歴史ある唐沢山城跡!
栃木県佐野市にある唐沢山城跡は歴史ある場所として人気となっています。また春には桜、秋には紅葉など、四季折々の美しい景色は人々の心をつかんで離しません。最近では、唐沢山跡の近くのハイキングコースも人気を博しています。今回はそんな栃木県にある唐沢山城跡の廃城になったいきさつなどの歴史、見どころやアクセス、ハイキング情報など、唐沢山城跡について詳しくご紹介します。
山城ってなに?
唐沢山城跡の山城は、「やまじろ」や「やまじょう」と読み、その名の通り山を利用して作った城のことを指します。山は山でも険阻な山を利用して作られるのが特徴です。高いところの土地は、軍事において地形による敵の行き来を邪魔することができ、また高い位置から見渡すことができるため視界を確保できるという利点があります。そのため世界中で山を利用した山城は作られています。
そんな山城はまさに戦いの為に作られた城でした。日本で山城がたくさん建設されたのは、まさに戦闘が絶え間なくあった戦国時代のことです。高地で城を建てることは難しく、他の城とくらべると質素なものが多いのが特徴です。小さいものや柵で少し囲っただけのものなど様々です。日本の代表的な城には大きい堀などは少なく、地形を生かした城づくりが日本の山城の特徴です。
唐沢山城跡ってどんなところ?
唐沢山城跡とは廃城となった過去もありますが、関東一の山城と呼ばれる山城の中でも非常に権威を持った山城となっています。栃木県の佐野市と田沼町にある唐沢山にあり、当地の豪族佐野氏の命によって927年に築城されました。900年以上の歴史を持つ山城です。現在は城跡となっており、唐沢山の唐沢山神社が城跡で、本堂の位置が本丸跡となっておいます。
そんな一時は廃城ともなった唐沢山城ですが、現在ではかなり人気な名所となっています。唐沢山城を目指して山道を歩いていくと濠跡をよく観察することができる「神橋」と呼ばれる場所があり、そちらを過ぎると三の丸、二の丸、本丸が見られます。そして最も唐沢山城跡で有名な高石垣は、この本丸の場所で見ることができます。景色も良く、四季の移り変わりとともに美しい自然を楽しめます。
栃木県ってどんなところ?
唐沢山がある栃木県は日本のだいたいまんなかに位置する県です。栃木県の中央は広い関東平野、北西辺りには大きな山々があります。恵まれた気候と豊かな土地のため古くから農業が盛んな県でもあります。自然の多い栃木県ですが、都心まで50分ほどと交通の便もよく、都市では工業や商業も発展しています。自然豊かで、かつ交通の便も良いとあって、住みやすい県との声も多くあります。
栃木県はの気候はちょうどいいものですが昼夜の寒暖差が大きいのが特徴です。夏は夕立と雷が多く、宇都宮市は「雷都」と呼ばれているほど。そんな栃木県は歴史が深く、ヤマト王朝時代にまでさかのぼることができます。日本最古といわれる学校や、日光東照宮の建立なども栃木県のものです。また、避暑地の那須高原や、鬼怒川温泉など有名な観光地が多数あり、多くの観光客が訪れます。
唐沢山城跡の歴史
次に、唐沢山城跡がどんな歴史を歩んできたのかご紹介していきます。唐沢山城は、「関東の七名城」のひとつに数えられる、名城として名をはせています。ちなみに関東七名城は、他に川越城や忍城、前橋城、太田城、宇都宮城、金山城、そして唐沢山城の7つです。そんな唐沢山城の歴史は、関東七名城に入るにふさわしい、さまざまな歴史を持っています。
唐沢山城の築城は、平将門の乱の鎮圧に一役買った藤原秀郷によるものと伝わっています。そして、戦国時代にはその子孫の佐野氏が居城としていました。戦国時代の栃木県である下野国南部は、現在の神奈川県である相模の北条氏と現在の新潟県、越後の上杉氏の二大勢力に挟まれており、上杉謙信が関東へ出兵するときや、北条氏が上杉勢をむかえうつ時の大事な拠点となっていました。
15代当主、佐野昌綱はそんな二大勢力の狭間で時に上杉氏、時に北条氏につくなどして戦国時代の荒波を凌ごうとしていました。それが功を奏してか、9回の上杉氏と北条氏の攻撃に耐え、降伏や和睦により御家を守ってきました。複雑な動きを見せた唐沢山城ですが、落城は一度もなく、昌綱の死後も、北条氏や豊臣秀吉家臣から養子を取るなどして繋いでいきます。
現在、唐沢山城跡からは、東京スカイツリーや富士山、筑波山など遠くの方まではっきりと景色や様子を見ることができます。しかし、見晴らしのよさから、江戸城を見下ろしているとはけしからん、との徳川家康からの不興を買ってしまうのです。その後の1602年に、唐沢山のふもとに平城である佐野城が築かれたのちに、唐沢山城は廃城となり歴史に幕を閉じました。
唐沢山城が廃城になったのはなぜ?
廃城になった理由についてもう少し詳しくご紹介します。廃城理由1つ目は江戸で火災があった際に唐沢山城からこれを見ていた人が江戸に見舞いの馬を出したところ、徳川家康は江戸を見下ろす地に城があることに不快感を抱き廃城になったのがいちばん有名な廃城の理由です。また、幕府の山城禁止令に違反したのを咎められて廃城となったという説もあり、廃城に関しては様々な見解があります。
唐沢山城はどうして関東一?
唐沢山城が関東一の山城と言われる所以はその防御力にあります。見方でもあった上杉軍と関係が悪化した際10度にわたる上杉軍からの攻撃を退いたのです。このことから唐沢山城は関東一の山城と賞賛されました。唐沢山は先ほども記したように、現在の東京スカイツリーや筑波山まではっきりと見渡せることができるほどの高台にあり、なにより高く強固な石垣によって関東一の山城となったのです。
現在でも威厳そのままに残っている石垣は、お城跡の主郭まわりを囲うように高々とつまれています。唐沢山城の石垣は、なんと最大その高さが8メートルもあります。近世のお城を見慣れている人にとってはなんてことのない高さに思えてしまうかもしれませんが、この石垣は1592年頃に築かれたもので、その当時には異色と言えます。この巨大が石垣が唐沢山城を守っていました。
唐沢山城の戦いってなに?
「唐沢山城」といえば、唐沢山城の戦いが有名です。その戦いの内容は先ほどもご紹介した、越後の上杉謙信と下野の佐野昌綱の間で10度ほどにわたり繰り返された戦いのことです。唐沢山城は下野南部における重要拠点であり、上杉謙信が関東に出兵するときにとても大事な拠点となりえたのです。北条氏と上杉氏、二つの巨大勢力に挟まれた佐野氏は、それでもこの地を守るために奮闘しました。
先ほどもご紹介した如く、この戦いでは何度も攻めくる上杉軍に対し昌綱氏は唐沢山城に篭城して攻撃し、ときには降伏をしました。また、北条軍の攻めがあるとその時は北条氏に降伏し、上杉軍が攻めくると上杉氏に降伏するという臨機応変な態度を示したのだとか。亡命があいつぐ激動の戦国時代の中、なんとか生き抜くことができたのは佐野氏の機転と強固な唐沢山城があったからだと言えます。
唐沢山城跡のみどころ
唐沢山城跡は多くの見どころがありますが、一番おすすめしたいのは先ほどもご紹介した高石垣です。高く頑強なつくりの石垣は今の時代に見ても圧巻の様子。この石垣の技術を城郭に導入したのは織田信長で、初期の城は1663年小牧山城、1576年安土城に使われています。ここからこの技術が全国へ広がっていきました。唐沢山城は関東への普及を示す歴史的建築物としても見どころがあります。
次にご紹介する見どころはお堀です。中世には石垣を用いない代わりに周りを掘ったり盛ったりして防御性を高めていたのだとか。唐沢山城にもそれらは多く残っており、その中でも特に四つ目堀といわれる堀が有名です。実際に見てみると、城を守る堀というのにふさわしい大きな堀となっています。また、帯曲輪と呼ばれる平場も見どころのひとつとなっています。
昔の唐沢山城の城域は、現在そのまま唐沢山神社に引き継がれています。主郭のあった部分やその周りは神社の社殿や新しく建てられた建物などがあります。今は昔の唐沢山城を見ることはかないませんが、山城の雰囲気を壊さない厳かな雰囲気が感じられます。山の全体が広い城跡となっているので、唐沢山を散策してみると昔の名残や山城の雰囲気をじかに味わうことができるのも魅力です。
唐沢山城跡近くではハイキングも!
唐沢山城跡である唐沢山では、ハイキングも人気となっています。唐沢山は舗装が完璧にされているようなハイキングではありませんが、初心者でもあまり難しすぎないコースとなっています。約10キロの、4時間コースで、周りの景色を楽しみながらハイキングをすることができます。唐沢山は歴史ときれいな景色を楽しめるのです。
ガソリンスタンドなども近くに多くあり、車でのアクセスも抜群の唐沢山ですが、可能ならばハイキングである気ながら登るのがおすすめ。歩くからこそ、山城の価値や雰囲気を直に肌で感じることができます。山の地形や縄張りなども発見しながらハイキングをすることができます。もちろん、頂上からの眺めは抜群ですが、途中でも季節ごとの草や花々を楽しむことができます。
唐沢山城跡近くのハイキングコース!
唐沢山のハイキングはコースがあり、全部で3つあります。1つ目は唐沢山コース2つ目は唐沢山田沼駅コース、3つ目は唐沢山京路戸峠コースです。1つ目の唐沢山コースは堀米駅からスタートして、歩いて25分で林道入口へ、そこから35分ほどで見晴小屋入口、また歩いて30分で見晴小屋、徒歩25分で鏡岩、そこから5分でレストハウスさらに10分歩いて唐沢山神社に到着します。
1つめの唐沢山コースは神社でおわりなので、その後は田沼駅コースから京路戸峠コースへ進むことになります。唐沢山田沼駅コースは唐沢山神社から10分で田沼駅降口標識へ、その後徒歩60分田沼駅で終了です。一方唐沢山京路戸峠コースは唐沢山神社から5分でキャンプ場、そこから徒歩5分で京路戸峠2.2キロメートル標識、その後55分で京路戸峠、45分で多田駅に到着します。
唐沢山ハイキングコースのみどころ!
唐沢山ハイキングコースの見どころをご紹介します。1つ目は鏡岩です。巨石で、昔西日がこの岩に反射して敵の攻撃を防いだと言い伝えがある岩なのだとか。次の見どころは、唐沢山レストハウス。とても景色が良いところで、おみやげの販売や食事をすることもできます。もちろん唐沢山城跡も見どころのひとつ。佐野氏が700年居城し、廃城になった城跡を見ることができます。
お次に紹介するのは田沼ふるさと館です。伝統的な産業や特産物などが紹介されています。営業は9時から17時で入館無料となっています。また、唐沢山神社もおすすめのひとつです。最後にご紹介するのは一塚稲荷神社。田沼から歩いて5分内にあり、1186年に唐沢城を再興するときに富士村から祀ったのだそう。本殿の彫刻はぜひ見てほしいところです。
唐沢山城跡へ行くにはお得なチケットも!
唐沢山へのアクセスは車でも電車でも行くことができます。車で行くなら別ですが、電車でかつ唐沢山がある栃木周辺でゆっくり時間の取ることができる方にはフリーパスもおすすめです。「ふらっと両毛東武フリーパス」というパスがあり、3日間乗り降り自由な券となっています。また、こちらにはバスのフリー区間乗車券もついているのだとか。
両毛地区とは栃木県南部と群馬県東部の地区の事を指します。館林のつつじ、芝桜、足利のフラワーパークなどの花々はもちろんのこと、歴史ある街並みや、佐野のラーメン、太田のやきそばなど、栃木の魅力を思う存分に楽しむことができます。ちなみに選ぶ区間によって金額は異なります。栃木のいろんなところを楽しみたい方にはぜひおすすめのチケットです。
唐沢山城跡へのアクセス
先ほどもご紹介した通り、唐沢山城跡へのアクセスは2種類あり、1つ目は電車のあと徒歩でのアクセス、もう1つは車でのアクセスです。徒歩でのアクセスは東武の佐野線にある田沼駅から登山口まで歩いて40分、登山口から山頂までは歩いて30分ほど、合計1時間10分ほどで山頂の唐沢山城跡に到着します。こちらへはタクシーでのアクセスも可能で、その場合は佐野駅から約20分ほどとなります。
一方車でのアクセスは北関東自動車道の佐野田沼インターチェンジから10分ほど、東北自動車道の佐野藤岡インターチェンジからは20分ほどとなっています。もちろん唐沢山には駐車場があるので、行って降りて来るだけでなく、もちろん駐車場に車を停めて辺りを散策することも可能です。唐沢山城跡にはたくさんの発見と魅力があるので徒歩でも車でもゆっくりと散策するのがおすすめです。
唐沢山城跡にいってみよう!
唐沢山城跡は古い歴史を持った、関東一の山城と呼ばれる山城のトップに位置するお城です。その歴史は複雑ですが、唐沢山城はその強靭な石垣や険しく高い山の立地から主を守り続けてきました。現在その姿を見ることはできませんが、その場所には様々な城の跡が残されています。ご興味のある方はぜひ、魅力的な歴史ある唐沢山城跡に足を運んでみてください。
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