奈良県の興福寺!阿修羅像を見に行こう!
奈良県奈良市には、奈良時代に「平城京」という都がありました。784年に遷都するまでの半世紀余りの間、奈良市が日本の中心だったわけですね。そんなわけで現在も奈良市には、奈良時代以前の建物や遺跡が多く残っているんです。
登大路町(のぼりおおじちょう)の「興福寺(こうふくじ)」もそんな奈良時代に建てられたお寺の一つです。興福寺は古いだけでなく貴重な文化財や国宝が多く残る、奈良屈指の人気観光地なんですよ。そこで今回は、興福寺の観光方法や見所、拝観料や御朱印情報などをご紹介。ぜひ興福寺へ観光し、国宝や文化財に触れる思い出を作ってくださいね。
興福寺ってどんなお寺?
興福寺は、「法相宗(ほっそうしゅう)」という奈良時代に大きく力を持った宗派のお寺です。また、日本の法相宗のお寺の総本山でもあります。興福寺は、藤原氏の祖である「藤原鎌足」の病気が治ることを祈願して作られたお寺「山階寺(やましなでら)」がもとになっていると考えられています。
鎌足の子孫が奈良の都で勢力を持つようになると、興福寺もまた大きな勢力を持つようになりました。藤原氏の関係が深いことで、たくさんの貴族や有力者との繋がりが生まれた興福寺は、この地に都があった奈良時代はもちろん、都が京都に移った平安時代以降も、奈良だけでなく近畿全土に大きな影響力を持つ寺社となっていったんです。
しかし、明治時代になると状況は一変。廃仏毀釈の思想が全国に広まったために、お寺の面積は縮小され、一時は廃寺寸前まで落ちぶれたといいます。しかし、明治の中頃には復興を許され、また人気観光地として注目され始めたため、現在のような整備された姿を取り戻すことができました。
興福寺は現在、日本の重要なお寺というだけでなく、世界遺産にも登録された世界的に有名な観光地となっています。奈良時代当初の貴重な建築物や仏像が残る一方、廃仏毀釈のときに壊された施設も改装が着実にすすんでおり、往時の華やかな姿を取り戻しつつあります。今後ますます多くの人を引き付けるお寺となっていくに違いありません。
興福寺へのアクセス方法!
興福寺についてのご説明はこのくらいにして、ここからは興福寺へのアクセス方法のご紹介に移りましょう。興福寺に電車を使ってアクセスするのなら、近鉄奈良線を目指しましょう。JRから近鉄への乗り換えは、「なんば」駅や「鶴橋」駅などから可能です。
興福寺は近鉄奈良駅の東にあるので、東出口から外に出るとスムーズにアクセスすることができそうです。近鉄への乗り換えなしでアクセスするのなら、JR「奈良」駅前からバスを利用するといいでしょう。奈良交通バスの市内循環系統に乗り、5分ほどで到着する「県庁前」というバス停が最寄りのバス停です。
車でアクセスする場合、一番近いインターチェンジは第二阪奈有料道路「宝来」インターチェンジです。また、西名阪自動車道「天理」インターチェンジ、京奈和自動車道「木津」インターチェンジも利用しやすいです。いずれにせよインターチェンジからは県道369号線を目指しましょう。
興福寺周辺のおすすめ駐車場は?
興福寺には、国宝館の南に参拝客用の駐車場が用意されています。しかし、収容台数は46台と、世界遺産にしては少々手狭です。もちろん行楽シーズンになると満車になってしまうことも珍しくないので、その場合は周辺の駐車場を探す必要があります。
付近には、興福寺の駐車場も含めて1日1000円ほどで借りることができる駐車場が多いです。駐車場によっては1時間ごとに料金が加算されていくシステムだったり、夕方には出車できなくなってしまうところもあります。停める前によく確認しましょう。
興福寺の拝観方法や拝観料の注意事項
実は、現在の興福寺は奈良公園の一部になっています。これは、もともとあった境界が廃仏毀釈のときに破壊されたため。奈良公園は非常にオープンな公園で、拝観料も必要ありませんし、何時から何時までは立ち入り禁止と言った規則もありません。そのため、興福寺にも拝観料は必要ありませんし、拝観時間もそれほど気にしなくて大丈夫です。
ただ、これは興福寺の「外側」のお話。国宝や文化財、貴重な仏像がたくさん置かれている施設内を見学する際は、拝観料が必要です。拝観料や参拝時間は、各施設をご案内するときに詳しく説明します。
また、奈良公園にはみなさんご存知の通りたくさんの鹿がいます。鹿が食べてしまう可能性があるので、ごみのポイ捨ては厳禁。鹿を刺激しないよう、べたべた触ったりびっくりさせたりしないように注意しましょう。
興福寺の見所1.
国宝がたくさんの国宝館
さて、ここからはいよいよ興福寺の見所についてご紹介していきます。まずは興福寺を語る上で欠かせない「興福寺国宝館」から見ていきましょう。興福寺には有名な阿修羅像をはじめとしたたくさんの国宝がありますが、国宝館は名前の通りこれら国宝がたくさん収められている施設です。
国宝館は五重塔の北にあります。もともとは僧侶たちが食事をするための場所としてつくられた建物で、地上に出ている部分は新しく作り直されていますが、地下には奈良時代当時の建物がそのまま残されています。
国宝館には、三つの顔に三対の腕を持つ「阿修羅像」、もともとは山田寺にあったものを再利用した「興福寺仏頭」などの国宝や、「阿弥陀如来像」などの重要文化財などが展示されています。特に阿修羅像は有名で、日本史の教科書で見たことがあるという人も多いはず。
こちらが有名な興福寺の阿修羅像です。古びてはいるものの保存状態もよく、細部までしっかりと装飾が施された、りっぱな立像であることがわかりますね。有名な仏像だけに、なんと御朱印帳やグッズにも登場しているんですよ。
阿修羅像や仏頭と言った、興福寺を語る上で欠かせない宝物がぎっしりつまった国宝館ですが、耐震工事を行うため、2017年はまるまる1年間休止しています。そのため、阿修羅像など普段国宝館で展示されている宝物を見たい場合には、春と秋に開催予定の特別展に足を運ぶ必要があります(ただし、興福寺仏頭のみ「東金堂」で展示されます)。
阿修羅像などが展示される、「興福寺国宝特別公開」は3月15日(水)から6月18日(日)と、9月15日(金)から11月19日(日)の期間に開催予定です。期間中は毎日9時から17時まで展示を見ることができます。会場は普段はいることができない「仮講堂」。拝観料は900円です。
興福寺の見所2.
八角形の南円堂
続いては、赤い壁がオリエンタルな雰囲気を醸し出す「南円堂(なんえんどう)」をご紹介しましょう。南円堂は平安時代に作られ、江戸時代に再建された「八角円堂」と呼ばれる形をした建物です。
普段は入ることができませんが、毎年10月17日にのみ特別公開されます。この特別公開のときには、国宝かつこの南円堂のご本尊である「不空羂索観音像(ふくうけんじゃくかんのんぞう)」が登場します。10月17日の特別公開は9時から17時まで。大人300円、高校生以上200円、小学生は100円の拝観料を払うことで入場することができます。
興福寺の見所3.
興福寺で最も古い施設・北円堂
南円堂から北へ進むと、道が少しずつ上り坂になっていきます。坂を上り終えたあたりにある、南円堂に似た八角形の建物が「北円堂(ほくえんどう)」です。実は北円堂は鎌倉時代に作られたもの。現在見ることができる興福寺の建物の中で、最も古い建物なんです。
GW最終日。北円堂特別開扉は本日まで。東博・運慶展出陳の関係上、
— 夛川文彦 Fumihiko Tagawa (@Fumi1019kfj) May 6, 2017
秋の公開はありません。見逃すと来年春まで堂内は見られないので、
是非お運び下さい。 #興福寺 pic.twitter.com/QVdnPnSg9Z
北円堂も、南円堂と同じく普段は中に入ることはできません。しかし、毎年春に特別公開が企画されます。2017年の特別公開は、4月22日(土)から5月7日(日)が予定されています。この特別公開時には、北円堂内部だけでなくご本尊の「弥勒如来坐像」や「世親菩薩立像」をも拝観することができます。毎日9時から17時まで入ることができ、拝観料は大人300円、高校生以上200円、小学生が100円です。
興福寺の見所4.
内部拝観可能!東金堂を見逃すな
次にご紹介するのは、国宝館と並んで興福寺最大の見どころと言ってもいい「東金堂(とうこんどう)」です。こちらにも国宝館と同じくらい貴重な国宝が多く展示されているんですよ。特に有名なのは、ご本尊の「薬師如来像」、その左右に控える「日光・月光菩薩像」でしょう。ほかにも尾四天王像や十二神将像など、国宝がずらりと並びます。
内部だけでなく、建物の外観も奈良時代の「天平文化」を色濃く反映したもの。建物そのものも国宝ですので、ぜひ注目してみてください。東金堂の営業時間は、毎日9時から17時。拝観料は大人が300円、高校生以上200円、小学生が100円です。
興福寺の見所5.
とっても大きな五重塔
興福寺の敷地内で、ひときわ大きく目を引くのが「五重塔」です。五重塔は、仏教の世界観を表現する芸術作品としての役割と、お釈迦様のお墓としての役割を持ちます。興福寺の五重塔の特徴は、その際立った大きさ。なんと50メートルもあり、ほんとうに見上げるような高さです。
それもそのはず、興福寺の五重塔は日本のお寺にある五重塔の中では、2番目に大きなものなんです。内部には貴重な仏像が置かれていますが、残念ながら非公開ですので見ることはできません。とはいえ、五重塔自体も国宝ですし、その圧倒されるような大きさも魅力的。五重塔内部に入ることはできなくとも、十分に楽しめる施設であるはずです。
興福寺の見所6.
仮講堂もチェックして
北円堂の向かいにある建物「仮講堂」もまた、ぜひ足を運びたい施設です。仮講堂は、もともとは普通に「講堂」と呼ばれていました。しかし、江戸時代に起きた火災によって無くなってしまいます。これまで興福寺は何度も火災にあいましたが、そのたびに地元の人々や有力者の支援によって復活を遂げていました。しかし、江戸時代には有力な庇護者だった藤原氏などの貴族は力を失い、興福寺に対して支援を行うことはできませんでした。
今日やっと興福寺の仮講堂行きました。何かオールスターって感じでした:bangbang:ご朱印を貰うところで、ニ諦坊さんの話をしていただきました。 pic.twitter.com/ynspeMe6aJ
— 除夜の鐘 (@yrZWehTEqlWMIPI) May 7, 2017
そのため、完全な「講堂」を作るにはお金が足りず、やむを得ず「仮講堂」として少し小さな建物を作りました。これが、現在見られる仮講堂の姿なんです。仮講堂が講堂として復活することは、興福寺の悲願だったわけですね。最近、ようやく講堂として作り直す準備が整いつつあり、新しい講堂を2018年に完成させるめどがたっています。そんなドラマチックな経緯を持つ仮講堂も、ぜひ観光してくださいね。
興福寺の見所7.
猿沢池の絶景を見逃すな
興福寺の南には、澄み切った「猿沢池(さるさわのいけ)」という池があります。ここも、興福寺を観光する際はぜひとも足を運びたいおすすめスポットです。仏教には、「生き物を憐れむ」、「生き物をみだりに殺さない」というルールがあります。このルールを守るため、毎年ほとんどのお寺では「放生会(ほうじょうえ)」というお祭りを行います。
具体的に言えば、鳥かごの中にいる鳥を逃がしたり、魚を池へ放流したりするんですね。猿渡池は、この放生会のときに、魚を逃がすために作られた池なんです。この猿沢池は、ちょうど興福寺五重塔の南にあります。前述のとおり興福寺の五重塔はとても大きいので、猿沢池にしっかりと映るんですね。この光景は、興福寺を代表する絶景のひとつなんですよ。
猿渡池はそれほど大きな池ではありませんが、池の周りに植えられた柳やのんびりと日向ぼっこする亀たちが雰囲気を盛り立ててくれます。水面に映る五重塔を眺めながら、ぼんやりするのにうってつけのポイントですね。
興福寺の見所8.
御朱印やお守りも忘れずに
神社やお寺を語る上では欠かせない御朱印やお守り。興福寺にもオリジナルのお守りや御朱印帳が売られていますし、御朱印も書いていただけますので、御朱印やお守りを集めている方はぜひ足を運んでください。
興福寺には国宝館や東金堂など様々な施設がありますが、実は施設ごとに書いていただける御朱印は違うもの。御朱印ハンターは見逃さないようにしましょう。また、オリジナルの御朱印帳にも注目。興福寺の五重塔がデザインされたものや、阿修羅像の服に刻印された模様がデザインされたものなどユニークなものがたくさんあります。
興福寺
— 海月水母 (@mituki_mimo) April 29, 2017
2015/05/29 ☆☆☆★★
阿修羅像の着衣の紋様をあしらっているデザイン。お寺用御朱印帳の2冊目。#御朱印 #御朱印帳 #御朱印マップ https://t.co/pFMcc2saCz pic.twitter.com/54mlaQKu72
お守りもやっぱりユニーク。興福寺は「幸福寺」ということで、幸福のシンボル・四つ葉のクローバーをあしらったお守りや、阿修羅像のシルエットが描かれたお守りなどが売られています。
興福寺の見所9.
興福寺限定グッズも必見
様々な仏像や文化財、国宝級の宝物をたくさん所有している興福寺は、それらをモチーフとしたグッズの開発にも力を入れています。阿修羅像のTシャツやタオル、代表的な国宝の写真がぜいたくに使われたクリアファイルなど、まちがいなく興福寺でしか手に入れられない限定グッズがたくさんあるんですよ。お守りや御朱印帳に加え、これらのグッズからも目が離せません。
奈良時代の趣が今なお残る興福寺!
興福寺は何度も火災や災害にあっており、奈良時代当時の建物はほとんど残されていません。しかし、地元の人々や信仰心が篤い人々の支援によって再生され、現在に至るという経緯があります。修復された建物も、多くが奈良時代当時の姿を忠実に再現しており、天平文化の面影が今に残っているといっていいでしょう。
普通に敷地内を歩くだけなら拝観料はかかりませんし、国宝館や東金堂には拝観料を払ってでも見る価値のある見所がいっぱい。奈良県を観光する際は、ぜひ興福寺にも足を運んでみてくださいね。
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