チビチリガマとは？集団自決が行われた場所は心霊スポットでも有名！

ちょっと変わった沖縄の名所｢チビチリガマ｣を知っていますか?チビチリガマとは、沖縄読谷村にあるガマです。戦争の時、こちらのガマでは敵からに捕まるぐらいならと集団自決を行った悲しい歴史のある場所です。現在となっていは心霊スポットともなっており肝試しをやっている人もいるそう。今回はチビチリガマについてまとめました。

沖縄の言葉でチビとは尻、チリとは切るを意味するそうです。チビチリガマの名前の由来は、チビチリガマは浅い谷の底にあるのですが、その谷底を流れている細い川が最終的にどこへ流れていくのか分からないため、その名前がついたそうです。沖縄読谷村にあるチビチリガマは、戦争当時、集団自決を行なった場所として有名です。

2017年10月現在、遺族会の意思によりチビチリガマへ入壕することは禁止されております。しかし外から見学をすることは許されているので、見学をしつつ花を手向けたり、手を合わせて亡くなった人々へ祈りを捧げることは可能です。中には遺族の気持ちに反し心霊スポットとして肝試しを行なっている人もいるのですが、おすすめできません。

チビチリガマは、沖縄県読谷村波平地区の林の一角に存在します。アクセスをするには少し分かりづらい場所にあるのですが、車での行き方としては、国道58号線にある伊良皆の信号から県道6号線に入ります。そこから10分程度進みますと大当の信号があるので、そちらから県道を右側へそれ、北に向かって500メートルほど走ります。

北に向かって500メートルほど走ると、右側に赤瓦のトイレが見えてきますので、それを目印に行ってください。その建物周辺に車が数台停めることのできる駐車場があります。バスでのアクセスの場合、那覇バスターミナルから28番読谷線に乗車をし、大当バス停で下車します。所要時間は約1時間30分くらいでしょう。車の方がおすすめです。

住所:沖縄県中頭郡読谷村波平1153 電話番号:098-982-9200(読谷村役場)

チビチリガマで集団自決が行われた背景についてお伝えいたします。集団自決が行われた日は、太平洋戦争末期の1945年4月2日です。当時沖縄は、沖縄戦が行われており、読谷村にアメリカ軍が上陸し、読谷村を破壊しました。激しい攻撃の中、住民達140名はチビチリガマに身を隠し、奥行き50メートルほどのガマでひしめき合っていたそう。

戦争当時日本軍から言われ続けていたことは、｢アメリカ軍に捕まると虐殺される｣｢アメリカ軍は鬼だ｣ということ。そう信じ切っていた住民達はアメリカ軍に捕まり捕虜になるぐらいだったら自決した方が良いと考えていたそうです。4月1日に、チビチリガマの前に来たアメリカ軍達は、住民らを保護しようと出てくるよう呼びかけました。

住民達は恐怖のあまりパニックになりましたが、竹槍を持ち込んでいたことから、アメリカ軍は落下傘を使って降りて来たのだろうから(本当は浜から上陸をしていました。)人数も少ないだろうし、竹槍で十分戦えると考えたそうです。一部の住民は｢天皇陛下万歳!｣｢殺せ!｣などと叫びながらガマから飛び出してアメリカ軍にむかいました。

住民達は、7メートル以上上の崖上に立っていたアメリカ軍に向かって竹槍を突き出したものの、戦えるわけもなく、崖の上から手榴弾や銃の攻撃を受け、先頭の男性2名が撃たれてしまいました。アメリカ軍は立ち去る際に｢安心して出て来なさい｣という内容の紙と、缶詰やチョコレート、タバコを置いて行きましたが、誰も手にしなかったそうです。

4月2日になると、チビチリガマの中は過密状態となり、人々は皆酸欠状態となっていました。そんな中、アメリカ軍が再びガマの前に訪れ、出てくるよう呼びかけましたが、出て行けば殺されると思い込んでいる住民達は、誰も出て行きませんでした。そこで出て行けば、住民の命が助かったと思うと、何とも居た堪れない気持ちになります。

その後、一人の娘が母親に対し｢殺して｣と頼みました。母親は娘の首を包丁で刺し、息子も同じく殺しました。それをキッカケに自決する住民が続出してしまい、しまいには元日本兵がガマの中で火をつけ、煙と炎がチビチリガマの中を充満し、死者が多数出ました。しかしその中で、煙と炎の苦しさよりも撃たれて死のうと考えた者もいました。

そう考えてガマから出た住民達はアメリカ軍に救出され、都屋の収容所に移送され命が助かりました。チビチリガマでは、140名いた中、ガマで亡くなった人数は85名もいました。その亡くなった人々の年齢層は、過半数以上が12歳以下の子供であったそうで、3歳や5歳の小さな子供もいたそうです。とても心が苦しく悲しくなる話です。

チビチリガマ内では、毒薬を注射器に入れて、注射をによって亡くなった人が15人ほどいるそうです。注射を打たれた子供らは｢痛い、痛い｣と苦しんでいたそうですが、周囲の人々は、あんなに楽に死ねると羨ましがり、布団に火をつけて煙で死のうと試みた人もいるそうです。まさに戦争は人を狂わせてしまう、恐ろしいものです。

何故当時の人々は、集団自決をするまでに追い込まれないといけなかったのでしょうか。それは戦争の背景によるものです。当時の人々は沖縄に限らず、戦陣訓の「生きて虜囚の辱を受けず」という言葉がありました。当時の人々にとって死の選択は、恥ずかしいものではなく、むしろ死ぬのが当然で生き残る方が恥と考えられていました。

また戦争の時代、アメリカ軍は鬼であり、捕まると虐殺されると信じ込まされていました。捕虜になるくらいなら自決せよと教え込まれてもいました。人々は周囲の雰囲気に呑まれて、自分だけ生き残るのは申し訳ないという気持ちも強く、次々と自決に追い込まれたと考えられます。つまり国による洗脳が原因であったとも言えます。

沖縄読谷村だけではなく、沖縄には複数のガマがありました。アメリカ兵の襲撃に、住民と日本兵が一緒に逃げているガマ内で、日本兵にとって住民は居てほしくないな存在だっそうです。感情をコントロールできない乳幼児は、泣くとアメリカ兵に発見されてしまう可能性が高いため、ガマの中で日本兵が幼児の虐殺をしていました。

またガマの中では、母親に自分を殺すよう頼む娘の姿や、親が子供を殺す姿、自分で自分を殺す姿など、まさに地獄絵だったそうです。子供を殺す日本兵がいる傍らで、降参した沖縄の人々にに優しいアメリカ兵がいたり、自分達が信じていたものは何のか。何が正しくて何が悪なのか分からなくなる、それが恐ろしい戦争です。

読谷村にあるチビチリガマから南東に600メートル離れた場所にシムクガマがあります。チビチリガマと同様に、アメリカ兵がガマの前で住民達に出てくるよう呼びかけましたが、もちろん素直に出てくる者はいませんでした。チビチリガマと同じように、集団自決をしようという意思が広がり、子供の警防団員らが竹槍を持ち突撃しようとしました。

しかしその時、元ハワイ移民であった住民が止めに入りアメリカ兵と話をしたところ、抵抗をしなければ殺さないと言われたため、住民達にそれを話し説得したそうです。そのお陰で1000人もの住民達が自決を逃れガマから出ることができたそうです。チビチリガマとシムクガマの生死を分けたのは、相手と対話をしたかどうか、それだけでした。

前述した通り、沖縄読谷村にあるチビチリガマは、集団自決が行われた大変悲しい場所です。シムクガマのように、誰か一人でも英語が喋れる人がいて、アメリカ兵と対話をすることができたのであれば、こんなにも悲惨なことは起きなかったでしょう。戦争当時のアメリカ兵に対しての教育や洗脳はとてつもなく大きかったものと言えます。

沖縄の住民達は捕虜になって初めて、鬼だと言われていたアメリカ兵と接しました。教わっていたイメージとは裏腹に、水や食料をくれたり、優しく接してくれたり、怪我の治療をしてくれたりなど、当時の人々はどんなに驚いたことでしょうか。日本を信じ切っていた人々は、戦争によって考えを狂わされてしまいました。

現在のチビチリガマは、前述した通り、中まで入ることはできません。しかし観光スポットとして、外観だけ見学することが許されています。遺族の承諾を得れば中まで入ることが許されるそうですが、外観から見学をするだけで良いような気がします。現在のチビチリガマは、遺族の皆さんにとってお墓という存在となっています。

チビチリガマは、観光客にとっては見学するだけの観光地化されていますが、ご遺族にとっては親戚やご両親、祖父母などの家族のお墓にあたります。チビチリガマを見学する際には、亡くなった人々や、ご遺族の気持ちを敬う気持ちで訪れましょう。現在でも、錆び付いた包丁や鎌の刃等が当時のまま残されているそうです。

とても残念なことではありますが、チビチリガマでは集団自決が行われたこともあり、心霊スポット、肝試しの場所として有名になってしまいました。戦争によってそんな悲惨なことが起きてしまったので、心霊スポットとなってしまっていることに驚きはありません。しかし記憶にも新しい2017年9月に、肝試しを目的とした事件が発生しました。

沖縄県内に住む16歳から19歳の少年4人が、チビチリガマの中を荒らした事件がありました。チビチリガマで肝試しをしていたところ、気分が高揚し行なったそうです。何とも悲しいことだと思いませんか。沖縄に住んでいながらも、チビチリガマを巡る歴史を知らなかったと供述しているそうです。今は修復されましたが、酷い事件です。

チビチリガマへ車で肝試しをしに行った人の話によると、見学をして帰り際に車の窓を見ると、何者かの手跡がいくつも残っていたという話があります。何か他のものによる勘違いなのか、本当に亡くなった人達によるものなのかは分かりません。しかし肝試し目的で行くと、悪いことが起きそうなので、注意した方が良いのは間違い無いでしょう。

夜間にチビチリガマに行くと、何が起きるか分かりません。亡くなった人々の霊が沢山いたとしても、面白半分でくる人達を歓迎したいとは絶対に思わないでしょう。逆に怒りを覚えるかもしれないですし、余計悲しませてしまうかもしれません。若者は当時の歴史を知り、もっとじっくりと考える機会を持った方が良いでしょう。

チビチリガマへ肝試しをしに行った人の多くが言うこと、それは声が聞こえるということです。昼間に行って見学をするだけであれば何も無いことが多いのですが、夜間心霊スポットとして肝試しを目的に行くとろくなことがありません。子供の声が聞こえる、どこからともなく赤ちゃんの声が聞こえるなどという噂があるのは事実です。

チビチリガマは心霊スポット、肝試しの場所として有名ですが、お墓として存在している場所なので、何かあることは間違いありません。見学するだけならまだしも、冷やかし半分で遊びに行くことはおすすめできません。実際に当時の人々がとても苦しみ悲しみ、辛い思いをした場所なので、見学をする時は祈りを捧げてあげましょう。

チビチリガマとは、太平洋戦争の沖縄戦を代表とするような歴史深い場所なので、今後も決して風化をしてはいけないと言われています。歴史を忘れてしまうことは、当時の人々のことを忘れてしまうことと同じです。当時の人々が頑張ってきたからこそ、現在の平和があるはずです。風化をせずにこれからも大切にしていきましょう。

残念ながら心霊スポットとして有名な場所になってしまいましたが、沖縄へ訪れた際は、チビチリガマを見学し、手を合わせてみませんか。心が苦しくなってしまうかもしれませんが、亡くなった人々を敬うことは大切だと思います。あまり可哀想と思わず、安らかに眠ってくださいと祈りつつ、優しい気持ちで見学をするようにしましょう。

いかがでしたか?今回は、沖縄読谷村にあるチビチリガマについて一挙ご紹介いたしました。チビチリガマは大変悲しい歴史がある場所なので、少し行きづらいと思う方が多いかと思いますが、当時の人々のお墓でもあるので、亡くなった人を偲びつつ、手を合わせてみてはいかがでしょうか。あわせて沖縄観光もお楽しみください。