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岐阜県を観光するなら女城主"おつや"の治めた岩村城がおすすめ
日本の歴史上のできごとの数々の舞台となった岐阜県にはたくさんの観光名所があります。例えば、織田信長が金華山の頂上に築いた岐阜城もそうですし、豊臣秀吉が一夜にして城を築いたことで有名な墨俣も岐阜県です。しかし、最近これらの観光スポットに並んで人気なのが岩村城です。今回はこの岩村城の特徴やアクセス法をご紹介します。
そもそも岩村城とは?
岩村城とは岐阜県恵那市岩村町にある日本の城です。この岩村城は日本城郭協会が認定している『日本百名城』にも選定されている山城です。ちなみに歴史の要所であった岐阜県のなかでこの日本百名城に選ばれているのはこの岩村城と岐阜城のふたつのみです。それでは、この岩村城の歴史や見どころに関して簡単に説明したいと思います。
また、岩村城は日本にあるお城のなかでもかなり標高の高い場所に位置しているお城で、奈良県高取町にある『高取城』や岡山県高梁市にある『備中松山城』と並んで日本三大山城と呼ばれます。さらに、岩村城は日本では珍しく女城主が治めていたことでも知られ、建物としての見どころのほかに歴史的に興味深い逸話がたくさん残っています。
岐阜県の岩村城の見どころは立派な石垣
岩村城の見どころのひとつが本丸の周辺にある石垣です。この石垣はマニアからは「東洋のマチュピチュ」と呼ばれることもあるほど本格的な作りで、お城が好きな人はもちろんのこと専門的な知識を持っていない人であっても見るだけでそのすごさが十二分に伝わってきます。しかも、この石垣は当時の面影をそのまま残しているのもグッドです。
岩村城の石垣は異なる技法で作られている点も見どころ
ちなみに、岩村城の見どころとなっている石垣は時期によって積み方が微妙に異なります。例えば、戦国時代より前に作られた石垣は『野面積み』と呼ばれる技巧で積み上げられており、位置にすると本丸裏側の左側あたりです。また、戦国時代以降になると今度は『切り込み積み』と呼ばれる技法を用いて石垣が組まれることになります。
この石垣の組み方の違いも岩村城の見どころのひとつです。さらに、江戸時代になると『打ち込み切り込み積み』と呼ばれる特殊な方法で石垣が作られるようになり、これが見られるのは本丸裏側の右側あたりです。このようにひとつのお城のなかで複数のスタイルの石垣を見られるのは日本のなかでもかなり珍しく、まさに岩村城最大の見どころです。
岩村城の石垣に使われている岩の数は全部で4万個以上と言われています。そして、その膨大な数を使って作られた石垣の全長は約7kmにもなり、これを見るためだけにわざわざ岐阜県の山奥まで来る人がいるほどです。岩村城の見どころはほかにもいろいろとありますが、まずは歴史的にも技術的にも素晴らしい石垣をじっくり眺めるのがおすすめです。
岐阜県の岩村城は別名『霧ヶ城』とも呼ばれる
また、岐阜県の岩村城は別名『霧ヶ城』とも呼ばれます。この岩村城は江戸時代の諸藩の作ったお城のなかで最も標高の高い場所に築かれており、その高さは700mをこえると言われています。さらに、岩村城は高低差180mもある天嶮の地形を巧みに使っていることでも有名なお城で、その特有の地形から霧が非常に発生しやすいのが『霧ヶ城』と呼ばれる理由です。
岐阜県の岩村城は女城主が治めた歴史的なお城
みなさんが「女城主」という言葉を聞いて真っ先に思い浮かべる人物が『井伊直虎』だと思います。これは2017年にNHKの大河ドラマでクローズアップされたからですが、実は岐阜県の岩村城を治めていたのも女の人なのです。それが『おつや』と呼ばれる女性です。女城主である城は歴史的にも珍しいため、その部分も岩村城の見どころとなっています。
岩村城主"おつや"は織田信長の叔母さん
女城主『おつや』を一言で説明すると悲劇のヒロインです。おつやは愛知県愛西市にあった勝幡城で生まれます。織田信長の祖父である信定の末っ子で、このことからも分かるようにおつやはあの織田信長の叔母にあたります。生まれた年については諸説ありますが、父の信定が1538年に死んでいることから「その数年前ではないか」というのが有力です。
女城主の"おつや"は政略結婚を3度した悲劇のヒロイン
女城主のおつやは最終的には岐阜県恵那市にある岩村城を治める遠山景任(かげむね)のもとへ嫁ぐことになるのですが、実はその前に別のところへ2度嫁いでいます。しかも、すべて政略結婚であったと言われています。1度目の結婚は岐阜県の美濃地方を治めていた斎藤龍興の家臣・日比野下野守(ひびのしもつけのかみ)清実とでした。
この日比野下野守は現在の岐阜県安八町にある結城の城主だったのですが、1561年にあった森部の戦いのなかで戦死しています。おつやが何歳で日比野下野守のもとへ嫁いだのかは正確にはわかっていません。しかし、このことからおつやは20歳前後の頃に初めて結婚した男性を戦で亡くしていることがわかります。しかし、おつやの悲劇はここからです。
岩村城主の"おつや"は戦で夫を亡くしてしまう
おつやの2度目の結婚は織田信長の使える武将が相手だったと言われています。具体的な名前は諸説あるようなのですが、この結婚を企てたのはおつやの甥っ子に当たる織田信長なのは間違いないようです。そして、その後再び岐阜に戻ることになるおつやなのですが、今度も織田信長の策略によって甲斐の武田を迎え撃つ前線基地である岩村城へと嫁ぎます。
1570年に武田信玄の家臣であった秋山信友が岩村城へと侵攻してくるのですが、この戦いがもとで3度目の結婚の相手であった遠山影任は死んでしまいます。これまでも何度かおつやは戦が原因で夫を亡くしていて、そのたびに岐阜へ戻るという選択をしていたのですが今回は岩村城へとどまる決断をします。これが女城主『おつや』誕生の瞬間です。
この女城主になるという決断の背景には我が子の『五坊丸』の存在が大きかったようです。ちなみに、おつやは子宝に恵まれず、遠山影任との間に養子を設けたのですが、その子が『五坊丸』です。この五坊丸の母としての責任が女城主の最大のきっかけだと考えられています。また、家臣たちからの信望が厚かったのも女城主への決断を後押ししました。
女城主の"おつや"は悩んだ末に4度目の結婚を決断
とはいえ、おつやが生きていたのは弱肉強食の戦国時代です。夫を亡くしたことを知った武田信玄の家臣・秋山信友はそれを絶好のチャンスととらえ、ここぞとばかりに大軍を引き連れて岩村城へと侵攻してきました。女城主であったおつやはそれに対して徹底的に戦い、家臣や領民たちとともに岩村城のなかに籠城をする形で抗戦をしました。
まともに戦っては勝ち目がないと判断したおつやは岩村城のなかへ閉じこもり、できるだけ時間を稼ぐことで織田信長から援軍が来ることを待ったのです。おつやの女城主としての活躍は見事なもので、信長のもとへ使者を送ったりスパイを送り込んで相手の情報を得たりと城主として民の命を守るためできる限りのことは尽くしたと言われています。
しかし、不幸なことに当時の織田信長は長島の一向一揆などの対応に追われて、最後まで岩村城へと援軍を送ることができませんでした。当然、こうなってしまってはおつやたちに勝ち目はありません。そんな時に秋山信友は和議を申し入れてきたのですが、その条件が『五坊丸や家臣や領民の命を守る代わりに自分自身の嫁になれ』というものでした。
これはおつやにとってとてつもない屈辱だったと言われています。敵対していた武将と結婚をするというのは甥っ子の織田信長へ対する最大の裏切りであり、場合によっては織田信長の手によって命を奪われてしまうことにもつながりかねません。ただ、和議を受け入れなければ今すぐに子どもや家臣を殺されてしまう。おつやは非常に悩んだことでしょう。
岩村城主"おつや"の4度目の結婚に信長が激怒
最終的におつやは自分の結婚と引き換えに子どもや家臣の命を守ることを選択します。自分自身のプライドよりも母として城主としてのプライドの方を選んだとも言い換えられるでしょう。こうしておつやは自身4度目の結婚を最悪の形ですることになるのです。ただ、これを聞いて黙っていない男がいます。そうです、織田信長です。
1573年に秋山信友と結婚したことでおつやは織田側から武田側へと転じることになります。鉄砲隊を駆使したスタイルで武田軍を下した長篠の戦いの後、すぐに織田信長は裏切り者の住む岩村城へと兵を進めます。おつやと信友は協力して徹底抗戦し、6か月にわたって籠城するのですが最終的には1575年の11月に開城をして降参します。
おつやや秋山信友を降伏させた織田信長はまず岩村城にいる家臣たちを殺してしまいます。そして、おつやや秋山信友をはじめとする中心人物を岐阜城へと連行し、そのあとに長良川の河川敷で処刑してしまいます。このおつやの処刑は甥っ子の織田信長が直接手を下したとも言われています。
岐阜県の岩村城へのアクセス方法は?
岩村城へアクセスする方法は主にふたつです。まず、ひとつ目のアクセス方法が車によるパターンです。自動車で岩村城へアクセスする場合には最初に中央自動車道にある『恵那インターチェンジ』を目指します。そして、恵那インターチェンジを降りたら今度は国道257号線を道なりに進むと20分ほどで岩村城が見えてきます。
自動車でアクセスをする場合には町営の駐車場を利用すると便利です。岩村城の周辺にある駐車場は基本的には無料のものが多く、自動車でアクセスする人にとっては非常に心強いサービスとなっています。ただ、観光シーズンともなると駐車場がいっぱいになりやすいので、その点に関してはあらかじめ注意しておくことが必要でしょう。
ふたつ目のアクセス方法が電車を使っていく形です。電車で行く場合にはJR中央線の『恵那駅』へまずは向かいます。恵那駅に到着したら今度は明知鉄道に乗り換えて『岩村駅』で下車します。アクセスにかかる時間は恵那駅から岩村駅までがだいたい20分ほどです。ちなみに岩村駅から岩村城までのアクセスする場合には徒歩で1時間ほどかかります。
岩村城について知りたいなら『岩村歴史資料館』がおすすめ
岩村城やおつやに関してより深く知りたい人はぜひ『岩村歴史資料館』へ足を運んでみてください。この岩村歴史資料館は岩村城のふもとにある観光スポットで、かつて岩村藩の藩主が暮らしていた邸宅を利用して作られました。岩村城に関するさまざまなものが収蔵・展示あれており、自分の目や肌を通して歴史を感じ取れる貴重な施設となっています。
『岩村歴史資料館』の開館時間は4月から11月までが午前9時オープンの午後5時クローズで、12月から3月までが午前9時半オープンの午後4時クローズです。冬場になると少しだけ開館時間が短くなるので岩村城周辺の観光を考えている人は注意しましょう。ちなみに、毎週月曜日が休館日で、祝日と月曜日が重なる場合にはその翌日が休みになります。
また、祝日の翌日や年末年始なども休館日になるため確実に観光をしたい場合には事前に電話等で問い合わせておくことをおすすめします。岩村歴史資料館の入場料は一般が300円で、65歳以上のシルバーが200円です。ちなみに、高校生以下の子どもは無料で入館できるため家族連れで観光をする場所としても岩村歴史資料館は一押しです。
住所:岐阜県恵那市岩村町98
電話番号:0573-43-3057
岐阜県の岩村城へ行く際の注意点とは?
岐阜県の岩村城は石垣をはじめとして見どころが満載でぜひとも足を運んでもらいたい観光地のひとつですが、遊びに行く場合にはいくつか注意点もあります。例えば、岩村城はその立地条件から天候がかなり変わりやすいです。岩村城が日本にあるお城のなかでもかなり標高の高い場所にあることは前述した通りです。
それこそ、駐車場を出発した時にはいい天気だったのに岩村城へ到着する頃には雲行きが怪しくなっていることも珍しくありません。そのため、冷え込んできた時に備えて一枚羽織れる上着などを持っていると安心で、カッパなどの雨具まで用意できれば完璧です。観光地へ行くというよりは山へ行くというイメージの方が近いかもしれません。
また、岩村城へ行く場合には結構な時間を歩くことになります。岩村城までの道のりの間にはコンビニなどはありませんから飲み物等をあらかじめ用意しておくといいでしょう。特に暑い夏場などは熱中症などの危険性もありますから気を付けましょう。十分な準備をしておくことで心に余裕が生まれ、より一層岩村城を楽しめます。
岐阜県へ行く機会があればぜひ岩村城へ
岐阜県には歴史に関する観光名所があり、多くの人たちがどうしても岐阜城などのアクセスしやすい場所に集中しがちです。しかし、岐阜県の郊外には岩村城のような隠れた歴史スポットもたくさんあり、そういった観光地を巡ることで歴史に関する知識も深まります。見どころ満載で勉強になるという意味でも岩村城はとてもおすすめです。
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