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日光の「大猷院」見どころガイド!
日光の人気観光スポットと言えば、修学旅行でもおなじみの日光東照宮がその一つ。今回は、日光東照宮とゆかりの深い大猷院をご紹介します。日光東照宮に程近い場所にありながらまだ大猷院を訪れたことがないという人のために、大猷院の見どころの数々を始め、拝観料やアクセス方法といった基本情報から気になる限定御朱印帳の情報までたっぷりお伝えします。
日光の大猷院とはどんな所?
日光にある大猷院は、徳川3代目将軍である徳川家光公の霊廟として1653年に建立されました。大猷院は4代目将軍の家綱公の命によって造営が決まり、家光公の重臣であった老中の酒井忠勝が指揮を執って絢爛な拝殿や墓所をわずか1年で完成にこぎつけたという、家光公への忠誠心が詰まった廟と言えます。なお「大猷院」とは、家光公の法名です。
世界遺産に登録された日光山輪王寺大猷院
大猷院は日光山輪王寺の境内にあります。日光山輪王寺は766年に勝道上人によって開山された霊場で、かの空海や円仁といった高僧が来山したほか、鎌倉時代には源頼朝公が寄進するなど古くから栄えてきた関東有数の寺院です。輪王寺は数多くの国宝や重要文化財を保有し、「日光の社寺」という名称で日光山全体が1999年に世界遺産に登録されています。
日光東照宮と大猷院の関係
大猷院がある日光山輪王寺の境内には日光東照宮もあります。日光東照宮と言えば徳川家康公を祀った神社として有名です。家康公は子孫を見守るために自分を神として祀るように遺言し、その地に日光が選ばれました。日光東照宮と同じ輪王寺の境内に大猷院が造営されたのもまた、家光公の遺言だったのだそうです。
本来の徳川家の墓所は江戸の増上寺および寛永寺とされていましたが、家康公の孫に当たる家光公は死後も家康公の側に仕える事を遺言としました。その遺言を受けて、家光公の法要は上野の寛永寺で執り行われ、その後日光東照宮の西側に造営された大猷院に埋葬されました。
家康公への敬意を表すため、大猷院霊廟は東照宮よりも小さな規模で、東照宮の方角を向いて建てられました。そして、大猷院全体の装飾は東照宮よりも華美にならず、それでいて家光公の功績を称えるべく、荘厳な美しさの装飾が施されました。東照宮は白と金色を基調とした華やかな建物、そして大猷院は黒と金色を基調とした落ち着いた雰囲気が魅力です。
大猷院の見どころ1:日光最大【二天門】
それでは、大猷院の見どころをご紹介していきましょう。東照宮前の常行道を過ぎると、大猷院の入口である仁王門が見えてきます。大迫力の阿形と吽形の2体の仁王像を見ながら仁王門をくぐると、6年に及ぶ改修を終えたばかりの二天門が建っています。二天門をくぐる前に、美しい装飾が施された手水舎で手を清めておきましょう。
この二天門は、日光山の境内にある門の中では最も大きなものとなります。屋根の下の荘厳な装飾は色鮮やかで目を奪われます。中央に掛かる「大猷院」と書かれた扁額は、第108代天皇の後水尾上皇の揮毫です。後水尾上皇の天皇在位中には徳川将軍家と確執があったものの、家光公が将軍に就任してからは良好な関係を築いていたのだそうです。
二天門に祀られている像は、帝釈天を守護する四天王のうちの2体。緑色の顔をしている方が持国天、赤い顔の方が広目天です。また、二天門の裏側へ回ると風神と雷神の像があります。
大猷院の見どころ2:意外な言葉の語源【夜叉門】
二天門の先にあるのは夜叉門です。古代インドから伝わる鬼のような姿の神様で、赤い体の「毘陀羅」、緑色の「阿跋摩羅」、白い体の「犍陀羅」、そして青い体の「烏摩勒伽」という4体の像が大猷院を守護しています。夜叉の周りには華やかな牡丹の彫刻があることから、夜叉門は牡丹門とも呼ばれています。
青い体の夜叉、烏摩勒伽の像が安置されている寺院は全国でも珍しいのだそうです。そして、烏摩勒伽の膝には小さなゾウの顔が。膝に子ゾウ、ということから、「膝小僧」という言葉の語源となったという説もあるのだとか。夜叉門の「膝子ゾウ」はSNSでもちょっとした話題になっています。
大猷院の見どころ3:天界からの景色【展望所】
夜叉門をくぐると、いよいよ大猷院の中心となる金閣殿が見えてきます。その金閣殿には展望所が設けられ、今まで上ってきた日光山の道のりを見下ろすことができます。立て札には「天界から人界庭園を眺めて御覧下さい」とあり、天に上った家光公が俗世を眺める様子が思い浮かびます。
展望所の下に見える灯籠は、全国の諸大名から寄進されたものです。その数は315基にも上り、当時の徳川幕府の威光がよく分かります。大名の家格により灯籠が異なり、家格の低い大名は二天門から先に進むことができず、代わりに石灯籠を寄進したのだそうです。また、家格の高い大名や徳川家は青銅の灯籠を寄進しました。それぞれの灯籠には寄進者の名前が彫られています。
大猷院の見どころ4:黄金建築【金閣殿】
大猷院の見どころの最たるものと言えば、金閣殿と呼ばれる建物です。前方は拝殿、奥は本殿、そしてその2つを繋ぐ中間部分は相の間となっている権現造の建物で、随所に金彩が施されています。京都の金閣寺、平泉の中尊寺金色堂と並ぶ有名な黄金建築の大猷院金閣殿は、国宝に指定されています。時間を忘れて眺めていたくなる別世界の美しさです。
大猷院金閣殿は、建物の姿は徳川家康公が祀られている日光東照宮によく似ているものの、贅沢に金彩を施しているものの派手さはなく、自らの威光を見せつけるのではない謙譲の美徳を表現しているかのような重厚さです。また、使われている金は東照宮の金よりも上質なもので、時代と共に金の採掘や加工の技術が進歩してきたことが分かります。
大猷院の見どころ5:有名画家による【拝殿の画】
大猷院金閣殿は中に入ることができます。手前の拝殿に足を踏み入れると、室内はやはり金色に囲まれていて厳かな雰囲気です。この拝殿は法要に使われる部屋となっていて、広さは46畳です。室内の調度品は家光公ゆかりの人々から贈られた献上品です。拝殿の壁一面に描かれた絵は、狩野探幽と永真の兄弟による「唐獅子図」です。
狩野探幽は徳川家康公の時代から江戸幕府の御用絵師となり、江戸城や京都の二条城、大徳寺といった重要な城や寺院の障壁画を手掛け、数多くの傑作を残しました。なかでも、名古屋城の「雪中梅竹鳥図」や、サントリー美術館所蔵の「桐鳳凰図」は有名な作品です。また、徳川家康公の生涯を描いた「東照宮縁起絵巻」は日光東照宮宝物館で観覧できます。
天井を見上げると、龍の絵がタイル状に天井一面に貼られています。その数は140枚に及び、一つ一つの龍の表情が異なるので見応えたっぷりです。なお、龍の絵と言えば大猷院仁王門の横にある手水舎の天井にも描かれています。こちらの絵は劣化が進んで見づらいですが、狩野永真の作。水面に龍が映る様子から「水鏡の龍」と呼ばれています。
大猷院の見どころ6:家光公の面影を偲ぶ【家光公の鎧】
大猷院金閣殿には、家光公ゆかりの品が納められています。その一つが鎧です。鎧は家康公から贈られたものと言われ、重さは52kgもあるそうです。また、相の間越しに見られる本殿には家光公の位牌が置かれ、遠くから手を合わせたくなります。なお鎧は期間限定の公開となっており、観覧できない時もあります。
大猷院は家光公の遺言により家康公の側に仕えるという思いを込めて建てられました。そのため、本来は本尊が南を向くとされている寺院の定式に習わず、大猷院の本殿は東照宮の方角である東北を向いています。これを調整するため、本殿に設けられた別の部屋には釈迦三尊像の絵が南を向けて掛けられているそうです。
大猷院の見どころ7:家光公の墓所【皇嘉門】
大猷院金閣殿の隣にある門は「皇嘉門」と呼ばれています。この門の向こうは家光公の墓所がある奥ノ院で、普段は扉は閉まっていて入ることはできませんが、大猷院建立350年を記念して一度だけ皇嘉門が開かれて公開されたことがありました。奥ノ院には宝塔があり、その下およそ3mの深さに家光公が眠っていると言われています。
皇嘉門は中国の明の建築様式を取り入れた竜宮造りで、竜宮門とも呼ばれています。皇嘉門という名前は、平安京の外郭十二門の一つから取ったもので、正面にある朱雀門の向かって左側にある門です。ちなみに、日光東照宮陽名門も平安京の外郭十二門にちなんだもので、内裏に最も近い東側の門です。
皇嘉門の彫刻は極彩色と金色に彩られて、まさに天上の世界の入口であるかのような雰囲気です。大猷院には全部で6つの門がありますが、どれも意匠が異なりくぐる度に世界観が変わっていくのも魅力の一つです。
日光山輪王寺の限定御朱印帳がかわいい!
日光山輪王寺では、全部で8種類の御朱印を頂くことができます。「黒門」「護摩堂」「三仏堂」「四本龍寺」「鳴龍」「常行堂」「大猷院」「金閣殿」という8種類の御朱印です。大猷院の拝観受付所では、「大猷院」と「金閣殿」という2種類の御朱印を受けられます。御朱印を受けるには300円を納めます。
大猷院の限定御朱印帳は、徳川家の家紋があしらわれた青地に金色の刺繍が施されています。大猷院の御朱印帳を持っていると、表紙の裏側に金色の文字の御朱印を頂けるという限定特典があります。これから御朱印帳を購入するという人は限定特典の金文字御朱印を受けてみてはいかがでしょうか。
また、2016年には、日光山開山1250年という節目を記念して限定のコラボ御朱印帳が登場しました。日本橋の老舗和紙店「榛原」を使い、デザインは篠原ともえさんが担当したという輪王寺限定のコラボ御朱印帳は、かわいいクジャクのイラストが評判となっています。限定御朱印帳は3000円で頒布されています。
日光山輪王寺大猷院の拝観料と拝観時間
大猷院を拝観するには拝観料がかかります。日光山輪王寺大猷院の拝観料は、大人の拝観料が550円、小中学生の拝観料は250円です。また、輪王寺三仏堂と大猷院の2ヶ所を拝観できる輪王寺券の場合、大人の拝観料が900円、小中学生の拝観料は400円です。
拝観時間は、4月から10月までは8時から17時まで。11月から3月までの期間は8時から16時までとなっています。拝観受付は閉門の30分前となっているので、御朱印巡りをする人は注意しましょう。拝観時間は日光山輪王寺内の寺社はすべて同じです。
なお、2019年3月31日までの期間限定で、常行堂と大猷院の特別参拝が行われています。これは、常行堂の本尊である阿弥陀如来の修理完成を記念したイベントで、常行堂でお坊さんのお話と回向を受けた後に大猷院を自由に拝観するというものです。また、お土産には限定のお守りが進呈されます。拝観料は大人1250円、小中学生の拝観料は950円で事前申込制です。
日光山輪王寺大猷院へのアクセス
日光山輪王寺は世界遺産の有名観光地なだけに、アクセスは便利になっています。電車でのアクセスは、JR日光駅または東武日光駅が最寄り駅となります。日光駅から輪王寺までの距離は2kmあまりで徒歩でのアクセスも可能ですが、東武バスの「世界遺産めぐり」号を利用してアクセスするのがおすすめです。
世界遺産めぐり号は、JR日光駅を出発し、東武日光駅を経由して輪王寺へアクセスします。輪王寺の山内は、勝道上人像前、表参道、西参道を経て大猷院二荒山神社前へと続きます。大猷院へ直接アクセスしたい場合は、大猷院二荒山神社前バス停で下車するのが便利です。世界遺産めぐり号は日光の様々な観光地へアクセスでき、お得なフリーパス券もあります。
車で大猷院へアクセスする場合は、日光宇都宮道路の日光ICから国道119号の日本ロマンチック街道を直進します。輪王寺専用の駐車場は、輪王寺三仏堂の手前と奥の2ヶ所で、普通車の駐車料金は500円です。この他、国道120号線沿いにある日光市営の西参道第一駐車場は大猷院へ近くアクセスに便利です。
住所 | 栃木県日光市山内2300 |
電話番号 | 0288-54-0531 |
日光を訪れたら世界遺産「大猷院」へ!
世界遺産「日光山輪王寺」にある大猷院をご紹介しました。家光公を偲ぶたくさんの人々の思いが込められた大猷院は、規模は小さいものの見どころの尽きないスポットです。彫刻や装飾、そして景観の美しさに、時間を忘れて酔いしれたくなる大猷院へ、東照宮とあわせて出掛けてみてはいかがでしょうか。
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