開催される「大文字送り火(高円山)」、2月上旬に開催される「なら瑠璃会」です。
興福寺・五重塔の絶景スポット
興福寺・五重塔は、奈良市で一番高い建造物なので、遠くからでも五重塔を眺められます。五重塔の前や下からのアングルを見上げる五重塔も素敵ですが、写真に撮るのにおすすめな絶景スポットをいくつかご紹介します。
猿沢池
興福寺・南大門跡から三条通へ向かうと、道を挟んで「猿沢池」があります。猿沢池には、ベンチもあるので、のんびりと五重塔を眺められます。特にライトアップされた夜の五重塔は、格別の美しさがあるので、おすすめスポットです。
東金堂
東金堂と五重塔を眺めると、古の奈良の息遣いが聞こえてくるようです。2つの国宝建造物が撮れるので、おすすめスポットです。
南円堂
南円堂のほぼ正面に、凛と建つ五重塔を春日山を背景に眺めると趣があり、おすすめスポットです。
奈良県庁屋上
奈良県庁の屋上が無料で開放されています。何も遮るものがない、360度パノラマの屋上で、奈良の景色が見渡せます。県庁屋上から眺める五重塔も、おすすめです。
奈良に来たら興福寺・五重塔を見に行こう!
奈良のシンボルである興福寺・五重塔について、ご紹介しました。五重塔の意味や歴史を知ると、古都奈良を代表する国宝であり、大切に愛されてきた伽藍である事がわかります。奈良に来たら、ぜひ興福寺・五重塔を訪れてみてください。
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