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栄光を物語るロシアの世界遺産!エルミタージュ美術館
サンクトペテルブルク中心部から郊外にある歴史地区に関係の深い建造物群として有名なユネスコの世界遺産達。その一部であるエルミタージュ美術館は、展示物もさることながらこの美術館自体が歴代のロシア皇帝達の住んでいた王宮になっているため、非常に豪華で見応えのある美術館。そんな歴史ある場所に相応しい作品達をここで見ていきましょう!
ロシアの世界遺産!エルミタージュ美術館の歴史と規模
エルミタージュ美術館の始まりは、ロマノフ朝、第8代ロシア皇帝であるエカチェリーナ2世がドイツの画商が売り出した美術品や作品を買い取ったことから美術館のコレクションが始まっています。エカチェリーナ本人によって冬宮殿の隣に、彼女専用の展示室である小エルミタージュが建てられました。
「エルミタージュ」とは、当時のフランス貴族が建てた離宮を意味し、ヴェルサイユ宮殿の庭園にあるプチトリアンがそれにあたります。エルミタージュ美術館はこの冬宮をはじめ、小エルミタージュ、旧エルミタージュ、新エルミタージュ、劇場エルミタージュによる5つの建物から構成され、約100年の年月がかけられ完成に至っています。
そのため、時間に余裕がある方は美術品だけでなく冬宮を中心とする王家の各部屋をまわり宮殿装飾をじっくり楽しむのがおすすめです。総収蔵品の数は約300万点にのぼり、東京ドームを少し小さくした規模を持つため全てをじっくり見るのは困難。目的を絞って見学するか、もしくは1日全てをこの美術館の中で過ごすのがおすすめです。
ロシアの世界遺産!エルミタージュ美術館の所蔵品
エルミタージュ美術館の展示室や収蔵品や作品は膨大な数になり、パリのルーブル美術館に比べやや複雑な施設構造になっているため、館内の地図を参照しながら巡っていくのがおすすめです。自分の見たい年代や画家達、部屋をあらかじめ決めておき迷った場合は「大使の階段」に戻りましょう。トイレは1階にしかなくフラッシュや三脚での撮影は禁止です。
「大使の階段」とはフランス生まれのイタリア人建築家によって造られたバロック建築の最高峰、館内で迷った際の指標となる天使達に導かれたような真っ白の階段。新エルミタージュにはイタリアのルネッサンス絵画、フランドルやオランダの絵画、スペイン絵画から印象派以降の絵画、遊牧民スキタイの残した遺物やイギリス、ドイツ絵画が並びます。
西洋以外では古代エジプトの美術を始め、シベリア関係、古代中近東関係、極東と中央アジア関係、ビザンチン関係、ユーラシア原始文化関係などの部屋が存在し大変勉強になります。1階の出口付近には古代エジプトの展示室にミイラがありカフェとお土産屋も隣接されているため、そこで一息入れたりお土産を選ぶことも可能です。
ロシアの世界遺産!エルミタージュ美術館へのアクセス
エルミタージュ美術館の最寄駅は、アドミラルテイスカヤ駅。地下鉄5号線で紫色で表示されているのがその線です。アドミラルテイスカヤ駅からは徒歩3分で到着します。毎月第1木曜日は個人客のみ入場料が無料になるため世界中から大勢の観光客が詰めかけるため入場制限がかかることもあるそうです。
コートや大きめの荷物はクロークに預けスリに合わないよう身の回りの貴重品、お土産を選ぶ際や見学は十分に注意しカメラやスマートフォンには特に注意しましょう。館内チケットブース隣のインフィメーションデスクでは、無料のフロアマップが入手可能、オプショナルツアーやエルミタージュ美術館のオーディオガイドは日本語にも対応しています。
印象派の絵画作品のある部門は別館にあり、別館の入場料は別になっていて、現代アートの特別展示も行われているようです。美術館の営業時間は10時30分から18時まで、水曜日は20時までとなっています。定休日は月曜日、大人用のチケットには700ルーブルかかりますが、子供と学生は無料のため世界遺産と作品、ロシアお土産をたっぷりと堪能できます。
ロシアの世界遺産!エルミタージュ美術館のチケット入手方法
美術館のチケット入手は公式ホームページから可能です。当日チケットの購入も可能ですが混雑時は1時間以上列に並ぶ場合もあるため、事前にチケットを購入しておき別の入場口から入るのがおすすめです。ホームページのチケットの欄から「ORDER TICKET」をクリックしましょう。規約に同意したら人数を入力し、「BUY」をクリックします。
チケットには、1dayチケットと2dayチケットの2種類がありますが特に入場日の指定はなく180日間有効です。最後に「CHECKOUT」をクリックしたら自分のメールアドレスと住所、クレジットカード情報を入力し「Plase order」をクリックすればメールにバウチャーが送られてくるので、それを印刷し当日持っていきましょう。
サンクトペテルブルクの観光名所であるエカテリーナ宮殿もオンラインから事前予約が可能、オンライン予約を行った方の入場口は通常入り口とは異なり、冬の宮殿正面中央より右手にある細い道を入ったところが入り口です。扉の奥に入っていくとひっそりした通路があるので進むと、「インターネット予約の方はこちら」という張り紙があります。
住所 | Dvortsovaya Sq 2 St. Petersburg 191055 Russia |
電話番号 | 0812-710-9079 |
ロシアの世界遺産!エルミタージュ美術館の客間と冬の宮殿
エルミタージュ美術館でも最大の規模を誇る「冬の宮殿」は、黄金の調度品と豪華で見応えのある客間が並ぶ宮殿。ヨーロッパでも最高の技術者達によって造られた宮殿の装飾や貴族達の栄光を十分に堪能する事が可能です。正面玄関を入れば、吹き抜けの高さが22メートルもある天井画や文様が見事な「大使の階段」が迎えてくれます。
スケールと美しさに圧倒されながら階段を上がっていくと、広い廊下と両側にそれぞれ装飾の異なった違う部屋がずらりと並んでいるのが見えます。目の覚めるような赤い色が印象的な「ピョードルの間」を始め、皇帝がレセプションを行ったとされる「大玉座の間」、18世紀イギリスの時計職による黄金時計のある「パビリオンの間」があります。
お気付きのように、エルミタージュ美術館の別名が「冬の宮殿」。皇帝の住居でもあったこの宮殿内には、エカテリーナ2世が集めた宝石が展示される「黄金の客間」や、黄金の柱で構成される「紋章の間」が存在し、煌びやかさが私達を歴史の幻想世界へと誘います。ヴァチカンの宮廷画家であったラファエロの作品を複製した「ラファエロの回廊」も見事です。
エルミタージュ美術館の見どころ作品1:ブノワの聖母
新エルミタージュの2階にはダヴィンチの部屋があり、レオナルド・ダヴィンチの作品である「ブノワの聖母」や「リッタの聖母」が存在します。「ブノワの聖母」は彼が1478年に描いた絵画。花と聖母子とも呼ばれ聖母をテーマとした2つの絵画のうちの1つです。もう1つは「カーネーションを持つ聖母」でミュンヘンの美術館に展示されています。
どちらの作品も静と動の印象的な対比や、ダヴィンチ独自のスフマート方やグラデーションがとても見事な作品です。ここに所蔵されているブノワの聖母は、ダヴィンチの師匠であるルネサンス期の画家ヴェロッキオから独立して初めて描いた作品とされ、練習用の彼のスケッチがイギリスの大英博物館に2点収蔵されています。
エルミタージュ美術館の見どころ作品2:聖家族
世界遺産にふさわしいもう1つの見どころとしては、三代巨匠のうちの1人ラファエロの作品「聖家族」でしょう。この作品には、幼少年時代のキリストと養父であるヨセフ、聖母マリアが描かれています。15世紀から17世紀のルネッサンス美術やバロック美術において、聖家族をモチーフとした作品の創造が盛んに行われていました。
特に16世紀のイタリア美術は、フランドルの画家による影響もあり風景画の技法が発達、宗教画にはその技法がより多く取り入れられているのが特徴です。この作品の構成で描かれる聖家族や聖母子は、ラファエロの絵画の中でも非常に有名な作品が多く、彼のわかりやすい構成は、穏やかで調和に満ちています。
エルミタージュ美術館の見どころ作品3:ペルセウスとアンドロメダ
祭壇画や肖像画、歴史的絵画や神話を主に描いていたフランドル人宮廷画家、ピーター・ポール・ルーベンスの作品「ペルセウスとアンドロメダ」は、古代ギリシャ神話に登場する怪物であるゴルゴーン退治後のペルセウスとアンドロメダを描写したもの。躍動感があり豊かな色彩で描かれているペルセウスの盾にゴルゴーンの反射した姿がある所が見どころです。
また、ペルセウス本人の頭上には栄光の女神であるペガサスとプットが描かれているのが特徴です。この作品は、ルーベンスが亡くなるまで彼の自宅に収められていたという説があり、絵画のコレクションに情熱を注いでいたハインリッヒ・フォン・ブリュール伯爵からエルミタージュ美術館が獲得したもの。2階、ルーベンスホールに展示されています。
エルミタージュ美術館の見どころ作品4:サスキア
1634年に製作された絵画、フローラに扮したサスキアは画家であるレンブラント・ファンレインによる作品。自身の故郷であるライデンからアムステルダムに拠点を移し、名声を確立しはじめた頃の作品の1つ。彼は借りていたアムステルダムの工房で、得意とする肖像画を中心とした製作活動を行っていたそうです。
絵画の中の女性サスキアはその当時彼が出会い、婚約をし、妻になった女性です。彼女の家系は裕福な一族であったため、彼は婚約と同時に多額の持参金と富裕層へのコネクションを手にいれたという説があります。この作品ではサスキアが、花と美の女神フローラに扮した姿で描かれていますがその後も彼女はレンブラントの絵画に頻繁に登場しています。
エルミタージュ美術館の見どころ作品5:自画像
ルーベンスの工房で助手をしていたフランドルの画家であるアンソニー・ヴァン・ダイクは、英国で宮廷画家として活躍した後ロンドンに大工房をかまえることになりました。彼の高い技術による王族達の肖像画や、ルーベンスにも似た上品で豊かな色彩には目を見張るものがあります。メトロポリタン美術館とミュンヘンにも彼の肖像画が所蔵されています。
彼は肖像画で国際的な人気を得ていましたが、ヴァンダイク自身も美形で優美な物腰の人物だったため貴族達からも人気があったそうです。10代の頃にすでに助手頭を務め、チャールズ一世の主席宮廷画家として活躍していた人物です。神話や宗教画も得意であり、ルーベンスに比べると繊細さや優美さが醸し出されているのが特徴です。
エルミタージュ美術館の見どころ作品6:アルルの女達
この美術館の見どころ作品としてもう1つ欠かせないものが後期印象派モネやゴーギャン、ゴッホなど巨匠達の名画ではないでしょうか。エルミタージュ美術館では、ゴッホのアルル滞在時代の代表作である「アルルの女達」を見ることが出来ます。この作品には他にも、パリのオルセー美術館所蔵アルルの女(ジヌー夫人)を始め様々なバージョンが存在します。
ゴッホはアルル滞在中、ゴーギャンと生活を共にし多くの作品を残している事から大変濃く刺激のある生活を送ったとされています。南仏アルル地方独特の民族衣装をまとう女性達や、うごめく感情が入れ込まれた色彩や太い線などを見ると彼の興味の対象が理解でき、強烈で強い印象がこちらにも伝わってきます。
エルミタージュ美術館の見どころ作品7:ウォータールー橋
1871年以来、ロンドンを数回に渡って訪れているクロード・モネの作品。このカンヴァスには滞在先のホテルから見たロンドンのテムズ川にかかる橋が描かれています。これは国会議事堂と橋、駅に焦点を合わせて描かれた連作のうちの1つ。青や灰色の色彩ではなく桃色や赤みを帯びた美しい色彩で描かれているのが見どころです。
彼の捉えるロンドンの空気感や静けさ、採光の描き方はその場所の雰囲気を切り取ったかのような繊細さを醸し出しています。橋の上に見える通行人や馬車、ロンドン特有の霧を背景に浮かび上がらせ、少し重めの静けさを醸し出しています。モネの技術によってもたらされる光や水面に移る空の色を堪能できる作品です。
ロシアの世界遺産!エルミタージュ美術館のお土産
1階のフロア通路を歩いていくと両側にはミュージアムショップとカフェが目に入ります。ショップには書籍や絵画、トートバックや衣類、雑貨、文房具お土産が並び、店内の明るく光あふれる空間に足を踏み入れれば、他の名所とは一味違ったお洒落なアートお土産を選ぶ事ができるでしょう。神秘的なオレンジ色をした琥珀お土産もここで販売しています。
ミュージアムショップ近くのカフェは、カフェテリア形式。紅茶大国であるロシアのジャム入りロシアンティーやコーヒーの他、サンドイッチやケーキ、パン、スナックなどの軽食が用意され、クレジットカードが利用可能です。飲み物の持ち込みは禁止ではないため、カフェが混雑していた時の事を考えペットボトルを持参しておくのも良いでしょう。
ロシアの世界遺産!エルミタージュ美術館で効率よい鑑賞を
名画だけでなく、数々の華麗な部屋やお土産ショップ、ロシアお土産にカフェ、歴史やチケット購入の仕方を見てきました。大使の階段付近や別館にもショップやカフェテラス、調度品や装飾などを見学できる箇所がまだ豊富にあるため、お土産選びや巨大美術館エルミタージュの魅力、ロシアの栄光に浸りながら名画を堪能してみて下さい。
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