ウーパールーパーの特徴・生態
ウーパールーパーといういきものをご存知でしょうか。愛くるしい表情が魅力で、大人気を博したいきものですが、実はあの姿は成体ではありません。ウーパールーパーが成体に育つ条件や飼育方法、寿命などについて紹介します。
正式名称はアホロートル
まず、ウーパールーパーとはどのようないきものなのかという点から紹介していきましょう。ウーパールーパーというのは、メキシコサンショウウオ、メキシコサラマンダー、アホロートルなどの名前でも呼ばれています。
アホロートルはアステカ文明で使われたナワトル語で、「水」と「イヌ」を組み合わせた語に由来しています。アホロートルというのはウーパールーパーのように、成体にならないまま成熟する特性を持つサンショウウオ科の総称でもあります。
実は一般的に知られるウーパールーパーは「ネオテニー」と言い、成体にならない状態、つまりカエルでいうオタマジャクシの状態のままなのです。ウーパールーパーがかわいいというのは、成体ではないからという面もあります。
分布はメキシコ
メキシコサンショウウオという名前からもわかりますが、ウーパールーパーはメキシコ原産の両生類です。つまりカエルやイモリなどと同じ仲間です。
もともとはメキシコの湖などに生息しているのですが、実はその本来のすみかであるメキシコでは数が減っており、絶滅寸前の状態にあります。ですから日本で飼育、販売されているウーパールーパーは、日本で生まれ育ったものがほとんどです。
手足が再生する有尾類
さて、両生類とはどのようないきものなのでしょうか。カエルを例に考えてみましょう。カエルは子供の時、つまりオタマジャクシの時は水中でエラ呼吸をし、そこから足が生えて、大人のカエルになると肺や皮膚で呼吸し、陸で生活します。
ウーパールーパーは先ほど述べたように、基本的には幼生、つまりオタマジャクシの状態です。足があるので、オタマジャクシからカエルになる途中をイメージするとよいでしょう。
そのため、ウーパールーパーにはエラ(外鰓)があります。それが左右にあるふさふさの部分です。これを使い、ウーパールーパーはエラ呼吸と肺呼吸をしています。
手足はどうでしょうか。ウーパールーパーの前足は4本、後ろ足には5本の指があります。この指やエラですが、なんとかじられたりしても再生するという特徴があります。これはウーパールーパーが幼生で、再生能力が高いからでもあります。
それから、視力はあまりよくありません。しかし目の前で動くものを口に入れる特徴があるので、飼育する時など指を食べられないよう注意しましょう。
また、ウーパールーパーというと白っぽいイメージがありますが、実際にはいろいろな色があります。よく知られた白っぽいものは、アルビノという個体を品種改良して作られています。
条件がそろわないと成体にならない
さて、ウーパールーパーは幼生の状態だと述べたのですが、普通いきものというのは成長し、大人になるものです。ではウーパールーパーは成体にはならないのでしょうか。
実はウーパールーパーが成体になるのには条件があります。しかもその条件は一つではないようで、それらが揃わないと成体になることはないのです。
ちなみにウーパールーパーの成体はどうなるのかというと、ふつうのサンショウウオのようになります。さらにカエルと同様に陸地で生活するようになり、足などもがっしりしてくると言われています。
ただし、ウーパールーパーが成体になることは細胞分裂などが激しく起こるようで、成体にすると寿命が短くなってしまうとも言われています。
最終的には23~27センチの大きさに成長する
次にウーパールーパーの大きさについてです。いきものを飼育するために水槽などを用意する場合、どのくらいの大きさにまでなるのかというのは重要な問題です。
ウーパールーパーの大きさは一般的には20センチくらいまでにはなると言われています。もちろん寿命がありますが、長く生きていればそれだけ育ちますから、大切に飼育すれば23センチから27センチくらいまでにはなるかもしれません。
後で述べますが、ウーパールーパーの寿命を長くするためには快適な環境を用意してあげたいものです。そのためにも水槽の大きさも配慮し、余裕がある大きさでゆったり飼育することをおすすめします。
寿命は10~15年
その気になる寿命ですが、普通に飼育していれば10年程度と言われています。しかしもちろん飼育の条件によっても寿命は変わります。海外の水族館で25年飼育されたという説もあるので、寿命はそれなりに長いと考えてよいでしょう。
しかし先ほども触れましたが、ウーパールーパーは成体になってしまうとあまり寿命が長くないと言われています。またサンショウウオですから、成体になると飼育自体も難しくなります。
そのため、ウーパールーパーの寿命を長くしたいなら、成体にならないようにするのが一つのポイントと言えるかもしれません。
ウーパールーパーの購入方法
さて、ウーパールーパーの生態について紹介してきましたが、ウーパールーパーは見た目の愛らしさでとても人気があるいきものの一つです。ぜひ飼育してみたいという方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、先ほど触れたように、ウーパールーパーの原産地であるメキシコでは絶滅寸前状態というわけですから、飼育したくても販売されているのか疑問という方もいるかもしれません。
そこで次に、ウーパールーパーを飼育するためにどこで販売されているのか、また購入は可能なのかという点について紹介します。
値段は安い
結論から言うと、ウーパールーパーは日本で販売されています。両生類を扱っているペットショップなどに行けば、販売されている生体を購入することができるため、飼育することも可能なのです。
次に詳しく述べますが、日本で販売されているウーパールーパーは日本で養殖されて生まれたものです。ですから比較的手ごろな値段で販売されていることが多いので、その点でのハードルは高くないでしょう。
先ほど述べたように、一般的にウーパールーパーでイメージする白っぽい個体の他にもいろいろな色のものがあります。両生類を多く扱っている所だとさまざまな色のものが販売されていることが多いので、ぜひチェックしてみてください。
販売できるのは国内で繁殖させた個体だけ
逆に言うと、日本で販売されているウーパールーパーはほぼすべてが日本で養殖、繁殖された個体です。そのため、日本人に人気のあるタイプの色合いのものが多く販売されているようです。
本来のウーパールーパーはサンショウウオですから、黒っぽい色合いをしています。しかし販売されているものには先ほど述べたアルビノという白い体にピンクの目のものだけでなく、いろいろなものがあります。
特にリューシスティックという白い体に黒い目、ゴールデンという黄色い体にピンクの目のものなどは人気が高く、多くのペットショップなどで販売されているので、目にする機会も多いでしょう。
原種を購入するのは違法
先ほども述べましたが、ウーパールーパーは本来、メキシコの湖などに生息するいきものです。しかしこれらの湖の水質汚染や環境の悪化により、現在ウーパールーパーは絶滅寸前の状態にあります。
そのため、ワシントン条約でもウーパールーパーは絶滅危惧種の扱いとなっており、商取引ができません。つまり野生のウーパールーパーを販売することはもちろん、購入することも違法ということになります。
ここまで述べてきたように、ウーパールーパーそのものは日本で繁殖が行われており、それらがペットショップで販売されています。ウーパールーパーを飼育したい方はぜひこれらの正規販売のものにしましょう。
ウーパールーパーの飼育方法
このように、ウーパールーパーそのものは日本で繁殖されたものを販売しており、それを入手すればだれでも飼育することが可能ないきものです。
そこで次に、ウーパールーパーの飼育の方法について紹介します。先ほども述べたように、ウーパールーパーはそれなりの大きさに育ちますし、寿命も決して短くありません。
またウーパールーパーを成体にしないためには快適な環境で飼育することが必要です。そのあたりも考慮して、ウーパールーパーにとって快適な飼育環境を作っていきましょう。
必要な道具
それではウーパールーパーを飼育するために必要な道具から紹介します。まずウーパールーパーは水中で生活しますから、大きな水槽が必要です。先ほど述べたようにそれなりの大きさに育つので、最終的には45センチくらいの大きさが必要です。
ウーパールーパーが好む水温は15度から20度くらいです。特に日本は夏暑くなりますから、そのままではウーパールーパーにとって危険です。水温計を用意し、快適な温度を保ちましょう。
また、ウーパールーパーは夜行性なので、昼間の隠れ家が必要です。バックで移動するのは苦手なので、両方が開いている、土管のようなものを入れることをおすすめします。
逆に必要ないものが「島」です。ウーパールーパーは両生類ですが、成体にしないことが基本ですから、水中で生活します。ウーパールーパーが上がる島はいりません。
また、底に敷く砂ですが、こちらは少し注意が必要です。ウーパールーパーはエサを吸い込むように食べるので、砂を敷くとそれを一緒に飲み込んでしまいます。ですから敷くのであれば、細かく、排せつしやすいものを選びましょう。
さらに気を付けたいのが、熱帯魚用の砂として販売されているものの中に「ヨウ素」を含んでいるものがある点です。実はこのヨウ素というのは甲状腺ホルモンを分泌する働きがあり、それが成体になるのに関係します。十分注意しましょう。
水槽の管理方法
次にウーパールーパーを育てる際の水槽の管理方法です。基本的にウーパールーパーを飼育する際にはこまめに水を取り替えることが大切です。小さい水槽なら毎日、大きい場合はろ過器をつけることをおすすめします。
水の量はウーパールーパーの大きさによります。目安はウーパールーパーの大きさ(センチ)×1リットルです。5センチの大きさなら5リットルが目安です。カルキ抜きをした水を使いましょう。
ろ過器を使っている場合でも最低でも1週から2週に1回、半分から8割程度を目安に水換えをしてください。きれいでたっぷりの水も成体にならない条件の一つと言われています。
必要な餌
次にウーパールーパーのエサについてです。ウーパールーパーはペットとして人気なので、ちゃんとウーパールーパー用のエサというものが販売されています。これを使えば問題なく飼育することができるでしょう。
実はウーパールーパーは共食いをするなど、肉食の生き物でもあります。ですから冷凍の赤虫や生きたエビ、魚などもエサにすることができます。ただ、生きたものの場合は、そのまま入れておくと逆にエラなどをかじられることもあります。
なお、ウーパールーパーは動くものを口に入れる習性があります。ですから人工のエサはそのままでは動きませんから、1粒ずつ目の前に落ちるように入れてあげるといいでしょう。
また、エサをあげるのは毎日1回、同じ時間にするのがおすすめです。この時、同じ量をあげるようにすると、食べる量がわかりやすいです。特に複数のウーパールーパーを飼育する時、エサが足りないと他の子をかじることがあります。
逆にエサが多すぎると、エサが水槽の底にたまり、水が汚れやすくなります。こうなると飼育環境が悪化し、寿命に影響します。特に生魚などを与えた場合は水が汚れやすいので、食べ残しはすぐに取り除きましょう。
ウーパールーパーが成体になる条件
さて、ここまで述べてきたように、ウーパールーパーは幼生の状態で育てることがおすすめといういきものです。普通の生き物と違い、ウーパールーパーはそのままでは成体になりません。成体になるのにはいくつかの条件が揃うことが必要です。
しかし一方で、成体になると寿命の問題があるため、成体にしないように育てることが推奨されているいきものでもありますから、どうやったら成体になるのか知っておくことは大切でしょう。
そこで次に、ウーパールーパーが成体になる条件として現在知られている内容について紹介します。わかりやすいものから意外なものまでありそうです。
水が少ない場所で生活させると成体になる
前に述べたように、ウーパールーパーは幼生の時は水中で生活しますが、成体になると陸上生活になります。それに伴い、成体になると肺呼吸がメインになります。
飼育の際に水が少ないと、ウーパールーパーは水面から顔を出し、口で呼吸をしなくてはなりません。強制的に口で呼吸する、つまり陸上生活に適した環境になるということは、成体に近づくということになります。
もちろん体の大きさが一定になる必要はあるでしょうが、水位が低いということは成体の生活にふさわしい条件ですから、成体になる条件の一つに数えることができそうです。
ホルモン注射を打つと成体になる
ウーパールーパーが成体になる条件の一つに、ホルモンがあります。もともとウーパールーパーが住んでいるところは水温が低くヨウ素が少ない場所であり、その結果として甲状腺ホルモンが働かないと言われます。
実はこの甲状腺ホルモンが、ウーパールーパーが成体になる条件の一つと言われます。したがってこのホルモンを投与してやったり、もしくはヨウ素を投与することで成体になる可能性があるのです。
先ほど少し触れたのですが、熱帯魚用の底砂にはヨウ素が含まれている場合があります。この砂を使うと成体になる可能性が高まりますので、注意が必要なのです。
ウーパールーパーの成体の育て方
このように、ウーパールーパーは一定の大きさに育てば成体になるのではなく、成体になる条件を満たさなければ成体にはならないということがわかりました。
では成体になる条件を満たして、ウーパールーパーが成体になった場合は、飼育方法になにか変化が必要なのでしょうか。次にウーパールーパーが成体になった場合の飼育方法のポイントを紹介します。
成体になった後に水槽の水位を少なくする
ここまで述べてきたように、ウーパールーパーの生態は陸上生活をするいきものです。そのため幼生の時ほど水は必要ありません。逆に泳ぎがあまり得意でないので、顔が出るくらいに水は浅くしましょう。
代わりに成体に必要になるのが陸地です。床材などを置き、そこにミズゴケなどを入れて、保湿性を高めます。イメージとしては同じ両生類であるカエルの飼育環境が参考になりそうです。
成体におすすめな餌に変更する
ウーパールーパーの成体は寿命の問題もあるのですが、大変なのがエサです。ウーパールーパーの幼生は人工飼料があります。もちろんこれば成体でもだめではないのですが、基本的には生きたエサが必要になります。
ウーパールーパーの成体はコオロギやミミズ、ミルワームなどの小型の昆虫を食べます。そのため成体を飼育するためにはこれらの昆虫を用意しなければなりません。成体ですから大きさもそれなりになっているため、数も必要になるでしょう。
このように、ウーパールーパーの成体を飼育しようとすると、幼生の場合と飼育する環境やエサなどが大きく変化します。成体は育てるのが難しいということもまた、幼生で育てるのがおすすめと言われる理由です。
ウーパールーパーの寿命を延ばす方法
最後に、ウーパールーパーの寿命を長くする条件について紹介します。せっかく縁あって一緒に暮らすことになったのですから、一日でも寿命が長く、一緒に生活できればそれに越したことはありません。
ウーパールーパーの寿命を長くするためにはいくつかのポイントがあります。そのポイントに気を付けて、できるだけ長く一緒に暮らしていきたいものです。
幼体のまま大人にする
ここまで述べてきたように、ウーパールーパーが成体になるためにはいくつかの条件が必要です。つまり逆に言うと、ウーパールーパーは成体にならないのが一般的と言えるでしょう。
そのため、寿命を長くするポイントの一つは成体にしないことです。成体になるとウーパールーパーは寿命が短くなる傾向にあります。
ウーパールーパーは成体にならなくてもそれなりの大きさに成長します。成体にならなくても「大人」になってくれます。ぜひ成体にならないようにしながら、大切に育ててください。
水をキレイに保つ
成体になるのにはいくつかの条件があるのですが、その中の一つに「水質」があります。ウーパールーパーは基本はエラ呼吸なのですが、水質が悪くなると水面に顔を出し、口で呼吸をします。
この口での呼吸というのは、まさに成体の呼吸の仕方です。つまり生育環境である水質が悪化するとウーパールーパーはより生育環境のよい陸地を目ざし、成体になろうとすると言われています。
こまめに水を取り替え、エサの食べ残しで汚れないように、まめに掃除をすることで、水質をきれいに保てば、水の中の環境がいいので、成体にならずに育ちます。これが寿命を延ばすことにつながります。
水の温度に注意する
ウーパールーパーの寿命を長くするには、水温も大切なポイントです。もともとウーパールーパーが生育している場所の水温は15度から20度前後ですから、このくらいの温度を保つことが大切です。
特に気を付けたいのが夏場です。日本の夏は暑く、あっという間に水温が30度を超えてしまいます。そうすると一気に水が汚れ、中のウーパールーパーにも悪影響を及ぼすでしょう。
前にも述べたように、飼育環境が悪化するとウーパールーパーは成体になろうとすると言われます。寿命を延ばすため成体にしたくないなら、ぜひ避けたいところです。
水槽のサイズに注意する
飼育環境という点からいうと、水槽の大きさも大切なポイントです。ウーパールーパーがゆったり生活できるように、大きめの水槽を用意することが大切です。
具体的にいうと、ウーパールーパーは20センチくらいまでには普通に育ちますから、飼育する水槽は45センチくらいは欲しいところです。複数飼育したいならさらに大きな水槽が必要でしょう。
なお、ウーパールーパーは共食いをする可能性があるので、一緒に育てるなら同じくらいの大きさにし、大きな水槽でしっかりとエサをあげることが必要になります。
ウーパールーパーが成体になるためには条件がある
カラフルな色と愛嬌のある表情で人気のウーパールーパーは、一定の条件がないと成体にならないいきものです。また成体にしなくても十分に長生きしてくれるいきものでもあります。ぜひウーパールーパーを大切に育ててあげてください。
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