長潮の特徴
釣りを趣味とする方の中には、この時なら釣れる、この時は釣れないなど調べている方がほとんどでしょう。その中でも「長潮」と言われる時間帯は「釣れない」と言われることが多いです。長潮とはどのような状況なのでしょうか。
潮の動きが少ない
海は、月や太陽の引力を受けて、潮の満ち引きが起こります。満潮、干潮などは釣りをしない方でもご存知でしょうが、その満ち引きの中に「長潮」というものがあります。
海の潮の満ち引きは、大潮という最も潮の干満差が大きいところから、徐々に緩慢さが小さくなります。中潮、小潮と進み、この小潮が終わるころ、潮の干満差が更に小さくなる時期のことを「長潮」と言います。
長潮の時は潮の干満差がほとんどなく、その変化が長く続くように見えることからこう呼ばれます。なお、翌日は干満差がふたたび大きくなり始めるので「若潮」と言います。
長潮の時期・頻度は潮見表で確認できる
海の潮は大潮から中潮、小潮と進み、小潮の終わりが長潮、翌日が若潮となり、再び中潮を経て大潮に戻ります。だいたい15日で一周するのですが、では今どの潮の状態かはどうしたらわかるのでしょうか。
長潮の時期や頻度などを調べたい時は「潮見表」を使います。潮見表は近年ではネットなどでも気軽に確認することができるので、釣りに行く前にはぜひチェックすることをおすすめします。
長潮の日の目安は、旧暦の8日と22日の前後数日間と言われます。このあたりに釣りに行く予定を立てる方は、ぜひ潮見表を確認して釣りの予定を立ててみましょう。
釣り人が少なくなりがち
さて、長潮の日というのは釣りをする方にとってはあまり人気のない日となっています。次に述べますが、長潮の日は釣れないことが多いと言われており、この日に釣りに行く方は少ないのです。
そのため、長潮の日は釣り人が少なくなりがちで、それだけのびのびと釣りを楽しむことができるという面もあります。もし長潮の日でも釣れる方法があれば、きっとプライベートビーチのような気分で釣りが楽しめるでしょう。
長潮で釣れない理由
さて、長潮は釣れないと言われると述べてきたのですが、なぜ長潮では魚が釣れないのかという疑問がわいてきます。
実は魚が釣れる、釣れないという場合、この潮の動きというのは大きな影響があります。逆に大潮の時は魚がよく釣れると言われることが多いため、この日を狙って釣りに行く方も少なくありません。
そこで、潮の動きが海に住む魚にどのように影響を与えるのかを知ることで、長潮に魚が釣れない理由も見えてきます。
魚の活性が上がらない
大潮など潮の動きが大きい時というのは、海中の酸素濃度が上がり、プランクトンや魚の動きが活発になります。プランクトンやベイトフィッシュが潮の流れに乗って移動し、それに伴い魚も大きく動きます。
逆に長潮の時はこのような潮の動きがほとんどありません。そうなるとプランクトンやベイトフィッシュは潮の流れでの動きはほとんどありませんし、遊泳力の弱い魚も動きがあまり出なくなります。
そのため、長潮の時は魚の活性が低いため、どんどん魚が動いてエサを捕食することが少なくなります。結果として魚が釣れないということにつながることが多いのです。
長潮でおすすめの釣り方
では、長潮の時しか釣りに行く予定が立てられない場合は、もうあきらめるしかないのかというと、決してそのようなことはありません。長潮の時はその特徴を踏まえることで、釣れるコツというのがあるのです。
長潮の時は潮の動きがほとんどないと述べました。その分、「時合」と言われるよく釣れる時間帯がいつまでも続くという特徴があります。つまり時合をキャッチできれば、長く釣れる状態が続くことで釣果がアップすることにつながるのです。
さらに先ほど述べたように、長潮では魚が釣れないということで釣り人も少ない傾向にありますから、一人で時合を満喫することができるというメリットも期待できそうです。
ジギング
ルアーフィッシングの一種であるジギングは、さまざまな魚を釣ることができるということで人気の釣り方です。ジギングの場合も魚の活性が高いことで、釣果がアップできる確率があがるため、長潮のときは少し不利かもしれません。
そのため、長潮の時にジギングで釣りをする場合は、エサとなる小魚が動いているかがポイントとなります。小魚が動いていれば、ジギングの対象となる魚は捕食行動に入るので、それが釣れる可能性が高まります。
長潮の時は全体に魚の活性が低いので、ゆっくりと攻めるようにするのがおすすめです。スロージギングと言われる、ゆっくりめペースの釣り方で魚にアピールしてみましょう。
投げ釣り
初心者の方が気軽にチャレンジできる「投げ釣り」の場合も、魚の活性が低い長潮はなかなか釣れないことが多いと言われます。やはり投げ釣りの時も潮の状態は釣果に影響を及ぼすのです。
長潮で投げ釣りをする場合にポイントとなるのが、「マヅメ」や「上げ三分、下げ七分」と言われるものです。釣りをする方なら聞いたことがあるでしょうが、このタイミングは一日の中でも釣果があがりやすいと言われます。長潮でもこれは有効です。
長潮で投げ釣りをする場合は、この釣果があがりやすいタイミングを狙います。加えて先ほどのジギングの場合と同様に、ゆっくりめに攻めていくのがコツです。もしうまく魚が釣れたら、その場所に固まっている可能性が高いです。
バス釣り
長潮というのはあくまでも海の潮の動きですが、バス釣りのような淡水の場合はどうなのでしょうか。基本的に日本のバス釣りは淡水で行うため、長潮についてはほとんど考える必要はありません。
潮に関係するという点では、バスの産卵期に関して、バスは大潮の時期に岸に寄ってくると言われており、この時期を狙うことが大きなバスを釣るコツの一つとは言われます。
ですから、どうしても長潮の時しか釣りに行けないという場合、淡水釣りに行けば釣果が期待できるという可能性もあります。釣り方のコツなどもふだんとそれほど変わりないでしょう。
長潮で釣れるおすすめの魚
では次に、長潮の時に釣れる可能性が高い魚の種類について紹介します。長潮の時はなかなか魚が釣れないため、敬遠する方が多いのですが、魚の種類や釣り方によっては長潮でも釣果を上げられる可能性があります。
では、長潮の際に釣果が期待できる魚と、その釣り方のコツにはどのようなものがあるのでしょうか。いくつか紹介していきましょう。
アオリイカ
初心者にも人気の高いアオリイカですが、実は長潮や若潮の時によく釣れるという口コミが見られます。理論的にいうと大潮や中潮でエサであるベイトフィッシュの活性があがるとアオリイカも釣れるということになりますが、そう簡単ではなさそうです。
なぜかというと、アオリイカの釣り方であるエギングの場合、潮の流れが早すぎて、ボトムが取れない、ラインが流されることがあるため、逆にアオリイカが釣れないこともあるようです。
アオリイカの場合、狙い方としては、大潮、長潮などよりも、潮の変化が起こる時間帯、つまり時合などのタイミングでよく釣れるという説があります。ですから長潮でもこのコツがつかめれば、十分に釣果が期待できそうです。
メバル
アオリイカ同様、メバルもどちらかというと大潮は釣り方の難易度が高い魚と言われます。メバルの場合ももちろん潮の流れがあるほうが活性があがるのですが、大潮だとその流れが早すぎるのです。
メバルは軽めのジグヘッドを使うため、大潮だと流れやすいですし、しかもメバルそのものも浮きにくいため、特に初心者の方の場合は大潮ではコツが難しいようです。
ただ、長潮の場合はその釣り場によっても状況が違うため、行ってみないと様子がわからないということもあるということです。まずは行ってみて、そして潮の変化のタイミングを捕まえるのが狙い方のコツです。
ヒラメ
長潮でよく釣れる魚として、ヒラメも人気です。実はヒラメは潮の満ち引きに合わせて岸に寄ってくるという特徴があります。長潮では潮の動きが小さいため、岸に寄ってきたヒラメがそこから移動しにくいからです。
また、一日を通しての潮の動きも小さいのでほぼ一日ヒラメのおすすめのタイミングが続きます。ゆっくりと時間をかけ、アプローチを続けるのがヒラメのコツです。
特に浅めの場所にはヒラメが寄ってきたあとエサを狙ってそのままいることが多いと言われます。浅瀬だとエサとなる魚が逃げられる場所が少ないためです。狙い方としてはこのあたりを中心に考えるとよいでしょう。
シーバス
長潮で狙いにくい魚として挙げられるのがシーバスです。シーバスは積極的にエサを狙い泳ぎまわる魚なので、エサが動きにくい長潮は釣れる潮の状態とは言えません。
長潮の際のシーバスの狙い方としては、ストラクチャーと言われる障害物があるところがおすすめです。シーバスは長潮の時、障害物などの陰にいることが多いです。
ストラクチャーのところにピンテールワームを使い、ゆっくりと投げ込んでやると、それに食いつくことがあります。狙い方のコツとしてはこの方法がおすすめです。
青物
同様に長潮ではちょっと厳しいと言われるのが青物です。青物は速い潮の流れを好む傾向にあり、長潮の場合は岸にあまり寄ってこないと言われます。そのため長潮の時にはなかなか釣れないことが多いです。
もし長潮の時に青物を狙うなら、より潮の流れが速く強い場所、具体的には防波堤の先端などに行くのが狙い方のコツです。これらの場所なら長潮でも潮の流れがあるため、青物がくる可能性が高くなります。
またもう一つ、逃してはいけないのが「朝マヅメ」です。この時間帯はエサとなる小魚の活性があがり、それを狙う青物の活性もあがります。つまりそれだけ釣れる可能性があがります。ぜひこの時間帯を逃さないようにしましょう。
長潮での狙い方・釣果アップのコツ
以上述べてきたように、基本的に長潮の時というのは潮の動きが小さいことから、なかなか魚が釣れない日と言われ、この日は避けるという方も少なくありません。
しかし魚によっては、この時の方が釣りやすいものもあります。また、同じ長潮の一日であっても、その一日の中には細かな潮の動きがありますから、それをとらえることが釣果アップのコツとなる場合もあります。
そこで長潮の時の魚の狙い方としてぜひ押さえておきたいポイントについて、次にいくつか紹介しておきます。これらがうまくいけば、長潮でも釣果アップの可能性が出てくるでしょう。
ポイントを絞って釣りをする
ここまで述べてきたように、長潮の場合は釣れる魚、釣れる場所などがある程度決まってきます。逆に言うとそのポイントをとらえるのが狙い方のコツとなると言ってもいいでしょう。
長潮の時に釣れない魚をやみくもに狙うよりも、長潮でも釣果が期待できる魚を狙うのも狙い方のポイントの一つですし、それらの魚がいる場所を狙うのも狙い方のコツと言えます。
長潮でも釣果が期待できる魚については前に紹介したので、次に長潮の一日の中で釣果があがる可能性のある時間帯やポイントについて紹介します。
上げ潮・下げ潮を見極める
いくら長潮の時には潮の変化が少ないと言っても、一日の中でも少ないながらも潮の変化があります。そしてこの潮の変化の時間帯こそ、長潮の時に釣果を出すことができるポイントとなります。
先ほど「上げ三分、下げ七分」と述べたように、同じ長潮の一日の中でも潮の変化がある時間帯は魚の活性があがります。「時合」などもそうです。そのようなタイミングに、魚がいる可能性の高いところに竿を投げれば、長潮でも釣れる可能性が高まります。
激流ポイントを見極める
長潮が釣れないと言われるのは潮の流れが少ないからです。ということは長潮の時でも潮の流れがあるところを見つけられれば、そこの魚は活性が高く、釣果が期待できることになります。
実は長潮の時も潮の流れがあるところの場合、大潮などの時には潮の流れが速すぎて、かえって魚が釣れないということも少なくありません。そのため、長潮の時のほうが自分のイメージ通りに竿を投げることができ、釣果につながるのです。
ふだんなかなかチャレンジしにくい激流ポイントでの釣りチャレンジに長潮はよいタイミングです。ぜひ積極的に狙ってみてください。
ベイトのいるポイントを探す
そもそも、いくら釣りの腕がある方でも、エサとなるいきものがいないところだと、魚が寄ってきませんから釣果は期待できません。長潮が釣れない理由もエサの動きが小さい、エサが寄ってこないからとも言えます。
ですから長潮での狙い方としてエサがいる場所、つまりベイトのいるポイントが見つけられるかは結果を左右する重要ポイントとなります。
防波堤の先端や常夜灯のところ、先ほど述べたストラクチャーなど、ベイトがいる可能性の高いところはいろいろあります。長潮で釣るなら、これらのポイントはぜひ押さえておきましょう。
長潮は獲物に合ったポイントを見極めれば釣果アップ!
魚が釣れないからという理由で敬遠されがちな長潮ですが、長潮の時の潮の状況や、それに順応している魚の種類などを知ることで、長潮でも釣果が期待できるところはいろいろあります。ぜひ長潮の特性をつかみ、釣果アップにチャレンジしてください。
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