鎌倉アルプス・天園ハイキングコースに行こう！初心者にもおすすめ！

鎌倉の街からアクセスのよい鎌倉アルプス･天園ハイキングコースは、遠くに美しい富士山や相模湾が望め、古道の史跡や寺院も巡れる、ハイキング初心者におすすめ登山道です。その山々は最高峰でも160メートル程と高さはありませんが、足を踏み込むとしっかり山道です。それでは、鎌倉アルプス･天園ハイキングコースをご紹介します。

鎌倉北部の外周を巡る鎌倉アルプス･天園ハイキングコースにある山は、鎌倉市最高峰で標高159.2メートルの大平山や、標高141メートルの天台山等です。この道中には「やぐら群」と呼ばれる鎌倉時代中期以降から作られたいくつもの横穴式の納骨窟等や史跡も多くおすすめです。所要時間は約2時間半ほどです。

JR北鎌倉駅からスタートし、建長寺、半僧坊、勝上献展望台、十王岩、大平山、天園休憩所、天台山、貝吹き地蔵、瑞泉寺、そして鎌倉駅までの順路で巡ります。初心者でも十分歩くことが出来るおすすめコースですが、雨が降ると滑りやすく、アップダウンがキツイ場所や、階段等もあります。靴などの装備はしっかりしておいた方が良いでしょう。

北鎌倉駅は東京からわずか1時間も掛からずに到着します。この駅周辺には紅葉で有名な円覚寺や紫陽花で有名な明月院、美術館などがあり落ち着きのある場所です。この駅から東へ約15分ほど掛けて「建長寺」まで行きます。「建長寺」は境内は天園ハイキングコースの入口になっているので大人500円、小中学生200円の拝観料を払って入ります。

建長寺の広い境内をどんどん奥へ歩いて行くと鳥居があります。その鳥居から続く階段は245段あり、天狗の像が何十体と立ち並んでいます。比較的急な階段を登って裏山中腹まで行けば、建長寺の鎮守である「建長寺半僧坊」がの像があり、ここまでで約20分程掛かります。天園ハイキングコースの入口まではもう少しです。

「建長寺半僧坊」から先はまだ急な上り階段が続きます。やがて視界が開けると、建長寺の裏山「勝上献展望台」に到着です。勝上献入口には地蔵堂があり、鎌倉二十四地蔵の一つ「勝上献地蔵」が置かれています。「勝上献展望台」からは天気が良ければ相模湾や建長寺の伽羅や富士等、美しい眺望を望めます。

「勝上献展望台」は天園ハイキングコースに入口になるため、初心者の方は少し休憩をし、天園ハイキングコースの最高峰の大平山へと進みましょう。展望台直後の分岐は右手の「瑞泉寺」方面へ進みます。鎌倉アルプスの尾根には、ロープが張ってある場所もあります。雨が降った後は滑りやすく、急な坂道もあるの初心者の方は気を付けて下さい。

さて、天園ハイキングコースを進み20分ほどすると左手に、かながわの景勝50選に選ばれている「十王岩の展望」が現れます。こちらの岩からは、緑の山並みの向こうに街が見え、鶴岡八幡宮から真っすぐに延びる若宮大路街と由比ガ浜の海の素晴らしい景色が見渡せます。「十王岩の展望」は丁度、鶴岡八幡宮の真裏に位置しています。

「かながわの景勝50選」の石碑の後ろにある大きな岩の「十王岩」には高さ50センチほどの岩に刻まれた3体の像を見る事が出来ます。風化が激しく左から「如意輪観音･血盆菩薩･閻魔大王」がいらっしゃいます。この岩は、風の強い日には毎晩不気味な音を立ててふもとの村へ響き渡っていたことから「喚き十王」とも呼ばれているそうです。

コースの周りには沢山の「やぐら」が見られます。十王岩から少し右に入ると古道があり、約50穴のやぐら群があります。そこは「朱垂木やぐら群」と呼ばれる丘陵山腹を穿って造られた墳墓です。この「やぐら群」は儀式を行う仏殿で、天井には紅殻(べんがら)塗りの平行線が描かれていることから「朱垂木」と言われています。厳かな雰囲気の漂う空間です。

十王岩からさらに進むと今泉台分岐に当たりますが、直進して瑞泉寺･天園方面へ進みましょう。ここは四差路になっており、左は今泉住宅へ、右は覚園寺方向に行く事になります。突然の雨でハイキングを断念する場合や、初心者でどうしても進めない場合は、ここから左の今泉住宅方面へ下りて、「半僧坊下」バス停の利用が近くておすすめです。

鎌倉時代の風情を残した古寺で静かなお寺で、覚園寺の手前250メートルほどの所が天園ハイキングの登山口になっています。こちらにのご本尊は薬師如来で国の重要文化財に指定されています。また、多くの仏像と紅葉が見事なお寺として有名です。ハイキングを途中で切り上げる場合はこちらのお寺に立ち寄るものおすすめです。

今泉台分岐を過ぎたあたりには「百八やぐら群」が見られます。とにかく沢山のやぐらがあるので見て回るにはかなり時間が必要です。やぐら内に安置された地蔵の多くは首の欠けていますが、近年に設置された弘法大師像も見ることが出来ます。お地蔵さんのやぐらや、五輪塔が浮彫されたやぐら、また地蔵立像の浮彫のやぐらなど数多くあります。

今泉台分岐から木々茂る山道を直進すると、突然視界が開けて鎌倉市の最高地点の大平山山頂に到着します。すぐ横には鎌倉カントリークラブのゴルフ場があり、その向こうには横浜の市街地が見渡せます。また、三浦半島の山々や、鎌倉の市街地とそれを囲む山並のその奥に相模湾を望めます。少し下ると広場になっていてお弁当を食べる事も出来ます。

大平山山頂を過ぎてさらに進んで行くと簡易トイレがあり、その先の緩やかな上り道の先にはお休み処「天園休憩所」があります。このお店は、おじいさんとおばあさんの2人で切り盛りしているとの事で、開店時間もやや不規則との事です。人気のメニューは「ふろふき大根」で、軽食やおでん、お酒等もあります。休憩のみでも立ち寄る事も出来ます。

天園休憩所からさらに瑞泉寺方向へ進むと、次の山の天台山に入っていきます。山中には石切場跡が多く見られ15分程山道を進んでいくと、右手に天台山の山頂があります。その山頂に沿うように道は徐々に右に曲がり、急な下り坂の左手に「貝吹地蔵」が現れます。また、「貝吹地蔵」と彫られた石標も建っています。

鎌倉幕府滅亡の時、新田義貞率いる軍勢が鎌倉市内になだれ込み、追い込まれた北条一族は東勝寺に火を放ち集団自決しました。その時、北条の家臣の一人が北条高時の首を持ち去り、埋葬するために道に迷っていると、一体の法螺貝を吹く地蔵があらわれ、埋葬場所へ導いてくれたとの言い伝えがあります。「貝吹地蔵」はそのお礼供養に祀られたそうです。

貝吹地蔵からさらに進むと左手に、「瑞泉寺山内･従是右･北條家御一門」と書いてある石標があり、北条高時の首を埋葬し、北条高時以下一族の墓と伝えられている「北条首やぐら」があります。梵字付きの石塔や、五輪塔、石仏の浮彫のやぐら等、こちらにも数多くのやぐらが見られます。

1327年に臨済宗の禅僧･が開山した瑞泉寺は、鎌倉公方の菩提寺として、関東十刹に名を連ねているお寺です。すぐれた作庭家でもあった夢窓疎石の設計した庭園は鎌倉期唯一の庭園として国の名勝に指定されており、秋の紅葉シーズンは特に多くの観光客が訪れます。コースはここ瑞泉寺のハイキングコース入口から出て終了です。

瑞泉寺から大塔宮バス停まで約1キロ程度あり、徒歩で約15分です。大塔宮バス停からは、鎌倉駅まで料金200円で15分おきに運行しています。鎌倉駅周辺は立ち寄れるお店も豊富なので、食事をするもの、施設で休憩したり散策するのにも便利です。三線が乗り入れている鎌倉駅ですので、帰る経路としてもおすすめです。

もう少し歩きたい方は北鎌倉駅の北から標高147メートルの六国見山(ろっこくけんざん)から入山するのもおすすめです。「六国見山森林公園」として鎌倉市に指定されており、山上の展望台からは相模の国･伊豆の国･武蔵の国･安房の国･上総の国･下総の国の六つを見渡せることから六国見山と呼ばれています。天園方向に進むと十王岩に繋がります。

いかがでしたか?鎌倉アルプス･天園ハイキングコースは休憩や見どころを含めても3時間ほどあれば楽しめるので初心者の方にもおすすめです。街中の山なので、紹介した以外にも入山する場所が選べるため、体力に合わせて計画を立てましょう。歴史ある鎌倉の山で、美しい眺望や四季折々の自然を満喫して下さい。