「トワイライトエクスプレス瑞風」で下関へ！料金や豪華な車内を紹介！

最近は列車の旅そのものを楽しむということで、各地に豪華な列車が運行されています。しかし車内や客室の豪華さなどの点では、この列車の右に出るものはないのではないでしょうか。そんな「トワイライトエクスプレス瑞風」についてそのルートや料金、車内や客室の様子などを紹介します。

列車旅が好きな方の中には「トワイライトエクスプレス」という列車があったことを記憶している方もいるかもしれません。トワイライトエクスプレス瑞風はこのトワイライトエクスプレスの名前を引き継いだ列車で、最初のトワイライトエクスプレスを「初代」、トワイライトエクスプレス瑞風を「二代目」という方もいるそうです。

トワイライトエクスプレス瑞風は2017年6月に営業を開始した周遊型寝台特急(クルーズトレイン)です。一般的な列車は目的地まで乗る「移動手段」ですが、トワイライトエクスプレス瑞風は列車で移動し、景色や食事のほか、立ち寄り観光を楽しんで周遊するための列車です。

トワイライトエクスプレスは1989年から大阪と札幌の間で運行されました。夕方に出発し、朝の日の出を迎えることから、「トワイライト」という名前がつけられたと言います。ヨーロッパのオリエント急行をイメージして作られたことから、豪華な客室や食事が有名で、特にA寝台ロイヤルなどはなかなか切符が取れないほどの人気でした。

しかし、北海道新幹線が開業することで、青函トンネルの中の電圧が変わること、並行する在来線が第三セクターになること、そして車両が老朽化したことなどの理由から、トワイライトエクスプレスは2015年、惜しまれつつ運行を終了しました。最終列車の出発、終着の際には駅に数千人ものファンが詰めかけて引退を惜しんだと言われます。

トワイライトエクスプレス瑞風はこのトワイライトエクスプレスを受け継ぎ、2017年にデビューしました。「瑞風」(みずかぜ)とは「みずみずしい風」ということで「瑞」という漢字に「天が善政に対して下すめでたいしるし」の意味があることから「吉兆をあらわすめでたい風」という意味をあらわします。

前述したように、トワイライトエクスプレス瑞風は「周遊列車」であり、ルート上の観光スポットを楽しみながら「列車の旅そのもの」を楽しむ列車となっています。そのため客室はもちろん、豪華な車内設備を備えるほか、ダイニングカーでは有名シェフの料理を味わうことができるようになっています。

トワイライトエクスプレス瑞風には「美しい日本をホテルが走る」というコンセプトがあります。京都、松江、出雲、下関など、日本には豊かな自然や文化、美しい自然がたくさんあります。これらをホテルのような上質で心休まる懐かしさを感じる列車で再発見しようというのがトワイライトエクスプレス瑞風なのです。

ですから、トワイライトエクスプレス瑞風の車内や客室は豪華で、美しい車窓の眺めを楽しみ、一流のシェフの料理を楽しみ、そしてルート上の観光スポットで観光を楽しむというように、さまざまな楽しみを盛りだくさんに詰めているわけです。

前述したトワイライトエクスプレスは大阪から北海道という長距離を移動する列車でしたが、トワイライトエクスプレス瑞風は山陰、山陽をめぐる5つのコースが用意されています。一泊二日と二泊三日のルートが用意されていて、一泊二日のほうは目的地に「行く」のですが、二泊三日のルートは「周遊」となっています。

周遊はもちろんですが、一泊二日の場合でも、目的地に「行く」と言っても、他の列車のように直線的に目的地を目指すのではなく、途中駅で下車し、観光などを楽しむ予定が組まれています。下車する予定の駅では専用の出入口が設けられるなど、豪華な旅を楽しむことができるように環境整備も行われています。

トワイライトエクスプレス瑞風は「美しい日本をホテルが走る」というコンセプトで設計が行われています。そのため車内のデザインなどには「上品さの中の懐かしさ」「ノスタルジック・モダン」が取り入れられ、アール・デコ様式の内装、伝統工芸品などがふんだんに使われています。

全体の車両は1号車と10号車が展望車、2、3、8、9号車がロイヤルツイン、4号車がユニバーサル対応のロイヤルツインとロイヤルシングル、7号車がザ・スイートという客車になっています。そして5号車がラウンジカー、6号車が食堂車です。

「サロン・ドゥ・ルゥエスト」という名前はフランス語で「西のサロン」という意味です。トワイライトエクスプレスには「サロンデュノール」というサロンカーがありましたが、瑞風は西の方を運行するのでこの名前になりました。ラウンジカーにはバーカウンターがあり、大人の時間を楽しむことができるのですが、立礼による茶卓もあります。

内装は木を多用したインテリアとなっており、落ち着いた空間となっています。中には截金ガラスによるきらめく花が飾られ、乗客同士が会話を楽しんだり、トワイライトエクスプレス瑞風のおもてなしを楽しむことができるスペースとなっています。

「ダイナーブレヤデス」の名前はトワイライトエクスプレスから引き継がれました。ややフォーマルな空間となっており、2人卓と4人卓のテーブルが20人分用意されています。車内での食事はここで入れ替え制で行われます。またオープンキッチンスペースで調理の状況が見られるようにもなっています。

気になる食事はルートごとに決まっていますが、さすがトワイライトエクスプレス瑞風という豪華な食事が用意されます。京点心や和食、洋食のほか、アフタヌーンティーなどもあり、それぞれ部屋もしくはこの食堂車での食事を楽しむことができるプランとなっています。

なお、「ややフォーマル」と述べたように、ディナータイムの食事はセミフォーマルなど、トワイライトエクスプレス瑞風にはドレスコードがあります。セミフォーマル、スマートカジュアル、カジュアルがあるので、それに応じた用意が必要になります。

両先端にある展望車は、屋根近くまで大きな窓になっています。そのため窓から平行に見える景色だけではなく、空も普通に見えます。トワイライトエクスプレス瑞風は夜も走るため、夕景色や朝焼けだけではなく、星空を見ることもできるのです。豪華な車内で星空を楽しむのもおすすめビューポイントです。

また、展望車二両のうち、進行方向から見て最後部の車両のほうは外に出る事ができる展望デッキとなっています。最近は窓が開く車両が少なくなっているので、窓が開くだけではなく、外に出られるというのは珍しいことなので、ぜひ体験して、外の「沿線の風」を楽しんでください。

トワイライトエクスプレス瑞風の人気ポイントで外せないのは、やはり豪華な車内設備と客車です。アール・デコ調の車内に、沿線の工芸品などがふんだんに取り入れられていて、豪華で落ち着く内装となっています。

まず、最上級個室「ザ・スイート」から紹介します。ザ・スイートはなんと1両に一室しかありません。つまりこの客室は7号車まるごと一両貸し切りという形になるのです。まず寝室とリビングダイニングが別々になっていて、リビングのほうで食事をすることができます。トイレとバスルームもあり、バスルームにはバスタブもあります。

このように、一両丸ごと一部屋というタイプの車両は世界的にも珍しく、プライベートバルコニーは窓が開閉可能なので、外の景色を直に見ることもできます。もはや列車ではなく、ホテルのスイートルームでも珍しいほどの豪華さです。またエキストラベッドを入れることができるようになっており、最大4人まで利用することができます。

ロイヤルツインは収納式ベッドがついていて、昼間はそれをしまうことで広いリビングが確保されます。寝室、シャワールーム、トイレがあり、ドアと可動壁をあけると通路側の景色を楽しむこともできるような客室です。1両に3室ずつ用意されているほか、4号車には車いすに対応したユニバーサル対応のロイヤルツインがあります。

当初の計画では、トワイライトエクスプレス瑞風にシングルルームは設定されていなかったのですが、さまざまなニーズに対応するということで、後に2室追加されました。客室1部屋にベッドとライティングデスクがあり、エキストラベッドを利用することで2人で利用することもできるようになっています。

このように憧れの列車であるトワイライトエクスプレス瑞風ですが、やはり気になるのは料金のことです。乗車券や寝台券の料金がかかるのはともかくとして、いったいどのくらいの料金がかかるのでしょうか。客室などにより違うので、めやすの料金を調べてみました。

まず、一泊二日のルートの場合は、75万円(ザ・スイート2名1室)から25万円(ロイヤルシングル2名1室)、周遊ルートの場合はそれぞれ120万円から47万円となります(いずれも2018年12月から2019年2月、第7期の内容)。やはり料金もさすがといったところでしょうか。

この料金の中には乗車券代、特急料金はもちろんですが、車内サービスや観光の際のバスやタクシーの料金、一部の飲み物を除く飲食代、往復の荷物の宅送サービスなど、トワイライトエクスプレス瑞風を楽しむ料金がすべて含まれています。ですからトワイライトエクスプレス瑞風の旅はこの料金分で十分に楽しむことができるということになります。

料金を紹介したところで、それでもトワイライトエクスプレス瑞風に一回乗ってみたいという方にとって次に気になるのが、どうしたら乗れるのかということです。料金のところで2018年12月から2019年2月と書いていることでわかるように、実はトワイライトエクスプレス瑞風の切符はかなり前に申し込まなければなりません。

トワイライトエクスプレス瑞風の切符は郵送もしくはホームページでの申し込みが必要です。2018年6月現在申し込めるのは第7期なので、7月31日までに申し込むことになります。もちろん、定員以下の申し込みであればそのまま切符を手に入れることができますが、定員以上ならば抽選となります。

第7期の抽選結果は2018年8月下旬ごろの予定です。当選すると「ご旅行申込書」や「お申込み金入金のご案内」などの書類が来ます。来たら14日以内の指定日までに申込書の返送と申込金の振り込みをして契約成立ということになります。その後出発の3週間前までに残金を振り込むことになります。

あとは3か月前頃からアレルギーや健康状態の確認や前後の宿泊、最寄り駅からの交通機関の手配、荷物の宅送サービスなど、一般的なツアーの場合と同様の用意が行われ、出発ということになるわけです。ですから、トワイライトエクスプレス瑞風に乗りたいならば、早めに手配をする必要があることになります。

では、料金のお金さえ確保できれば、いつでも行けるのかというと、そうではありません。むしろ一番の難関は「当選できるかどうか」かもしれないのです。なぜならばトワイライトエクスプレス瑞風の定員はすべて合わせても約30名、ザ・スイートに限れば定員4名の部屋が1つ、つまり最大4人までしか乗れません。

気になる倍率なのですが、現在出発している第4期は平均で12倍だそうです。平均ですからザ・スイートなどはさらに高いことは確実でしょう。しかも第3期はこれが31倍以上だったというのですから、まずはこの超難関をいかに突破するかが問題になりそうです。

ただし、トワイライトエクスプレス瑞風の場合は、落選する方が圧倒的に多いということもあって、申込回数に応じて当選倍率の優遇があるそうです。つまり、落選しても応募し続ければ夢が叶う可能性があるということになります。落選してもあきらめず、ぜひがんばって申し込みをしてください。

それでは、それぞれの旅のルートを簡単に紹介していきます。まずは山陰コース(下り)からです。なお、旅の内容は2018年6月現在で公開されているものをもとにしています。出発は大阪駅で、大阪駅、京都駅で山陰本線を経由し、下関駅まで行きます。「文豪と維新の歴史をたどる旅」です。

まず、大阪駅を10時に出たら山陰本線に入り、ここで京点心の昼食を車内でいただきます。食事が済んだら城崎温泉で下車し、城崎温泉の観光スポット見学と伝統工芸品の製作体験をします。夕食は西洋料理です。そして客室やラウンジで楽しんでそのまま車中泊です。

朝は和朝食をいただいたあと、萩で立ち寄り観光です。松下村塾などの萩の観光スポットを楽しんだら、昼食は客室でフランス料理をいただきます。そして15時過ぎに下関駅に到着するという日程です。なお、帰り新幹線などを利用する場合は下関から小倉まで瑞風バスで移動できます。

山陰コースの上りは下関駅からの出発となります。下関を9時過ぎに出発し、昼食は島根県の食材を利用したフランス料理です。食事が済んだら出雲で立ち寄り観光として出雲大社への参拝などをします。夕方、出雲市駅を出発したら、今度は日本料理の夕食を楽しみ、車中泊をします。

2日目は洋朝食をいただき、鳥取駅で立ち寄り観光をします。鳥取の仁風閣で非公開の部屋や民俗芸能の見学をし、戻ったら部屋で西洋料理の食事とアフタヌーンティーをいただいて、京都駅、大阪駅に戻るというルートになります。

山陽コース(下り)は「せとうちの歴史に触れる旅」です。山陰コースと同じく大阪駅、京都駅と下関駅の間を運行しますが、山陽本線を運行するという違いがあります。また始発が京都駅になります。乗ったら昼食に京点心をいただき、倉敷に向かいます。倉敷では立ち寄り観光として美観地区などを散策し、夕食に西洋料理をとって車中泊となります。

起きたら和朝食をとり、今度は岩国で立ち寄り観光を楽しみます。吉川家史料館、岩国藩鉄砲隊の演舞を見学します。そして広島県の食材を利用したフランス料理をいただいて下関駅に降りるというルートになります。こちらも下関駅から小倉駅までの瑞風バスが利用できます。

上り「せとうちの美を愛でる旅」は下関駅を出発します。昼食は広島県のあなごめしなどの和食です。立ち寄り観光地は宮島口駅で下車しての宮島です。厳島神社参拝と舞楽鑑賞をした後、日本料理で夕食をとります。

2日目は洋朝食をいただいた後、尾道で立ち寄り観光をします。片道はクルージングを楽しみ、あとはホテルで展望風呂などを楽しみます(オプションで遊覧飛行もあります)。列車に戻り、客室で西洋料理とアフタヌーンティーを楽しんで到着となります。

二泊三日の周遊ルート「西日本の原風景を堪能する旅」は京都駅、大阪駅を出発し、下関駅を折り返して京都駅、新大阪駅に戻るルートで、山陽から山陰を回って周遊してきます。西日本の見どころをまとめて楽しもうというコースになります。

初日は岡山の後楽園や備中神楽などを立ち寄り観光で楽しみます。二日目の立ち寄り観光は雲南、松江で、たたら製鉄などを見た後、郷土料理を楽しみ、出雲神楽などを見ます。そして三日目には鳥取で立ち寄り観光をし、東浜の鳥取民芸と郷土料理をいただくことになります。

このルートでは旅程が一日長いため、立ち寄り観光の時間が長めで、観光の間に下車して地元の味を楽しむというのが見どころと言えます。トワイライトエクスプレス瑞風の豪華な食事ももちろん魅力ですが、地元の味を楽しむ余裕がある点が人気のようです。

トワイライトエクスプレス瑞風は、その豪華な車両も食事も魅力で、とても人気の高い列車です。前述したように倍率も高く、でもそれだけに当選した時の喜びは格別というものではないでしょうか。当選できたあかつきには、ぜひトワイライトエクスプレス瑞風を隅々まで楽しんでください。