人形町「玉ひで」の親子丼が人気！ランチの行列や予約・料金の情報まとめ！

毎日昼頃になると日比谷線の人形町付近には長い行列ができ始めます。この行列の先にあるのが人形町きっての老舗「玉ひで」です。こちらではそんな人形町「玉ひで」の名物ランチである"親子丼"に関する情報、予約や料金などに関してご紹介していきます。

言わずと知れた人形町の老舗「玉ひで」の歴史は宝暦10年(1760年)にさかのぼります。創業者の山田鐵右衛門は先祖から続く"御鷹匠"(おたかじょう)の一家で生まれ、27歳で妻「たま」と『御鷹匠仕事』をもって家を興し、軍鶏専門の店、『玉鐵』を創業しました。 　

御鷹匠仕事とは将軍家の前で血を見せることなく、また、肉に手を触れることなく鶴を骨と身に捌くという儀式に由来する、高い技術を要する包丁さばきのことです。また、そのころ軍鶏専門の店といっても大名たちからの依頼時だけ料理をふるまっていたそうです

格式高い軍鶏専門店であった『玉鐵』は有名店とし名を馳せましたが、当時は軍鶏鍋は高級料理でなかなか庶民の手の届くものではありませんでした。5代目の秀吉の代になった時に、大きな転機がありました。それがこの"親子丼"の開発です。明治の半ば、5代目の妻"とく"は客が軍鶏鍋の残りに玉を入れてとじてご飯に乗せて食べているのを見て、「親子丼」を思いつきます。

しかしながら、高級料亭だった『玉鐵』では"どんぶり"は「上品でない」と考えられており、お店では出さず、出前のみでのメニューでした。しかし近隣の兜町や魚河岸で働く人たちからは、忙しい時も高級店の味が楽しめると大変人気だったそうです。またその頃5代目の名前を由来として「玉ひで」と屋号が変わりました。店で親子丼をいただけるようになったのはそれからずっと後の1979年(昭和54年)のことでした。

「玉ひで」の軍鶏肉は契約農場から新鮮な軍鶏を丸ごと仕入れます。その新鮮な軍鶏を裁くのはこの道50年以上の熟練の職人です。軍鶏を捌くのは軍鶏を捌くためだけに用意された調理場で、裁かれます。捌かれた軍鶏肉は軍鶏専用の冷蔵庫で徹底的な温度管理をされら状態で、調理されるのを待つのです。また、鍋用にはそぎ切り、丼用にはぶつ切りと言ったように、料理の種類によって切り方にもこだわりがあります。

おいしい親子丼の重要の要素の一つの卵にも「玉ひで」には強いこだわりがあります。実は「玉ひで」では4種類の卵を仕入れそれぞれの用途によってそれらを使い分けています。また、卵の保存に関しても軍鶏肉とは別の専用の保管庫を準備し、厳重な品質管理をしています。

行列のできる「玉ひで」の親子丼の最大のポイントといっても過言ではない出汁には大きな秘密があります。それは出汁に"鶏醤"(けいしょう)を使用していることです。鶏醤とは"魚醤"(ナンプラー)が魚や海老などの魚介類を発酵させて作ったものに対して、鶏や獣の肉を発酵させて作った"肉醤"の一部です。

日本でも弥生時代からあった肉醤ですが、長い年月の中で動物性より植物性の醤油が好まれる傾向からその文化は途切れつつありましたが、鶏醤は廃棄される鶏の内臓の利用方法として見直されてきました。鶏の内臓を煮沸し、塩と麹を加え、約半年も熟成させた発酵調味料の鶏醤は、軍鶏の味を最大限に引き出すコクとまろやかがあります。また、「玉ひで」ではすべての調味料を『玉ひで専用』に用意しています。

「玉ひで」といえば行列。ではその行列はいつから並びはじめどれくらいの時間で入店できるかをご案内しましょう。お店の開店時間は午前11時30分からですが、行列はその1時間前くらいからでき始めます。午後1時までに行列に並ぶ必要がありますが、12時を過ぎてから行列に並ぶとは数時間待たされる場合もあります。

大人気の軍鶏を使用した親子丼がいただけるランチのメニューは大きく分けて「元祖親子丼」と「昼膳・コース料理」との2種類があります。それぞれにかんして料金と内容をご説明していきたいと思います。

『親子丼』(元祖親子丼)は5代目の女将が考案したレシピを現代にいたるまで大切に守り抜いたものです。人々が行列をしても食べたいというこの逸品はランチメニューのなかでも一番人気のあるメニューです。料金は1500円(税込)です。

『三昧(ざんまい)親子丼』(元祖親子丼)はモモ肉、胸肉のほかに、味わいが深くしっかりとした歯ごたえを持つ熟成させた手羽肉を加えています。それぞれの肉のうまみに熟成された手羽肉のうまみが格別の一品です。料金は1900円(税込)です。

『白レバ親子丼』(元祖親子丼)は『親子丼』に希少な"白レバ"が加えられています。白レバは臭みがなく、味は濃厚で、フォアグラ以上の滑らかさを感じることができます。料金は2000円(税込)です。白レバが売り切れの場合には新鮮なレバを使用した"上レバ親子丼"になります。

『極み親子丼』(元祖親子丼)は『親子丼』に"熟成軍鶏のささみ"を炙ったものが三切れほど乗せられたものです。ただでさえうまみの多い軍鶏を熟成にすることで味がさらに濃厚になっていながら、とても柔らかいです。料金も極上で2200円(税込)になります。

歴史ある極上の老舗の味を堪能したいけど、どうしても並びたくない!というかたは予約もできます。ただし、先ほどちらとご説明した「昼膳・コース料理」を注文する必要があります。また同じグループはすべて同じコースを注文しなくてはなりませんし、1時間の時間制限がある場合があります。また早めの予約をおすすめします。

『元祖親子昼膳』(昼膳・コース料理)はテーブル席のみの利用で、利用時間は1時間です。「元祖親子丼」に軍鶏の時雨煮、コラーゲンスープ、香の物、水菓子がついたお膳で、通常の「元祖親子丼」のみに比べるとかなり割高に感じますが、予約すると行列しなくて良いことや、1時間といえどもゆっくり食事ができるのはうれしいですね。1人前3300円(税別)＋サービス料10%となります。

『元祖親子＆軍鶏コース』(昼膳・コース料理)はテーブル席もしくは個室(3名から)のお席を予約することができます。ちょっと大切なお客様とゆっくり高級ランチをいただくのにおすすめです。こちらの内容は、軍鶏時雨煮、コラーゲンスープ、熟成鶏料理2品、元祖親子丼(小)、香の物、水菓子が付いたコースです。1人前5500円(税別)＋サービス料10%となります。

また「玉ひで」では冬季限定(10月から5月)で"おみやげ"として元祖親子丼をお持ち帰りすることもできます。箱入りは1600円、箱無しは1500円です。もちろん熱々が一番おいしいのでしょうが、お持ち帰りしてちょっと冷めていても、お出汁と卵、軍鶏の濃い味がよく馴染んで驚くほど美味しいですよ。

スカイツリー(押上駅)にも8代目の娘(いちの)がコラボしたお店「たまひで いちの」があります。こちらは軍鶏を使用しています。昼時には行列になってしまいますが、スカイツリーの観光のついでに"江戸の老舗の味"を引き継ぐこちらのお店に立ち寄るのもおすすめです。

また、「玉ひで」は現在8代目が店を切り盛りしていますが、8代目は今までの歴代の大将より、自由で画期的なアイデアを持った大将です。8代目がプロデュースした名古屋の『とり五鐵』(とりごてつ)は軍鶏ではなく、名古屋名物の名古屋コーチンを使用した鶏料理を展開しています。もちろん親子丼もあります。

いかがでしょうか。江戸の昔から戦争などの様々な困難をかいくぐり生き残ってきた老舗にはそれぞれの代の努力と工夫がありました。一杯の親子丼に注がれた情熱と、長い歴史を感じながら軍鶏をかみしめると、より一層の感動を覚えます。老舗には老舗の理由があります。是非、一度「玉ひで」で伝統の一杯をお楽しみください。