大分の方言の特徴
九州の方言の中でも博多弁や鹿児島弁などに比べるとあまり馴染みがなく、認知度が低い大分の方言ですが、個性的な言葉が多く語尾が特徴的で、特に女性や子供達が使うとかわいいと感じます。
大分は、山を隔てて北東部に位置するため、大分の方言は北九州や四国などとの共通点があるのが特徴です。ここでは、聞いただけでは理解できない定番の方言一覧から、かわいいと思える方言一覧、思わず笑ってしまう方言一覧など、独特なフレーズの大分の方言を一覧で紹介します。
語尾が特徴的
大分弁の中で、特にかわいいと思えるのが語尾の言葉です。「だよ」とか「です」の断定する語尾の言葉を「ち」とか「ちゃ」といいます。主に家族や友人などの親しい間柄で頻繁に使われます。
「ち」や「ちゃ」は、標準語の「だよ」や「です」よりも、やや強い断定的な意味を持っています。例えば、母親が息子に「早く起きなさいよ」と言った場合に、「わかったっちゃ」と答えると、「もう分かっているから」という強い意味で使われます。「わかったっち」とも言います。
九州の他の方言とはかなり異なる
大分の方言は、他の九州の方言とはかなり異なります。地形的に県境である福岡県や熊本県とは、険しい山々で隔てられており、交流が少なかったというのが、その大きな理由のひとつです。
一方、大分の方言は、九州の方言よりも本州の方言に近いといわれています。大分は海に開けており、四国や中国との交流が頻繁に行われていました。そのため本州と繋がりのある中国、四国を通し本州のいろんな方言が流入し、中国、四国などの本州の方言が混じり合い話されています。
九州の他の地域から伝わっている方言もあります。「がんばれ」という意味の「がまだせ」は、ルーツが島原半島にあるといわれ、有明海を渡り熊本を経由して大分へ伝わった方言です。
大分県北部は、隣の北九州と、大分県西部の日田地区は、西隣にある筑後市やうきは市と、大分県南部は、宮崎県延岡市と、それぞれ隣接する県との交流機会が多く、それぞれの方言が流入しています。いろんな地域の方言が混じり合っているのも大分弁の特徴のひとつです。
標準語に近い言葉がある
九州の方言を一覧で見ると、大きく分けて博多、佐賀、長崎、熊本の肥筑方言、北九州、大分、宮崎の豊日方言、都城、鹿児島の薩隅方言の3つに分けられ、大分弁は宮崎弁と同じ豊日方言です。
同じ豊日方言でも大分弁と宮崎弁はアクセントが異なります。大分弁は外輪東京式で宮崎弁は無アクセントです。大分弁だけがなぜ外輪東京式になったのか、諸説ありますが、歴史的に豊前の国が長らく在庁官人であった大内氏の配下にあったことなども、理由のひとつといわれています。
大分方言の成り立ち
大分は、7世紀の終わりに豊前国と豊後国に分けられていましたが、江戸時代に入り、中津、杵築、府内などの8つの藩に分かれ、各地に肥後、延岡、島原の飛び領が点在していました。
また、豊後水道を隔てて四国との交流が盛んに行われていたことから、中国四国地方をはじめとする西日本一帯からの言語も伝わっています。様々な地域の言語が使われるようになり、いろんな地域の方言の要素を含みながらもどことも違う独自の大分の方言が形成されました。
大分の方言の種類
同じ大分県の中でも、東西南北の地域によって使われている方言が違います。特に県境の地域にあってはその傾向が著しく、隣の福岡や宮崎との言語が混じり合い独自の言語が使われています。
大分の方言は、地形的なものや歴史的な経緯などもあり、一覧にすると5つのエリアに分類されます。東北海岸地方、南部海岸地方、西部、北部、南部と分かれていて、それぞれ特徴のある方言が使われています。ここでは、エリア別の方言の特徴と特性を一覧にして紹介します。
東北海岸方言
東北海岸方言は、大分県の姫島村、杵築市、国東市を中心に使われている方言です。国東半島は、半島部分が海に突き出た格好をしており、特に海岸部分は標高721mの両子山に挟まれています。
東北海岸地方から内陸部へ向かうには、両子山を越えるか海岸線を大回りするしか方法がなく、内陸部との交流が少なかったため、独自の方言が育ったとされています。国東半島の沖合いにある姫島で獲れる名物「金頭、かながしら」は、姫島独自の方言で「かなんど」と呼びます。
南部海岸方言
南部海岸方言は、大分県の津久見市南部から豊後水道沿岸部にかけて話されている方言です。大分県の県庁所在地である大分市から南へ約30kmの場所に位置し、東側が豊後水道に面しています
豊後水道は、大分県と愛媛県に挟まれた水道で、最も狭くなっている部分が、大分市の関崎と愛媛県伊方町の佐田岬の間にある豊予海峡で、海峡の幅はわずか約14kmです。そのため南部海岸地方は、歴史的にも四国愛媛県との交流が深く、共通方言が数多く見られるのが特徴です。
西部方言
西部方言は、大分県の西側に位置する玖珠郡、日田市、中津市山間部を中心に話されている方言です。大分弁では珍しく、肥後弁のように語尾に「たい」や「ばい」を使っているのが特徴です。
大分県西部地区は、隣接する福岡県のうきは市や朝倉市と、街道や街中を流れる筑後川で繋がっており、古くから川を中心に地域間の交流が深く、使われる言葉も共通の方言が今でも数多く残っています。「たい」は日田市で、「ばい」は日田市、玖珠郡、中津市山間部で使われています。
北部方言
北部方言は、大分県の別府市から北側の地域で話されている方言です。特に中津地方で話されている中津方言は、福岡県北九州市と隣接しているため北九州弁と混じり合っているのが特徴です。
「ちゃ」「っち」「っちゃ」などのた行音を多用するのが特徴で、「言いましたよ」を北部方言に直すと、それぞれ「言うたちゃ」「言うたっち」「言うたっちゃ」となります。疑問文での撥音の多用も特徴的で、「何ですか」「食べますか」は「何なん」「食べるん」となります。
南部方言
南部方言は、大分県の大分市から南部の地域で話されている方言です。他の大分弁にはない語尾で話されるのが特徴的で、「ち」を「てぃ」、「つ」を「とぅ」と語尾を伸ばして発音します。
大分県南部地方は、世界的にも有名な別府市と違って、臼杵市、竹田市、佐伯市などの比較的静かで落ち着いた観光地が多く、南部方言も北部に比べると穏やかに聞こえるという特徴を持っています。また、ジとヂ、ズとヅの四つ仮名を用いて話されるのも南部方言の特徴のひとつです。
がんばれは?知っておきたい大分の方言の定番フレーズ一覧
大分の方言には、他県の人には難しい日常的に使われている定番のフレーズが多々あります。例えば「がまだせ」は「がんばれ」という励ましの方言ですが、知らないと意味不明な言葉です。
他にも標準語に近い言葉なのに意味は全然違うものや、真逆の意味になったりするものなど、たくさんの日常的に使われている大分弁の定番フレーズ一覧があります。ここでは、大分県へ旅行や出張などで訪れた際に、ぜひとも知っておきたいフレーズを使用例文を使い一覧で紹介します。
大分の方言の定番フレーズ:けったいな
同じ九州の中でも東の四国、中国、関西などの本州へ海を隔てて交流が深かった大分には、本州方面から入ってきている言葉が多々あります。「けったいな」という関西の方言もそのひとつです。
「けったいな」とは、「奇妙な」「おかしな」という、関西地方で使われている言葉ですが、なぜか大分に入ってきて使われています。もともとは歌舞伎の世界で使われていた「卦体」という言葉が由来とされており、「嫌な感じ、忌々しい、不思議な、奇妙な」といった意味を持っています。
大分の方言の定番フレーズ:くされ
一般的に「くされ」とは、腐っているものをいい、転じて名詞の接頭語として相手を蔑み罵る言葉です。大分弁の「くされ」は、少し意味が異なり意地悪という意味になり、使い方も異なります。
通常は「くされ外道」とかいい、後にくる名詞の接頭語として強調する使い方をしますが、大分弁の場合は、意地悪という意味なので「そげなくされをいうもんじゃねえ」というと「そんな意地悪をいうもんじゃないよ」となり、一般的な「くされ」とは異なる意味合いになります。
大分の方言の定番フレーズ:しんけん・しらしんけん
「しんけん」は、とてもという意味で、「しらしんけん」は、一生懸命という意味です。もともとの「しらしんけん」が短縮されたのが、英語のveryに近い「しんけん」という言葉です。
大分に本社を置くファミリーレストランのジョイフルには、「しんけんハンバーグ」というメニューがあります。この「しんけん」という大分弁が、「真剣」の意味にも取れるジョイフルで人気のメニューとなっています。他にも宝酒造が出している「知心剣」という焼酎があります。
大分の方言の定番フレーズ:できられん
「できられん」は「絶対にできない」という意味で、大分弁の中でもかなり強い否定表現になります。他の九州地域で使われている「できん」や「でけん」よりもさらに強調形になります。
「られん」という言葉は、中国地方の鳥取県の方言に「なったらいけない」の「なられん」、「してはいけない」の「すられん」、「見てはいけない」の「見られん」などがありますが、この使い方が海を渡り、動詞の「できる」プラス「られん」という方言に変化しているようです。
大分の方言の定番フレーズ:おっちょる
語尾に「ちょる」という言葉で、英語の現在進行形のingに近い意味を使うのも大分弁の特徴のひとつです。「おっちょる」は「おります」という意味で、疑問形として使われることが多いです。
「山本さんおっちょる」は「山本さんはおりますか」という意味です。東北地方の仙台でも同じ「おっちょる」といいますが、仙台での「おっちょる」は「折る」という意味です。他にも韓国語の「だからどうした」の「オッチョル」などがあるので混同しないようにしましょう。
大分の方言の定番フレーズ:がまだす
いろんな地方の方言が混じり合っている大分弁ですが、「がんばれ」という励ましの言葉を投げかけるときには、「がんばる」という意味の「がまだす」が変化した「がまだせ」といいます。
運動会のときなどには、「がんばれ、がんばれ」とエールを送る代わりに「がまだせ、がまだせ」と言います。あともうちょっとと応援するときにも「がんばれ、がんばれ」という意味で「がまだせ、がまだせ」と言います。「がまだせ」の「がま」は、我慢の省略形という説もあります。
「がまだす」という方言は、もともと島原地方の方言です。島原には、雲仙岳災害記念館の「がまだすドーム」や「長崎がまだす堂本舗」など、「がんばれ」の意味を冠した箇所が多々あり、大分の豊後高田市が江戸時代から明治4年まで島原藩の領地だったことが起因しています。
「がんばれ」という意味の「がまだせ」を方言としているのは、大分県や島原市だけでなく、熊本県でも「がんばれ」という意味で「がまだす」という方言を使っています。
RKK熊本放送のラジオ番組に「浩一のがまだせ!熊本」というラジオ番組があったり、平成28年に起きた熊本地震復興イベントのタイトルが「GAMADASE KUMAMOTO 2018」となっているほどです。敢えて標準語にすると「浩一のがんばれ!熊本」「がんばれ熊本2018」です。
「がんばれ」の「がまだせ」は、島原発熊本経由で大分に伝わった方言です。「がんばれ」がなぜ「がまだせ」という発音になったのかは不明です。我慢をし耐える人に対し、がんばれという意味の「我慢を出せ」の声掛けが訛ったのか、諸説ありますが定かではありません。
大分の方言の定番フレーズ:えらしー
「えらしー」は大分弁で「かわいい」という意味です。「愛らしい」が転じて「かわいい」を意味する「えらしー」に変化していき、定番の大分方言として使われるようになったようです。
愛という漢字は、五段に渡る読みがあります。愛の「あい」、愛しいの「いとしい」、愛いの「うい」、愛の「え」、愛しむの「おしむ」です。愛を「え」と読むのは古代の読み方で、愛媛を「えひめ」と読むのもそのひとつです。かわいいを意味する「えらしー」は、四国からの方言です。
大分の方言の定番フレーズ:なおす
「なおす」と聞くと、標準語では修理するという意味ですが、大分方言の「なおす」は、片付けるという意味です。「あれなおして」と言われたら「あれ片付けて」という意味になります。
「なおす」という方言は、大分だけに限らず、広く関西や九州の西日本一帯で使われています。「なおす」の基本の意味が「正常な状態にする」の「しまう」なので、そこから意味が膨らんで「片付ける」という共通語とは認知されない微妙な方言に変わっていったようです。
大分の方言の定番フレーズ:せちぃ
「せちぃ」は「やるせない」や「切ない」といった意味の大分弁です。「世知辛い」という言葉があり、「暮らしにくい」という意味ですが、「暮らしにくい」を「切ない」と解釈した方言です。
「世知」は、もともと「世智」と書く仏教用語で、世俗の知恵という俗世間を生き抜くための世渡りの智恵という意味です。転じて「世知辛い」は「抜け目のないこと」「打算的」といった意味に使われます。大分弁の「せちぃ」は、「世知」を拡大解釈し語尾が訛った方言です。
大分の方言の定番フレーズ:しゃっち
大分方言の「しゃっち」とは、「いつも」「必ず」「強いて」という意味になります。この言葉の中には「ああもう」という否定的なニュアンスが込められていて使い方が難しい方言です。
「あいつはしゃっち遅刻しよる」は「あいつはいつも遅刻しよる」、「なんでんかんでんしゃっち欲しがるやっちゃなあ」は「何でもかんでも必ず欲しがる人だなあ」とかいう風に、肯定的ではなく否定的な発言のときに使います。「しゃっち遅刻しない」と肯定的には使いません。
大分の方言の定番フレーズ:いかちぃ
「いかちぃ」は、大分の方言で「性格が悪い」といった意味になります。ただし会話の中で冗談交じりに「おまえ、いかちぃなあ」と言い、「おまえ、性格悪いなあ」という使われ方をします。
「いかちぃ」は、「厳つい」という険しい表情などを表現するときに使う言葉が訛ったものですが、本来の意味とは違っています。「厳つい人」を想像するに恐らく性格が悪いのでは、という拡大解釈による変化によって生まれた大分弁のひとつです。
大分の方言の定番フレーズ:きのどきぃ
「きのどきぃ」は、「気の毒」という形容動詞が形容詞に変化したものです。大分の方言に特有の形容動詞が形容詞化する現象のひとつで、一言で省略し本来の意味を伝えているのが特徴です。
他にも、「四角」を「しかきぃ」「横着」を「おうちゃきぃ」など形容詞に変化する使い方をします。「きのどきぃ」も「気の毒だね」と言うのを「きのどきぃね」と滑らかに話しやすいように変化していった大分の特徴的な方言のひとつです。
大分の方言の定番フレーズ:せからしい
「せからしい」は、大分では「やかましい」「うるさい」「煩わしい」という意味になります。九州全域や関西、中国地方などでも使われていますが、地域によって微妙に意味が異なります。
大分での「せからしい」は、他の九州エリアの地域とほぼ同じ使い方になりますが、本州以北とは少々異なります。特に関西では、「うるさい」「煩わしい」といった意味ではなく、「忙しい」「気ぜわしい」といった意味で使われており、九州での使われ方と異なります。
大分の方言の定番フレーズ:なしか
「なしか」という方言も、広く北九州を含めた北部九州で使われている方言で、「なぜ」「どうして」という意味です。「な」にアクセントをおいて力強く発します。
主に男性が使うことが多いですが、女性が使う場合は、「なしか」の「か」が取れて、「なし」「なして」と後ろにアクセントをおいて使われます。男性が使っている場合は、関東や関西など他県の人からすると少々荒っぽく聞こえるので、怒られていると勘違いする人もいます。
大分の方言の定番フレーズ:むげねぇ
「むげねぇ」は、「かわいそう」という意味で、「むげない」の語尾が訛った大分弁です。「そげなむげねぇことしなさんな」と言うと「そんなかわいそうなことしないで」という意味です。
「むげねぇ」は、大分県南西部、竹田市とその周辺の奥豊後地方を中心に使われている大分の方言ですが、単純に「かわいそう」という標準語に置き換えられない、「いとおしい」といった意味も含まれています。「むげねぇ」は、大分独特の人を思いやる気持ちを表現した素敵な方言です。
大分の方言の定番フレーズ:そうやに
大分弁の「そうやに」は、「そのとおり」「そうだね」という意味です。語尾を「そうやにぃ」と多少伸ばし気味に言う場合もあります。同じ意味の「そうっちゃね」は県北部で使われています。
「そうやに」は、関西地方から瀬戸内海を超えて伝来した方言のひとつではないか、という説もあります。語尾に「に」が付くのは、三重の方言に顕著で、「そうやに」は三重でも使います。いろんな地方の言葉が混じり合っているのも大分弁の特徴のひとつです。
笑ってしまう!おもしろい大分の方言のフレーズ
大分の方言は、かわいいと聞こえるだけでなく、標準語の発音に聞こえて意味は全く異なるフレーズも多々あります。ときには、面白く聞こえるフレーズなどもあり、親しみが持てる方言です。
大分の方言には、他県の人からすると全く理解できない意味不明のフレーズがあり、ときには面白おかしく聞こえるから不思議です。言葉の意味を理解して使ってみると楽しくなります。ここでは、おもしろく聞こえる大分の方言を、例文を交えながら一覧にして紹介しましょう。
おもしろい大分の方言のフレーズ:バカビー
「バカビー」というのは「バカな女」という意味の大分の方言で、主に大分県北部方面で話されています。「バカな男」の場合は「ビー」の部分が「ボン」となって「バカボン」といいます。
「あげな格好してからバカビーやなあ」と言うと「あんな格好してバカな女だなあ」という意味になります。正確な意味を理解してなくても、大凡のことは理解できますが、「ビー」が女性のこと、「ボン」が男性のことを指しているのは、正しい意味を理解していないと分かりません。
おもしろい大分の方言のフレーズ:あいた!
「あいた!」というのは、「痛い」という意味ではなくて、「しまった」とか「何てことだ」という失態をした際に発する大分弁です。英語の「Oh My God!」に近い意味の大分の方言です。
「あいた!やってしもうた」という風に失敗したり、失態を演じてしまったときに、頭につけて使います。「よし」とか「さあて」とか「ああもう」とか、後に続く表現を強調する言葉と同様で、言葉の流れをスムーズにするための接頭語的な意味合いを持っています。
おもしろい大分の方言のフレーズ:えらしぃ~
「えらしぃ~」は、「かわいい」という意味ですが、大分市内ではあまり使われることは少なく、大分県北部でよく使われています。大分にいる人でも若い方など、知らない人も多々います。
かわいい動物やかわいい赤ちゃんを見て「えらしぃなあ」と言ったり、彼氏がやきもちを焼いたりしたときに「えらしぃことしよんねぇ」と言ったりします。「愛らしい」という言葉の「愛」を「あい」ではなくて「え」と呼んで簡素化しているのも大分弁の特徴のひとつです。
おもしろい大分の方言のフレーズ:おじぃ
大分弁の「おじぃ」は、お爺さんという意味ではなくて、「怖い」という意味になります。怖いもの対して怖気づくという言葉の省略形がそのまま方言として使われています。
「あの人おじぃわあ」と言うと「あの人怖いわあ」という意味になります。「あのおばさん、おじぃ」と言われて、おばさんがお爺さんというのは、どういう意味なのかと考え込みますが、大分弁の「おじぃ」は、あくまでも「怖い」という意味ですので、誤解のないようにしましょう。
おもしろい大分の方言のフレーズ:ちちまわす
「ちちまわす」は「やっつける」「殴る」という意味です。普段あまり使われることのない言葉ですが、相手に対して攻撃を仕掛ける意思表示の時に使います。きつい言葉なので注意が必要です。
「ちちまわすぞ」と言われると「殴るぞ」という意味になります。他県民の人は、いきなりこの言葉を発せられても何のことかさっぱり分からず拍子抜けしてしまうので、本当に殴り合いの喧嘩にならないかも知れません。でも相手は本当に怒っている場合があるので注意する必要があります。
おもしろい大分の方言のフレーズ:ぎゅうらしゅう
「ぎゅうらしゅう」とは、「大袈裟に」とか「仰々しく」という意味の大分の方言です。母親が子供に対して「ちょっと転んだぐらいで、ぎゅうらしゅう泣かんの」という風な使い方をします。
「ぎゅうらしゅう」は、「仰らしく」や「仰々しく」の「ぎょう」が「ぎゅう」に変化したもので、主に大分県南西部、竹田市とその周辺の奥豊後地方を中心に話されている奥豊後方言のひとつとされています。大分県全域でも比較的年配者同士で話されることが多々あります。
おもしろい大分の方言のフレーズ:すもつくれん
「すもつくれん」は、「巣も作れない」という言葉が転じて「つまらない」「役に立たない」という意味になる大分方言です。強調する場合は、「すもひっつくれん」と「ひっ」をつけます。
「すもつくれん」という大分方言は、竹田市や豊後大野市、旧野津町などの臼杵市の一部、旧宇目町などの佐伯市の一部といった奥豊後地方から来ているとされています。昨今は年配者以外は、この言葉を話す人も少なくなり、大分の若い人の中では全く知らない人も多々います。
かわいい!大分の方言の告白のフレーズ
縁があって大分の人と知り合い、愛の告白をしたり、逆に愛の告白を受ける場合には、ぜひとも大分の方言の告白フレーズ一覧を見ておきましょう。より親近感が沸き願いが叶うかもしれません。
特に女性が使う大分弁には、かわいいと思える愛の告白フレーズが多々あります。大分の方言で好きという場合も、単純に好きと言うだけでなく、好きの語尾が微妙に変化しかわいい方言に聞こえます。ここでは大分の人へ愛を告白する際に役に立つフレーズを一覧にして紹介しましょう。
大分の方言の告白のフレーズ:好きっちゃ
大分の方言で、「好き」に「ちゃ」を付けて「好きっちゃ」と言うと、「好きだよ」という強い表現になり「好き」を強調する意味合いを持ちます。女性から言われるとかわいいと感じます。
もちろん、「好きっちゃ」というフレーズは、愛の告白だけでなく、いろんなシーンで使われます。「このお菓子好きっちゃ」とか「あの人は楽しくて好きっちゃねぇ」という風に、対象となる人や物を「好き」と表現する際に強調して使います。「大好き」に近い意味を持っています。
大分の方言の告白のフレーズ:しーんけん好きやに
「好きっちゃ」をさらに強調したい場合は、頭に「しんけん」を付けて「しーんけん好きやに」あるには「しーんけん好きやき」と言い、絶対に好きだからという最上級の強調表現になります。
「好きやに」と告白されて外食産業の「すき家」と勘違いしそうですが、「やに」というのは、「好きなのだ」という強い断定を意味します。また「好きやき」と告白されて「スキヤキ」と勘違いしそうですが、「やき」というのは、「だから」が変化して「好きだから」という意味です。
大分の方言の告白のフレーズ:好きやけん、付きあっちくれんかなぁ
「好きやけん、付きあっちくれんかなぁ」は、男性から女性への大分方言の告白定番フレーズです。「好きだから、付き合ってくれないかなあ」という意味です。それぞれ語尾が変化します。
「好きだから」が「好きやけん」、「付き合って」が「付きあっち」、「くれない」が「くれん」といったように、「ん」で表現される撥音や豊日方言に特徴的な「っち」を用います。ただし、あくまでもある程度の親しい間柄でないと、馴れ馴れし過ぎると誤解されますので要注意です。
大分の方言の告白のフレーズ:いっちょくけどな、私が好きなんはあんたやけん
「いっちょくけどな、私が好きなんはあんたやけん」は、女性から男性への大分方言の告白フレーズです。「言っておくけど、私が好きなのはあなただから」という意味になります。
冒頭に「言っておくけど」という意味の「いっちょくけどな」と言うのは、相当に親しい間柄でないと誤解されやすいフレーズです。一般的に「言っておきますが」の後にくるのは、相手に対して否定や批判を申し立てるときが多いので、使い方を違わないよう十分に注意しましょう。
大分の方言の告白のフレーズ:なぁ聞いちょんの、好きっち言いよんやん
「なぁ聞いちょんの、好きっち言いよんやん」というフレーズは、愛の告白をしてはみたものの、相手からのはっきりした返事がもらえない場合などに使う大分方言の告白フレーズです。
「ねえ、聞いてるの?好きって言ってるじゃない」という意味になります。「聞いてる」が「聞いちょん」、「好きって」が「好きっち」、「言ってるじゃない」が「言いよんやん」と語尾が撥音などに変化する大分弁特有の話し方です。かなり親しい間柄で使う大分方言の告白フレーズです。
大分の方言を聞けるおすすめの映画
大分弁を理解しても実際に話すとなるとイントネーションや話し方のニュアンスなど、気になる点は多々あります。それには、実際に大分の人達が大分弁を話しているのを聞くのが一番です。
インターネットの動画サイトや映画などで、大分関連の一覧を探して、実際に大分弁を使っているシーンを見てみましょう。イントネーションや使うときのタイミングや正しい使い方など参考になります。全編大分弁を使っている映画もあり、大分弁を理解するうえで参考になります。
「網引いちゃった!」
「綱引いちゃった!」は、2012年に公開された日本映画で、舞台が大分市になっており登場人物全員が大分弁を使っている非常に希少な映画です。内容そのものも面白くて最後まで楽しめます。
大分市を舞台に、大分市の知名度アップと職場でのリストラの阻止をかけ、綱引き全国大会出場を目指す女性綱引きチームの奮闘を描いたヒューマンコメディです。出演者全員が大分市民という設定で、全員がバリバリの大分弁を使っており、大分弁を使いこなすのに役に立つ映画です。
豪華キャストが全編大分の方言を話している!
映画の中では、主役の市役所職員で綱娘キャプテン役の井上真央、その母親役の松坂慶子、コーチ役の玉山鉄二、大分市長役の風間杜夫、他にもソニン、渡辺直美など、豪華俳優陣が登場しています。
大分市役所の職員が綱引き大会へ出場するチームをつくり、リストラになりそうな職場の生き残りをかけて奮闘する物語ですが、役どころの俳優陣全員が見事な大分弁を全編通して使っています。さすがは一流の役者さんばかりで、役作りの中の大分弁を感じさせないスムーズさは見事です。
大分の方言を覚えて話してみよう!
かわいい方言、おもしろい方言、親しみがある方言など、大分の方言は知れば知るほど愛着が沸く方言です。ぜひ一覧を参考に大分弁を話してみてください。特に街中の老舗のお店などには生粋の大分弁で受け答えする人がおり、大分弁で受け答えするとすぐに打ち解けること間違いなしです。
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