女帝たちを魅了したエカテリーナ宮殿とは?
サンクトペテルブルク近郊のエカテリーナ宮殿は、1717年に完成したロシア帝国の夏宮殿で、その後増改築が行われ1756年に全長325mのファザードを構える現在の規模になりました。ロマノフ朝の繁栄をぶりを彷彿させる豪華な装飾や調度品がエカテリーナ宮殿の魅力です。世界遺産に登録されているエカテリーナ宮殿について、ご紹介します。
住所:Garden St, 7, Pushkin, Saint Petersburg 電話:812-466-66-69
ロココ調ゴシック建築のエカテリーナ宮殿に改築したのは?
エカテリーナ宮殿を大幅に改築をしたのは、エカテリーナ1世の娘エリザヴェータが女帝になってからになります。エリザヴェータは、「母の作った宮殿は古く、使い勝手が悪い」として、フランスのベルサイユ宮殿に匹敵するような宮殿にしようと、冬宮殿を建築したイタリア建築家バルトロメオ・ラストレッリに改築を依頼ししました。
1752年5月に改築が開始され、4年の歳月をかけて白と青に金を基調としている壮麗なエカテリーナ宮殿は誕生しました。有名な「琥珀の間」を完成させたのは、エカテリーナ2世になります。エカテリーナ宮殿は第2次世界大戦においてドイツ・ナチスにより大打撃を受けましたが、現在は、修復された部屋の一部が一般公開されています。
エカテリーナ宮殿の大理石の階段
エカテリーナ宮殿の正面階段の左右に日本の有田焼の壺と飾り皿が。伊万里の気品とモダンさを感じる瞬間。 pic.twitter.com/GUgMBzDeOi
— わかば (@sthmk123) July 23, 2017
エカテリーナ宮殿の入口を入ると見どころが集中している2階へ向かいます。白い大理石の中央階段を上がっていくと壁には、中国や日本の陶磁器を置く飾り棚があり、伊万里焼の壺が置かれています。18世紀のロシアを含むヨーロッパでは、陶磁器は大変価値のあるものでした。
愛らしいキューピット像
2階には、愛らしいキューピットの像が2体あります。東側の窓辺は「目覚めるキューピット」と呼ばれており、貝殻の上で朝陽を浴びて目覚めたばかりのキューピットが表現されています。西側の窓辺は「眠れるキューピット」と呼ばれており、貝殻の上でスヤスヤ眠るキューピットがとても可愛いですよ。
エカテリーナ宮殿の大広間
エカテリーナ宮殿の大広間は、ベルサイユ宮殿の「鏡の間」をモデルに造られており、800㎡を超える広い部屋は、白い壁に鏡がはめ込まれており、周囲を金箔の彫刻で装飾されています。天井には「ロシアの勝利」という絵が描かれており、目も眩むほど豪華絢爛な空間が広がっています。
江戸後期に伊勢(現在の鈴鹿市)の廻船問屋の船頭であった「大黒屋光太夫」は、大広間でエカテリーナ2世に謁見しています。大黒屋光太夫は、1782年に紀州藩の命により江戸へ向かう途中、暴風により船が漂流し、7ヶ月後にアラスカの南西にあるアリューシャン列島のアムチトカ島へ漂着しました。
エカテリーナ宮殿正面と大黒屋光太夫がエカテリーナ2世に謁見した大広間。 pic.twitter.com/Ry447UtiRb
— わかば (@sthmk123) July 15, 2017
その頃のアムチトカ島には、先住民とアザラシの毛皮を求めるロシア人が滞在していました。大黒屋光太夫は、この地でロシア語を習得し、1787年にはロシア人を帰還させる船が難破したので、難破船の材料を使い、船を造りロシア人と島を去りました。その後、1791年に大広間で女帝エカテリーナ2世に帰国の許しを願い出ました。
エカテリーナ宮殿のアラベスクの間
エカテリーナ宮殿のアラベスクの間は、右手奥にある女帝エカテリーナ2世の公室になります。白い壁にロシアブルーの配色、金色の装飾された鏡やリレーフが素晴らしです。天井の描かれているメダリオンは、平和、幸運、友情、優しさ、寛大さ、信頼、思いやりをモチーフにしており、床には寄木細工が施されていますよ。
エカテリーナ宮殿の白の主食堂
エカテリーナ宮殿には多くの食堂があります。その中でも一番大きい食堂が「白の主食堂」で2階の中央部分付近にあります。白い部屋に金色の装飾が施されており、壁には鳥の絵画が飾られています。白いテーブルクロスがかけられたテーブルにはマイセン製の置物や陶器の果物が飾られています。
白の主食堂以外の食堂は、白の主食堂の右隣には「騎士の食堂の間」、白の主食堂の左隣りには「木いちごの食堂」、木いちごの食堂の迎えにあるは「緑の食堂」があります。部屋にあるオランダ陶磁器の青いペチカが目を引きます。どの部屋も金色の装飾が施されており、豪華でエレガントな内装になっていますよ。
エカテリーナ宮殿の肖像画の間
肖像画の間は、緑の食堂の隣にあり、中央には当時の女帝のドレスが飾られています。左右にはエカテリーナ宮殿を造った女帝エカテリーナ1世の肖像画と宮殿を改築した娘の序予定エリザヴェータの肖像画が飾られています。どの絵の額縁も金色で装飾されており、ロシア帝国の繁栄ぶりが想像できますよ。
エカテリーナ宮殿の琥珀の間
エカテリーナ宮殿で一番有名なのが「琥珀の間」で、肖像画の隣にあります。琥珀の間は、エカテリーナ宮殿で唯一撮影が禁止されている部屋ですが、扉越しに隣の部屋からは撮影ができます。部屋全体が琥珀のパネルに装飾が施されている世界に唯一の部屋になります。この琥珀の間が完成するまでには、長い歴史があります。
プロイセン王フリードリヒ1世は琥珀のパネルで装飾された部屋を完成するのを心待ちにしていましが、亡くなってしまいました。ロシア帝国のピョートル大帝は、フリードリヒ1世の息子のフリードリヒ・ヴィルヘルム1世から琥珀の装飾パネルを譲り受けましたが、すぐに組立てることはしなったそうです。
このきらびやかな部屋
— ステキな景色 (@sutekinakeshiki) October 31, 2016
琥珀の間
☆エカテリーナ宮殿・1756年現行規模の宮殿に改築☆ ♡ pic.twitter.com/H3waVCwuq2
エカテリーナ宮殿を改築した女帝エリザヴェータは、冬宮殿(現エルミタージュ)の改築もしており、冬宮殿の閲覧の間に琥珀のパネルにロココ調の装飾をを施し、最初の琥珀の間が完成しました。1755年にエリザヴェータは琥珀の間をエカテリーナ宮殿に移すことを決めますが、琥珀の装飾パネルのサイズが部屋に合わず問題が発生しました。
エカテリーナ宮殿の琥珀の間は、ドイツ出身の女帝エカテリーナ2世の指示のもと造られました。エルミタージュ美術館の創立者でもあるエカテリーナ2世は、エカテリーナ宮殿の間取りに合うように、琥珀のパネルに金装飾を施された鏡や絵画を埋め込み、息を呑むほど美しい琥珀の間を1770年に完成させました。
エカテリーナ2世は、琥珀の間を誰よりも愛しており、彼女の許可なく部外者の立ち入りを禁止したと伝えられています。エカテリーナ2世は、クーデターにより夫のピョートル3世を退位させ、女帝になりました。エカテリーナ2世は愛人の多さで有名ですが、ロシア領土を拡大し、ロシア文化の基礎を築いた人物としても有名です。
不幸なことに、琥珀の間の美しさを愛したのはナチス・ドイツも同じでした。第二次世界大戦中1941年7月にドイツ軍はレニングラードを名前を変えたサンクトペテルブルク入り、9月にエカテリーナ宮殿を侵略しました。そして、エカテリーナ宮殿にあった多くの美術品や琥珀の間の装飾を奪略して行きました。
ナチス・ドイツに奪われた琥珀の間の装飾は、ケーニヒスベルク城の博物館で保管されていましたが、イギリス軍の攻撃により、全て消滅したと伝えられています。1979年から琥珀の間の修復作業が開始され、非常に困難を極めましたが、サンクトペテルブルク建都300年の2003年に24年の歳月をかけて、現在の琥珀の間が完成しました。
エカテリーナ宮殿への行き方
ロシア・サンクトペテルブルクを旅行するのなら、豪華絢爛なエカテリーナ宮殿を観光したいものですね。エカテリーナ宮殿は、サンクトペテルブルクから南東約25kmに位置するプーシキン市ツァールスコエ・セローに建っています。エカテリーナ宮殿への行き方で一番簡単なのは、タクシーを利用する方法で、所要時間は片道約40分です。
ロシア・サンクトペテルブルク4日目、観光最終日。プーシキンへのバスツアーでエカテリーナ宮殿を見てきました。出口と入口間違えて庭を走ったね… pic.twitter.com/dIxFggEdw5
— Masaki (@masaki77) July 10, 2017
公共交通を利用してエカテリーナ宮殿への行き方は、英語表記の少ないサンクトペテルブルグのバスを利用するので、かなり大変です。時間に余裕があり、旅行の思い出として考えるのなら良いかもしれません。効率よくエカテリーナ宮殿を観光したいのなら、割高になりますが、英語か日本語のツアーに参加する方ことをおすすめします。
地下鉄2号線モスコフスカヤ駅&バスでの行き方
エカテリーナ宮殿へは地下鉄とマルシュルートカ(乗り合いバス)を乗り継いで。地下鉄は90円、マルシュルートカは80円でどこまででも乗って行けるみたい。安い。写真は地下鉄ので、ジェトンってコインを買って改札機に入れて通れるシステム。回数券もあったけどロシア語わからず都度都度買ってるw pic.twitter.com/itCGvFmKti
— レーコ (@ray_tb) May 15, 2017
地下鉄2号線モスコフスカヤ駅からバスでの行き方は、モスコフスカヤ通り沿いにある⑨Aのバス停から286番、287番、342番、347番、545番のミニバスに乗車し、ツァールスコエ・セローのエカテリーナ宮殿付近のバス停で下車します。バスでの所要時間は約30分程度ですが、余裕をもって1時間は見ておいた方がいいですよ。
ヴィチェプスク駅&バスでの行き方
サンクトペテルブルクのターミナル駅の1つヴィチェプスク駅からの行き方は、ツァールスコエ・セロー駅まで電車で行き、駅前のバス停から370番、376番、378番のミニバスでエカテリーナ宮殿付近のバス停まで行きます。バス停からは直進し、つきあたりを右に曲がるとエカテリーナ宮殿が見えてきますよ。
エカテリーナ宮殿のチケット購入方法
1時間並んで10m進む。あと150mだから。。#エカテリーナ宮殿#catherinepalece pic.twitter.com/tz6eBfMz3T
— shohei (@shohei963) August 16, 2017
エカテリーナ宮殿の見学には、厳しい入場制限が設けられており、当日券の外国人旅行者、当日券のロシア人、バウチャー持参旅行者と入場できる時間が決められてます。当日券のチケットを購入するにもチケット販売所まで外国人旅行者の列に並び、入場時間まで待つことになります。
旅行前に公式サイトからオンラインチケットを購入することをおすすめします。オンラインチケットを購入する方法は、最初に公式サイトで英語を選択します。「Visiting」から「Information」、「Visiting Information」へ進み、「Route 1: Historic Interiors」に書かれている「You can book E-ticket」から見学日を選択します。
サンクトペテルブルク2日目:エカテリーナ宮殿続き。チケットはインターネットで購入できました。プリントアウトしたバウチャーは、入り口右手のカッサでチケットに引き換えでした。パスポートの提示を求められますが、コピーでも大丈夫でした。 pic.twitter.com/zjYsOFRr2Z
— りつか◆8/20お69a (@ritsuka_as) May 14, 2017
オンラインチケットの購入に同意し、自分の氏名、電話番号、メールアドレスを記入し送信すると、メールが届くので、届いたメールでクレジットカード決済をします。その後バウチャーが送られてきます。エカテリーナ宮殿の正門を通り左手にある青いブースにバウチャーを提示するとチェットと交換してくれます。
エカテリーナ宮殿のみの入場料は、外国人旅行者の場合は、大人1000ルーブルになります。隣接する公園を含んだ入場料は、大人1500ルーブルです。当日券のチケット販売時間は、6月から8月は12時から18時45分、5月と9月は12時から17時45分、10月から4月は10時から16時45分までになります。休館日は基本的に毎週火曜日になります。
豪華絢爛なエカテリーナ宮殿を満喫しよう!
ロシア・サンクトペテルブルク旅行をするのなら、ため息が出るほど美しい豪華絢爛なエカテリーナ宮殿は、外せない観光スポットの1つです。今回ご紹介した以外の部屋もロマノフ王朝の女帝たちに愛され、贅の限りを尽くし装飾されています。是非、エカテリーナ宮殿を訪れて、ロシア帝国の繁栄の象徴を満喫してくださいね。
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