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宇都井駅は別名『天空の駅』!見どころや廃線後のアクセス方法もご紹介!

宇都井駅は別名『天空の駅』!見どころや廃線後のアクセス方法もご紹介!
投稿日: 2018年9月29日最終更新日: 2020年10月8日

宇都井駅は三江線の駅で、三江線廃線に伴い廃止された駅です。しかしここからの景色の美しさは特筆すべきものであり、多くの観光客を楽しませてきました。宇都井駅の見どころ、現在のアクセス方法のほか、イベント情報などについて紹介します。

天空の駅宇都井駅見出し

Photo by misijp

日本全国に鉄道が張り巡らされていると、さまざまな「日本一」の駅があります。ここで紹介する宇都井駅もかつて「日本一」だった駅でした。残念ながら現在は廃線となり、駅ではなくなっているのですが、それでも多くの人が観光に来ています。その宇都井駅へのアクセスなども含め紹介します。

宇都井駅とは見出し

宇都井駅はJR西日本三江線の駅です。地上20メートルの高架の上に駅が造られており、日本一の高架駅として「天空の駅」と呼ばれ親しまれてきました。

ふつう高架の上に駅があるというと、大都会で、ホームがたくさんあり、毎日多くの電車、多くの乗降客が行き来している駅を連想します。ところが宇都井駅はそれとはまったく違います。のどかな田園風景が広がる里山の景色の中に高架があらわれるのです。

宇都井駅はどこにある?見出し

この宇津井駅があるのは島根県邑智郡邑南町(おおなんちょう)宇都井下郷というところです。島根県邑南町というのは島根県の中部、広島県と境を接する場所にあります。

次に述べますが、三江線は江の川に沿って線路が延びています。そのため島根県邑南町に複数の駅があったのですが、宇都井駅を出るといったん広島県三次市に出て、ふたたび邑南町に戻るというルートを取っていました。

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三江線とは見出し

Photo by misijp

宇都井駅があった三江線というのは、広島県の三次市にある三次駅(三)と、島根県江津市の江津駅(江)の間を結んだ路線です。2015年には全通40周年を記念して「江の川鉄道」という愛称がつけられました。

三江線は先ほども述べましたが、古くから水運交通に使われていた江の川に沿ってつくられました。ただ、この周辺は山がちであり、狭い平地を縫うようにして線路が敷設されたことから、建設に時間がかかり、さらに大きくう回するルートになりました。全線開通には40年以上かかったのです。

その距離は108キロメートルあり、本州を横断して山陽地方と山陰地方を結ぶ、いわゆる陰陽連絡路線の1つだったのですが、もともと大きくう回するルートであったこと、出雲市や松江市といった島根県東部の主要都市と広島県を結ぶのにはう回が必要であったことなどの問題点もありました。

さらに、豪雨や大雪といった自然災害の影響で、何度となく運行できなくなるという不運にも見舞われたのですが、そのたびに復旧を遂げていました。

そして2018年3月31日、三江線は旅客営業を終了し、4月1日付けで廃線となりました。国鉄時代を含めて、本州で路線距離が100キロを超える路線が廃線となったのはこれが初めての事例となったのです。

なぜ宇都井駅はなくなった?見出し

宇都井駅がなくなったのは、もちろん三江線が廃線となったからなのですが、ではなぜ、三江線は廃線となってしまったのでしょうか。

廃線となった一番の原因は、やはり利用状況の問題です。先ほど全線開通に時間がかかったと述べましたが、三江線が全線開通したのは1975年で、すでにモータリゼーションの波が押し寄せており、基本的には普通列車のみの路線となっていました。

Photo by kimagurenote

そのため、基本的には通学のためなどのローカルな需要が中心だったのですが、沿線にスクールバスが運行されるようになると、こちらに客が移り、さらに利用客が減少していくこととなりました。

2008年にはついに三江線の輸送密度(1日あたりの平均通過数量)はJR東日本の岩泉線についで少ない値となり、岩泉線が廃線となった2014年からは運行中路線の中で最下位となってしまいます。

さらに山間部を川沿いに通るというルートのため、2006年、2015年に起こった豪雨では、土砂崩れや橋脚の流出などによって長期間にわたって全線不通となるなど、災害にも見舞われました。

Photo by sqm

一方で、数度にわたり行われた臨時列車の運行では、三次市民納涼花火まつりの際に運転された「花火鑑賞列車」など、ユニークなものが多くあり、観光客などが多く利用していました。また、沿線の美しい景色を楽しむコンセプトで運行された列車なども観光客に人気でした。

しかし、これらの努力もむなしく、三江線は2018年3月31日で旅客営業終了となりました。このことが報道されると、2017年秋ごろから最後の記念として三江線を利用する観光客などが増加し、最後の半月ほどはすべてが2両編成、それでも通勤ラッシュのような状況となったそうです。

廃線後、三江線はバス代替となりました。しかし三江線は人の動きにあっていない部分もあったことから、既存路線を含め18の系統に再編成、細分化されました。

宇都井駅へのアクセス見出し

三江線が廃線になった現在、宇都井駅にはどのようにしてアクセスすればよいのでしょうか。前述したように三江線が廃線となったことで、宇都井駅に電車でアクセスすることはできなくなっており、アクセスには前述した代替バスを利用するか、車を利用するかのどちらかの方法があります。

公共交通機関を利用してのアクセス

Photo by khws4v1

宇都井駅にアクセスするための最寄駅はJR芸備線「三次」駅となります。遠方からの場合は新幹線などで広島駅までアクセスし、そこで乗り換えるとよいでしょう。三次駅までは1時間に1本程度の割合で電車があるほか、快速「みよしライナー」なども利用できます。

三次駅前に到着したら、今度はバスに乗り換えます。2番乗り場から出る備北交通「伊賀和志」行もしくは「道の駅GR大和」行に乗り、「羽須美支所」バス停で下車します。降りたら邑南町営バス(通称おおなんバス)の9系統(けんこう号宇都井・落合線)もしくは26系統(宇都井口羽線)に乗り換え「宇都井駅」で下車します。

Photo by hans-johnson

こう述べると、複数の路線があるため、それなりにバスの本数がありそうに見えるのですが、実際にうまく乗り継ぎができるルートは平日で3往復、土休日で2往復しかありません。さらに日帰りするならば1往復程度しかありません。観光で行く場合はアクセスを事前にきちんと確認することをおすすめします。

Photo by tsuda

なお、宇都井駅は島根県にあるから、島根県側からアクセスする方法はないのかということですが、あることはあります。その場合、最寄り駅は「江津」駅となります。山陰本線の駅なので、島根県内などの方はこちらを考えるのではないでしょうか。

しかし、江津駅から宇都井駅までのアクセスは、三次駅からのアクセス以上に困難です。まず宇都井駅までにバスを4回乗り継ぐ必要があります。しかも途中で数時間単位の待ち時間が発生するため、日帰りは事実上不可能ということになります。

車を利用してのアクセス

Photo by Jason Spaceman

島根観光などの時に宇都井駅を見てみたいという方の中には、車でのアクセスを考えている方も多いかもしれません。実際、公共交通機関を利用してアクセスしようとすると、どうしても時間がかかってしまうので、可能ならば車の方がよいでしょう。

しかし車の場合でも、アクセスが楽なのは島根県側ではなく、広島県側からです。中国自動車道の「三次」ICが最寄りとなります。ここから宇都井駅までは50分から1時間程度見ればよいでしょう。

車の場合気になる駐車場ですが、廃線になる前には無料駐車場が5台程度でしたがありました。周辺にはコインパーキングなど駐車場はないようなので、ここが使えるのであればここに駐車すればよいでしょう。現在廃線となっている駅でもあり、停められないということはないと推察します。

宇都井駅は日本一高い駅見出し

さてそれでは、宇都井駅についてもう少し紹介していきます。前述したように、宇都井駅が所属していた三江線は江の川に沿って山間部を縫うように走るルートでした。宇都井駅があるところは山間部分にトンネルとトンネルを繋ぐ部分に当たります。

つまり、宇都井駅がある島根県邑智郡邑南町宇都井下郷という場所は、前後を山に挟まれた間にある、秘境ともいえる集落なのです。

その結果架けられた高架上、地上20メートルにホームがあるという特殊な構造を持つこととなりました。そのため、「ホームが日本一高い場所にある駅」「天空の駅」として有名になりました。

ちなみに廃線前、宇都井駅の電車は1日に4往復のみで、しかも三次方面は8時台の次は17時台まで約10時間電車がないという状態でした。ですから三江線があった時期でも、アクセスは決していいわけではなかったのです。

宇都井駅の見どころは?見出し

この宇都井駅は、「天空の駅」として、廃線前から三江線の中でも鉄道ファンに人気の駅となっており、多くの観光客が訪れていました。宇都井駅は高架の真ん中ににタワーのようなものがあり、それを登ってホームに出なければならないのです。

観光客が多く訪れるといっても、実は宇都井駅はほとんど乗客の乗り降りがない駅です。ですから無人駅ですし、エレベーターもエスカレーターもありません。駅を訪れた人は116段の専用階段を登り、待合室、ホームに出る必要があります。

10段ごとに踊り場がつくられており、そこには地域の子どもたちがこのあたりを紹介するために作った貼り紙が掲示され、励ましてくれています。

そして登りきった待合室にはメッセージを書くノートが置かれていて、ここを訪れた観光客が多くのメッセージを書き込んでいました。無人駅で改札もない、単線の路線なので、戸を開けるとすぐにホームがあるという構造になっています。

宇都井駅からの景色は人気見出し

宇都井駅は20メートルの高さにあるため、階段を登るその途中からも景色を眺めることはできます。しかしなんといっても魅力的なのは、ホームから見る景色です。

ホームからは集落の景色が眼下に広がり、さらに両方に迫る山は四季折々の景色を醸し出してくれます。特におすすめなのは、秋の紅葉シーズンではないでしょうか。赤く色づく稜線と田んぼと家の景色は、古き良き日本の風景をそのまま切り取ったようで、とても魅力的です。

一方で、田植え前後の時期には、水を張った水田に宇都井駅が映り込みます。この景色は「逆さ宇都井」と呼ばれ、現代アートを思わせるということで、こちらも大人気でした。廃線となった今でもこの「逆さ宇都井」の景色は楽しめます。

宇都井駅に降りて景色を楽しむ方もいますが、三江線に乗っていた方にもそれは知られていたようで、トンネルを抜けて停車のために減速すると、乗客が立ち上がり窓からカメラを構えていたと言われています。

宇都井駅と神楽見出し

Photo by m_nietzsche

三江線があったころ、三江線の各駅には、神楽の演目が愛称としてつけられていました。これは島根県西部の石見地方と広島県北西部の安芸地方の伝統芸能として石見神楽があり、その場所を三江線が通ることから設定されたそうです。

宇都井駅の愛称として設定されたのは「塵輪」です。これは第14代天皇である仲哀天皇の塵輪征伐を神楽にしたもので、代表的な鬼舞の1つに数えられています。もし島根観光などでタイミングが合いそうなら、石見神楽を一緒に見てみるのもおすすめです。

宇都井駅のライトアップはある?見出し

宇都井駅がもう1つ人気だったのはライトアップです。田園風景の中にあらわれる高架駅ということで、ライトアップをすればさぞかし美しいだろうと推測できますが、その通りで、ライトアップを見るために多くの観光客が訪れていました。

宇都井駅のライトアップは例年、秋の夜に行われていました。「INAKAイルミ@おおなん」という名称で、宇都井駅を青にライトアップし、眼下の里山集落で「稲穂イルミ」や「ほたるイルミ」などのライトアップを行うことで、懐かしい田舎の風景を表現したライトアップでした。

稲穂やほたるの情景がライトアップで表現された中、青くライトアップされた宇都井駅に電車が到着する姿は、あたかも物語の「銀河鉄道」の姿のようだということで、多くの観光客が訪れ、楽しんでいたそうです。

このイルミネーションは2017年の年越しのテレビに出たほか、2018年には3月にも行われ、盛況を博したのですが、三江線の廃線に伴ってどうなるのかが心配されていました。

2018年8月31日、ここで新たなイベントが行われました。8月31日は宇都井駅を含む三江線浜原駅から口羽駅間が開業した日であり、「天空の駅生誕祭」ということで、地元のNPO法人などが生誕祭を開いたのです。

この生誕祭では、宇都井駅のライトアップが行われたほか、レールで肉を焼いてバーベキューをやるなど、三江線と宇都井駅に関係したさまざまなイベントが行われました。

今後のライトアップの予定などばまだ出ていませんが、廃線となった年にこのようなイベントが行われるということは、今後も期待できるかもしれません。もしこれから宇都井駅に行くことを予定している方は、こういったイベントの予定も調べるとよいでしょう。

宇都井駅にはどうやって入る?見出し

Photo by Steven-L-Johnson

なぜイベントの話を述べたのかというと、現在、宇都井駅には入ることができないからです。三江線が廃線になったことに伴って、宇都井駅も駅としての役割を終え、駅は立ち入り禁止となりました。

つまり、平常の時に宇都井駅に行っても、ここまで述べてきた階段を登ることも、ホームからの美しい景色を眺めることもできないわけです。

しかし、天空の駅生誕祭の時には、ライトアップの前、17時30分から18時30分まで「宇都井駅入場会」と銘打って、駅の立ち入り禁止を外し、中に入ることが許されました。おそらく当分の間はこのようなイベントの時にのみ、駅に立ち入ることができるようにする可能性があります。

模型になった宇都井駅見出し

このように、廃線になったことで、行くことが難しくなった宇都井駅ですが、なんと模型になりました。株式会社トミーテックの「駅コレクション」第1弾として宇都井駅が模型化されたのです。

この模型は150分の1、Nゲージスケールで作られています。中央の階段棟には116段中110段の階段が再現され、橋脚4本分あり、150分の1スケールの車両2両が線路に配置できるようになっています。

さらに、ライトアップバージョンでは、電池をセットすることで青くライトアップされた宇都井駅を再現することもできるようになっています。

商品は2018年8月発売予定となっています。宇都井駅の地元でも販売されているほか、ネットを利用して購入することもできるようですので、宇都井駅の姿を永遠にとどめておきたいという方は調べてみてはいかがでしょうか。

宇都井駅の周辺観光スポット見出し

宇都井駅は秘境ともいえる場所にあるため、周辺の観光スポットにはどこも距離があります。公共交通機関を利用している場合、三次駅が起点となると推測されるので、三次の観光スポットと組み合わせるのはいかがでしょうか。車の場合は「常清滝」や「道の駅 グリーンロード大和」などが近くにあります。

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宇都井駅で昔をしのぼう見出し

Photo by asobitsuchiya

宇都井駅は天空の駅ということで、三江線の中でも特に人気があった駅でした。残念ながら三江線が廃線となり、駅は廃止されてしまったのですが、今でも「逆さ宇津井」などは楽しむことができます。またイベントの時などは中に入ることもできます。ぜひ美しい里山の風景を楽しみに訪れてみてはいかがでしょうか。

投稿日: 2018年9月29日最終更新日: 2020年10月8日

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