ドイツではチップで「ありがとう」を伝える!
海外旅行をするとき、困ってしまうのがチップです。日本にはない習慣なので、どんな時にどのくらいの金額を渡していいのか迷ってしまうことが多くあります。ドイツでは、チップはサービスに対して感謝の気持ちを表すものとされています。ここではドイツのチップの相場やスマートな渡し方などを紹介しましょう。
労働者への報酬としてのチップ
ドイツは、昔から近隣諸国の移民を多く受け入れて来ました。しかし移民たちが働ける職場は限られていて、ホテルの清掃員やレストランのウェイターなど、賃金が低い仕事に就く人もたくさんいます。ドイツではそれらの労働者に対して支援するという意味も含めて、チップを渡す習慣があります。
しかしチップは、単に富裕層から弱者へお金を与えるという意味ではありません。厳格な気質で知られるドイツ人は、労働やサービスに対する正当な報酬としてチップを渡します。したがってドイツではサービスに見合わない高額なチップは渡しません。
ドイツではチップは必ずしも必要ではありません。学生や所得の低い人は、チップを求められることはあまりありません。
ドイツのチップは必ず必要ではない
チップはサービスに対する感謝の気持ちを表すものです。アメリカのようにチップが半ば義務になっている国もありますが、ドイツでは必ずしも必要ではありません。もしサービスに不満があった場合は、渡す必要はありません。反対にドイツで普通以上のサービスを受けた場合は、気持ちよく渡すようにしましょう。
ホテルでのチップの相場と渡し方
ドイツの有名観光地には、外資系ホテルチェーンがいくつも並んでいます。これらの高級ホテルには世界中から観光客が宿泊するため、サービス料を宿泊料金に含め分かりやすくしています。したがってドイツでは基本チップを渡す必要はないのですが、こちからお願いしたサービスに対してはきちんとチップを渡す必要があります。
ドイツのホテルでのチップの渡し方に注意が必要なのは、主にポーター、ベッドメイキング、ルームサービスの3点となります。それぞれの相場や渡し方を見てみましょう。
ポーターへのチップ
ドイツでホテルの部屋までポーターに荷物を運んでもらった時は、荷物ひとつにつき1ユーロを渡すのが相場です。人数が多く荷物がたくさんある時や、特に大きな荷物・重い荷物がある場合は上乗せすると喜ばれるでしょう。渡し方のタイミングは、ポーターが部屋に入って荷物を運び終わった時です。
また、チェックアウトの際にポーターを頼んで、ロビーまで荷物を運んでもらう時も同様にチップを渡します。渡し方のタイミングは、ポーターが荷物を受け取りに部屋に入って来た時です。
ベッドメイキングのチップ
ドイツではベッドメイキングや清掃はホテルの宿泊料金に含まれていることが多く、昔のように「枕銭」を置く習慣は少なくなりました。必ずしもチップを置く必要はありませんが、感謝の気持ちを表したいのであればチップを置いても構いません。
チップの相場は1泊につき1ユーロで、渡し方は枕元のベッドスタンドや枕の上に置きます。ただしチップを置いても、窃盗と勘違いされないよう受け取らない人もいるので、「Danke!(ダンケ)」とメモを付けるなど、分かりやすい工夫をしましょう。
慣れない海外旅行では、小銭が財布の中に溜まりがちですが、小銭をチップとして渡すのはかえって失礼になります。チップは紙幣で渡すのがスマートです。
ルームサービスのチップ
ドイツのホテルではルームサービスを頼んた場合、運んで来たスタッフにチップを渡します。相場は1~2ユーロで、人数が多ければ1人当たり1~2ユーロを上乗せをしましょう。渡し方は料理を並べ終わったところで渡します。笑顔で「ダンケ!」と一言添えると、よりスマートな渡し方となるでしょう。
レストランでのチップ相場と渡し方
ホテルに続いでドイツでチップを渡す場面が多いのは、レストランです。ドイツをはじめヨーロッパの高級レストランでは、そのテーブルの担当スタッフが「お味はいかがですか」などと何度も尋ねてくれます。この時必要なことがあれば、遠慮なく伝えましょう。
ドイツのレストランで気持ちのいいサービスを受けた、美味しい料理を食べたというときは、感謝の意味を込めてチップを渡します。
ドイツのレストランはサービス料込み
一般にドイツのレストランではサービス料が含まれているため、チップは必ずしも必要ではありません。しかしスタッフが注文を取りに来たり、食事を運んだりするようなレストランではチップを渡すのが暗黙の了解となっています。ドイツのレストランで食事を楽しんだら、スマートな渡し方を心がけましょう。
チップは食事代の10%程度
ドイツでは一般にレストランでのチップは、食事代の5~15%が相場です。相場には幅がありますが、高級レストランほど相場が高くなることを覚えておいてください。
ただし、きっちりと10%渡さなくてはいけないというわけではありません。飲食代の10%程度の端数を切り上げて渡します。たとえば、飲食代が18ユーロだったら20ユーロを渡すという具合です。
クレジットカードで支払う場合は、チップをブラスした金額をスタッフに伝えるようにします。レシートに直接書き込んでもいいでしょう。カードで支払って、現金をチップとして渡しても問題ありません。
チップを渡すときの注意点
ドイツのチップの渡し方で注意してほしい点は、きちんとチップの額を示さないと、渡した金額を全てチップだと勘違いされてしまうという点です。
またドイツ独特の習慣として、チップを含めた合計金額を伝えて会計をします。例えば、飲食代が10ユーロだった場合、「12ユーロ」と言ってお金を渡すと2ユーロはチップと理解してもらえます。ドイツの高級レストランでは英語も通じるので、英語で伝えても大丈夫です。
タクシーでのチップ相場と渡し方
旅行者がチップを渡す場面で、レストランやホテルに次いで多いのがタクシーです。ドイツのタクシーは、日本のように流しはほとんどなく、ホテルやレストランで呼んでもらうか、タクシースタンドから乗ることになります。国が許可したタクシーがほとんどで、サービスには定評があります。タクシーを利用したらチップを払うようにしましょう。
タクシー代金の10%が目安
ドイツのタクシーに対するチップの相場は、代金の10~15%程度が一般的です。タクシーの運転手は荷物の積み下ろしや、時間調整も行ってくれます。ただし厳密に10%や15%である必要はありません。
タクシーのチップも、レストランと同様に端数を切り上げて渡します。例えば、運賃が12.50ユーロだったら14ユーロを、27ユーロだったら30ユーロを渡すといった具合です。
荷物が多い場合はチップも多めに
ドイツのタクシーの運転手は荷物の積み下ろしを手伝ってくれることがあります。人数が多かったり、空港からたくさんスーツケースを運んでもらったりした場合は、感謝の意味を込めて少し多めに渡すようにするといいでしょう。このときも笑顔で「ダンケ!」と言いながら、スマートに気持ちよく渡すのがおすすめです。
チップを渡すときの注意点
タクシーでチップの渡し方で、注意して欲しい点があります。ドイツではチップを含めた金額で払うということをきちんと伝えないと、渡したお金が全てチップと勘違いされることがあるので注意をしましょう。ドイツ語で伝えるのが難しい場合は、紙に数字を書いて示すのもおすすめです。
ドイツでもゲストハウスやBBQはチップ不要
ドイツを観光する際、ホテルではなくゲストハウスやB&Bホテルに泊まることがあるでしょう。B&Bとはベッド&ブレックファストの略で、朝食付きの宿泊施設です。安い値段で泊まれることから、バックパッカーや旅行者の強い味方です。ホテルと異なり、オーナーとのやり取りも楽しいというメリットもります。
ゲストハウスやBBQはチップ不要
ドイツのゲストハウスやB&Bホテルは一般的に個人経営の宿泊施設です。宿泊料金にサービス料が含まれているのが基本で、チップを払う必要はありません。特に世界中から若いバックパッカーが訪れるゲストハウスは、チップを払う習慣はありません。ただし、荷物を運ぶなど基本的なことは自分でする必要があります。
チップが必要な場合は?
ゲストハウスやB&Bホテルでは一般的にチップを払う必要はありません。しかし、特別食を用意してもらったり、部屋を掃除してもらったりと特別なことをお願いした時は、お礼の意味を込めて1日1ユーロほどをチップとして置くようにしてもいいでしょう。また折り紙など、日本のお土産などを渡しても喜ばれることがあります。
ドイツのカフェでチップは必要?
ドイツはカフェがいたるところにあり、観光の合間に一休みするのにおすすめのスポットです。ドイツのカフェでは基本、チップは必要ありません。またカウンターで飲み物を注文しお金を払うようなお店ではチップは要りません。当然のことですが、ファーストフード店でもチップは不要です。
カフェはお釣り相当のチップでOK
ドイツのカフェの飲み物の値段は、そもそも切りのいい値段ではありません。例えば3.98ユーロなど、細かい値段が多いのですが、これはカフェのオーナーが端数をチップとして置くことを期待しているからだそうです。基本、飲み物を頼むだけなら、ドイツのカフェではチップは必要ありません。端数を切り上げて、金額を渡せばいいでしょう。
カフェでのチップの渡し方
カフェでレシートを渡されたら、切りがいい額を渡します。テーブルにお金を置いて立ちあがってもいいでしょう。できれば、担当のウェイターに「ダンケ!」と言って立ちあがるのが、スマートなチップの渡し方です。レジで直接払う店では、レジの横に小銭を入れる箱が置いてある場合もあります。
ドイツはトイレ清掃員にもチップを渡す
日本にはない習慣ですが、ドイツをはじめヨーロッパではトイレの清掃員にチップを渡す習慣があります。またドイツではコインを入れないとドアが開かない公共トイレもあります。慌てないためにも、常に小銭を用意しておくといいでしょう。美術館や博物館のトイレは無料で利用できます。
ドイツのトイレの大半はチップが必要
ドイツの商業施設や観光地のトイレでは、清掃員が常駐していてきれいにしているところがほとんどです。清掃員の多くは低所得の人で、移民の女性や年配の方が多く働いています。そんな事情から、ドイツではトイレを利用した際にはチップを置くのが習慣となってます。日本ではない習慣なので忘れないようにしましょう。
トイレでのチップ相場と渡し方
ドイツのトイレでは入口に人が座っていたり、小皿が置いてあったりすることがほとんどです。金額は任意ですが、相場は50セント~1ユーロくらいです。中には金額が書いてあることがあるので、注意しましょう。駅のトイレなどはお金を入れないと入り口が開かないところもあります。常に小銭を用意しておくと安心です。
違法なチップ請求に注意!
ドイツでは時々、外国人観光客を狙って違法なチップを要求されることがあります。そんなときは断固として断り、チップを払うことがないようにしましょう。ビルのドアの開閉や公共の交通機関ではチップは必要ありません。また、観光地でガイドの振りをしてチップを要求する詐欺もあるので、注意をしましょう。
ビルのドア・市内交通でチップは不要
ドイツを旅行していると、ビルのドアを開けてチップを要求されることがあります。また路上で歌や楽器を演奏し後にお金を要求されることがあります。これらは不当行為なので、お金を渡す必要はありません。
路面電車や鉄道など、思わぬ場所でチップを要求されることがありますが、基本、無用のサービスにはチップは必要ないことを覚えておきましょう。
知っておきたいチップに関する言葉
ドイツ語ではチップのことを「Trinkgeld(トリンクゲルド)」と言います。サービスに対する軽い気持ちを表すもので、日本語で「ほんの気持ちです」という意味合いです。また、ドイツ語で「ありがとう!」は「danke!」です。チップを渡すときに一言添えるのもおすすめです。ここではチップに関するドイツ語を紹介します。
「お釣りはいらない」と言うときは?
ドイツでチップを払うとき、端数を切り上げて「お釣りはいらない」と言うときは、「Stimmt so!(シュテムツ ゾゥ)」と言います。例えば、レストランの飲食代が27ユーロで、「チップを入れて30ユーロで支払います」と言いたいときは、「30 stimmt so(ドライスィヒ シュティムト ゾー)」といいます。
「伝票を下さい」と言うときは?
ドイツのレストランでは一般的に会計はテーブルでします。伝票が欲しいときは「Zahlen, bitte(ツァーレン ビッテ)」と言います。ドイツは個別会計が普通で、個別会計は「getrennt, bitte (ゲトレント ビッテ)」、まとめて誰かが払うときは「zusammen, bitte(ツザメン ビッテ)」と言います。
ドイツのチップ文化でありがとうを伝えよう!
ドイツをはじめヨーロッパの国々では、チップは感謝の意味を込めて渡される大切な習慣です。日本にはない習慣なので戸惑うことがあるかもしれませんが、旅先ではありがとうの意味をこめて、必要な場面ではスマートに渡すようしましょう。チップを渡すときは、一言「ダンケ!」と添えるのもおすすめです。
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