ニュージーランドのハカはなぜラグビーで有名?伝統的な舞踊の意味を知ろう!

2019年5月19日 (2019年5月31日最終更新)

ニュージーランドの伝統文化の中でも世界的に有名な舞踊が「ハカ」と呼ばれるものです。どんな舞踊かは知らなくても、名前は聞いたことある、という方も多いのではないでしょうか。ラグビーとニュージーランドの伝統舞踊ハカとの繋がりは何か。いろいろご紹介していきましょう。

目次

  1. ニュージーランドとハカの深いつながり
  2. ニュージーランドのハカとは?
  3. ニュージーランドのハカの特徴
  4. ニュージーランドのハカの意味
  5. ニュージーランドのハカの現在の目的
  6. ニュージーランドのハカを踊るシーン
  7. 世界の歴史ある伝統舞踊
  8. ニュージーランドのハカの意味や歴史を理解しよう!

ニュージーランドとハカの深いつながり

オーストラリアの東、2つの主な島と多くの小さな諸島からなるニュージーランドには、実は別名があります。『アオテアロア』ニュージーランドのマオリ語名です。ニュージーランドの先住民のことをマオリ族というのですが、彼らの中で脈々と受け継がれてきた伝統舞踊のことをハカと言います。今回はそんなハカについていろいろご紹介してまいります。

ニュージーランドのハカとは?

ニュージーランドとマオリは切っても切り離せません。ニュージーランドの先住民族、マオリ族は、もともと太古の昔から当地に暮らしていたわけではありませんでした。ポリネシアの島から船で渡ってきた一部の氏族たちがニュージランドに着き、そこから文化を作り上げてきました。その中のひとつが、「ハカ」という勇壮な舞踊なのです。

先にご紹介したマオリ語の「アオテアロア」は、マオリ語の本来の意味では「白く長い雲のたなびく地」となります。困難であったであろう船旅で辿り着いたニュージランドの地で、ふと見上げた青空に白い雲がたなびく様が想像できます。

そんな美しい土地で生き抜いていく覚悟を決めた力強さ、自らの主権を守ろうと戦う勇ましさをハカの舞踊に込めているのでしょう。

マオリ族の伝統文化・踊り

独特な文化を形成する中で、書き言葉を持たなかったマオリの人々は、踊りや歌に教えや伝説、意思表示などをハカに込めていました。ハカを構成するマオリ語の歌詞と、体でとるリズム、そして歌声や声かけ、顔の表情に至るまですべてに意味を持たせ、それらすべてを舞踊の「ハカ」として伝承し続けたのです。

戦争や戦の際に士気を高める目的がある

ハカの舞踊には、様々な種類があります。マオリの集会へ行く前の儀式としてのハカであったり、特別な行事やイベントの際に行われるハカもあります。最も有名なのは、戦いの前に行われる勇壮なハカです。武器を携えて舞うこともありますが、多くは掛け声やそれに付随する振り付けを揃えて、士気を高める役目があります。

ニュージーランドのハカの特徴

まず、ニュージーランドのハカは、マオリ族発祥の伝統舞踊であることが大前提です。ニュージーランドの先住民族であるマオリが受け継いできた歴史の中で、ニュージーランド独特の発展を遂げ、今日までしっかりと受け継がれてきた伝統的な舞踊です。

広い海原に漕ぎ出でて新天地を見出したマオリの祖先の功績に想いを馳せてみると、ハカの特徴にも意味が見えてきます。ハカとは辿り着いた先での困難を退ける力を求める祈りに近いものだったのかもしれません。

ラグビー・ニュージーランド代表オールブラックスが試合前に行うパフォーマンスで有名

ラグビーのニュージーランド代表は、常勝軍団。通称「オールブラックス」と呼ばれ、全身黒のユニフォームが特徴的です。オールブラックスはラグビー史上最も強い常勝軍団としても知られている強豪チームなのですが、試合前にフィールド上でハカを行います。最強チームが舞うハカはいつのときも勇壮で迫力があり、その強さを象徴するかのようです。

激しい体の動き

「ハカ」はマオリ語で、その英語はウォークライ(War Cry)、日本語では鬨(とき)の声とも言います。これから始まる戦いを前にして、激しい体の動きとともに大きな声を皆で揃えることで士気を高め、自らを鼓舞していくのです。歌詞に込められたマオリ語の意味と、その激しい振り付けにそれぞれ意味するものがあり、全てをハカとして表現するのです。

ラグビーとは、体を激しくぶつけあったりしてボールを奪い合うスポーツです。そんなラグビーの試合前に、それぞれの士気を鼓舞するハカを踊るとは、とても意味のある舞踊であることがうかがえます。

力強い足の動き

ハカの動きはとても迫力あります。手足を打ち鳴らして自らを鼓舞し、また仲間とも鼓舞し合います。ぐっと腰を落とした体勢になり、足を踏み鳴らし、腕を振り上げたり体を自ら叩いて音を鳴らします。特に足を踏み鳴らすのは、あたかも大地の力を呼び起こすようなイメージでしょうか。

ラグビーの競技場は芝生ですから、足を踏み鳴らす音は残念ながら小さくなってしまうのですが、あれがもしフローリングなどの床であったならば、力強いリズムが刻まれていることに感動することでしょう。

グループパフォーマンス・舞踊

ラグビーのニュージーランド代表、オールブラックスが試合前のハカを行う際には、あらかじめその日に行う演目に合わせて陣形を揃えます。チーム内の一人が先導役となる声かけを行い、それに呼応するようにハカは進んでいきます。グループで行われる舞踊であるからこその迫力と高揚なのかもしれません。

ニュージーランドのハカの意味

勇壮な伝統舞踊、ハカの特徴をご紹介してまいりましたが、ここからは、そのハカという伝統舞踊自体の意味について少し掘り下げていきます。ハカという力強い舞踊にはどのような意味が込められているのでしょうか。ハカを踊ることは何を意味するのか、ハカの歴史にも少し触れながらご紹介してまいりましょう。

相手を威嚇する

ハカを踊る際には、まるで変顔のような顔の表情もしっかり作り上げます。舌を大きく出して、目を見開き、ハカのポーズを取ります。なぜなら、その顔の表情にもハカの意味が込められているからです。ハカを踊ることで自らを鼓舞しながら、これから戦う相手に対して、敵意と威嚇の意味を込めます。

士気を高める

日本に限らずですが、団体スポーツを行う際には、よくみんなで円陣を組んで気合を入れたり、声出しをします。チーム員の心をひとつにして士気を高めるのです。ハカも、同様の意味を持っています。ラグビーのニュージーランド代表オールブラックスの試合前のハカは、円陣を組んで声出しするのと同様、士気を高め、より高いチームワークを目指すのです。

歴史的意味

先にもご紹介しましたが、マオリ族がハカを舞踊として継承していくのは、戦いのときの団結を高めることのほか、書き言葉を持たなかった当時、一族の生まれや歴史を伝えていくためのひとつの手段として存在していました。その証拠に、ハカの詩にはそのような歴史や伝統を継承していく類の意味のものが多く存在しているのです。

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ニュージーランドのハカの現在の目的

マオリ族の風習として今も残るハカは、マオリがニュージーランドの地に初めて立った頃よりは意味合いが少しづつ変化してきています。平和な現代にあって、戦争の前に、ということはなくなりましたが、相手を威嚇したり自らを鼓舞する、という意味は、オールブラックスのハカによって示されているとおりです。

一致団結する目的

歴史的な内容の詩であったり舞踊であったり、ハカにはそれぞれ特徴がありますが、共通して言えるのは、ハカを行う全員が一致団結する目的でもあります。同じ声かけをして、同じ振り付けをして、先導役との掛け合いのように進んでいきます。ラグビーの試合前に行われるオールブラックスのハカも、この「一致団結する」意味を重視していることでしょう。

群衆の強さの象徴

ラグビーのニュージーランド代表オールブラックスは、文字通り世界一の強豪チームです。真っ黒なユニフォームに身を包んだ屈強な体躯を持つ男性の集団が、声を揃えて、足を踏み鳴らしてハカを披露するのです。その集団としての強さを見せつける、象徴とも言うべきものでしょう。

自分自身を表現するパフォーマンス

では、オールブラックスのチーム員以外のニュージーランドの人々にとってのハカはどのような存在か。それは、祖先のルーツを示すものであったり、一族の連帯を示すものであったりします。実際、この平和な文明社会において、主権を争うような戦いの場はなくなったため、戦いのハカではなく、むしろ一族の歴史を詞にしたハカの方が多く行われるのです。

ニュージーランドのハカを踊るシーン

祖先のルーツや一族の歴史を語ったり、示し合わせたりするような場とは、どのような場面でしょうか。それは、オールブラックスが見せてくれる高揚感あふれる勇壮なハカとは何が違うでしょうか。現在、ニュージーランドではどのような場面でハカが行われるのか、ご紹介していきましょう。

重要な行事

現在のハカは、主に重要な行事の前に歓迎の意味を込めたり、その土地の伝統として披露されることが多くあります。また、ハカはオールブラックスが行っていることから男性だけのもの、と思われがちですが、実は女性でも踊ることができるものもあるのです。勇壮、というよりも、どちらかというとより優雅な感じです。

個人的な行事

個人的な行事とは、ずばり、冠婚葬祭です。結婚式のお祝いの席で、出し物のひとつ、のような感じで披露されることもあります。ただ、それは意味もなくみんなを威嚇するために踊るのではなく、参加者とも一緒に観客を楽しませる目的もあります。

また、葬送のときにもハカを行うことがあります。故人を偲んでマオリの歴史的伝統であるハカをもって送り出すのです。

世界の歴史ある伝統舞踊

ニュージーランドのハカは、マオリ族発祥の歴史ある伝統舞踊でした。世界には同じように歴史ある伝統舞踊として今も受け継がれている舞踊がいくつもあります。その中のいくつかを、歴史や、伝統舞踊となっていった背景、踊られる場所などもあわせて簡単にご紹介してまいりましょう。

レゴンダンス(バリ島)

日本人にも人気の世界的リゾート、インドネシアのバリ島には「レゴンダンス」という歴史ある伝統舞踊が存在します。レゴンとは、バリ島で女性の宮廷伝統舞踊のことで、煌びやかな衣装に身を包んだ熟練のダンサーたちが指先にまで神経を使ってガムランの伴奏に合わせて踊ります。

19世紀に、バリの王族が鑑賞する目的で作られたレゴンダンスは、今や観光客にまでその人気が広がりたくさんの種類のレゴンダンスが生まれています。ジャワの古典文学などから歴史の物語が演じられていたりします。

フラメンコ(スペイン)

スペインの歴史ある伝統舞踊といえば、フラメンコです。発祥はスペイン南部のアンダルシア地方と言われています。イベリア半島にまでアラブ勢力が広がった際に、イスラムの人々がイベリア半島に住み着いたのですが、その後レコンキスタを経て、彼らは流浪の民、ヒターノと呼ばれるジプシーになりました。

ヒターノたちは、キリスト教勢力の中にいるイスラム出身者として肩身狭く暮らす日々となり、住まいや生活も制限されます。抑圧された日常や反発心を言葉にすると罰せられてしまうため、そういった感情をフラメンコのリズムやメロディー、振り付けに込めたのです。

フラメンコは、かき鳴らすようなギターと、それに呼応する手拍子、激しい足の打ち鳴らしとともに、表現されます。

ベリーダンス(中東)

中東のイスラム文化圏で見られる伝統舞踊がベリーダンスです。正式な名称ではなく、英語で「Belly dance」を直訳すると腹踊り。そのダンスの振り付けの特徴をそのまま名付けた造語です。

オスマン帝国時代のハレムの女性たちからベリーダンスは発祥したのではないかと思われがちですが、実は歴史的にもっと古い紀元前の時代からエジプトに存在していたことが遺跡などから明らかになっています。

煌びやかな宝石を飾った、露出の多い衣装を着て、腰を円状にくねらせた特徴的なダンスは、今や世界中に愛好者がいますが、中東を代表する伝統舞踊である、という認識が世界的に広まったということでもあります。

サンバ(ブラジル)

ニュージーランドのハカは、どちらかというと戦いの前の踊り、という意味合いが強く残っていますが、限りなく陽気な世界を表現している伝統舞踊が、ブラジルのサンバです。

大航海時代を経て、奴隷貿易が盛んにおこなわれていた時代に、ポルトガルの植民地であったブラジルの地には、多くのアフリカから連れてこられた奴隷がいました。彼らの音楽である、打楽器を中心としたBatucada(バトゥカーダ)という音楽が元となっているとされています。

現在ではブラジルのみならず世界の様々な場所でサンバカーニバルが開かれています。最も有名なリオデジャネイロのカーニバルは、派手な衣装と音楽でサンバのグループがサンバを披露し、観客もそのスゴイ熱気に引き込まれます。

エイサー(日本)

最後に日本の伝統舞踊のひとつ、エイサーをご紹介致しましょう。沖縄の伝統舞踊のひとつ「エイサー」は、旧暦のお盆に行われる舞踊で、お盆に帰ってこられた先祖の霊が現世に未練を残さず再びあの世へ戻れるように太鼓を打ち鳴らして送り出した、というのがエイサーの始まりです。

ハカが葬送の場面でも行われるように、精神的なものや先祖やその霊への畏敬の念を込めた伝統舞踊という側面ではとても似ています。

発祥の時から形を変えてきたのは、サンバの流れと同じかもしれません。今やエイサーは沖縄を代表する民族舞踊となり、お祭りや行事の際にも披露されます。地域ごとに振り付けや衣装が凝ったものになり、サンバカーニバルのようにエイサー団体ごとに競い合うこともあります。

ニュージーランドのハカの意味や歴史を理解しよう!

ニュージランドの伝統舞踊「ハカ」について意味や歴史など、様々な情報をご紹介してまいりましたが、いかがでしたか?力強い印象がとても強いハカですが、意味や歴史をたどって見ると、とても味わい深いものになります。2019年のラグビーワールド杯は日本で開催されます。オールブラックスがハカを行うところを間近で見られるチャンスです!

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この記事のライター
Maria

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