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ケーキのモチーフにもなったモンブラン山を登ろう
みなさんのなかにはケーキのモンブランを食べたことがある人も多いでしょう。モンブランは栗を使った非常に美味しいケーキですが、この「モンブラン」の名前や形はアルプスにあるモンブラン山をモチーフに作られたと言われています。今回はアルプスのモンブラン山に関する基本的な情報から、登山をする場合の行き方や観光の方法などをご紹介します。
モンブラン山の高さはヨーロッパでも最高峰
モンブラン山があるのはヨーロッパです。ちょうどフランスとイタリアの国境あたりに位置しているのがこのモンブラン山で、その高さはヨーロッパアルプスのなかでも最高峰を誇ります。ちなみにヨーロッパで最も高い山はロシアにあるエルブルス山なのですが、モンブラン山はそれに次ぐ第2位です。西ヨーロッパだけに限定するならば高さは1番になります。
モンブラン山の名前はフランス語に由来します。ちなみにフランス語でモンブラン山は「MontBlanc」と書きます。前半のモン(Mont)はフランス語で「山」の意味を、後半のブラン(Blanc)はフランス語で「白」を意味します。またモンブラン山のあるイタリアでは同じように「白い山」という意味のモンテ・ビアンコ(MonteBianco)とも呼びます。
モンブラン山の高さは時期によって変わる
意外と知られていませんがモンブラン山の標高は観測するタイミングによって変わります。これを聞くと「山の高さって常に一定じゃないの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。ではなぜ高さが変わるのかという点ですが、これはモンブラン山の山頂付近が分厚い氷河に覆われてているからです。この氷河の厚みによってモンブラン山の高さが増減するわけです。
日本のように高さが3000mくらいまでの山であれば雪が多少積もることはありますが基本的には常に地面が見えています。ですからこのタイプの山は地殻変動でもない限りはずっと同じ高さになります。これに対してモンブラン山は頂上付近がほぼ氷河なのでこれに大きく左右されるのです。これに伴って最近ではモンブラン山の高さが定期的に測定されます。
ただし、その都度数字を変えるのは大変なのでモンブラン山の高さを表示する際には『4810m』を使うことが多いようです。ちなみに日本の山のような岩による頂上の高さは4792mだと言われています。そしてモンブラン山ではその上に約40m近い分厚さの氷河が乗っかっているわけです。例えば猛暑の年になるとモンブラン山の高さは低くなります。
モンブラン山は上級者じゃなくても登山できる
モンブラン山の『4810m』という高さを見ると「上級者しか登山できないのでは」と思いがちですが実際にはそんなことはありません。世界にはこのモンブラン山のように5000m近い高さの山がたくさんあるわけですが、そのなかでもモンブラン山はレベルが低い方です。毎年モンブラン山には約2万人近い登山者がやって来ては登頂を成功させています。
またケーブルカーが整備されているのもモンブラン山が登山しやすい理由のひとつです。整備されているケーブルカーを利用するとモンブラン山の標高3824m地点まで苦をせず行くことができます。そのため登山をする高さは実質1000mほどです。そのためほかの5000m級の山と比較すると荷物が少なく済むなど肉体的にも精神的にも負担が小さいわけです。
モンブラン山の登山はなめてかかると痛い目を見る
ただし勘違いしてはいけないのですがほかの5000m級の山々と比べて登山がしやすいだけであって、登山そのものが簡単という意味ではありません。登山を成功させる人がたくさんいる一方、事故等で登山中に死んでしまう人も決して少なくありません。モンブラン山には登山者を助けるレスキュー隊がいるのですが、多い時だと1日に10回以上は出動します。
そのため場数を踏んできた上級の登山者でない限りは専門的な知識を持ったガイドを付けるのが必須です。ここで言うガイドとはモンブラン山のことを知り尽くした熟練の登山者のことです。もちろん登山者自身も高高度の山における知識や技術が必要ですし、かなり入念にスケジュールや装備を整えることも求められます。なめてかかると絶対に痛い目を見ます。
モンブラン山はきちんと準備をすれば誰でも手が届く
とは言え、アルプスのモンブラン山はきちんと準備をして最低限の技術と知識を身に付ければ誰にでも手が届くという点は間違いありません。また難易度も含めてモンブラン山はアルプスなどのほかの山と比べて人気が高く、その分だけインターネット等で情報を得やすいというのも大きなポイントです。ここではモンブラン山の山頂までの行き方を解説します。
モンブラン山に挑戦するための最低条件は?
まずアルプスのモンブラン山に挑戦する場合にはまとまった日数が必要です。日本の山と違ってふらっと行って登山というわけにはいきません。少なくとも1週間程度は考えておきましょう。またモンブラン山の登山は成功失敗に関係なくお金がかかる点も知っておきましょう。だいだい30万円くらいの費用はかかりますし、ガイドを付けるならもっと必要です。
モンブラン山の登山は技術面や体力面においてもそれなりのレベルが求められます。技術レベルは例えば残雪の奥穂高岳を涸沢側から問題なく登れるくらいは必須です。体力に関しては3000m級の山を日帰りで無理なく往復できるくらいあると安心でしょう。また高所に対する体制も必須です。例を挙げると富士山に登っても高山病にならない耐性は必要です。
アルプス最高峰モンブラン山への行き方1:出国前
当たり前ですが出国前にパスポートを取得・更新しましょう。これがないとモンブラン山の登山は始まりません。それと同時にモンブラン山の山頂からほど近い場所にある『グーテ小屋』と呼ばれる山小屋を予約します。このグーテ小屋は完全予約制ですが、かなり人気の小屋で連日世界中から電話が殺到するので予約を取るならかなり前もってがおすすめです。
ちなみにグーテ小屋以外にも宿はあります。しかしそれらだと標高がぐっと下がってしまい、結果として時間や予算や体力を浪費することにつながるのでできればグーテ小屋がいいです。次は航空券の購入です。モンブラン山の麓町はフランスのシャモニーとよばれる場所ですが、最寄りの空港はスイスのジュネーブ空港になります。間違えないように注意です。
フランスのシャモニーは比較的大きな町なので現地でその日の宿を探すことはそこまで難しくありません。ただ、日本から行ってすぐにあれこれ探すのは大変なので初日のホテルくらいは事前に予約をしておいた方がいいでしょう。宿泊するホテルは各自の好みで大丈夫です。快適さを重視するなら高いホテルでもいいですし、低予算の宿も悪くはないです。
アルプス最高峰モンブラン山への行き方2:登山直前
モンブラン山の麓町であるフランス・シャモニーへ着いたら時間を見つけてルートの情報を収集しましょう。シャモニーの中心部あたりに教会があるのですが、そのすぐ近くにある『Maison de la Montagne』という建物でモンブラン山に関する情報を聞けます。この『Maison de la Montagne』の2階にオフィスがあり、最新のルート情報を入手できます。
また『Maison de la Montagne』のすぐ近くには観光インフォメーションセンターがあります。そして観光インフォメーションセンターには無料Wi-Fiが完備されています。人によっては海外でインターネットを自由に使えない人も多いでしょうから、パソコンで情報を収集したり日本の家族に連絡を取りたいなら観光インフォメーションセンターが便利です。
アルプス最高峰モンブラン山への行き方3:登山開始から登頂まで
まずはシャモニーの中心部から出ているバスに乗りモンブラン山のロープウェイを目指します。時刻表は観光インフォメーションセンター等でもらえるので事前に調べておくといいです。またロープウェイの山頂駅に着いたらそこから少し歩いたところにある小さな駅で電車に乗り換えてさらに上を目指します。標高が高くなってくるので体調に気を付けましょう。
電車の終着駅に着いたらいよいよモンブラン山の登山開始です。当面の目標は予約しておいたゲーテ小屋を目指すことになります。ゲーテ小屋までの登山はそこまで難易度は高くないですが当然油断は禁物です。万全の準備を整えて登っていきましょう。ゲーテ小屋に着くと翌日の朝食の時間を3時にするか7時にするか聞かれます。観光ではなく登山なら3時です。
前日は早めに就寝して翌朝3時のご飯に備えます。当然寝坊は厳禁です。山小屋でご飯を食べたらいよいよ本格的なモンブラン山の登山が始まります。モンブランのような5000m級の山は天候が非常に変わりやすいので情報を集めながら慎重に登りましょう。決して無理はせず1歩ずつ着実に足を進めて行けば目標であるモンブラン山の頂が自然と見えてきます。
アルプス最高峰モンブラン山への行き方4:登頂から下山まで
モンブラン山の頂上に到達できたら今度は下山です。小学校の先生みたいなことを言いますが無事に下山するまでが登山です。実際登山の事故の多くは下山のタイミングで起きます。登頂に成功してテンションがあがり注意が散漫になっているのもそうですし、さらに大きな負担のかかる下山を登頂を終えたばかりの疲れた身体でしないといけないのも理由です。
無事に山小屋に着いたらあとは来た時と同じように鉄道やケーブルカー等を使ってフランスのシャモニーへ帰るだけです。ちなみにロープウェイからシャモニーへ向かうバスはあまり本数がありません。そのため上手に乗り継ぎができないと戻るまでにかなり時間がかかってしまいます。あまり遅くなると宿の確保が難しくなるので事前に予約しておくと安心です。
アルプス最高峰モンブラン山への行き方5:帰国
シャモニーに戻って来たらこの後はそれぞれの自由です。すぐにスイスのジュネーブ空港へ向かって帰国の途に就くのもいいですし、アルプス周辺の街を観光するのもおすすめです。ヨーロッパはパスポートの提示なしで自由に行き来できるため観光をするのにはもってこいです。ただ、モンブラン山の登山で身体は相当疲れてますから観光する場合もほどほどに。
モンブラン山の登山者向けのツアーもある
ここまでに紹介した行き方は自分ひとりでモンブラン山に挑戦するケースを想定したものです。ただ、よほどの上級者でない限りは知識も乏しいでしょうしなかなかすべてをひとりでこなすのは難しいでしょう。そんな人におすすめなのがモンブラン登山の観光ツアーに申し込むことです。観光ツアーの長所はほぼすべての手続きを旅行会社がやってくれる点です。
例えば自分だけでモンブラン山へ挑む場合には前述したように山小屋の予約から航空券や宿泊するホテルの確保まですべてをやらないといけません。時には日本語以外の言葉でやり取りをしないといけないシーンも出てきます。さらに自分で準備をするといざモンブラン山の麓町へ行った時に道具が足りない等トラブルに巻き込まれてしまうリスクも当然あります。
モンブラン山をより安全に登るならツアーもあり
これに対して、観光ツアーに申し込んでしまえばこれらの工程をすべて旅行会社のほうに任せてしまうことができるわけです。さらに何か困ったことがあったときは専属のスタッフに相談することもできます。ただし、一見すると素晴らしいと思えるモンブラン山登山の観光ツアーにも短所があります。それは観光ツアーに申し込むとかなりの費用がかかる点です。
いち個人でモンブラン山へ挑む場合には高々30万円程度あれば大丈夫でしたが、観光ツアーで頂上を目指そうとすると倍近い費用がかかります。もちろん申し込むツアーのプランによっても微妙に料金は変わりますが、少なくとも70万円程度はかかると考えておいた方がいいでしょう。ただし、繰り返しになりますがモンブラン山の登山はとても危険なものです。
状況の判断等を一歩間違えるとそれがそのまま死に直結します。それを考えると専属のガイドが付くツアーという選択肢も決して悪いものではありません。少し料金をプラスすることで自分の命を守れる確率がぐっと上がるわけですから間違いなく支払うお金以上の価値はあるサービスです。登山経験があまり多くないと思う方はツアーという選択肢もありです。
モンブラン山を登山する際の注意点とは?
モンブラン山に限った話ではありませんが登山をする際に最も意識すべきは『自分の命を守ること』です。登頂し始めると「せっかくお金と時間をかけたのだから何としてでも登頂したい」という気持ちが芽生えがちです。しかしモンブラン山は天候などのコンディションが変わりやすく、時には無理をしないで下山するという選択ができるだけの勇気も必要です。
モンブラン山の登頂で得られる高揚感はプライスレス
今回はヨーロッパアルプスの最高峰であるモンブラン山の基礎知識や行き方について簡単にまとめました。もちろん今回紹介した行き方はあくまで一例であり、別のルートで山頂を目指す行き方もたくさんあります。5000m級を登るのはかなり大変ですが、頂上に到達した際の高揚感は登った人にしかわかりません。興味がある方はぜひ挑戦してみてください。
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