ブラジレイロは福岡博多の最古の喫茶店！こだわりのメニューのおすすめは？

博多駅前のオフィスが立ち並ぶ大博通りを一歩中へ入ると、飲食店が数多く点在する店屋町界隈。その一角に、古くから福岡の地元に愛され続けている福岡最古の喫茶店「ブラジレイロ」があります。薄水色の外観とシックな店内、そして美味しいコーヒーのブラジレイロ。ここでは、予約必須が続いているブラジレイロの人気の秘密に迫ります。

福岡最古のブラジレイロが誕生したのは昭和9年。元々ブラジル・サンパウロ州のコーヒー局が、日本にブラジルコーヒーを宣伝する目的で開業したのが始まりです。当初は東中洲の那珂川河畔にあり、九州文学の同人たち火野葦平らを中心に文化サロン的役割を果たしていました。店内には、当時の様子が偲ばれる写真が飾られ歴史を感じます。

ブラジレイロは昭和19年の戦後疎開で一時撤去になるも、終戦後の昭和21年に博多奥の堂の副支配人だった先代の中村氏により再開され、その後昭和26年に現在の店屋町へ移っています。以来、親子二代に渡り現在に至るまで、多くの純喫茶が消えていく中で、福岡、博多の街で地元博多を代表する最古の喫茶店として今も尚、愛されています。

地球のブラジルがある部分からコーヒーが飛び出しているという、漫画チックで親しみあるブラジレイロのロゴマークをあしらった玄関ドアを開いて中へ入ると、木目調のライトオークと座席にある椅子のブライトスカイブルーのコントラストが目に飛び込んできます。シンプルで清潔感ある雰囲気ながらも福岡最古の重厚さを感じる喫茶店です。

細長い店内は2階建てとなっています。1階店内の一番奥に、白木の手摺が目に優しい螺旋階段があり、そこから2階へ上がるようになっています。よりゆっくり過ごしたいという方は、香ばしいコーヒーの香りに包まれながら、螺旋階段を上り2階のゆったりスペースへ。柱の上には、柔らかな照明がかざされ落ち着いた雰囲気を感じてしまいます。

2階席は、やわらかい日の光が差し込む窓際のテーブル席と反対側にはゆったりと寛げるテーブル席が合わせて30席あります。壁には懐かしいポスターや絵画、クラシックの大家カラヤンの写真が飾られ、そしてクラシック音楽が流れる中、福岡最古を感じます。全席喫煙可能で、愛煙家にとっても嬉しい、落ち着いた雰囲気で過ごせる喫茶店です。

ブラジレイロのコーヒーは、まずは豊潤な香りに包まれながら一口すすり、そしてひとさじのホイップクリームを浮かべると、そのやわらかさとまろやかさで、よりいっそう美味しさが際立ちます。時代を超えた伝統の味「クラシックブレンド」は、ちょっと濃い目の深い味、そして後味はすっきりしたマルチブレンドなグルメコーヒーです。

やや深めの焙煎によるエスプレッソタイプの「ベネツェアンブレンド」でウォータードリップした水出しコーヒー。コーヒーにはいろいろな抽出法があり、そのなかでも「水出し」と呼ばれる方法はかなり特殊な部類に入り、 文字通り常温の水で抽出します。出来上がったコーヒーの香りと味わいは、他の淹れ方では決して表現できないものです。

ブラジレイロでは、自家焙煎したコーヒー豆を店内で販売しており、自宅でブラジレイロのコーヒーの味を楽しむことが出来ます。コーヒー豆が入った袋には、ブラジレイロで使っている、コーヒーを飲む女性のイラストが入っていてとってもお洒落です。そういえば、ブラジル女性のことをブラジレイラ、男性のことをブラジレイロといいます。

ブラジレイロの一番人気で自慢の手造り洋食の中のひとつ、ラグビーボール型が特長の「ミンチカツレツ」です。その形のインパクトさが人気の秘訣ですが、このような形にすることで、真ん中はふっくらジューシーで、先端は香ばしくサックリに仕上がる、という美味しさの秘密があります。食べるほどに上品な味が広がる本格洋食の逸品です。

ブラジレイロは老舗のコーヒー専門の純喫茶でありながら、洋食も美味しいグルメレストランといってもいいでしょう。それは元々中洲那珂川湖畔にお店があったころの洋食レストランの伝統を引き継いでいるからです。ここのオムライスを食べると、その実感が沸いて来ます。これぞまさに洋食レストランで食べるオムライスの味そのものです。

ブラジレイロの人気洋食のひとつ、オムライスを紹介する動画です。併せて店内の様子もよく分かります。子供にとって、オムライスは大好きなメニューでもあり、一番のご馳走でもあります。その子供の頃の記憶を呼び起こしてくれるオムライスは、大人になっても、何となく懐かしさを覚える味がします。

ブラジレイロ人気グルメのひとつ、ハンブルグステーキをトマトとバジルで煮込んだアレンジメニューです。通常のハンブルグステーキはオリジナルのデミグラソースに和がらしをつけて食べますが、こちらは、トマトとバジルのイタリアン風ハンバーグです。ランチとしてのアレンジメニューなので、もし食べられたらラッキーです。

ハッシュドビーフも、洋食レストランが好きなグルメ愛好家にとっては、ぜひとも食べたいメニューのひとつです。ブラジレイロのハッシュドビーフは、やわらい牛肉とざっくりと大切りされたニンジン、タマネギなどがデミグラソースとトマトペーストに混ざり合ったおすすめの逸品で、洋食にうるさいA級グルメ愛好家も納得する味です。

ブラジレイロで午前の陽光を浴びながら、ゆっくりと食べるモーニングセットもまた格別です。10時から11時の稀少な1時間の間だけです。ト－ストとコーヒーのセットが基本。トーストは、ハンバーガーのバンズ型で炙られていてサクッとした食感です。その基本セットに、サラダ、フルーツ、スクランブルエッグなどがプラスして選べます。

サンドイッチは、トマトとチーズのホットサンドがおすすめ。おそらく食パン2枚分はあるかと思われる量のホットサンドはとろけるチーズとトマトの甘みが口の中で広がる絶品グルメ。食べきれなかったら、店員さんに頼めば包んでくれます。他にも数種類のサンドイッチがあり、どれもボリューム、味ともに満足できるおすすめメニューです。

ブラジレイロのスイーツは、冷えたシルバーの器に、チョコアイスをベースにし、バナナとオレンジ、キウイにイチジクとたっぷりのフルーツを添えたり、チョコシロップで飾ったりした女性に人気のメニューです。コーヒーと併せて食べると、友達、仲間とのおしゃべりも弾みます。スイーツの甘さとコーヒーの渋い苦さが絶妙の美味しさです。

現在の代表は二代目中村好忠さん。福岡市喫茶業組合の理事長も務める方で、2016年から始まった、福岡博多のコーヒー文化を世界に発信するイベント「福岡コーヒーフェスティバル」に関わるなど精力的に活動をされてます。その福岡コーヒーフェスティバル2017は、10月8日と9日の2日間、JR博多シティ9階JR九州ホールで開催されます。

月に一度、カフェブラジレイロを会場に様々な分野の専門家を呼んで、サイエンスから文化、社会、そしてグルメに至るまで、非日常的で面白いテーマを語り合う場、それがブラジレイロが主催する「カフェなんしようと?」です。なんしようと?とは、博多弁で、何をしてるのですか、あるいは、何やってんの?という意味です。

福岡JR博多駅から福岡市営地下鉄箱崎線に乗り、2つ目の呉服町駅を降ります。1番出口を右方向へ出て最初の角を左へ、真直ぐ歩くと最初の交差点の左前方角にあります。地下鉄呉服町駅からは徒歩1分の距離です。最初の角を曲がった時点で、その先の方向にブラジレイロの薄水色の、写真で見る方向と同じ外観が目に入るのですぐに分かります。

近年は、大手喫茶チェーン店の進出などで、何処でも一律の味のコーヒーが人気を博しています。しかし一方で本格的なコーヒーの味が楽しめる純喫茶は徐々に減ってきつつあります。そんな中、創業83年という最古の喫茶店ブラジレイロが、今だに人気店としてあるのは、どこか懐かしい純喫茶の雰囲気を残しているからなのかも知れません。