肉吸いの発祥は千とせ！大阪で芸人もこよなく愛する味を食べに行こう！

お好み焼、たこやき、串カツなど大阪には数々の"絶品B級グルメ"が存在しますが、大阪なんばの名物といえばなんといっても「千とせの肉吸い」でしょう。こちらでは肉吸いに関する芸人さんのエピソードやおすすめの食べ方をご紹介していきます。

『千とせ』(ちとせ）は大阪の人気観光地である難波にある行列のできるうどん屋さんです。戦後から数年たった1949年(昭和24年)に大阪なんばで産声を上げた『千とせ』の暖簾は親から子へ代々引き継がれ、いまでは老舗と言われるほどの名店となりました。

また、吉本興業(現よしもとクリエイティブ・エージェンシー)が運営する"笑いの殿堂"である「なんばグランド花月」という喜劇専門の劇場が近いことから、吉本興業のお笑い芸人さん達が、舞台の合間などにお腹を満たすために足繁く通う飲食店ということで人気に火が付きました。

ダウンタウン、雨上がり決死隊、ケンドーコバヤシなど、現在全国区の人気お笑い芸人が通うちとせは「千とせの肉うどんや肉吸いを食べると売れる！」とか「ご主人に気に入られると売れる！」という噂から、現在でも多くの若手芸人が訪れています。また、近年はすぐ近くに出来たNMB48劇場に出演するアイドル達も訪れているようです。

もともとうどん屋である『千とせ』は数百円でいただける"かけうどん"や"かけそば"や親子丼などの庶民的なメニューを提供する"普通の"うどん屋さんでした。そのメニューの中にあった"肉うどん"が現在大阪(なんば)のB級グルメとして人気を博している『肉吸い』の原点です。

『肉吸い』の始まりはチャーリー浜さんや間寛平さんの師匠としても知られている花紀京さんが舞台の合間に千とせを訪れた時でした。その時花紀京さんは前日飲みすぎたために二日酔いで胃がもたれており、何か軽いものを食べたかったそうです。シャレで「肉うどん、うどん抜きで」と注文したところ、店主がそれに答えたことから生まれました。

ちなみに、関西における"肉(にく)"とは牛肉のことを指し、豚肉は"豚(ぶた)"といいます。なので、肉じゃがの"肉"は関東では豚肉のことを指しますが、関西では牛肉が入っていますし、豚肉のタネが入っているいわゆる"中華まん"は、関西では"肉まん"とは言わずに"豚まん"というのです。ですからこの『肉吸い』の"にく"は、もちろん牛肉のことです。

『肉吸い』は先ほどのルーツの通り肉うどんのスープが入ってないものですからお出汁に牛肉の細かく切られたものが入っている"お吸い物"のようなものです。"お吸い物"といっても少し甘辛く、牛肉の旨みが溶け出したスープは絶品です。関西独特の青ネギがアクセントになり、さらに肉吸いの中にはサプライズのように半熟の"ポーチドエッグ"が入っています。

数多くのお笑い芸人のお腹を満たしてきた「千とせ」の人気メニュー『肉吸い』を楽しめるメニューはいくつかあります。『肉吸い』の原点でもある「肉うどん」650円は『肉吸い』のスープと共に大阪風のお出汁がよくしみ込む柔らかめのうどんが楽しめておすすめです。

『肉吸い』にのど越しの良い絹豆腐を入れた『肉吸い豆腐入り』もおすすめです。お吸い物にお豆腐が入った感じでヘルシーなうえにお豆腐とお出汁がよく合う絶品B級グルメです。お豆腐が入るだけどぐっとグレードアップしたように感じますが、お値段は700円と通常の『肉吸い』より50円だけアップですので、こちらも人気です。

『肉吸い』は『肉吸い』単品だけをいただいても美味しいのですが、是非一緒に頼んでいただきたいのが”卵かけごはん”です。こちらでは”卵かけごはん”を一緒に頼むのが人気の食べ方なのです。卵かけごはんは小玉(小盛り)210円大玉(大盛)240円と選ぶことができます。いずれもお新香付きです。

『肉吸い』は大阪のB級グルメですが、おすすめの食べ方があります。『肉吸い』と卵かけごはんを注文したら、①肉吸いを単品でいただきます。②卵かけご飯を混ぜます。③肉吸いをおかずのようにしてまぜた卵かけごはんをいただきましょう④肉吸いの肉を卵かけごはんに混ぜてみましょう⑤専用の醤油で味付けをしましょう。

万が一、「生卵が苦手だ」とか「"卵かけごはん"が食べられない。」という場合のおすすめの食べ方は、まず卵なしでご飯を頼みます。山盛りのお肉ですっかり忘れていたかもしれませんが、『肉吸い』の中には半熟の"ポーチドエッグ"が入っています。そちらを『肉吸い』からすくいだし、ごはんの上に乗せていただくのも絶品です。

『肉吸い』の食べ方の中で少しご説明した"専用の醤油"ですが、こちらは千とせオリジナルの「千とせ玉子かけごはん醤油」を使用しています。丸大豆醤油に焼津産かつお節で風味を付けたご飯が進むだし醤油です。このお醤油が『肉吸い』を忘れられない味にしてくれる名わき役でもあります。

ちなみに千とせの店内のテーブルには「千とせ玉子かけごはん醤油」とラベルがついた醤油とともに、吉本興業のお笑い芸人村上ショージさんのギャグ 『しょうゆうこと』に引っかけて作られた、村上ショージさんの顔のイラストが入った醤油瓶も置かれています。千とせを人気店にしてくれた芸人さん達への愛を感じますね。

こちらの「千とせ玉子かけごはん醤油」や村上ショージさんの醤油瓶は「なんばグランド花月」の2Fにあるお土産物屋さんで300円ほどで購入することができますので、お土産におすすめです。『肉吸い』がなくても普通に卵かけごはんにかけるだけで、"絶品たまごかけごはん"が出来上がります。

お店の営業時間は午前の10時30分から午後の2時30分まで(火曜定休日)の4時間だけです。店内はそんなに広くないので、お昼時、特に土日祝日ともなると店の周りにはぐるりと観光客などで行列が出来ています。平日や空いている時間帯ならば20分から30分ほど、そうでなければ1時間ほど待たなくてはならない場合もあります。

また貴重な(観光の)時間「どうしても待ちたくない」という方にはなんばグランド花月の１Fにある千とせべっかん(別館)に行くという方法があります。本店はとても人気でいつも行列が絶えないのですが、こちらの別館は比較的空いているので人気の『肉吸い』をいただくのはこちらが便利です。

千とせの本店は老舗のうどん屋さんらしい、昔ながらの良い雰囲気がありますが、こちらの千とせべっかんは洗練されたおしゃれな内装になっており、食券制で、席数も本店より多く、本店よりゆっくり食事ができる雰囲気です。また、大阪名物である「よしもと新喜劇」の半券でオレンジジュースのサービスがあるのもおすすめポイントです。

このカップヌードルをコンビニで見かけたことはありませんか？千とせはなんば以外に支店はありませんが、カップヌードルという形で東京(全国)に進出してきています。正確には『肉吸い』ではなく『肉うどん』なのですが、小さめにカットされたちょっと甘辛の味付けの牛肉、ちょっと大き目にカットされた青ネギのアクセントの見た目はかなり本物に近いです。

千とせの『肉うどん』のカップヌードルと卵かけごはんに「千とせ玉子かけごはん醤油」がそろえば、大阪以外の地域でも"大阪の味"に近いものが再現できます。「大阪にも中々行けないし、行列も嫌い、だけど肉吸いは食べてみたい」という人の願いをかなえた一品です。是非お試しください。

いかがでしたか?大阪のB級グルメはお好み焼き、たこ焼き、串カツ以外にも沢山あります。多くの大阪のお笑い芸人の"思い出の味"である『肉吸い』はお笑い芸人の人気とともに有名となりました。ご紹介した食べ方や注文の仕方を参考に、ぜひなんばに『肉吸い』を食べに行きましょう。