鵡川ししゃもは子持ちししゃもとは別の魚?
本物のししゃもが獲れるのは北海道の太平洋岸だけ。本物のししゃもとスーパーなどで売っている子持ちししゃもは姿がちょっと違います。色が赤みがかっていて、ふっくらして食べ応えがありそうです。
ししゃもは漢字では柳葉魚と書き、北海道むかわ町から釧路市にかけての太平洋岸に生息する日本固有のお魚です。サケと同じように主に海で生活し、産卵期には川を遡上し卵を産みます。
しかし、乱獲や気候の変動などにより、50年ほど前から急激に漁獲量が減り、一時は絶滅も危惧されました。それを心配した地元の人たちの努力で最近は3000トンほどの水揚げになっています。
細身で青魚っぽい姿をしているのが子持ちししゃもです。正式にはカペリンといい、日本ではカラフトシシャモと呼んでいます。ししゃもの漁獲量が減ったときに、形や味が似ているため、代用品として目を付けられたのです。
今ではノルウェーやカナダなどから年間で3万トンほど輸入されています。面白いことに、子持ちが好評だったため、メスしか輸入されていません。
ししゃもはむかわ町のほか新ひだか町や釧路市などでも収穫されます。その中でもむかわ町で収穫、加工されるししゃもは、鵡川ししゃもとしてブランド化され、最高級として高い評価を受けています。
価格は地元でも1匹100円から250円ほど。地元以外ではその倍以上になっていることもあります。スーパーの子持ちししゃも(カラフトシシャモ)が1匹20から40円ほどなので、お財布にはちょっと厳しいのが現状です。
漁期だけしか食べられない鵡川ししゃも
鵡川ししゃもは最高級品としてブランド化
ししゃもは10月11月の産卵期になるとむかわ町の中心部を流れる鵡川目指し集まってきます。その時期がししゃもの旬です。ししゃも漁はその時期だけ行われ、水揚げされたししゃもは一夜干しされ、その多くが地元で消費されます。また、ししゃもの身はすぐに悪くなってしまうので、地元以外刺身で食べることはほとんどできません。
鵡川ししゃもはすだれ干しという独特な方法がとられていて、そのまま店頭に並んで売られています。一夜干し(生干し)のししゃもが並ぶ風景はむかわ町の秋の風物詩となっています。
鵡川ししゃもの旬はいつ?
漁期が10月・11月の2ヶ月しかないので、むかわ町でも本当においしい鵡川ししゃもは、その時期しか食べられません。
スーパーの子持ちししゃも(カラフトシシャモ)はメスしか売られていませんが、鵡川ししゃもはオスもおいしく食べられています。とはいっても、卵を抱いているメスは高値が付き、オスはメスの8割ほどの値段です。地元の人が「オスは脂ののりが良いので、身はオスの方がおいしいよ」と教えてくれました。
10月から11月にかけての旬の時期しか食べられないししゃもの刺身。寿司にしても絶品で、むかわ町の飲食店で期間限定メニューとして提供されます。この味を求めて、道内ばかりでなく全国から観光客が押し寄せます。
鵡川ししゃもを一躍有名にした生干しししゃもの元祖「カネダイ大野商店」
ししゃも漁期間中の10月~11月には、店の前にすだれ干しの生干し鵡川ししゃもが数多くかけられ、多くの人が買いに訪れます。店内は食堂になっていて、買った鵡川ししゃもをその場で焼いて食べられます。店内は結構広いですが、ピーク時には行列ができるほどの人気です。買ったししゃもを買い物かごに入れて、店内で精算します。
焼き方もユニークです。ガスとか炭火など直火ではなく、ホットプレートにクッキングシートを敷き、その上にししゃもを置いて焼きます。焼き色がついたら食べ頃です。
この方法が生干しししゃものおいしい脂が逃げず、また身もカラカラにならないので最高の状態で食べられるそうです。家庭でもフライパンにクッキングシートを敷いて焼くといいとのこと。一度試してみてください。
地元や道内の常連さんは焼きだけ食べてサッと帰る人が多いですが、観光客にはシシャモずくしのセットが人気です。刺身を握った寿司・ししゃもフライ・ししゃもの昆布巻き・ししゃも汁・ししゃもと野菜の浅漬けがセットになっていて、鵡川ししゃもを満喫できます。
ほかにも「ししゃも丼」や「ししゃもカレー」などのユニークなメニューがあります。店内で食べられるのは10月・11月の2ヶ月間だけです。また、自分で選んだ生干しししゃもをその日のうちに地方発送してくれます。
住所:北海道勇払郡むかわ町美幸2-42
電話番号:0145-42-2468
旬の時期限定の鵡川ししゃも料理が評判の食事処「自然喰処 灯泉房」
冷蔵保存された鵡川ししゃもを使った料理は通年のメニューになっている店が多い中、ししゃもの料理は旬の時期しか出さないというこだわりの食事処。おすすめは「ししゃも御膳」。焼き・寿司・フライなど6品のししゃも料理がつく豪華版です。
通年営業で、ししゃもの時期以外はむかわの特産品を使った定食メニューや、ホッキカレーなどが人気です。むかわ町内で唯一鵡川和牛を使ったステーキを食べることができます。
住所:北海道勇払郡むかわ町末広1-70
電話番号:0145-42-5417
道の駅むかわ町四季の館内の食事処「たんぽぽ」
鵡川ししゃもを通年で楽しめる食堂。『むかわ温泉 四季の館』に併設された道の駅内にあり、そば・うどん・カレー・定食などメニューも豊富です。おすすめは鵡川ししゃものほか、ホタテやイカ・野菜などを炭火で焼いて楽しめる「たんぽぽ焼き」で、家族連れには特に喜ばれています。旬の時期外の鵡川ししゃもは、冷蔵保存されたものを使用しています。
住所:北海道勇払郡むかわ町美幸3-3-1
電話番号:0145-42-4171
リピータが絶えない寿司職人が握る鵡川ししゃも寿司「大豊寿司」
むかわ町をはじめとする北海道の魚介類を使ったネタが1年中楽しめる寿司処。鵡川ししゃもは柳川・天ぷら・ししゃも酒など、通年で食べられる料理もありますが、刺身・寿司は10月中旬から11月中旬の1ヶ月だけのメニューです。刺身や寿司を中心に鵡川ししゃもを楽しみたければこおがおすすめです。
住所:北海道勇払郡むかわ町文京1-8
電話番号:0145-42-5222
土日しか営業しない漁師料理の店「食事処さとう」
むかわ町の特産物販売所『ぽぽんた市場』内の食堂です。暖簾にはお食事としか書かれていないので、便宜上ぽぽんた食堂と呼んでいる人が多いようです。正式汚名称は『食事処さとう』のようです。
むかわの漁師が営業しており、8席のカウンターしかない小さな店で、しかも土日しか営業していない!料理の評判はすこぶる良く、鵡川ししゃもの時期には長い列ができます。焼きや刺身・天ぷらに煮付けなどどれも旨くて安いのが人気に秘密で、ちょっと待つことを覚悟でお出かけください。
住所:北海道勇払郡むかわ町松風3-1
電話番号:0145-42-2133
地元の漁師や農家が集まって販売する特産物市場「ぽぽんた市場」
地元の漁師や農家など28人が集まって、特産物を販売しています。基本はその日に収穫したものをその日に売ることで、新鮮な海の幸・山の幸が店頭に並んでいます。鵡川ししゃもの半生は10月・11月の漁期だけですが、冷蔵・冷凍物は通年販売されています。食堂『食事処さとう』(ぽぽんた食堂)は、土日だけの営業です。
住所:北海道勇払郡むかわ町松風3-1
電話番号:0145-42-2133
道の駅が併設された町営の温泉施設「むかわ温泉 四季の館」
天然温泉施設『むかわ温泉四季の湯』を中心に、むかわ町の観光拠点となっている道の駅やホテルやスポーツトレーニングセンターなどが併設され、地元の憩いの場になっています。
道の駅には鵡川ししゃもをはじめとする地元の特産品や北海道の名物土産などが揃い、鵡川ししゃもは漁期以外でも、冷蔵や冷凍ものが販売されています。「食事処 たんぽぽ」ではししゃも料理が人気です。
ホテルは1泊2食付きで一人1万円前後とリーズナブルな価格設定で、夕朝食は新鮮な刺身や鵡川ししゃも料理が味わえます。
鵡川ししゃもを食べに是非むかわ町へ
広い北海道でも本当に新鮮な鵡川ししゃもの半生干しや刺身、寿司が食べられるのは、10月・11月のむかわ町だけです。ししゃもなんて鵡川ししゃもでもカラフトシシャモでも大差ないんじゃないか、と思っている人、旬の鵡川ししゃも食べてみてください。もうカラフトシシャモは別の食べ物になってしまいますよ。
新千歳空港から車だと45分ほどで到着するむかわ町。格安航空が頻繁に北海道に来航する現在、東京や大阪からひょっとして日帰りができるかもしれません。10月・11月は鵡川ししゃもを食べにむかわ町に出かけてみませんか。
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