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ビエンナーレは現在美術の国際展覧会
ビエンナーレの言葉の意味は、イタリア語で2年周期という意味で、2年に1回開催される美術展覧会のことです。1895年にイタリアのヴェネツィアで最初に開催され、以後、サンパウロやパリなど世界中の各都市でも開かれている現代美術の展示会イベントです。ここでは、その国際的ビエンナーレと日本国内で開催している人気のビエンナーレを紹介します。
ビエンナーレとトリエンナーレ
ビエンナーレは、2年に1回の展覧会イベントという意味で、トリエンナーレは、3年に1回のイベントという意味です。国際的に人気のトリエンナーレは、ミラノトリエンナーレ、インドトリエンナーレ、広州トリエンナーレなど、国内では、横浜トリエンナーレ、福岡トリエンナーレなどが国内で人気のトリエンナーレのイベントとして開催されています。
ビエンナーレはトリエンナーレと同様に、美術だけではなく、デザイン、映画、CG、建築物など様々な分野に及ぶイベントで、その分野の人達と地域住民との交流、さらには町おこしといった意味合いもあります。特に、国内ではビエンナーレ、トリエンナーレ共にその傾向が強く、住民と作家との交流や町おこし、ひいては観光PRイベントの意味もあります。
国際的に人気のある有名なビエンナーレ
世界的なビエンナーレは、1895年に創設されたヴェネツィアビエンナーレの他、1951年に創設されたサンパウロビエンナーレ、1959年に創設されたパリ青年ビエンナーレがあり、この3つは国際的美術展として人気の高いビエンナーレです。版画部門では、スロベニアのリュブリャナ、ポーランドのクラクフ、東京で開催のビエンナーレなどが人気です。
その後アジアにおいてもビエンナーレやトリエンナーレが開催されるようになりました。韓国光州におけるビエンナーレをはじめ、上海、シンガポール、台北、インドなど、政治色の色濃いものや、古典舞踏などのパフォーマンスアートを軸にしたり、映像、CG、ファッション、など2018年も各地で様々な分野のビエンナーレやトリエンナーレが開催されます。
伝統を誇るヴェネツィアビエンナーレ
ビエンナーレ発祥であるヴェネツィアビエンナーレは、一般の美術展覧会とは異なり、万博博覧会や近代オリンピックのように国単位の出展が基本となっており、国家代表のアーティストが国の威信をかけて展示を行うことから、美術のオリンピックとも称されています。そして毎回、各出展者の中から、金獅子賞と呼ばれる優秀賞が選ばれるようになっています。
主な会場は、ヴェネツィア共和国時代の国立造船所であるアルセナーレとヴェネツィア市街地最大の公園である通称ジャルディーニと呼ばれるカステッロ公園で行われます。ジャルディーニ内には、アメリカ、フランス、ドイツ、ロシア、南米各国などの恒久パビリオンが建っており、それ以外の国は会場内最大のイタリア館などを間借りして展示を行っています。
アルセナーレ会場は、2000年以降新たに整備され、恒久パビリオンを所有していない各国の展示、ビエンナーレのディレクターが行う企画展示、イタリア館をはじめいくつかの国のパビリオンの新設、などが行われています。また各国代表とならなかった世界中の若手アーティストを取り上げる英語でOPENの意味のアペルトという企画展示が開催されています。
ヴェネツィアでの日本館は、1956年に外務省の要請を受けたブリヂストンの資金援助を得て完成しています。2017年の開催では、広島在住気鋭の作家、岩崎貴宏氏を代表に据え、神社など歴史的な建築物を上下の模型で表したリフレクションモデルや、タオルを始め日用品を山などに見立てるアウトオブディスオーダーで人気を呼び話題となりました。
大規模国際展覧会サンパウロビエンナーレ
サンパウロビエンナーレは、ブラジルサンパウロで開催されている大規模な現代美術の国際展覧会です。1951年に開始され、ヴェネツィアビエンナーレに次ぐ古い歴史があります。また、同様に各国によって選ばれた代表作家による作品展示が行われています。近年は、ディレクターが独自に作家を集めてグループ展を行うなど多様化した展示も行われています。
1953年に開催された第2回はサンパウロ市400年祭を記念する大規模なもので、20世紀前半の美術イベントを代表する優れた展覧会となりました。特にパブロピカソのゲルニカが展示されたことで国内外の人気を集めています。1957年からは都市公園であるイビラプエラ公園に新しく建設された大型会場、パヴィリオンダビエンナールに会場を移しています。
文化都市の象徴パリ青年ビエンナーレ
パリ青年ビエンナーレは、1958年にシャルルドゴールによって始まった第5共和制誕生を契機に、文化省、パリ市、セーヌ県と共にビエンナーレ協会が組織され、1959年4月にパリ市立近代美術館で開幕しました。初代文化大臣マルローは、仏文化にとってパリが受け入れ都市、自由都市であり続ける、との意味を込め国際美術界での復権を宣言しています。
ヴェネツィアやサンパウロのビエンナーレが著名作家を対象としたのに対し、パリは20歳から35歳までの若手作家を対象とし、賞金と滞在費を授与するなど若手作家の発掘に貢献しました。第一回は42カ国が参加、ラウシェンバーグ、ティンゲリー、クラインらその後第一線で活躍する若手を集め、多様化を進める国際的展開を美術館の枠組で紹介しました。
中国現代社会を映す上海ビエンナーレ
上海ビエンナーレは、中国上海の上海美術館で1996年に始まり、2012年からは黄浦江沿いの発電所を改装した上海現代美術館に会場を移しています。2018年の第12回は、2018年11月10日から2019年3月10日まで、チーフキュレーターに、キュレーションにおける幅広い経験や豊富な歴史的知識を持つメキシコのクアウテモックメディナを迎え開催されます。
中国において1966年から10年間も続いた文化大革命は、中国だけではなく60年代の世界に影響を与え、各地で社会運動や反政府運動が巻き起こる要因となりました。その後の天安門事件など言論統制にまで発展した過去の歴史を踏まえ、上海ビエンナーレでは、文化芸術における自由な表現を訴えいく、といった意味合いの作品が数多く展示されました。
民主化運動の精神を継ぐ光州ビエンナーレ
光州ビエンナーレは、光州民主化運動の精神を受け継ぐ意味で自由を訴え、光州から文化的な新しい価値を国際的に発信していくことを目的に1995年に始まりました。これまで、オクウィエンヴェゾーやマッシミリアーノジオーニなど国際的数多くのキュレーターやアーティストを招聘し、世界有数の国際展としての地位を築いており人気のイベントです。
2018年の第12回光州ビエンナーレは、2018年9月7日から11月11日まで、光州ビエンナーレホール、国立アジア文化殿堂ほかで開催されます。光州市へは日本から一旦インチョン国際空港へ入り、ソウル金浦空港から国内線で光州へ入ることができます。2018年第12回のテーマはImaginedBordersで、不確実性の時代と複雑さへの回帰という意味合いです。
日本国内で開催されているビエンナーレ
ビエンナーレやトリエンナーレ、そして芸術祭など年々増え続ける都市型、地方発信型の芸術イベントは、日本国内において主なものだけでも約80開催の国内イベントがあり、2018年も各地で開催予定です。海外からの新進気鋭の芸術作家を招聘して行うものから、街興しとなる地方文化発信の観光PRイベント的要素が強いものまで様々な内容です。
福島現代美術ビエンナーレ
福島現代美術ビエンナーレは、福島大学が中心となり地域住民との協働によって開催されています。福島を拠点に活躍する若手作家を支援し最先端のアートを紹介する中で、いろんな世代の人達が幅広い芸術活動に触れる機会や国際交流できる場を設け、地域文化を活性化させていこうという意味を持ち始められました。2004年から2年に1回開催のイベントです。
2016年に開催された福島現代美術ビエンナーレでは、高村智恵子に関わる企画として、高村智恵子の生家において清川あさみさんによる新作インスタレーションの展示や二本松城の天守台において前衛芸術家でもあるオノヨーコさんの作品「福島のための空の曲スカイピースフォーフクシマ」が展示され、福島原発に対する意味も含め大きな反響を呼びました。
するがのくにの芸術祭富士の山ビエンナーレ
するがのくにの芸術祭富士の山ビエンナーレは、地元市民が自発的に実行委員会を立ち上げ、本格的な現代アートを目指し、富士市、富士宮市、静岡市エリアを中心に、2014年秋に第1回が開催され2018年も開催予定です。芸術的な産業振興や人材育成を目的とする意味合いがあり、富士から新しい価値を掘り起こし発信していこうとしています。
展示会場は、国の登録有形文化財3棟をはじめ町家や空き店舗、倉庫、寺院、空き地など、場所の選定とその意味にこだわっており、由比の港を舞台にした漁火マルシェ、蒲原宿場町の街歩き、鷹岡の歴史的建造物や潤井川渓谷の散策などの地域プロジェクトイベントを開催しています。2018年には、富士市と静岡市で富士の山ビエンナーレ2018が開催されます。
ビエンナーレTOYAMA
ビエンナーレTOYAMAは、2013年と2015年に富山県民公園太閤山ランドで開催された「太閤山ビエンナーレ」の流れを汲み、会場を富岩運河環水公園「あいの島」周辺および富山県美術館TADギャラリーに移し2017年秋に開催されました。富山県在住の作家50名が自らの手で企画運営し、平面、立体、インスタレーションの意欲作を出品しています。
ビエンナーレTOYAMA2017の前身となった県民公園太閤山ランドで開催された太閤山ビエンナーレでは、太閤山荘という合掌造りの屋根裏に展示された柔らかい光を発する3体の意欲的な作品が展示され人気を博しました。大きなランプのようでもあり、人が佇んでいるようにも見え、屋根裏でひっそりと誰かを待っているような不思議な感覚を覚える作品です。
同じく太閤山ビエンナーレでは、話題となった人気のレリーフ展示作品「ソレカラ」が展示され人気を博しました。繊細な表情を持つ2体の純白の不定形フォルムには、感性を頼りに素材と対話しながら創造した作家の呼吸を感じます。等身大のスケールの大作で、その大きさには迫力があり、かつ静かに見ているうちに親しさの印象が残る人気の高い力作です。
BIWAKOビエンナーレ
2001年に始まったBIWAKOビエンナーレは、2010年まではトリエンナーレとして、2012年以降ビエンナーレとして開催されています。総合ディレクター中田洋子さんの熱意から始められたもので、現在もNPO法人エナジーフィールドにより運営されています。2018年の開催は2018年9月15日から11月11日まで、きざしBEYONDというテーマで行われます。
2016年は、見果てぬ夢EternalDreamをテーマに、江戸の風情と現代アートのコラボ作品が展示されました。滋賀県近江八幡旧市街には、今も尚、江戸時代に建てられた町家や工場などが点在し、国の重要伝統的建造物群保存地区となっています。その旧市街地を題材とし、世界的に活躍する作家、山本基をはじめ、国内外の作家による作品展示がされました。
BIWAKOビエンナーレ2016の展示作品を紹介するプロモーション動画です。国内外から65組のアーティストが参加して開催されています。また、ストックホルムカルチャーナイト芸術祭2016に出演したアートパフォーマンスや、滋賀を中心に活動する団体、おうみ映像ラボによる8ミリ上映なども実施され国内外に発信するイベントとして盛り上がりました。
堂島リバービエンナーレ
大阪を流れる最大の河川「淀川」の天神橋付近で二股に分かれるそ北側の川を堂島川といいます。その堂島川のほとりにある、多目的ホール堂島リバーフォーラムを舞台にして開催されているのが、堂島リバービエンナーレです。2009年に始まり、毎回国内外から著名なアーティストを招聘し、多角的に文化と芸術への関わりを展開するイベントとしています。
4回目となる2015年には、同時代性の潮流と題し、現代における流れの空間性とそこに現れる変容と交換を探る展覧会イベントが開催されました。国内外から注目のアーティストが集結し、特に、パリを拠点に活躍する池田亮司の約22x11mの関西での展示としては最大のインスタレーションが、未体験の映像空間として人気を博し大いに話題となりました。
港で出会う芸術祭神戸ビエンナーレ
港で出会う芸術祭をキャッチコピーに、2007年に第1回が始まり、2015年の開催を最後に5回の開催が行われました。多種多様な文化の窓口として発展してきた港町神戸に相応しく、展示対象となる分野を現代アートだけでなく、日本の伝統芸術、デザイン、ファッション、洋菓子デザイン、コミックイラストなど現代文化にまで取り組む試みがなされました。
広く一般から国際コンペティション形式で作品を選出している点が大きな特徴で、神戸市という行政主導型で行われ、若手アーティストの発掘および育成にウエイトを置いています。会場となったメリケンパークやハーバーランドエリア、ミュージアムロードエリアには、現在も兵庫県立美術館、横尾忠則現代美術館、BBプラザ美術館などがあります。
2011年の神戸ビエンナーレしおさい公園会場で展示された作品では、神戸港を象徴する作品「港のキリン」など、応募総数43作品の中から選ばれた21の作品が展示されました。船からの貨物を陸揚げする通称「キリン」と呼ばれるクレーンは、コンテナ輸送時代以降、神戸市民にとっての愛すべき番人という意味合いを展示表現しています。
特別賞を受賞した「ViewsEnsemble」と題された作品では、神戸港の光と色を包み込んだ粒を集合させ、新たに構成することで、風景を見渡すだけでは認識できなかった神戸の新しい輝きを生み出しています。四季折々に様々な表情を見せる神戸港の風景。その一瞬に現れるたったひとつの風景を光の粒に閉じ込めて作り出す意欲的な作品です。
姫路城現代美術ビエンナーレ
飾磨國を代表する彫刻家の鹿間厚次郎氏の呼びかけで始まったのが、姫路城の城壁をイメージした複合文化施設「イーグレひめじ」で開催されている姫路城現代美術ビエンナーレです。出展内容は、立体彫刻が中心で、その他版画、絵画、写真展示もされています。また海外都市との交流を機会に、これまでメキシコやイタリア作家の作品展示も行われています。
姫路城現代美術ビエンナーレは、世界文化遺産姫路城のある街で、市民、美術家と行政によって企画運営する美術展を開催することを趣旨に、2008年に第1回が始まり、2016年まで2年おきに開催されています。回を重ねるごとに姫路は文化都市という評価を得、美術家たちが一目置く人気の高い展覧会です。2018年秋には第6回が開催の予定です。
UBEビエンナーレ現代日本彫刻展
UBEビエンナーレは、戦後の復興期を経て市民の間で広がったまちの美化と心の潤い運動を受けて、宇部市を彫刻で飾ろうという運動が広がり、1961年に国内で最初の大規模な彫刻展「宇部市野外彫刻展」が開催されました。以来ビエンナーレ方式で開催を続け第27回開催では、29の国と地域から応募された277点の中から18点の野外彫刻が展示されました。
中之条ビエンナーレ国際現代芸術祭
群馬県の北西部吾妻郡にある中之条町で開催されている中之条ビエンナーレは、2007年に始まり2017年で6回目となる国内でも人気の高い芸術祭です。温泉街や町家、木造校舎など町内における各所において総勢160名を超えるアーティストによるアート展示、演劇やパフォーマンスなどで、中之条独自の文化を継承し発信していく総合的芸術イベントです。
古い木造家屋の地下で、回るミラーダルマ、見つめる赤ダルマ達の「CLUBDARUMA」という作品。ミラーボール代わりに小タイルサイズの鏡が全面に貼り付いたダルマが大音量の中、回転し続けます。そこには人はいないのだけれど、まさに温泉街にあるお酒が飲めて、踊れて、歌えてという日本古来の温泉街ならではの風景がそこにあります。
中之条ビエンナーレで展示される作品は、どれも古来培ってきた文化を表現する、その地方独特の人間の知恵の結晶みたいなものです。そこで表現されるものは、誰しもが新しい文化に浸っているうちに忘れてしまった伝統的なモノや風習といった伝承していくべきものを表現し、ここ中条から世界へ発信して行こうという新しい試みです。
みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ2018
山形ビエンナーレは、山形の暮らしに昔からある品々や、先人たちの知恵や技術を、アートやデザインの視点から掘り起こして、これからの地域づくりに活かしていく道筋を考えていく国内イベントです。2018年は、2018年9月1日から24日の期間中の金、土、日、祝日のみで、山形県郷土館「文翔館」や東北芸術工科大学キャンパスなどで開催されます。
ビエンナーレへ行こう
ビエンナーレとトリエンナーレは、単なる美術展示会のイベントというだけではなく、訪れる関係者やそこに暮らす人々との交流を通して刺激を受けるイベントです。作品に出会うことにより、個々の感性が喚起されそこにまた新たな創造が生まれ交流しあうセッションの場です。さあ、あなたも芸術関連イベントで新しい自分探しの出会いを見つけてみませんか。
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