今日本人に人気!サハリン(樺太)観光の見どころと注意点を解説
サハリンというと樺太を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。サハリンは北海道の北、オホーツク海に浮かぶ細長い島で、ロシア連邦の一部です。
日本の成田からサハリンの州都ユジノサハリンスクまでは直行便で約2時間の距離にあり、「日本から1番近い外国」とも呼ばれることがあります。
ロシアは「近くて遠い国」と言われていた時代もありますが、サハリンは日本とも関係が深く、日本統治時代の建造物やアイヌ民族に関するスポットなど多くの観光名所があります。
また最近はアニメ「ゴールデンカムイ」の聖地巡礼として、サハリン(樺太)への旅行を考えている人も多くいます。今回はそんなサハリンの基礎知識や言語、グルメ、観光名所などをご紹介します。
サハリンはどんな州?
サハリンの観光スポットをご紹介する前に、サハリンの基本情報についておさらいしましょう。サハリンとは、サハリン島を含むロシア連邦のサハリン州のことです。
サハリン州の面積は日本の北海道とほぼ同じで約8.7万平方キロメートル、人口は約48万4000人(2021年)です。住民はロシア人が8割を占めますが、ウクライナ人、朝鮮人、タタール人、少数民族などが住んでいます。
サハリンの気候は亜寒帯に属し、冬はシベリア大陸からの季節風の影響で気温が下がり、積雪があります。州都ユジノサハリンスクの1月の平均気温はマイナス9~15度です。夏も比較的涼しく、8月で16~20度ほどです。
ロシア連邦の一部
サハリンは北海道の最北端、宗谷岬からわずか約43キロの距離に位置し、歴史的にも日本と深い関係にあります。
古くからロシアと日本はサハリンを巡って領土の取り合いをしていましたが、日露戦争で日本が勝利し、1905年のポーツマス条約により北緯50度線の南側を樺太として日本が、北側をサハリンとしてソ連が領有することになりました。
以後、第二次世界大戦が終わる1945年まで、日本は約40年にわたって樺太の開拓を進めました。終戦後はソビエト連邦領サハリンとなり、現在はサハリン州としてロシアの一部となっています。
州都はユジノサハリンスク
ロシア連邦サハリン州の州都はユジノサハリンスクです。日本が領有していた樺太時代には豊原(とよはら)市と呼ばれていました。ユジノはロシア言語で「南」という意味で、ユジノサハリンスクとはロシア言語で「南サハリンの町」という意味になります。
ユジノサハリンスクはサハリン州の最大都市で、人口は20万人ほどです。またユジノサハリンスクは日本の旭川市・函館市・稚内市と姉妹都市の関係にあります。
ユジノサハリンスクには樺太時代の建物が現在も残されていて、観光スポットとして人気があります。また宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」のモチーフになったサハリンの鉄道も見どころの一つです。
使用言語は言語はロシア語
サハリンで使用されている言語はロシア言語で、英語はホテルや一部のお店を除いてほとんど通じません。しかし観光客が多い土地なので、英語のメニューを用意しているレストランやカフェも少しずつ増えています。ただし日本語はほとんど通じないと言っていいでしょう。
観光ツアーに参加するのではなく個人でサハリンを観光するのであれば、ロシア言語の基礎知識が必要です。ジェスチャーや簡単な英語で通じることも多くありますが、タクシーに乗ったり買い物をしたりする時はロシア言語が理解できたほうが便利です。
サハリンの旅行に行く前に、ロシア言語のあいさつや基本的な会話、キリル文字の読み方などを覚えておくといいでしょう。
通貨はロシア・ルーブル
サハリンはロシア連邦の一部なので、通貨はロシア・ルーブルです。法律によって、ロシア内での支払いは原則ロシア・ルーブルのみとなっているので、サハリンを観光する場合は、日本円からロシア・ルーブルに両替する必要があります。
日本国内の銀行でロシア・ルーブルに両替する他、ユジノサハリンスクにある主要銀行でも日本円、米国ドル、ユーロなどから両替ができます。
ロシア・ルーブルから日本円への両替は、レートがあまりよくないので、なるべくサハリンで使い切ってしまうようにするといいでしょう。またクレジットカードはVISAとマスターカードが使用できます。
サハリン観光の注意点
ここからは、サハリン観光の注意点をいくつかご紹介します。サハリンを訪れる際には査証の申請が必要なので、必ず行うようにしてください。またサハリンについてからは滞在登録が必要となります。
その他の注意事項や治安情報は、在ユジノサハリンスク日本国総領事館のホームページで確認できます。観光旅行で訪れる前にチェックするようにしくてださい。
観光したい都市を申請する必要がある
観光を目的とした短期間の旅行でサハリンを訪れる場合、基本的に査証申請書に記入した都市以外は訪れることができないので注意してください。サハリン州で訪問可能な都市は、ユジノサハリンスクやコルサコフ、ホルムスクなど全部で14か所となっています。
宿泊をせず列車や飛行機などの乗り継ぎでしか立ち寄らない都市でも、トラブルを避けるために都市名を申請しておくのがおすすめです。
最近は電子ビザがオンラインで簡単に申請できるようになりました。電子ビザはユジノサハリンスク空港でも取得できます。しかし電子ビザは通常の査証とは異なる制限が設けられているので、事前によく確認してください。
写真撮影は許可が必要なことが多い
サハリン観光で最も気を付けなければならない点は写真撮影です。ほかの国と違ってサハリンでは写真撮影が禁じられていたり、事前の許可が必要だったりする場所が多いので、むやみに写真を撮るのは控えたほうがいいでしょう。
街には防犯カメラが多く、また警察官や軍人の見回りも多いので、トラブルに巻き込まれないためにも、写真撮影は慎重に行ってください。
写真撮影が禁止されている場所には、軍事施設、燃料貯蔵所工業施設、港湾施設、科学研究機関、電話電信局などがあります。
さらに空港内、トンネル、橋、工業業都市の遠景なども写真撮影が禁止されています。日本では気軽に写真が撮れる場所でも、サハリンでは撮影禁止になっている場合があるので注意してください。
パスポートは常時携帯する
ロシアでは、法律で外国人は常時パスポートを携帯するよう定められています。ホテルに宿泊する場合は、チェックイン時にパスポートを預け、外出する時にパスポートを受け取ってから出かけます。
日本をはじめ欧米などではパスポートを預ける習慣がないので、パスポートを受け取るのを忘れ、うっかり外出しないよう注意が必要です。
夜は治安が悪い
海外旅行で気になるのが訪問都市の治安ですが、サハリンのユジノサハリンスクの治安は良好で、昼間であればあまり心配はいりません。明るい時間帯であれば、商業施設や公園、観光名所などの治安はよく、警察官や警備員の見回りが多いので安心です。
ユジノサハリンスクは失業率が低く、夜の治安もそれほど悪くはありません。しかし注意は必要で、人通りが少ない場所を歩いたり、夜一人で街中を歩いたりするのはあまりおすすめしません。
夜間に出かける時は携帯電話や防犯ブザーなどを持ち、徒歩ではなくバスやタクシーなどを利用するほうがいいでしょう。
サハリン観光の人気スポット5選【広場・観光地】
ここからはサハリンのユジノサハリンスクの人気観光スポットをご紹介していきます。ユジノサハリンスクはコンパクトな街なので、1日あれば主な観光スポットを回ることができるでしょう。まずは広場など定番の観光スポットをご紹介します。
北海道サハリンセンター
北海道サハリンセンターはユジノサハリンスクのコムニスチチェスキー通り、ガガーリン公園入口付近にある複合ビルで、一つのビルに日本領事館、北海道サハリン事務所、観光案内所、北海道銀行、日本商社の事務所などが入っています。
近代的なきれいなビルで敷地内には日本庭園も整備されています。観光案内所ではサハリンの情報が入手できるので、サハリン観光の前に訪れるといいでしょう。周辺には栄光広場(旧樺太神社鳥居)や郷土史博物館などの観光スポットがあります。
住所 | 693000 Sakhalinskaya oblast,Yuzhno-Sakhalinsk,ulitsa Lenina 234 |
電話番号 | 4242-45-75-61 |
ロシア正教大聖堂
ロシア正教大聖堂(ロシア正教会)は、ユジノサハリンスク東部の山の空気展望台の麓、ガガーリン記念文化公園の隣にある観光名所です。1990年に作られたブルーと金色の屋根の美しい建物で、礼拝がなければ内部を自由に見学できます。
礼拝堂の祭壇にはロシア正教のイコンが飾られ、厳かな雰囲気に包まれています。地元の人の祈りの場なので、マナーを守って観光を楽しみましょう。
教会に隣接してイコンを販売するお店がありますが、ロシアでイコンを購入すると出国時に税関手続きが必要なので気を付けてください。
住所 | Komnischesky st Yuzhno Sakhalinsk |
栄光広場
栄光広場はユジノサハリンスク駅からまっすぐ歩き、コムニスチーチェスキー大通りとゴーリカヴァ通りの交差点にある観光名所です。
日本樺太時代に作られた旧樺太神社の跡地に整備された広場で、終戦記念碑や兵士の胸像、戦車、大砲などがずらりと並んでいて重々しい雰囲気があります。胸像にはロシア言語で説明が付けられています。
広場の奥には現在も旧樺太神社参道が残っていて、日本の神社のような木々に囲まれた参道を歩くことができます。参道から振り返ると、ユジノサハリンスクの街並みが一望できます。
住所 | Altayskiy Pereulok Yuzhno-Sakhalinsk Sakhalinskaya oblast' 693010 |
ガガーリン記念文化公園
ガガーリン記念文化公園は樺太時代は旧豊原公園と呼ばれていたもので、ユジノサハリンスク東部に位置した観光名所です。ロシアの宇宙飛行士で、人類初の有人宇宙飛行を成し遂げたユーリイ・ガガーリンにちなんで名付けられました。
広々とした公園で遊園地や子供鉄道などもあり、市民の憩いの場として親しまれています。樺太時代には王子ヶ池と呼ばれたヴェルフネエ湖ではボート遊びができます。
夏は公園内にビアガーデンがオープンし、ロシア名物の焼き物料理の屋台が並びます。観光客も地元の人と一緒に楽しめます。
住所 | Gagarin Memorial Cultural Park Yuzhno Sakhalinsk |
レーニン広場
レーニン広場は、レーニン生誕100周年を記念して1970年にユジノサハリンスク駅前に作られたもので、大きなレーニンの銅像が立っています。レーニンはロシア革命の立役者で、ソビエト連邦の初代指導者です。
最盛期にはソ連全土に1万4000を超すレーニン像がありましたが、最近は少なくなっています。ユジノサハリンスクにあるレーニン像はその中でも比較的大きなもので、堂々とした貫禄のある姿を見せています。
レーニン広場は最近きれいに整備され、レーニン像の背後には花壇や噴水が作られています。ベンチも設置され、観光の合間の休憩にもおすすめです。
住所 | Lenina street Yuzhno Sakhalinsk |
サハリン観光の人気スポット3選【絶景スポット】
ここからはサハリンのユジノサハリンスク市内の絶景スポットや郊外のおすすめ観光地をご紹介します。日程に余裕があれば、ぜひユジノサハリンスク郊外の観光も楽しんでください。
なおユジノサハリンスクの郊外へは車でのアクセスがおすすめです。現地の観光ツアーに参加して訪れると便利です。
ウズモーリエの東白浦神社跡
ウズモーリエはユジノサハリンスクの北、車で約2時間のところにある小さな町です。ウズモーリエは樺太時代に白浦と呼ばれ、白縫村の中心地だった場所です。
集落のすぐそばに樺太時代に建てられた東白浦神社の鳥居が残っています。1940年に建立されたもので、老朽化が進んでいるものの立派な姿が見られます。
またウズモーリエは蟹の産地として有名な観光地で、遠方からも多くの人が買い物に訪れます。町には蟹の露店が並び、蟹料理が味わえるグルメスポットでもあります。
住所 | Vzmor'e, Sakhalin |
山の空気展望台
山の空気展望台はユジノサハリンスクの東部にある市を代表する観光スポットです。ロシア言語で「ゴールヌィ・ヴォーズドゥフ」と言います。
日本統治の樺太時代には旭ヶ丘展望台として整備された場所で、ユジノサハリンスクを一望できる絶景スポットとして人気を集めています。天気がよければ周辺の山々や海まで見渡せます。
最近はスキーリゾートとしての開発が進んでいて、山頂まではスイス製の世界最速クラスのゴンドラが作られています。またスキーだけではなく、オフロード自転車なども楽しめます。
住所 | Ulitsa Gor'kogo, 7, Yuzhno-Sakhalinsk, 693010 |
ヴェリカン岬
ヴェリカン岬は、樺太時代は木遠岬と呼ばれていた絶景スポットです。サハリンで最も美しい場所の1つで、手つかずの大自然を身近に感じられます。
切り立った崖や約2キロにも及ぶ美しい海岸が続き、数々の奇石が見られます。中でも有名なのがロシア言語で「巨人」という意味のヴェリカンと呼ばれる巨石で、ヴェリカン岬の名前の由来にもなっています。
観光のおすすめの時期は夏の7~8月ですが、公共交通機関がないので、ツアーに参加して訪れることになります。
住所 | Cape Velikan, Sakhalin |
サハリン観光の人気スポット3選【博物館・資料館・動物園】
ここからはユジノサハリンスク市内にある人気博物館や資料館、動物園などをご紹介します。日本の施設と比べると小さいのですが、展示内容が充実していて子供から大人まで楽しめます。ぜひ訪れてみてください。
サハリン州郷土博物館
サハリン州郷土博物館は、日本領時代には樺太庁博物館と呼ばれていたもので、まるで日本のお城のような立派な外観をしています。
展示室は地下1階から2階まであり、サハリンの自然や古代文化、先住民族、サハリンの開発、戦前・戦後の歴史などテーマ別に詳しい展示がされています。
子供たちにも人気の観光スポットで、古代動物の化石のレプリカや貴重な蝶の標本などがあります。またアイヌの衣装や生活道具を紹介するコーナーや、樺太時代の暮らしなど日本との関わりが学べる展示もあります。
住所 | Kommunistichesky Pr. 29 Kommunistichesky prospect, Yuzhno-Sakhalinsk, Sakhalin |
電話番号 | 424-272-75-55 |
サハリン州 鉄道博物館
サハリン州 鉄道博物館は鉄道ファン必見の観光スポットです。ユジノサハリンスク駅近くにある博物館で、無料で入館できます。小さな博物館ですが、3つに分かれている展示室には、鉄道に関する資料が所狭しと展示されています。
樺太時代やソ連時代の鉄道、サハリンの鉄道に関する貴重な資料が展示されていて鉄道ファンでなくても楽しめます。説明がロシア言語だけなのが少し残念な点です。
またユジノサハリンスク駅敷地内には、樺太時代の日本の機関車や旧ソ連製の蒸気機関車など多くの車両が展示されていて、こちらも必見です。
住所 | Ulitsa Vokzal'naya, 55, Yuzhno-Sakhalinsk, Sakhalin |
電話番号 | 424-271-41-97 |
サハリン動物園
サハリン動物園はガガーリン記念文化公園の北側に位置しています。小さな動物園ですが、サハリン島に生息するヒグマやエゾシカ、オオカミをはじめ、シベリアに生息するトナカイやスノーフォックスなど、日本ではあまり見られない珍しい動物が観察できます。
また絶滅危惧種のアムールトラやフタコブラクダなども飼育されています。説明がロシア言語だけなのが残念な点ですが、シベリアに住む両生類や鳥類の展示もあり、子供から大人まで楽しめる観光名所です。
住所 | Ulitsa Detskaya, 4 А, Yuzhno-Sakhalinsk, Sakhalin Oblast |
電話番号 | 424-272-45-09 |
サハリン観光でおすすめグルメ
サハリンのおすすめ観光スポットをご紹介しましたが、ここからはサハリンで味わいたいグルメをご紹介します。サハリンのグルメは日本人にも食べやすいものが多く、美味しいと好評です。観光で訪れたらいろいろなグルメを味わってください。
ライ麦パン
最初にご紹介するサハリンのグルメはライ麦パンです。ロシアでは伝統的にライ麦を使ったパンが作られていて、「黒パン」と呼ばれています。ずっしりとした重さのあるパンで酸味があり、どんなグルメにもよく合うと好評です。
ビーフストロガノフ
ビーフストロガノフはロシアを代表するグルメで、細切りの牛肉とマッシュルームを煮込んで作ります。サワークリームを使っているのが特徴で、酸味があるクリーミーな味わいのグルメです。サハリンを訪れたらぜひ味わってみてください。
オハスープ
オハスープはロシアの定番家庭料理の一つで、魚介や肉、野菜などをことことと煮込んで作ります。味付けはシンプルで塩と胡椒のみなので、日本人の口にもよく合うグルメとなっています。家庭によって味が違い、様々な味が楽しめるグルメです。
シャシリク
シャシリクはロシアの人気グルメの一つで、羊肉や牛肉を串に刺して焼き上げた料理です。レモンやスパイス入りのソースで味付けされていて、日本人にも食べやすいグルメです。ロシアでは露店でも販売されている人気グルメです。
サハリンで歴史と絶景を楽しもう
サハリンの基礎知識や言語、定番観光スポット、グルメなどをご紹介しましたがいかがでしたか。サハリンは日本からも飛行機でアクセスしやすく、最近注目されている観光地です。
ユジノサハリンスクや郊外を訪れたら、この記事を参考にしてサハリンの歴史や絶景スポットなどを楽しんでください。
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