塩船観音寺は名所の一つ
青梅にある塩船観音寺は、古い歴史を持つ古刹の寺院です。古い歴史があるだけではなく、美しい花が見られることでも有名で、東国花の寺の一つにも数えられているほどです。そんな塩船観音寺でもっとも見どころが多いつつじ祭りの日程や見頃、アクセス方法などを紹介します。
塩船観音寺とは
塩船観音寺は京都の醍醐寺に連なる真言宗醍醐派の別格本山に位置づけられる寺院です。山号は大悲山といい、最初に述べたように東国花の寺百ヶ寺の三十三番札所であるほか、関東八十八ヶ所霊場、奥多摩新四国八十八ヶ所霊場の札所ともなっています。
塩船観音寺は古い歴史を持つ寺院ではあるのですが、特に花の美しい寺として知られており、つつじや紫陽花、彼岸花に萩、紅葉と、四季折々の自然が楽しめます。なかでもつつじの見事さは有名で、見頃の時期にはつつじ祭りも行われ、多くの参拝客が訪れます。
塩船観音寺はどこにある?
その塩船観音寺があるのは東京都青梅市塩船です。青梅市は東京の北西部、多摩地域にあり、青梅マラソンなどで知られたところです。この青梅市の青梅市役所などがある場所から少し移動したところに塩船観音寺はあります。
塩船観音寺へのアクセス
塩船観音寺は青梅にあるのですが、JRの駅からのアクセスは少し遠いです。徒歩でアクセスすることもできないことはないのですが、35分ほどかかるので、かなり距離があるからです。公共交通機関を利用してアクセスする場合は、JRの最寄駅からバスでアクセスするのがおすすめです。
塩船観音寺への最寄駅はJR青梅線の「河辺」駅です。平日のみですが、青梅ライナーも停車するので、時間が合うようであれば使ってもよいでしょう。塩船観音寺はこの駅の北口側にあります。河辺駅からはバスに乗りますが、西東京バス、都バスを利用することができます。
塩船観音寺に行くバスは西東京バスの河10、河11、都バスの梅77甲のバスが利用できます。いずれも河辺駅北口から出発します。最寄りのバス停は「塩船観音入口」です。ここで下車して徒歩で10分ほどで塩船観音寺にアクセスできます。なお、つつじ祭りが行われるGW期間は河辺駅からの臨時の直通バスも出るのでおすすめです。
塩船観音寺に車でアクセスする場合、最寄りICは圏央道の「青梅IC」となります。ICを降りてから約10分で塩船観音寺にアクセスできます。塩船観音寺には駐車場も3か所と整備されており、車でのアクセスの場合でも駐車場に困ることはあまりないでしょう。
この駐車場ですが、バス停に近い方から観音寺第二駐車場、観音寺第一駐車場、明王院駐車場とあります。このうち第二駐車場はつつじ祭りの期間は大型バス専用となります。合計で約200台の車を駐車することができるため、車でのアクセスでもさほど心配はいらないでしょう。
つつじ祭りの期間、そしてつつじの見頃の時期がちょうどGWに重なることが多く、この時はどうしても混雑します。加えてつつじ祭りの期間は駐車場が有料となる上、5月3日は例大祭も行われます。この時期は臨時バスも出ますので、もし心配ならば公共交通機関を利用してアクセスすることをおすすめします。
塩船観音寺の名前の由来
さて、塩船観音寺の由緒について紹介する前に、塩船観音寺の名前の由来を紹介します。地名が青梅市塩船ですが、これはもちろん塩船観音寺に関係して付けられた地名です。この「塩船」という名前を付けたのは、有名な行基だと言われています。
天平年間(729年から749年ごろ)、この地に行基が訪れた時のことです。この土地を見ると周囲が丘に囲まれていて、船のような形をしていることに気づきました。そこで行基はその土地の形を、仏が衆生を救おうとする願いの船「弘誓の船」になぞらえて「塩船」と名づけたということです。
塩船観音寺の由緒
もちろん塩船観音寺は行基が訪れる以前からこの地にあった寺院です。この寺院が開山したのは大化年間(645年から650年)のことだとされています。このころに若狭国の八百比丘尼がこの地にやってきて、紫金の一寸八分ほどの大きさの千手観音像を安置したのだそうです。
この八百比丘尼は人魚などを食べたことで長寿になった比丘尼のことを示すとされており、日本各地に八百比丘尼に関する伝説が残ります。若狭国というのはこの八百比丘尼が最後にたどり着いた場所とされています。いずれにしても、塩船観音寺はこの八百比丘尼の伝説が伝わる場所の一つということになります。
塩船観音寺はその後、前述した行基がやって来たりして、隆盛します。特に貞観年間(859年から877年)ごろには、安然という僧侶がこの地に12の坊舎を建立し、興隆を極めました。鎌倉時代には桓武平氏の流れを汲む武蔵七党の一派である金子氏の、室町時代には青梅・多摩方面に力を持つ三田氏の帰依を受けて栄えました。
塩船観音寺は花と歴史の寺
このように、塩船観音寺は古い歴史を持つ寺であり、多くの文化財が所蔵されている寺院です。その見どころについては次にいくつか紹介していきますが、どれも貴重なものであり、つつじ祭りの日程に合わせて訪れた時にはぜひとも建物や仏像といった見どころにも目を向けてみてください。
ちなみに、御朱印を集めている方には御朱印もいただけます。塩船観音寺では、3種類の御朱印をいただくことができるのですが、5月3日の例大祭の前後は準備のために新護摩堂弘誓閣のものがいただけない可能性もあります。もし御朱印をいただく予定の方はそのあたりを事前に確認したほうがいいかもしれません。
塩船観音寺の見どころ1:建物
まずはつつじ以外の塩船観音寺の見どころについて紹介します。まず一番の見どころといえるのが、国の重要文化財に指定されている建物です。塩船観音寺の建物の中で重要文化財になっているのは、本堂、仁王門、阿弥陀堂の3棟です。
この3棟はいずれも室町時代後期ごろに建立されたものであり、旧国宝保存法の国宝に、そして1950年には文化財保護法の重要文化財に指定されました。阿弥陀堂に関しては「新編武蔵風土記稿」に1610年の棟札があること、1962年の修理では内陣の部材から1641年の墨書が発見されています。
塩船観音寺の見どころ2:仏像
塩船観音寺の仏像もまた、古い歴史を持つ仏像とされています。中でも秘仏本尊とされている木像千手観世音菩薩立像は、像内に1264年、仏師の快勢、快賢らにより造立された旨の銘が刻まれています。そして1512年に塔頭十二坊の一つである杉本坊を願主として三田氏宗と子息政定らを檀那として修理が行われた旨の銘文が台座にあります。
この秘仏は、年に数回御開帳が行われ、その時だけは実際に見ることができます。GW期間中も例大祭前後の時期に御開帳が行われます。つつじ祭りに行く予定で、もしもこの秘仏も見たいという方は、御開帳の日程を確認して行くことをおすすめします。
また仁王門にある木像金剛力士像は、「新編武蔵風土記稿」に1184年に造立された旨の棟札があったと記載があります。また1533年に鎌倉仏師円慶により修理が行われた旨の修理棟札もつけられています。どちらの仏像も東京都の有形文化財に指定されています。
もう一つ、こちらも有形文化財指定されていますが、本尊の左右に木造二十八部衆立像が安置されています。二十八部衆像がこのように揃った最古のものは京都の三十三間堂ですが、塩船観音寺のものはこれに次ぐ古さのものとされ、23体が鎌倉時代の1268年から1288年の間に、5体が室町時代に作られたことがわかっています。
塩船観音寺の見どころ3:天然記念物
塩船観音寺は花と歴史の寺と言われますが、本堂に向かう途中の石段の斜面の左右に、一対の大きな杉の木があります。この大きな杉は観音寺の大杉(夫婦杉)と呼ばれ、東京都の天然記念物に指定されています。左のものが高さ約43メートル、幹回りが約5.7メートル、右が約40メートルに約6メートルというサイズです。
この杉の木は都内でも有数の巨木であり、大きな見どころの一つとなっています。杉は神聖な木として寺社の境内などに植えられることも多いので、そういった形でこの塩船観音寺に植えられたのでしょうか。夫婦和合などのご利益も期待できる見どころポイントの一つなので、つつじ祭りの日程によってはぜひ参拝しておきましょう。
塩船観音寺のつつじは有名
さて、ここまでは塩船観音寺の「歴史」に関わる部分を中心に見てきたのですが、ここからは「花」に関わる部分を紹介します。前述したように塩船観音寺には四季折々の花木があり、見頃の時期になるとたくさんの人々が訪れます。なかでも塩船観音寺のつつじは有名で、塩船観音寺を取り囲むように美しいつつじが咲き誇るのです。
塩船観音寺のつつじの見頃は?
この塩船観音寺のつつじですが、約15種類、2万本とも言われます。種類が多いため、早咲きのものから遅咲きのものまで揃い、見頃の時期が長いのもうれしいところで、つつじ祭りの日程はもちろんですが、その時期に都合が悪くても、日程を確認して見に行っても見頃が楽しめるのがうれしいところです。
とはいえ、その中でも特に見頃の時期はというと、やはりGW中ということになります。つつじは桜などよりも時期が遅く、GWでも5月の方がより見頃と言われます。ですから、つつじ祭りの日程でも、5月のほうがより人気が高いようです。
2017年の様子を確認すると、早咲きのつつじは4月初めごろから咲き始め、5月の初めに見頃を迎え、5月10日すぎごろまでつつじを楽しむことができたようです。その年の気候によって咲き始めの時期や見頃の時期にはずれが生じるので、目安としてつつじ祭りの日程を計画してみてはいかがでしょうか。
塩船観音寺のつつじ祭りの日程は
塩船観音寺ではつつじ祭りも行われます。これはつつじの開花にあわせて日程を決めるため、年によって前後するようですが、だいたい4月中旬から5月上旬ごろに行われているようです。見頃の時期になると赤や紫、ピンクや白のつつじが斜面一面に並び、目を楽しませてくれます。
ちなみにこのつつじの見頃の時期ですが、塩船観音寺のHPに毎年の開花状況が載っています。これを見ると早い年は4月下旬から、遅い時期は5月上旬からが最盛期となっているようです。塩船観音寺のつつじは種類が多いため、中咲きのものが咲く時期まで含めると、平均して2週間前後見頃が続くようです。
なお、このつつじ祭りの日程の間、つつじの維持管理のために入山料がかかります。つつじ祭りの前の時期でも早咲きのものは咲いていますが、やはり見頃の時期のカラフルなつつじは見逃せないものではないでしょうか。うまく日程を考えて計画を立ててください。
塩船観音寺のつつじの見どころは?
それでは、塩船観音寺のつつじの見どころをいくつか紹介していきます。塩船観音寺の場合、その地名の由来のところで触れたように、寺の周囲が丘になっていて、そこにつつじが植えられています。そのため、特に見頃の時期になると360度一面につつじが咲き誇るという姿が見えます。これこそが一番の見どころと言えるでしょう。
斜面になっているため、近くで見ようとするとどうしても斜面を上り下りする必要があります。でも通路などあちこちにベンチが用意されているので、休憩を取りながら歩くことができます。疲れたらちょっと座ってつつじを眺めて、のんびりと見て歩くのもおすすめです。
日程の中で特にもりあがるのが5月3日です。前述しましたがこの日は例大祭が行われ、その中で「紫燈護摩・火渡荒行修行」というイベントがあります。これは正月からの護摩行の仕上げなのですが、焚かれている護摩の上を素足で歩くのです。参拝客も参加できるということで、無病息災、商売繁盛を願い、参加する人で盛り上がります。
また、塩船観音寺では、2010年に開創1350年を記念して、丘の頂上に「塩船平和大観音像」が建立されました。この大観音像のところに行くとちょうど上からつつじを見ることができます。さらに丘の上なので、青梅の街並みも見ることができるのです。塩船観音寺に行ったらぜひこちらからの眺望も楽しんでください。
このように、塩船観音寺のつつじは高いところからの眺望も、下のほうから見上げるように見える眺望も楽しむことができるというメリットがあります。寺院の参拝が済んだら、ぜひいろいろな場所からのつつじの美しさをゆっくりと堪能してみましょう。
塩船観音寺のつつじを楽しもう
塩船観音寺は花と歴史の寺という名にふさわしく、多くの見どころがある寺院です。特に一面に咲く見頃のつつじは美しく、全方位に見えるその姿は圧倒されるほどのカラフルさです。今年のGWは、塩船観音寺で美しいつつじをゆっくり堪能してみてはいかがでしょうか。
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