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北海道登山の悩み「熊」
北海道は日本の登山ブームでは大人気の場所であり、毎年多くの人が訪れます。そんな魅力的な観光地ですが、北海道には本州にはいない熊、ヒグマが存在します。
熊はぬいぐるみにもなっている人気の動物の一つですが、北海道ではその存在は可愛い動物ではなく、時には命の危険になるほど恐ろしい存在なのです。そのため、北海道では熊対策がとても重要です。
魅力的な北海道の登山
北海道は世界遺産に登録された知床をはじめ、観光にもおすすめの登山スポットが多いです。北海道の登山は上級者向けだと思っている人もいますが、夏等は涼しく初心者におすすめの場所も多いです。
北海道には日本の本州にはない珍しい植物もありますが、エゾジカ等の珍しい野生動物が見れることも魅力的です。広大な自然の中でのびのびと過ごす動物たちの姿は、動物園では決して見ることのできない自然ならではの趣を感じます。
しかし、北海道の自然は美しく素晴らしいだけではありません。登山も寒さ対策を怠ると季節によっては命にかかわります。北海道の登山は魅力が多く、初心者にもおすすめですが、きちんとした対策も必要なのです。
北海道の登山ルートには上級者向け、初心者向けと難易度の違うルートがありますが、熊への対策はどのルートでも同じように必要になります。
北海道の熊生息エリア
本州でも熊の出没はあります。そのたびに捕獲し、山の奥に追い返されるか、射殺されることがあります。一般的に本州の熊の出没は登山や山菜狩りなどの山の奥で襲われたという事件が多いです。
北海道の熊の生息エリアは知床が主だとされています。しかし、知床は最も多い数がいると言われていますが、出没地域は北海道全域にわたります。山の中だけでなく、人の住む場所に熊が出没することがあるのです。
熊の出没は札幌市などの北海道の人口密集地でも確認されていて、恐ろしいことにどこでも出会う可能性があるのです。登山ではなく観光で来ていても、注意喚起のない場所に出没する可能性があります。
登山で訪れた人はもちろん、山のそばに観光に行く時には、事前に熊出没情報がないか確認をするのがおすすめです。せっかく観光に来たのだから、と危険を冒してしまうと命に関わる事態になり、観光どころではなくなってしまいます。
本州と北海道の熊の違い
北海道に生息する熊はエゾヒグマと呼ばれる種類の熊です。北海道以外にも朝鮮半島や中国の北東部にも生息しています。世界にはエゾヒグマと同じ、ヒグマが多く存在しています。
本州に生息しているのはツキノワグマと呼ばれる熊です。ツキノワグマも本州では出没すると大きな被害が出るため危険な存在ですが、北海道に住む熊とは大きさが違います。
本州の熊の大きさが120cmから145cmなのに対し、北海道の熊は190cmから230cmと、大人と子供ほどの差があります。これは、寒い地域に生息する動物の方が身体が大きく進化したためです。
また、本州のツキノワグマは体毛が黒く、胸の下に三日月のような模様がある、エゾヒグマの方は茶色っぽい体毛をしている、などの色の違いもあります。
本州のツキノワグマは草食がおもなので、人を食べるために襲うことはあまりないと言われています。しかし北海道のエゾヒグマは鹿などの動物も襲って食べるため、人間を食べるために襲ってくることがあります。
大きさの差や食性の違いはあれど、遭遇した時の危険性は北海道の熊も本州の熊も大差はありません。ニュースでは撃退したという人が取り上げられますが、それはあくまで運が良かったからです。動物が本気で襲って来れば人間は必ず負けます。どちらの熊も遭遇しないことが一番安全です。
北海道に生息する熊の危険性
日本には動物園でも熊が飼育され、北海道をはじめ青森など熊を展示したクマ牧場があり、愛らしい姿を見せてくれます。そのため、熊の生息地域から離れると、熊は人懐っこく愛らしい動物だと思っている人も多くいます。
しかし、熊を安全に見ることができるのは、徹底された管理下での飼育が絶対条件です。2012年4月20日に秋田県にある秋田八幡平クマ牧場では脱走した熊に襲われた女性飼育員が2名死亡する事件が起きました。
脱走したヒグマは餌の量が減らされていて空腹状態にありました。毎日世話をしてくれていた飼育員であっても、お腹が空いた熊にはシカやウサギと同じように、食料にしか感じません。
自然に生きる熊は過酷な環境を生き延びています。人間と遭遇した時、お腹が空いているかもしれません。怪我をしていて苛立っているかもしれません。子供を連れていてとても警戒しているかもしれません。そんな時に人間が近くにいれば、熊は敵だと思って襲い掛かってきますし、ご飯だと思って食べようとします。
熊と戦ってきた北海道の歴史
現在、北海道の自然を舞台にした漫画が人気になり、北海道の熊の恐ろしさを知った人も多いです。北海道は日本の開拓地であり、その頃から開拓民は寒さや雪だけでなく熊とも戦ってきました。
明治2年から始まった北海道の開拓は、当時の人々にとっては困難なことでした。寒さだけでなく、人を襲う熊とも戦ってきた人々は知恵を絞って、周りと協力し合って、熊から身を守ってきました。その中で大正4年に起きた「三毛別羆事件」は最も恐ろしい熊との戦いだったと、今でも語り継がれています。
熊は農作物を荒らすだけでなく、人も襲って食べる危険な存在でした。多くの人が犠牲になり、北海道は多くの人が住める場所になっていきました。
その熊との戦いは終わったことだと済ますことができません。北海道の登山は当時の人たちと同じように銃もなく丸腰で熊と遭遇する可能性があるのです。
住宅地にも出没するのですから、登山ではより熊の出没の可能性が高くなります。登山での熊対策は、熊に会わないことが一番重要になってきます。
北海道登山で起きた恐ろしい熊事件
北海道での登山で、熊がどれほど恐ろしい存在か日本中に知らしめた事件は、福岡大学の登山同好会の大学生たちがクマに襲われた「福岡ワンダーフォーゲル部ヒグマ襲撃事件」だと言われています。
1970年7月、北海道日高郡静内町、現在の新ひだか町静内高見の日高山脈カムイエクウチカウシ山で3人の大学生が熊に襲われ死亡しました。
熊の存在を身近に感じたことがなかった人たちは「動物は人間を恐れる」「動物が人間を襲うことはめったにない」と思っていました。この事件によって登山を楽しむ人たちは熊の存在に気づいたらすぐに山を降りなければ命が危ないという認識になりました。
間違いだらけの熊対策
熊は死体を食べないので、遭遇したら死んだふりをすればいい、というのは長く日本で言われてきた熊への対策でした。しかしこれはまったくの間違いで、熊は死肉も食べるので、死んだふりをしてもそのまま食べられます。
大きな音が嫌いなので熊を追い払う時は大きな音を叩けば逃げて行く、というのもありますが、これも間違いです。熊が自分の縄張りだと意識している場所に入ってきたときは、立ち去らずに音を立てれば逆に襲ってくることもあります。
熊は火を恐れるので、近づいてきても薪があれば大丈夫。そう思って熊がいるのを確認しても立ち去らずに、テントを張ってたき火で追い払おうとした人もいますが、熊は火を怖がりません。動物の中でも珍しく、熊は火を恐れず襲ってきます。
過去に登山ルートで熊に遭遇した時、今までせっかく登って来たのに頂上に行かずに帰るのなんて勿体ないと、そのまま登ろうとして熊に襲われた人がいます。
熊の縄張りに入って来た、食べ物の匂いをさせていた等、様々な理由で熊は人を恐れず襲ってきます。北海道に限ったことではありませんが、北海道は最も熊の出没地域が多い場所。熊対策を怠って亡くなる方はいまもいます。
北海道登山での熊要注意エリア
北海道の自然に一歩足を踏み込めば、それだけで熊出没の確立は各段に上がり、熊と遭遇する危険性は上がります。山の奥に行けば行くほど、熊の生息域には近づきます。
どの登山ルートが熊が出ない。どの登山ルートなら安全ということは決してありません。そのため北海道の登山では熊への注意が必須になります。
観光地として有名だからといって安心できません。北海道の自然では常に熊と遭遇する危険が付きまといます。
羊蹄山麓は北海道の中で登山ルートとして有名で初心者にも人気の登山ルートが多くあります。この周辺でも熊の目撃情報が多く、熊への対策は怠れません。
特に熊の「繁殖区域」とされている山での登山は注意が必要です。熊がそこで子熊を産み、定着している区域では特に熊が出没する危険性が高いのです。
北海道での登山は、道のりの険しさと寒さ対策、そして熊への対策が重要になってきます。熊への対策を怠って怖い目に遭ったと言う人は多いです。
最も熊が出る登山ルート「日高山脈」
北海道で人気の日高山脈には主に四つの登山ルートがあり、初心者から上級者までおすすめの登山ルートがあります。どの登山ルートも美しい自然が見えるため、観光にも人気の場所です。
日高山脈の雄大な自然は北海道一押しの観光スポットですが、熊の出没も大変多く、登山を楽しむ人の間では「熊牧場」と揶揄されるほど熊との遭遇の危険が高い場所です。
日高山脈での登山は熊と遭遇して引き返すことも多くあります。せっかく来たんだからと無理に登りたくなりますが、せっかく福岡から北海道まで来たんだと無理をして登った大学生グループが熊に襲われて3人の死者が出た事件「福岡ワンダーフォーゲル部ヒグマ襲撃事件」が起きた場所なのです。熊を避けないことは最も危険な行為です。
登山ルートでの安全な過ごし方
北海道登山は熊との遭遇の危険が常に付きまといます。しかし、実は登山する人で熊に襲われた人は、熊に襲われた人の中でも少ないと言われています。
北海道では熊に襲われるのは登山者ばかり、ということは決してなく、熊への対策を十分実施している登山者の方が安全に登山を終え、山菜取りなどで不意に熊と遭遇してしまい危険な目に遭ってしまう人のほうが多いのです。
北海道登山は二人以上で
北海道で登山をするときに、初心者は北海道登山に慣れた人に同行してもらうのがおすすめです。北海道の自然に見とれて熊への注意を忘れてしまう、なんてことも少なくなります。
また、北海道登山に慣れた人は熊の痕跡も気づきやすいので、熊と遭遇する危険が下がります。どんな登山ルートでも熊に遭う危険があるのなら、最大限熊に遭遇しないよう努力をすることが大切です。
登山に慣れた人でも、熊との遭遇や熊を見つけた時には正常な判断ができなくなってしまうことがあります。そのため、北海道ではなるべく二人以上での登山が推奨されています。
北海道熊対策1:熊の痕跡を見逃さない
北海道のホームページには、熊の情報は分かりやすく公開されています。熊の出没情報だけでなく、熊の痕跡も初心者や動物に詳しくない人にも分かるように写真付きで公開されています。
熊の残す痕跡は、足形やフンです。クマのフンは量が多く、匂いでもわかるので、足形よりも見つけやすいです。
熊に詳しい人は、熊の匂いに気づく人もいます。熊がそばにいた時は、何とも言えない獣臭がすると言われています。熊の痕跡が近ければ、下山も考えなければなりません。
北海道熊対策2:出没時期には近づかない
熊が活発になる時期や、気性が荒くなる時期、そして時間帯があります。熊は薄暗い時間帯に行動することが多いです。そのため、早朝や夕方に山に入るにはいつも以上に注意が必要です。
また、雨や霧の時など、視界が悪いときは熊を見つけることができません。うっかりと鉢合わせてしまう可能性があります。視界が悪いときは通常の登山以上に注意が必要になり、慣れない人は無暗に登山を続行するのはとても危険です。
登山をしているときに視界が悪くなってきたときは、状況をみて下山をすることも必要です。熊との遭遇の危険性だけでなく、遭難する危険もあります。
熊は子熊を連れた母熊が最も危険だと言われています。子熊を外敵から守るため、母熊はとても気性が荒くなっています。可愛いからと言って子熊に近づいたり、親子連れの熊を見ていると襲われる可能性が高くなります。
冬眠から空けた春は、熊の出産、子育ての時期でもあり、お腹を空かせて気が立っていることが多いです。北海道では最も熊に対して注意が必要な時期になります。
北海道熊対策3:熊を見たら引き返す
どんなに熊に対する対策をしていても、注意をしていても、熊の行動範囲はとても広く人間に見つかってしまうことがあります。そんな時は眺めたりせずに、登山を中断して下山しなければなりません。
北海道の観光では美しい自然を堪能するコースもありますが、野生の熊を観に行くというコースはありません。それほど熊は俊敏で足が速く、頑丈な檻を挟まないと危険です。
距離があるから大丈夫だろうと眺め続ていていると、突然熊が襲い掛かってくることがあります。熊の早さは時速50kmという速さで、坂道でも難なく駆け上がってきます。人の足で逃げ切ることはできません。
観光、登山では遠方から訪れると、どうしても目的を達成したいという気持ちがあり、熊くらいどうにかならないかと思ってその場にとどまったり、無理に登山を続行してしまう人もいます。そんな時、熊が人に興味を持ってしまうと、どんなに注意を払っても熊から逃げることはできません。
北海道熊対策4:自分の存在を知らせる
熊対策では、鈴や笛などで自分の存在を知らせることが重要だとされています。熊もお腹が空いていないときは、無暗に争ったりはしません。人間との遭遇を避けます。
熊の痕跡を見つけると、音を立てたり、人間が通ることを知らせて熊に道を譲ってもらう様にするのも熊への対策の一つです。しかし、それで安心せずに、周りに注意を払い続けることが大切です。
北海道熊対策5:ごみを捨てない
熊対策で最も重要なのは、人間の食べ物の味を熊に覚えさせないことです。人間がおいしい食べ物を持っていることを熊が知ると、熊は積極的に人間を襲うようになります。
熊が人間を避けるのは争いを避けるべきためですが、人間を食料と思った熊は積極的に人間を襲うようになります。それは自分だけでなく、後々の観光客や登山者、近隣に住んでいる人たちを危険にさらすことになります。
キャンプなどでも注意をして、ごみを残さない様にしなくてはいけません。穴を掘って埋めても、熊の嗅覚は人間の倍以上あり、掘り起こして見つけます。ゴミを残さない、落とさない様に注意をすることはマナーを守る以上に、熊との遭遇を避けるために必要な注意事項なのです。
北海道熊対策6:事前に出没情報を確認
熊対策で最も重要で最も大切なのは熊と遭遇しないことです。そのためには熊の出没情報の確認は重要です。北海道では熊の出没情報を逐一公開しています。登山前には欠かせない情報です。
また登山者同士でも熊の情報を連絡し合うことが大切です。北海道の登山では、挨拶と一緒に熊を見たことを伝えあうことがあります。たかが熊くらいと笑ってすまさずに、周りの注意に従って下山しなくてはいけません。
万が一熊に遭遇した時
どんなに注意しても熊と遭遇してしまうことがあります。そんな時、熊の大きさに驚いて恐怖のあまり逃げ出したり叫んだりしてはいけません。熊は刺激されると襲い掛かってくることがあります。
中には熊と戦って撃退したという話もありますが、そこで撃退できなかった人は死んでしまうので、撃退できなかった人の方が圧倒的に多いです。熊は牙と同じくらい爪も鋭く、ドラム缶に穴が空くほどの鋭さと力を持っています。
熊の習性の一つに、逃げる物を追いかけるというものがあります。声で刺激し、さらに逃げて行くと熊は必ず襲ってきます。そのため、熊に刺激を与えず、後ろ歩きで熊のそばを離れるのが一番安全だと言われています。
熊が触った荷物は絶対回収しない
熊がどうしても近づいてきてしまったときは、帽子などの身の回りのものを置いて、そちらに気を取られているうちに逃げるという方法もありますが、この時熊が興味を持ったものは後で回収してはいけません。
熊は自分が興味を示したものに執着し、それを回収されると盗まれたと思い執拗に追いかけてきます。熊が触っていたものは、それが自分の荷物や貴重品が入っているものでも決して取り戻してはいけません。
逆効果?北海道での熊対策
一般的に熊の対策は、熊と遭遇しないための対策です。熊撃退スプレーのように、熊の鼻と目に攻撃をして熊が苦しんでいる間に逃げるという対策もありますが、スプレーは最終手段。どうしても熊が逃げず近づいてきた時にしか使えません。
また、人に慣れてしまった熊は、鈴等の音で逆に人間が近くにいると知って近づいてくることもあります。そのため、そういった熊を見かけた時にはすぐに通報することが重要です。
原因は観光客のマナー違反?北海道の熊問題
北海道では野生の熊に遭遇することもあります。個体差もあり、中にはまだ若い子熊もいます。そんな時、ついつい熊に餌を与えてしまう人が居ます。この行為は非常に危険で、北海道のあちこちで禁止するように呼びかけています。
観光客のごみのポイ捨ても、熊に人間の食べ物の味をおぼえせてしまう危険な行為です。よそから来た観光客のマナー違反が、北海道に住む人たちと熊の距離を縮めてしまうのです。
熊はおいしい食べ物を忘れません。人間の味の濃い食べ物は熊には一生忘れることができず、山にあるドングリなどの木の実には見向きもせず、人間の食べ物を求めて山から下りてくる個体も多いです。
一度捕まえて山に追い返しても、熊はまた市街地に戻ってきます。そのため、やむを得ず射殺しなくてはなりません。人間の側も望まない熊の駆除の原因となってしまうのです。
北海道では年々熊の出没情報が市街地で増えています。北海道のエゾヒグマは身体も大きく力も強いです。登山で遭遇するのとは違い、市街地まで降りてきた熊は、食料を求めていることが多く、追い返すことが難しいこともあります。
熊への餌付けは日本だけでなく海外でも問題になっていて、餌付けにより慣れた熊に襲われて死亡した人は後を絶ちません。
北海道での登山では熊対策を怠らずに
北海道では熊の出没情報が年々増え、以前よりもその距離は近くなっていると言われています。登山では今まで以上に熊との遭遇に対して注意が必要です。
北海道の山々は登山家の憧れなのは今も昔も変わらず、そこに熊が住んでいることも変わらないことだと言われています。今後も熊と適切な関係を保つために、登山でも対策は重要なことなのです。
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