アカハタってどんな魚?
アカハタという魚を知っていますでしょうか。釣りをする方はご存知かもしれませんが、釣りをしない方だとあまり知らないという方も多いかもしれません。釣りでアカハタを手に入れる仕掛けや、実際に手に入れた後のさばき方と料理方法、食べ方などについて紹介します。
見た目の特徴
アカハタはスズキ目スズキ亜目ハタ科マハタ属に属する魚です。このハタ科には26属約190種が属していて、アカハタもその中の一種です。名前の通り、美しい赤い色合いをしており、濃い赤褐色の横しまが5本あります。口が大きく、下あごが上あごより前に突き出ているのが特徴です。
なんといっても色がきれいなので、食材としてだけではなく、観賞魚としても人気があります。しかし肉食の魚なので、飼育は簡単ですが、同居している魚を食べてしまうことがあります。
明治末から大正初めに出された「グラバー図譜」という本の中には、すでに「アカハタ」という名前で掲載されているなど古くから人気があった魚でした。
味の特徴
では、アカハタの味はどのような感じなのでしょうか。アカハタは白身の魚です。皮は固く、ゼラチン質の層があるという特徴があります。身は透明感があり、ほんのりとした甘みがあり、熱を通すとさらに身がしまると言われます。
ですからアカハタの食べ方や料理法としては、この味わいをいかすような形で料理することがポイントとなります。寿司や刺身などの生で食べる料理のほか、蒸しものなど、あっさりとその本来の味を楽しめる料理法、そしてそれができるさばき方がいいでしょう。
ちなみに後の値段とも関係しますが、ハタ科の魚の値段はあまり安くはありません。そのため一般家庭というよりは料理店などで料理されることが多く、食べ方もそういったメニューが多いようです。
アカハタの名前の由来や漢字
今述べたように、アカハタの名前は「赤いハタ」なのでアカハタです。漢字で書くと「赤羽太」と書きます。赤いハタだからアカハタなので、地方名などでも「赤い」というのがついているものがほとんどです。
ではそもそもハタというのはなにに由来するのでしょうか。有力な説として挙げられるのは、江戸時代前期にマハタのことを「魚の模様が黒白に分け染めた旗のようだ」と言ったというもの、ハタのひれにある大きくて堅いとげがマストのように見えたからというものなどがあります。
アカハタの地方名
釣りの場合の生息地とも関係しますが、アカハタは日本近海の広い範囲に生息しています。そのためアカハタの地方名はあちこちに見られます。
一般的な「アカハタ」という名前は、東京や神奈川県三崎での呼び名です。同じ東京でも八丈島や小笠原、伊豆諸島などではアカヨ、アカギ、アカゲ、アカバなどと呼ばれます。そして三重県に行くとアカゴロと呼ぶそうです。さらに沖縄に行くと、本島ではアカミーバイ、宮古島ではアカミーバラと呼びます。
このように、アカハタという名前そのものが「赤」から来ているので、地方名にも「アカ」がつくものが多くみられます。なお、九州ではハタ類のことを「アラ」といい、魚へんに荒という国字も作られているそうです。
アカハタの値段
次にアカハタを買う場合の値段です。アカハタに限らずハタ類は味がよく、食べ方がいろいろあるため人気があるようで、値段が安い魚ではありません。その中でもアカハタはハタ類としては小ぶりなので、大きさが手頃ということで値段は高騰気味だそうです。
具体的に値段について言うと、卸の値段ですが、使いやすい500グラムから1キロサイズでキロあたり3000円ほどもするそうです。例えば800グラムくらいのアカハタ一尾で2400円程度ということになります。
アカハタの生態
では、アカハタの生態について、もう少し詳しく見て行きましょう。最初に少し触れたように、アカハタが属しているのはスズキ目スズキ亜目ハタ科マハタ属ですが、実はこのハタ科の魚というのは珍しい生態を持つ魚としても知られているのだそうです。そのあたりも触れてみましょう。
アカハタの生息地
まずはアカハタの生息地です。ハタ類の魚はすべてが海水魚であり、それこそ熱帯から温帯までの浅い海に広く分布しています。その中にあってアカハタは日本近海および朝鮮半島南岸や台湾、香港沿岸、さらにはインドや太平洋にも生息しています。
日本近海では日本海側では富山湾や山口県の日本海側、そして太平洋沿岸では九州北岸、伊豆諸島、小笠原諸島、相模湾から屋久島に、琉球列島、南大東島などの岩礁やサンゴ礁などに生息しています。どちらかというと温かい海が好きな魚と言えるでしょう。
アカハタの旬の時期
次に料理で気になる旬の時期についてです。アカハタの旬の時期というのははっきりしていません。ただ今述べたように温かい海が好きなので、水温があがってくると釣りでもよくかかるようになるそうです。
ちなみにアカハタの産卵期は夏なのですが、アカハタを含む多くのハタ類はメスからオスに性転換する(雌性先熟)という特徴があるため、大きく成長した個体のほとんどはオスということになります。
アカハタはどこで食べられる?
このように、アカハタは日本近海に広く生息している魚であり、その点ではよく食べられる魚ではあります。その中でもどちらかというと関東以南の比較的温暖な地域で多く食べられる魚のようです。関東で市場に出ているアカハタは伊豆諸島や小笠原などで獲れたものが多いようです。
アカハタの釣り情報
先ほど述べたように、アカハタは値段が安くない魚の一つです。値段イコール美味しいというわけではないにしても、料理店などでメニューに使われ、食べ方もいろいろあるということを考えると、一度釣りなどで手に入れてみたいという方も多いのではないでしょうか。では釣り情報を紹介します。
アカハタが釣れる時期
まず、アカハタの釣れる時期から紹介していきます。前で触れたように、アカハタの釣れる時期はかなり広いのですが、やはりゴールデンウィーク明けに水温が上がってくるとよく釣れるようになると言われています。釣りで狙うというのであれば、この辺りの時期からがおすすめです。
アカハタの釣り場
次にアカハタの釣り場です。アカハタが含まれるハタ類は浅い海に生息している魚で、アカハタもまた水深約2メートルから160メートルくらいの浅い岩場やサンゴ礁などをすみかとしています。中でも幼魚は浅めのところ、成魚は深めのところにいることが多いそうです。
アカハタそのものはわりと多く釣れる魚だそうで、アカハタそのものだけではなく、カサゴなどとともに狙って釣りに出る方が多いようです。沖釣り、陸っぱりなどで狙います。
アカハタの釣り方と仕掛け
次にアカハタの釣り方と仕掛けについて紹介します。アカハタは他の魚を狙って釣れることも多い魚であり、いろいろな仕掛けで釣りが楽しめます。特に多く使われる仕掛けはルアー釣りのようですが、ぜひいろいろな仕掛けを試して、たくさんアカハタを釣ってみてください。
ルアー釣り
まずアカハタの仕掛けで多く使われるのがルアー釣りです。時期は春から秋がよく、磯場や沖での釣りに使われる仕掛けです。アカハタは海の底でエビやカニなどを食べているため、ルアー釣りの場合も甲殻類を模したワームを仕掛けに使い、底を叩くようにするといいようです。
ぶっこみ釣り
ぶっこみ釣りというのは仕掛けをキャストし、そのまま当たりを待つ方法で、基本的な方法としては投げ釣りと同じです。サンマやイカ、エビなどを餌に使い、底に着いたらそのまま当たりを待ち、かかったら一気に巻き上げて釣り上げます。
釣り上げる時、遅れると根に潜られてしまいますし、根周りで仕掛けを動かすと、根がかりの原因となるので、もしかからなかった場合は仕掛けを大きく跳ね上げて移動させるようにしてください。
一つテンヤ
アカハタには一つテンヤも使えます。一つテンヤの場合はアカハタやカサゴだけでなく、場所によってはマダイなども一緒に狙うことができます。
一つテンヤの場合は冷凍エビを利用することが多いので、まず海水を汲んで解凍してから使います。エビの腰が曲がらないようにつけます。またワームを利用することもできます。いずれにしても種類を多く用意して、好みそうな仕掛けを見つけて狙ってみましょう。
アカハタの下処理方法
うまく釣りでアカハタを手にいれることができたら、次に問題になるのはさばき方です。そもそも魚のさばき方そのものを知らないという方も多いかもしれません。アカハタのさばき方には気をつける点があるので、そのあたりをしっかりマスターして、上手に料理しましょう。
寄生虫に注意!
さばき方について知る前に、まず気をつける必要があるのが寄生虫です。特に生食する場合、寄生虫には十分な注意が必要です。ニュースなどで魚の寄生虫が問題になったのを覚えている方も多いのではないでしょうか。
アカハタにいる寄生虫として知られているのがアニサキスとイカリムシです。このうちイカリムシは人体に影響がないと言われますが、アニサキスは腹痛などを起こし、ニュースなどにもよく取り上げられる有名な虫です。
ありがたいことにこれらの虫はいずれも目で見るとすぐにわかります。身のところに白いすじのように見えるので、それをピンセットなどで取り除けば問題ありません。また当然ながら冷凍や加熱をすれば死にますから、心配ならばいったん冷凍する、もしくは加熱調理すればよいでしょう。
ウロコとぬめりを取る
それでは次にアカハタのさばき方に入ります。アカハタには細かい多くの歯があるため、手袋などをして手を傷つけないようにしてから始めましょう。
さばき方の最初はウロコとぬめりをとるところからです。アカハタのウロコは残っていると非常に食べづらいので、包丁の刃を使い、背びれの際、胸びれの脇などまですべてしっかりと取りましょう。その後水洗いをしてぬめりもきちんと取り、キッチンペーパーで拭き取ります。
アカハタのさばき方
ウロコとぬめりが取れたら、他の魚のさばき方と同様にしてさばいていきます。まずは頭と内臓を取り、腹をきれいに洗います。そのあと刺身にするのであれば三枚おろしにして腹骨、小骨を処理し、刺身に切っていきます。
刺身にする場合のさばき方で気をつける点としては、あまり大きすぎないようにするということです。アカハタは身がかたい魚なので、大きく切りすぎると噛みきれなくなってしまいます。薄めに切ったほうがアカハタの透明感も感じられ、美しくできます。
アカハタの美味しい食べ方
それではお待ちかねの美味しい食べ方について紹介していきましょう。先ほど述べたように、アカハタは白身魚でうっすらと甘みが感じられる美味しい魚であり、食べ方もその味をいかしたあっさりとした味つけの食べ方がおすすめです。以下、特に人気の高い食べ方を紹介していきましょう。
刺身
アカハタの人気のある食べ方その1が刺身です。ほんのり甘みがあり、シコシコとした食感もあるため、料理店などでもよく出されます。先ほど紹介したさばき方でさばいて味わってみましょう。
ちなみにアカハタは、釣りで手に入れたその日に食べるのはもちろん美味しいのですが、おろしてから1日寝かせて熟成させると、うまみや甘みが増してさらに美味しくなると言われています。もし可能ならばチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
煮付け
白身魚の煮つけが好きという方は多いのではないでしょうか。煮汁の味がしみた白身魚はえもいわれぬおいしさがありますが、ここでは「マース煮」という煮つけを紹介しましょう。マースとは沖縄の言葉で「塩」のことです。
これは沖縄の郷土料理で、よく水分を切ったアカハタを少量の塩水で煮たものです。煮汁を身とからめながら食べると、アカハタのあっさりした味わいと出汁が存分に味わえる美味しい煮つけができます。
塩焼き
今のマース煮と同様に、塩焼きもとても美味しいと人気です。アカハタは魚そのものが美味しいので、どんな味つけにも合いますし、塩焼きなどシンプルに味つけしてももちろんとても美味しくいただけます。
ちなみにアカハタは熱を加えると身がしまる性質があり、うまみが凝縮します。加熱する場合は皮をつけたままで調理すると、そのうまみが皮のゼラチン質と混ざり合い、絶妙な味わいを作りだします。
清蒸魚
先ほど触れたように、アカハタは値段が値段なので、料理店などで使われることが多い魚です。その料理店の高級メニューの一つと言えば「清蒸魚」であり、アカハタはその材料としてよく使われています。
アカハタは水洗いし、切れ目を入れておきます。ネギやショウガなどを入れて強火で蒸したら、新たにネギやショウガの千切りを乗せ、上から熱したピーナツオイルをかけて、たれを落とします。本格的な味わいを楽しみたい方はチャレンジしてみてください。
鍋
アカハタは鍋にするのもおすすめです。なんといっても魚そのものが美味しいので、昆布だしに酒と塩程度の味つけで十分に美味しいちり鍋を楽しむことができます。釣りで手に入れた場合などで肝などがある場合はそれを入れても美味しいです。
また、さばき方のところで刺身の三枚おろしに触れましたが、三枚おろしで失敗して骨に身が残った場合にはそれを使ってあら汁を作っても、骨からのだしが出るので美味しくいただくことができます。
旬のアカハタを釣って美味しい料理を楽しもう!
アカハタは値段が安くはないこともあって、料理店などで食べる、ちょっと高級な一品という感じの魚です。しかし比較的釣りやすい魚でもあり、釣りで手に入れることも可能なのです。アカハタを釣って、そのおいしさを丸ごと味わうのも、釣りの醍醐味の一つと言えるのではないでしょうか。
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