長崎グラバー園の楽しみ方！ドレスに着替えてハート石探し！お土産もいっぱい

長崎のグラバー園は歴史的な建造物が集まったテーマパークです。その中心になるのは旧グラバー住宅ですが、その他にもいくつもの建物があります。そして明治時代などの洋風の生活がうかがえます。建物の人気の見どころやハート石や貸しドレス、あるいは夜の時間の営業やお土産ども含めて、おすすめの楽しみ方をご紹介します。

長崎のグラバー園は、長崎港の東側の高台にあり、市内や長崎港を見下ろす絶景のロケーションにあります。そこに西洋風の建物があって長崎随一の観光名所となっています。長崎観光の定番中の定番ですね。ただ、以前にそこを訪ねた方はグラバー住宅とかグラバー邸と呼ばれていたのに、"名前が変わったの?"と思われるかもしれません。

名称については、実は旧グラバー住宅は以前の通りですが、長崎市が隣接してあった旧リンガー住宅と旧オルト住宅を入手し、この一帯をグラバー園として整備したものです。そしてその中に旧ウォーカー住宅やレストラン自由亭などの歴史的な西洋建築を移築してきました。グラバー園としての開園は1974年のことです。

例えれば、旧グラバー住宅を中心にして、愛知県にある明治村のようなテーマパークを作ったということです。グラバー園のなかにある施設は前記の他に、旧三菱第2ドックハウスや旧長崎地方裁判所長官舎、旧スチイル記念学校、旧長崎伝統芸能感などがあります。

JR長崎駅から路面電車(長崎電気軌道)を利用する場合、二つのルートがあります。オーソドックスなルートは、駅前から乗り大浦天主堂で下車します。所要時間は約17分です。そこから徒歩8分ほど土産物店などが並ぶ坂道を上ります。この通りは、大浦天主堂やグラバー園へ行く道で、グラバー通りといいます。

路面電車を利用するもう一つのルートは、第2ゲートから入るもので、大浦天主堂の次の停留所である石橋で下車します。ここからは徒歩2分で動くエレベータのスカイロードがありグラバー園の最高点であるゲートまで行きますので、足の弱い方にはおすすめです。スカイロードの運転時間は6時30分から23時30分までで、無料です。

マイカーの場合、グラバー園自体には駐車場はありませんので、近隣の駐車場を利用することになります。ただし、グラバー園のすぐ近くはコインパーキングなどはありますが、大規模駐車場は少ないエリアです。おすすめの例は市営松が枝町駐車場で、大浦天主堂の北側にあり、第1と第2駐車場があります。

営業は年中無休で、開園時間は原則8時から18時ですが、季節により夜の時間帯も営業しています。例えば大型連休とその前後や5月下旬から6月上旬のあじさいの季節は時間が延長されます。また夏のライトアップやビアガーデンは後でご説明します。入場料は大人650円です。なお、夜間開園日の詳細は園にご確認ください。

住所:長崎市南山手町8番1号 電話番号:095-822-8223

施設の内容をご説明する前に、グラバー園とグラバー住宅の名前のもとになっている、グラバー氏についておさらいしておきましょう。上の写真のグラバー(ThomasBlakeGlover)は1838年にスコットランドで生まれ、幕末の1859年に長崎に来ました。そして2年後には自分のグラバー商会を作り、貿易を営みました。

武器商人といわれ、諸藩を相手に武器を売っていますが、生糸やお茶なども扱っていました。亀山社中とも取引していましたから、上の写真の坂本龍馬たちとも交わっていました。またNHK朝ドラで人気となった五代友厚などの海外留学の手引をしたり、炭鉱や造船の事業にも携わりました。下の写真の人物は龍馬と岩崎弥太郎です。

明治維新後は武器が売れなくなり、1870年にグラバー商会は破産しました。その後もグラバーは高島炭鉱の経営に携わり、同炭鉱は岩崎弥太郎の三菱に買収され、グラバーも三菱の所長となりました。さらにに麒麟麦酒の基礎も築くなどし、三菱の顧問として活躍しました。彼は1911年に東京で亡くなり、墓は日本人の妻とともに長崎にあります。

グラバーは武器商人からスタートしましたが、このようなことで日本の近代化に大きく貢献したため、生前に勲章を授与されています。肝心のグラバー住宅は、彼が来日間もなく建築したものですが、後に長崎の観光名所となり、世界遺産にもなるなどこれも長崎への貢献度が大きいものといえます。詳細は後記をご参照ください。

前記のようにグラバーが来日して、4年後の1863年、25歳のときにこのグラバー住宅を建築しています。この長崎随一の絶景の土地を当初は借地したようでその記録が残されています。また住宅の修理記録もあり、それらから日本最初の木造洋風建築と認められています。

旧グラバー住宅は歴史的価値が認められ1961年に国の重要文化財に登録されています。さらに2015年には"明治日本の産業革命遺産、製鉄/鉄鋼、造船、石炭産業"の構成資産の一つとして世界遺産に登録されました。前にもご説明したグラバーの日本への貢献も改めて評価されたともいえますね。

グラバー住宅は当初はグラバー本人が所有し家族と共に生活していましたが、その後は息子の倉場富三郎が家族と住んでいました。1939年にはこの住宅が三菱長崎造船所(写真の対岸)に売却されましたが、1957年に長崎造船所100週年記念として長崎市に寄贈され、翌年から一般公開されたものです。

グラバー住宅単体としての敷地は約1600坪あり、建物はすべて平屋建てです。そして北、西、南側に大きなベランダを持っているのが特徴です。ただし、当初は比較的小規模でしたが、増改築を経て現在に至っているようです。現在は主寝室、客用寝室、応接室、大食堂をメインとして、他に小食堂、子供室などがあります。

住宅の北と西、南の三方に大きなベランダがあり、開放的なデザインになっています。これはコロニアル様式といわれるもので、広いベランダといくつもの窓があります。ベランダは暑さに弱いイギリス人にとっては暑さ対策でもあり、くつろげるスペースとなっていますので、一休みしながらご覧ください。

ベランダの上は、上の写真のように網目状になっていて軽やかで涼しさを演出していますので、ご覧ください。なお、コロニアル様式の建築はイギリスやオランダの植民地で見られる様式で、アメリカでも見られます。そういえば、スケールは違いますが映画"風と共に去りぬ"でも登場しますね。

グラバー住宅の各部屋が公開されていますのでじっくりご覧ください。それまでの日本建築にはない明るい室内が多く、中には鏡の反射も利用して明るくしているものもあります。上の写真の食堂では150年前の立派な食事も並べられ、リッチな生活がうかがえます。

ツル夫人の部屋の廊下の天井に隠し部屋があります。明治維新の物騒な時代に、武器を商ったり、諸藩の人たちと交わっていましたので、万一の場合の隠れ場所を作ったようです。ひょっとしたら坂本龍馬も隠れたかもしれませんね。ただし、隠れ部屋については、明治維新後に作られたという説もありますが、興味を持たされる部屋です。

グラバー住宅には温室があり、年中花が咲いています。それから温室には上の写真の狛犬があり、これがキリンビールのラベルのもとになったといわれています。なおグラバーはキリンビールの会社の生みの親で、ラベルの案も彼が描いたそうです。またビールのキリンの髭はグラバーの髭から採り入れているという説があります。

グラバー住宅は洋風の建築ですが、屋根には日本瓦が使われ、鬼瓦もありますので、屋根にもご注目ください。また、屋根に限りませんが、壁には漆喰が使われるなど和のテイストも採り入れられた洋館です。なお、住宅の基本計画はグラバーが描き、その指図により実際に造ったのは日本人の大工さんであるとといわれています。

旧リンガー住宅は、旧グラバー住宅、旧オルト住宅とともに、もともとこの地に建てられた洋館です。この住宅を建てたリンガーは、1865年頃に長崎に来て、グラバー商会で働いたこともありますが、その後共同で"ホーム/リンガー商会"を設立しました。製茶や石油備蓄他、幅広く貿易を行い、ベルギーなどの名誉領事も務めています。

リンガー住宅は1966年に造られましたが、日本では珍しい石造(ただし木骨です)の洋館です。一時期は川南造船所の所有となっていましたが、1965年に長崎市が取得しました。その後、国の重要文化財になっています。グラバー住宅と同様に広いベランダのある洋風建築ですが、ベランダの柱その他にグラバー住宅との違いもあります。

オルトもイギリス人で1859年に長崎に来ました。主に製茶業を行い、日本のお茶を世界に広めています。住宅は1865年頃建てられましたが、オルトは3年間しか住まずに、活水女学校や米国領事館が使用した後に、隣のリンガー一家が取得しました。前記リンガーの長男が住んでいたため、リンガー(兄)住宅と呼ばれることもあります。

旧オルト住宅はリンガー住宅と同じ木骨石造ですが、バルコニーにある柱がトスカナ式といわれる円柱になっています。また、正面中央に軒の高いポーチがあるなど、グラバー住宅やリンガー住宅に較べて華やかさがある建築になっています。なお、国の重要文化財になっています。

プッチーニのオペラ"蝶々夫人"は、長崎を舞台にしています。そして背景のイメージとしてはグラバー園がぴったりということから、ゆかりの物がいろいろありますのでお楽しみください。まず旧グラバー住宅の南側に三浦環像広場があり、蝶々夫人姿の彼女の銅像が建てられています。なお、グラバー夫妻は蝶々夫人とはまったく無関係です。

三浦環は日本人として初めて世界で名声を得たオペラ歌手で、蝶々夫人を2000回以上も演じています。また、作曲のプッチーニの像も自由亭の近くに建っています。さらに、毎年開かれる"マダムバタフライコンクール"の優勝者の記念植樹も広場の近くで行われています。特に、往年のプリマドンナのマリアカラスの記念植樹も注目です。

この建物は、三菱長崎造船所が船の修理のためにドック入りしたときの乗組員の宿泊所としていたもです。また、船の検査員の宿泊にも利用されていました。1896年に建てられた明治期の洋風建築の代表的なものです。1972年に三菱から長崎市に寄贈され、現在地に移築されました。

船員用の男臭さのする施設ですが、コロニアル風のベランダが2階にもあり、グラバー園の最高地点であるここからの眺めは最高ですので、ぜひご覧ください。なお、港の対岸には三菱の造船所がありこのドックハウスの元の場所が望めます。内部には船の模型などが展示されています。

旧リンガー住宅の横に上の写真の"フリーメイソンの門柱"があります。見落とす人も多いようですが、珍しいものですのでご覧ください。フリーメイソンというのは秘密結社と訳されることもありますが、秘密は守られているものの友愛結社というほうが妥当で、自由、平等、友愛などを基本理念とする団体です。

アイルランドやスコットランドに多い組織で、グラバーもメンバーだったのではないかとの噂はありますが、事実ではないようです。上記の門柱も元は長崎市内のイギリス人の門柱であったものを、ここに移設したものです。なお、門柱に刻まれたマークは上の写真のように、定規とコンパスを表しています。

旧自由亭は日本最初の洋食レストランです。もう少しご説明すると、日本人最初の西洋料理店のシェフの草野丈吉が1863年に前記の五代友厚のすすめで自宅にレストランを開いたのが前身です。自由亭という名前は1865年から使っています。なお、現在の自由亭の建物は1878年に建てられたもので、当時はVIPにも利用され繁盛していました。

しかし、草野が亡くなり10年足らずで廃業してしまいます。その後は裁判所の官舎として使われましたが、1973年に長崎市が買い取り、後に現在地に移築したものです。2階が喫茶室になっていますので、レトロな雰囲気を楽しみながら、名物のカステラなどを戴くのもおすすめです。営業時間は基本9時から17時までです。

グラバー園には上の写真のような二つのハート石(ハートストーン)があるといわれ、それに触れると幸せになれると人気のスポットとなっています。この二つは敷石にハート型の石が埋め込まれていますので、広い園内ですが本当は自分で探すのがおすすめかもしれません。もし場所の手がかりを知りたい方は、次をご覧ください。

一つ目のハート石は、上の写真のもので旧グラバー住宅の横に展望台がありますが、そこの方位盤のすぐ近くにあります。もう一つのハート石は下の写真のもので、グラバー住宅を少し下ると休憩所がありますが、その通路の反対側にありますので、探してみてください。

グラバー園のハート石は普通二つあるといわれますが、実はもう一つあります。さらに"愛"を追求したい方はどうぞお探しください。場所は出口近くにあるガーデンショップのレジの近くの壁に"ハートストーン伝説"のパネルとして掲げられています。上の写真の右下のものです。

グラバー園ではレトロなドレスが貸りられ、写真撮影や園内散策に利用できます。当時の建物を背景にきれいなドレスで非常に雰囲気のある撮影や経験ができますので、女性を中心に非常に人気があります。大勢の方が利用されていますので、恥ずかしがる必要はありませんから、ぜひドレスのレンタルをおすすめします。これでハート石を探してみてはいかがでしょうか?

ドレスが借りられる場所は"レトロ写真館"ですが、この建物は元は旧長崎地方裁判所長官舎で、同園に移築したものです。貸出用のドレスは沢山用意されています。タイプとしてはワンピースとツーピースがあり、幅広い年代に利用されています。グループみなさんで色鮮やかなドレスを着てみるのも絵になりますね。

ドレスは着ていった洋服の上から着られ、着替えも手伝ってもらえますので、心配は要りません。また、帽子なども借りることができます。なお、男性用の衣装もありますので、カップルで利用したらまたとない想い出が作られること間違いありませんのでおすすめします。

写真撮影は原則個人のカメラによりますが、旧グラバー住宅近くには写真屋さんがいて、有料で撮影してくれます。レトロ写真館の営業時間は基本は10時から17時までで、受付終了は16時30分です。なお、グラバー園が夜間営業する場合はそれに準じます。料金は30分で600円からです。

夏季の夜間開園が行われ、建物などもライトアップされます。幻想的ながグラバー園と市内の夜景をお楽しみください。期間は2017年7月20日から10月9日までで、開園時間は8時から21時30分までです。なお、7月29日と30日には"ながさきみなとまつり花火大会"が開催されますが、グラバー園からの眺めは最高ですのでぜひご覧ください。

前記のようにグラバーはキリンビールの生みの親ですが、そのゆかりもあって夏の夜には三浦環像前の広場がビアガーデンとなります。建物などのライトアップとともに、夜景も楽しみながらビールを傾けるなど、長崎の夏の夜を堪能できますので、機会があればおすすめします。上の写真はイメージです。

期間は2017年7月20日から9月30日までで、時間は18時から21時までです。料金は入園料と飲み放題、オードブル付きで当日券が4800円、前売りが4300円です。なお、飲み放題の内容はキリンビールの他に、ハイボールや焼酎、梅酒やソフトドリンクなどがあり、別途料金では長崎産のワインも用意されています。

観光地長崎にはさまざまなお土産があって、どれにしたらよいかとても迷いますね。ここではまずグラバー園オリジナルのお土産をご紹介し、後で長崎名物のおすすめお土産をご紹介します。なお、上の写真はグラバー園の入場時にもらえるグラバーのお面で人気がありますが、お土産にもなりますね。1000枚に1枚は赤いバージョンだそうです。

グラバー園でのお土産はガーデンショップで買うことができます。出口近くに伝統芸能館があり、その1階にあります。なお伝統芸能館は、国の重要無形文化財になっている"おくんち"の資料展示が行われています。上の写真のような龍や豪華な傘鉾などをこの機会にご覧ください。

グラバー園オリジナルのお土産では、ハート石のアクセサリー、絵皿などが人気です。またハート石のキーホルダーやペーパーウェイトもおすすめです。他に映画やドラマ"赤い糸"にちなんだ"幸せの赤い糸"もあります。特に女性には香水の"オードパルファム/マダムバタフライ"もおすすめです。

長崎には人気のお土産が沢山ありますが、そのうちいくつかおすすめをご紹介します。まず上の写真の長崎角煮まんじゅうで、豚肉のまんじゅうです。要冷凍ですが、お土産としても人気が高まっています。次に定番のカステラですが、下の写真の元祖松翁軒のカステラもおすすめです。

下の写真は50年前に生まれた長崎銘菓のクルスで、これも人気です。薄いしょうが味が基本ですが、バリエーションもありますので、おすすめです。その他、長崎物語やじゃがほっこり、おたくさ、九十九島せんべいなどなどおすすめしたいお土産がいっぱいあります。

大浦天主堂からグラバー園への道は、お土産の店が並んでいることでも有名です。お菓子や蜂蜜、ガラスなど長崎のお土産はほぼ揃っているといえます。カステラなど有名店も出店していますので、ショッピングをお楽しみください。変わり種としては、"カステラ神社"があり、普通の店構えの中に赤い鳥居があって、奥に土産物が並んでいます。

長崎グラバー園の楽しみ方をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?旧グラバー住宅だけでなく沢山の明治時代などの建造物とともに、生活の様子もうかがえ、見るだけでも楽しめますね。そのうえハート石や貸しドレスでの撮影や散策などもおすすめですので、長崎の一日を堪能してください。