奥穂高岳の登山まるわかりガイド!
北アルプスの穂高連峰の主峰、奥穂高岳はハイカーなら一度は登ってみたい憧れの山。今回はそんな奥穂高岳の、絶景が楽しめる初心者ルートと、少し難易度が高くてもOKという体力のある人におすすめな日帰り登山ルートをご紹介します。宿泊や休憩に便利な山荘や日帰り温泉の情報も満載です。
奥穂高岳ってどんな山?
奥穂高岳は長野県と岐阜県の県境にあり、標高は3190m。北アルプスの最高峰であり、日本国内でも富士山、北岳に続く3番目に高い山です。穂高連峰の主峰にふさわしい堂々とした山容で、険しい岩稜を乗り越えた山頂には登山者の安全を願う穂高神社の嶺宮が設けられています。奥穂高岳の稜線はいくつかに分岐しており、北の槍ヶ岳、西のジャンダルム、南の前穂高岳へと続いています。
奥穂高岳登山のベストシーズン
8/12(土)-14(月)奥穂高岳
— くま (@kumadanone) August 14, 2017
夏の締めくくりに北アルプス最高峰かつ日本第三位の高峰に2泊3日テント泊登山。
我が2017夏山に一片の悔いなし。 pic.twitter.com/JhErMQTVwl
奥穂高岳は北アルプスというだけあり、5月の連休の時期でも一面雪が残っていて雪山の様相です。7月頃には穂高連峰中腹の涸沢カールの雪が解けてきますが、山頂付近はまだ残雪があるためアイゼンが必要と言われています。8月には雪渓の雪も解け、高山植物も咲きそろい登山のベストシーズンに入ってきます。
一泊二日で秋の涸沢カール満足セット
— ちゃび@あんたまにあ (@Thrill_Junky) October 9, 2017
おまけで奥穂高岳も登ってきたよ! pic.twitter.com/cs3SPRVael
日本有数の紅葉スポットである涸沢カールは例年9月中旬頃から色づき始め、9月下旬から10月上旬に見頃を迎えます。この頃は涸沢カールの紅葉を愛でるトレッキングツアーも増え、周辺の山荘も予約が取れないほどの混雑となります。10月下旬から11月上旬には雪が降り始め、山荘の営業も終了となります。
上高地トレッキングが楽しめる初心者ルート
奥穂高岳の登山でおすすめの初心者ルートは、上高地バスターミナルを出発して涸沢カールの東側を梓川沿いにぐるりと進み北東側からトレッキングするルートです。2日から3日間の日程で登山する人が多く、上高地から穂高の大自然を満喫できるコース。特に出発地点の河童橋からは奥穂高岳が美しく見え、絶好の撮影ポイントとなっています。
断崖絶壁の屏風岩(国内最大級の岩場)が見えると本谷橋(吊り橋とフツーの橋あり) ここまで1時間位:walking:急な場所は少々程度。聞いてもよくわからない北アルプスの山々が素晴らしくテンションは上がります。が、紅葉は:maple_leaf:何処? #上高地 pic.twitter.com/cdcBGjfta2
— もも san (@serendi_momo) October 9, 2016
梓川沿いの道は明神池や徳沢などリゾートらしい上高地の風景が広がる歩きやすい道で、自然を満喫しながらトレッキングが楽しめる奥穂高岳の初心者ルート。出発地点の河童橋から徳沢まではゆっくり歩いて約2時間です。横尾を過ぎると横尾谷にかかる吊り橋の本谷橋へ出ます。冷たい清流と座りやすい岩場で、初心者ルートの中では休憩におすすめのポイント。
本谷橋付近まで来ると、初心者ルートはいよいよ本格的なトレッキングの雰囲気に。本谷橋の前に立ちはだかる断崖絶壁の屏風岩は国内最大級の岩場で、この屏風岩を巻いて涸沢へ向かいますが、難易度は高くありません。木々に囲まれた岩場地帯の涸沢は涸沢カールまで続きます。初心者ルートは距離はあるものの涸沢カールまでは標高差が少なく難易度も低いため、体への負担が比較的少なく済みます。
リゾート気分が味わえる上高地ルートの山荘
ラグジュアリーな個室のある山荘「徳澤園」
上高地の森林散策が楽しめる徳沢エリアにある老舗山荘「徳澤園」は、トレッキングの拠点としてだけでなくリゾートホテルとしても人気の高い山荘。ボックスタイプの相部屋からラグジュアリーに過ごせる個室まで様々な部屋が用意されている他、広々とした大浴場やカフェ、オリジナルグッズのショップ、キャンプ場なども併設されていて思い思いの過ごし方が楽しめます。
居心地の良いシンプル空間「徳沢ロッヂ」
今年4月リニューアルオープンした徳沢ロッジに寄り道。薪ストーブの温もりが心地よい部屋♪徳沢の水で淹れた美味しいコーヒーをいただきながら、オーナーさんのお話を聞いてのんびりと♪次は泊まりにきたいな~ pic.twitter.com/1wQIAu6KI3
— tamaneko:snowman: (@nekodaruma_2005) November 6, 2016
徳沢ロッヂは松本市公営の山荘です。山小屋の雰囲気たっぷりのシンプルで落ち着いた空間で、相部屋は男女別の2段ベッド式、個室は洋室と和室が選べます。暖炉のあるラウンジは朝8時から夜8時まで利用でき、くつろぎながら翌日のトレッキングに備えられます。大浴場では日帰り入浴もでき、大人800円です。
奥穂高岳以外の登山拠点にも便利「横尾山荘」
今までは素通りだった横尾山荘が想像以上に良くて、立派なお風呂があって、相部屋でもカーテンで仕切られプライベートが確保されてるところは女性に嬉しい。まるでベット。あと携帯の充電無料ってのがありがたかった。空気が都会と違うせいなのか、月がコンデジ手持ちなのに綺麗に撮れててビックリ。 pic.twitter.com/0lKy0xk2B1
— nyanya (@aroha_maunga) August 3, 2017
横尾エリアは北の槍ヶ岳や東の蝶ヶ岳方面への登山口となっており、その登山拠点として便利な立地にある横尾山荘はいつもたくさんの登山客で賑わっています。2段ベッドの相部屋にはカーテンがかかって快適に過ごせ、大広間もあるので予約をしなくても宿泊できるありがたい存在。ランチは誰でも利用できますが、お風呂は宿泊客専用です。
穂高連峰を一望できる涸沢カール
さて、上高地の河童橋から出発した初心者ルートは涸沢カールへと到着です。標高2300mの涸沢カールは「雲上の楽園」と称される景勝地で、夏には高山植物の花畑、秋には紅葉が楽しめる一大観光スポットとなっています。GWでも上の写真のような雪深さで、スキーを楽しむ人の姿も。旅行会社が主催するトレッキングツアーでは、この涸沢カールをゴール地点とする場合が多くなっています。
涸沢カールでは様々な絶景が見られます。夜明けには穂高連峰が朝焼けで赤く染まる「モルゲンロート」が、夜には手が届きそうな満天の星空が楽しめます。涸沢カールからは、奥穂高岳のピークを目指していよいよ本格的な岩稜の登山が始まり、難易度もアップしていきます。体調や天候を考慮しながら、ここでもう一度登山計画を再確認しましょう。
涸沢カールの山荘は奥穂高岳登山の拠点におすすめ
まるで涸沢カールの一部のような「涸沢小屋」
涸沢カールには2つの山荘があります。涸沢カールの南斜面に沿い、まるで涸沢カールの一部のように建っているのが涸沢小屋です。涸沢小屋は、古くから「涸沢の岩小屋」として猟師やアルピニストたちの頼れる存在だった歴史ある山荘です。宿泊はもちろん、食事や休憩でいつも多くの登山客が訪れて賑わっている涸沢小屋。穂高連峰の絶景を眺めながら名物のおでんを頬張るのは贅沢なひとときです。
涸沢カールと穂高連峰を一望「涸沢ヒュッテ」
涸沢カールの裾野にあり、涸沢カールと穂高連峰の絶景を丸ごと楽しめる立地にあるのが「涸沢ヒュッテ」です。涸沢ヒュッテには山岳遭難救助隊が常駐し、さらに夏季には診療所も開設される登山客には欠かせない存在。また、アイゼンやストック、テントのレンタルもあります。涸沢ヒュッテと涸沢小屋の間はテント場になっており、夜にテントの明かりが灯るとまるで色とりどりのランタンのような美しい光景が広がります。
奥穂高岳山頂付近は難易度アップ
涸沢カールから先は、初心者ルートと言えども徐々に難易度がアップしていきます。涸沢カールの向かって左側には、穂高連峰の稜線に向かってザイテングラートと呼ばれる岩の支稜線があります。所々に鎖場がありますが、難易度は見た目ほど高くはありません。所々にマーカーがあるのでそれを守って慎重に進みます。ルートから外れて登ると滑落の危険があります。安全のためにヘルメットをかぶる人も多いです。
ザイテングラートを見事攻略して、白出のコルと呼ばれる稜線へ。白出のコルは、奥穂高岳と涸沢岳の間にある稜線の窪みです。ここからはいよいよ奥穂高岳の核心部、初心者ルート最後の難関とも言える50mのハシゴ場です。技術的な難易度よりも、上級者でも緊張するほどの高度感との闘いです。ハシゴ場は登りと下りが区別されていないので、下山渋滞が起こることもしばしば。上からの落石には十分注意して下さい。
奥穂高岳山頂が間近に見える「穂高岳山荘」
標高3000mの白出のコルにある山荘が、ハイカーなら一度は訪れてみたいと有名な「穂高岳山荘」です。ザイテングラートを越えてほっと一息ついたり、奥穂高岳の頂上を目指す登山客や穂高連峰縦走のトレイルランナーたちが宿泊したりできる重要な拠点です。奥穂高岳の山頂が間近に見える圧巻の景色が楽しめます。
穂高岳山荘は相部屋が基本です。非日常の空間で山仲間との出会いを楽しむのもまた登山の醍醐味。外のテント場は1000円で幕営ができ、満天の星空の下で休むのもリフレッシュに良さそうです。宿泊予定のある人は、遅くとも16時までにはチェックインしましょう。翌日のお弁当は飛騨名物の朴葉寿司に天ぷら、鮎の甘露煮という豪華なメニュー!
奥穂高岳日帰り登山ルート1:重太郎新道ルート
岳沢名所の天然クーラー。まだ雪も残ってます pic.twitter.com/KkgQ1ag7Xv
— ロングシート@たまゆらありがとう (@kintetsu2400) August 9, 2015
3000m級の奥穂高岳では体調を崩すこともあるため、余裕のある日程で登山計画を立てるのがおすすめです。その一方、熟練の登山家の中には日帰りで奥穂高岳にピストン登山する人もいます。上高地から日帰りで登山できるルートは、河童橋から左方向の岳沢登山口から出発。緑に囲まれた緩やかな登山道を50分ほど歩くと、名所の「風穴」へ到着です。地中の凍土から吹き出す冷たい風が心地良い!
標高2170m地点にある岳沢小屋までは眺望の良いトレッキングコースで、大きな難所もない初心者ルート。岳沢小屋を過ぎると難易度が上がり、急峻な岩稜を登るコースへと入っていきます。穂高岳山荘や登山道を造り、多くの登山家たちのために尽力した故今田重太郎氏に思いを馳せながら、重太郎新道と紀美子平を登ります。鎖場とハシゴが続く急な岩山は滑落と落石に注意しましょう。
紀美子平から先は吊尾根と呼ばれるトラバースルートですが、道幅は十分にあるので難易度はさほど高くありません。日帰り登山なら紀美子平にザックをデポして山頂を目指すと楽です。吊尾根を進むと緩やかな鎖場へ出て、南稜ノ頭を通過して奥穂高岳山頂へと到着です。コースタイムは登山口から山頂まで6時間ほど、ピストンで10時間弱かかります。
奥穂高岳吊尾根ルートの山荘「岳沢小屋」
奥穂高岳中腹にある山荘は岳沢小屋です。岳沢湿原は人気のトレッキングルートとなっており、岳沢小屋をゴールに日帰りトレッキングを楽しむ観光客も多いです。穂高連峰を始め、眼下には上高地、遠くには乗鞍岳まで見渡せる眺望の良いテラスで一休み。アイスクリームや湧き水で冷やしたジュースもおいしいです。
奥穂高岳日帰り登山ルート2:白出沢ルート
9/22 奥穂高登山口 pic.twitter.com/lUJLmbYpzr
— コンコン (@grrxf310) September 22, 2015
もう1つの日帰りできる登山ルートは、奥穂高岳の西側斜面から登る白出沢ルートです。上高地を周遊しながら山頂を目指す初心者ルートとは打って変わって、白出沢ルートは急な穂高の西斜面をストレートに近いコースで登って行くため健脚者向けのルートです。岐阜県奥飛騨の新穂高温泉から出発し、緩やかな上り坂の右俣林道をトレッキングして登山口を目指します。
山の日の文字が躍ってる。僕はいつもの休日と同じように山に向かい、いつもの休日と同じように山に登る。ただ、いつもより強く胸に想おう。自分が山に登れる環境にいる幸せ。山を想い、登山者のことを想ってくれる人々への感謝の気持ち。#重太郎橋 pic.twitter.com/1woBgeCVpl
— 山男@松本市 (@jackfromjack) August 9, 2016
槍ヶ岳登山道への分岐地点にもなっている奥穂高岳登山口は、かつて白出小屋のあった場所で今はテント場になっています。登山口からしばらくは樹林帯の登山道です。森を抜けると、白出沢にかかる重太郎橋が現れます。重太郎橋は沢が増水すると渡れなくなるそうなので、天候と現地の様子は登山前にチェックしておきましょう。
重太郎橋を渡ると岩切道へ出ます。鎖やワイヤーが設置された絶壁のトラバースルートでさほど恐怖感はありませんが、岩切道の長さは200mにもなり気が抜けないので疲れがたまる場所です。荷継小屋跡を過ぎた所にある急勾配のガレ場は、白出沢ルートの中でも難易度の高い場所。浮石が非常に多いので、マーカーを確認しながら慎重に進みましょう。後続の登山者のために、落石を発生させないように注意!
セバ谷出合を過ぎると急勾配の雪渓です。奥穂高岳の西側斜面のため7月頃まで雪が残る事もあり、秋には凍結も。難所続きで疲れがたまる頃ですが、落石のおそれがあるので休憩はせず一気に登り切りましょう。そして階段状の石段を上がると、白出のコルへと合流します。コースタイムは新穂高駅から山頂まで7時間程度、ピストンで13時間程度かかりますので、日帰りの場合は早朝から登山を開始する必要があります。
奥穂高岳白出沢ルートの山荘「穂高平小屋」
白出沢ルートで利用できる山荘は右俣林道沿いの「穂高平小屋」と山頂付近の穂高平小屋の2ヶ所となっており、途中に補給ポイントはありません。穂高平小屋は夏休み期間と9月の土日祝日のみ管理人が来て営業していますが、食事のつかない素泊まりが基本。管理人がいない日でも避難小屋として休憩利用できます。
登山の後は新穂高温泉で日帰り入浴
露天風呂と飛騨牛が楽しめる「ひがくの湯」
3湯目は新穂高温泉ひがくの湯です。源泉かけながし(一部加水)ですが、特徴はそんなにありません。露天風呂が2つあり、50mぐらい裸で移動します。 pic.twitter.com/LsAut1tObv
— ISHIHARA (@IshiharaE) May 22, 2016
新穂高ロープウェイに向かう県道475号沿いにある「ひがくの湯」は、日帰り入浴と食事が楽しめる温泉施設。温泉は2つの露天風呂で、源泉かけ流しで床にまでお湯があふれる贅沢なお風呂です。食事は名物の飛騨牛丼や山菜そばが人気。また、入浴後には栄養ドリンクやうまい棒のサービスも!
野趣あふれる露天風呂「新穂高の湯」
川に面した野趣あふれる無人露天風呂「新穂高の湯」は、穂高連峰を眺めながらのんびり疲れを取ることができる人気の温泉です。ぬるめのお湯で、夏場はプールのように遊ぶ子供たちの姿も。目隠しがないので、気になる人は水着を持って行くのがおすすめ。温泉の存続のために、清掃協力金300円を納めましょう。4月下旬から10月下旬までの営業です。
憧れの奥穂高岳登山にチャレンジ!
穂高連峰の主峰、奥穂高岳の登山情報をご紹介しました。トレッキングが楽しめる初心者ルートから難易度の高い急峻な岩場など、奥穂高岳の登山ルートは様々な表情を持っていて何度でも登りたくなります。まだ奥穂高岳に登山したことがない人も、いつかは奥穂高岳のピークへチャレンジしてみて下さい!
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