北海道の世界遺産「知床」を観光しよう!
北海道最東部にある世界遺産の知床は、斜里町と羅臼町にまたがる半島で、7万1100ヘクタールの規模を誇る半島と沿岸の海が世界遺産(自然遺産)に登録されています。ここではそんな知床について、世界遺産や自然の魅力、おすすめの観光スポットなどの情報を織り交ぜながら紹介します。
北海道の世界遺産「知床」とは
北海道北東端の世界遺産・知床半島は、オホーツク海に浮かぶ無数の流氷で知られていますが、山の方方面に向かって知床横断道路と呼ばれる国道334号線を斜里町から羅臼町方面に走れば、その途中に眺めの良い知床峠があります。魅力的な峠の展望台からは、雄大な羅臼町や、天気の良い日にははるか遠方に国後島を望むことができます。
世界遺産の知床では、7月でも残雪を見ることがあり、秋の紅葉は例年10月初旬から中旬にかけて見頃を迎えます。羅臼岳の麓を赤や黄色の葉で染めるハウディワカエデやナナカマドの紅葉は一見の価値があります。
日本で3番目の世界自然遺産
北海道の世界遺産・知床は今から15年ほど前の2005年7月に日本で3番目の世界遺産(自然遺産)に登録されています。世界遺産(自然遺産)に登録されている地域は、知床の他には、屋久島、白神山地、小笠原だけで、4つの自然遺産の中で、知床は最も広い地域となっています。
この壮大なスケールの知床半島には、名高い滝や流氷の他にも、知床5湖や知床峠など数々の魅力的な観光スポットに溢れています。
北海道の世界遺産「知床」の位置・場所
北海道の世界遺産・知床半島は北海道北東部に突き出しており、斜里郡斜里町と目梨郡羅臼町にまたがる7万1100ヘクタールもの広大な規模を誇るこの地域及び、魅力溢れる沿岸の海が世界遺産に登録されています。
世界遺産・知床半島はオホーツク海の南端に位置し、この場所からは、凍るような海と、はるか遠方に北方領土の1つである国後島を見晴るかすこともできます。
アイヌ語で「地の果て」という意味の知床
世界遺産・の知床は北海道の最東端にある半島で、日本の最果てでもあります。この知床に住む先住民・アイヌの人々は、アイヌ語で「シリエトク(大地のゆきづまり・地の涯)」という言葉を古くから使っていましたが、知床という言葉は、この「シリエトク」から由来しています。
アイヌ民族にとっても一般の日本人にとっても、この地は正に「地の涯」という言葉が似合う地域と言えます。
知床が北海道初の世界遺産(自然遺産)に登録された理由
世界遺産・知床は北海道で初めて世界遺産(自然遺産)に登録された地域です。では何故知床が世界遺産に登録されたのでしょうか。その理由を探ると、知床には海から陸に繋がる恵まれた生態系があることがわかります。また生態系を守るため、この土地の人々がたゆまぬ努力をしながら、次世代に受け渡していく重要な役割を担っていることがわかります。
海から陸へとつながる豊かな生態系
北海道の世界遺産である知床ですが、知床が世界遺産に登録されたのは、知床の海から陸へとつながる豊かな生態系に大きな理由があります。知床半島の海は、冬は一面流氷に覆われます。その流氷が運ぶ栄養分を食べてプランクトンが育ち、オオワシやアザラシ、サケなどがそのプランクトンの恩恵を被ります。
また、海の栄養で育ったサケは川を上り、ヒグマなど、山に生きる動物のの餌になったり、死んだ後は土に返り豊かな森となります。このような知床特有の、海と陸の食物連鎖による魅力的な生態系が評価され、世界遺産に登録されるまでになっています。
希少な動植物の生息地とそれを守る人々の活動
北海道の世界遺産となったもう1つの理由は、魅力的で希少な動植物が多数生息していることです。北海道内で140羽しかいないと言われる絶滅危惧種のシマフクロウや、ヒグマ、エゾシカ、エゾリス、アザラシ、トドなど、多くの哺乳類が暮らす他、絶滅危惧種の高山植物・シレトコスミレなども可愛らしい花を咲かせます。
北海道の世界遺産・知床の大いなる自然を次の世代に受け渡していくためには、それを守る人々の存在を忘れてはなりません。知床の斜里町では、40年ほど前から「しれとこ100平方メートル運動」が行われてきました。
この運動は、その当時、やみくもに開発する業者たちがいて、その危機から知床を守るため、開拓跡地を日本全土からの寄付によって取得し、昔の森を復元する事業を行ってきた運動のことを言います。この運動は、100平米の土地を1口8000円で取得したことに因んで「しれとこ100平方メートル運動」と名付けられています。
このような長年に渡る人々の地道な活動も、世界遺産登録における評価の対象となっています。現在も様々な科学的調査に基づいた保護管理が行われており、その活動も高く評価されています。
北海道の世界遺産「知床」のおすすめ観光スポット:知床五湖
世界遺産・知床のハイライト的存在が知床五湖です。知床5湖は原生林に囲まれた幻想的な5つの湖で、そこには5つの湖を周遊できる遊歩道があります。知床連山や周囲の林を湖面に湛えながら静かな佇まいを見せる神秘的な知床五湖の周りでは、多くの動植物を鑑賞することができます。
世界遺産・知床五湖をすべて巡ると1時間ほどかかりますが、代表的な第1湖のみを巡る場合は30分ほどで廻ることができます。遊歩道以外にも小高い丘の上に建つ展望台から、第1湖のさまや知床連山の雄大な景色を見渡すことができます。
知床五湖の歩き方①:高架木道(無料)
世界遺産・知床の中で最も有名な知床五湖には高架木道の架かるスポットがあります。高架木道は第一湖に設けられており、一湖湖畔まで行くことができます。この無料の木道からは、湖に映る美しい知床連山のさまや、流氷を湛えたオホーツク海などを堪能することができます。
世界遺産・知床五湖の高架木道の散策は、第一湖の最終展望台から800メートルほどの高架木道を往復する折り返しコースとなります。このコースから地上遊歩道へ行くことはできません。
高架木道は段差が無く、傾斜が緩やかに設計されているため、車椅子でも通行することができます。また、知床五湖では、ヒグマが出没した時に安全に追い払うことができるよう、順路が厳密に設定されています。
世界遺産・知床五湖へは定期バスが1日に4本出ている他、知床自然センターからシャトルバスが20分毎に運行しています。利用時間は午前7時30分から午後6時30分までで、利用できる期間は4月下旬から11月下旬までとなっています。
万全のヒグマ対策で安心して散策できる
長さ約7キロメートル、幅約2キロメートルの世界遺産・知床半島には500頭くらいのヒグマが生息していると言われています。当然ながら知床五湖付近にも多くのヒグマがいます。
世界遺産・知床五湖では、このヒグマに対して万全の対策が施されています。ヒグマが出没した時にはすぐ追い払うことができるよう、順路が厳密に設定されている他、電気柵が設置されており、誘因物などは除去されています。また、ヒグマの出没時は地上遊歩道は閉鎖されます。万一ヒグマが現われてもエザなどを与えないといった心がけが必要となります。
知床五湖の歩き方②:地上遊歩道(有料)
世界遺産・知床五湖の有料の地上遊歩道には2つのルートがあります。大ループは全長3キロメートルで第5湖から第2湖までを巡るルート、小ループは1.6キロメートルで第2湖と第1湖を巡るルートとなっており、どちらも反時計廻りの一方通行となります。
地上遊歩道は、世界遺産・知床五湖の自然を目線の高さで観察できます。たっぷり時間をかけて廻りたい人にはおすすめのルートで、フィールドハウスから第2湖、第1湖を巡り、その後に高架木道を通ってフィールドハウスに戻る約1.6キロの小ループと、第5湖から第1湖まですべて巡る3キロの大ループがあります。
高架木道から地上遊歩道に入ることはできませんが、地上遊歩道からは小ループ、大ループともに高架木道に接続できます。また、地上遊歩道にはトイレや売店が無いため、注意が必要です。
レクチャーを受けた人のみ散策ができる
世界遺産・知床五湖が最も美しい5月から6月の時期には多くのヒグマが出没します。その危険を回避するため、知床五湖フィールドハウスでのレクチャーを受けた後、プロガイドと一緒に湖を歩くツアーに参加する形を取る必要があります。
その場合は有料となり、大ループを巡るルートでは1人につき5000円ほどかかります。ツアーの時間は約3時間ほどかかりますが、知識の豊富なプロガイドと巡れば、更に充実した五湖巡りが楽しめます。知床五湖フィールドハウスへ問い合わせる場合は以下の通りです。
住所 | 北海道斜里郡斜里町遠音別村字岩宇別 |
電話番号 | 0152-24-3323 |
北海道の世界遺産「知床」のおすすめ観光スポット:滝の名所
北海道の世界遺産・知床にはユニークな滝がいくつもあります。その中でも観光スポットとして知られるおすすめの滝が、知床八景にも選ばれている3つの滝です。
数段ある滝の滝壺が露天風呂になっている「カムイワッカ湯の滝」、断崖絶壁の割れ目から流れ落ちる「フレペの滝」、滝の上の展望台からオホーツクの素晴らしい流氷が眺められる「オシンコシンの滝」が観光スポットとして最も有名な3つの滝です。
オホーツク海を臨む秘湯「カムイワッカ湯の滝」
北海道の世界遺産・知床の人気観光スポット・カムイワッカ湯の滝は、北海道・知床の斜里町にあります。この魅力的なカムイワッカ湯の滝は、活火山である知床硫黄山の中腹から温泉が湧き出ています。
カムイワッカ湯の滝は、沢伝いに30分ほど登ると、数段ある滝の滝壺が露天風呂となっています。この滝自体が流れる温泉となっており、自然との一体感の中でオホーツク海を眺めながら浸かる滝壺温泉は、最高の魅力溢れるおすすめの秘湯と言えます。
”乙女の涙”の愛称で親しまれている「フレペの滝」
北海道の世界遺産・知床にあるフレペの滝には、知床自然センターから遊歩道を歩くと、20分ほどでアクセスできます。この魅力的な滝には川が無く、知床連山に降った雪や雨が地下に浸み渡り、100メートルほどの断崖絶壁の割れ目から流れ落ちます。
このおすすめの滝の流れるさまが女性の涙に似ていることから、地元の人はこの滝を親しみを込めて「乙女の涙」と呼んでいます。フレペの滝は、積雪期にはスキーやスノシューなどによりトレッキングができます。
また、最近、この滝の近くに「男の涙」と呼ばれる滝も紹介されるようになりましたが、陸伝いにアクセスできないため、観光船などから鑑賞することをおすすめします。
滝の上の展望台からは流氷の絶景「オシンコシンの滝」
北海道の世界遺産・知床にあるオシンコシンの滝は、「日本の滝100選」にも選出されている魅力的な滝で、途中から2つに分かれて流れることから「双美の滝」とも呼ばれている美しい滝です。滝の中ほどまでは階段で上ることができ、間近で滝の迫力を感じ取ることができます。
滝の上にあるおすすめの展望台からは、オホーツクの海や知床連山を眺望することができます。特に流氷の時期には、一面が白い流氷に覆われた感動的な海の姿を望むことができるでしょう。
北海道の世界遺産「知床」への交通アクセス
北海道の世界遺産・知床に観光で訪れる場合のアクセス方法は、電車やバスを使う方法、飛行機を利用する方法、レンタカーなどの車を使う方法等、種々のアクセス方法があります。
いずれの方法でアクセスするにせよ、北海道の最東端の知床は札幌からはかなり離れた場所にあるため、相当な時間がかかることを覚悟する必要があります。
飛行機を利用の場合
北海道の世界遺産・知床へ飛行機でアクセスする場合は、羽田空港や関西空港など、日本各地の空港から新千歳空港まで飛行機で飛び、新千歳空港からは別の飛行機に乗り換えて女満別空港や釧路空港まで飛びます。それらの空港からウトロへ向かいますが、遠方からアクセスする場合は最も便利な方法となります。
札幌市内から新千歳空港までは、JRの快速エアポートを使用すれば40分ほどでアクセスできます。新千歳空港から世界遺産・知床に最も近い女満別空港まではANAやJALなど、1日6往復の定期便があり、50分ほどのフライト時間で、運賃は片道24000円前後となります。
電車・バスを利用の場合
札幌駅からJRとバスを利用して世界遺産・知床にアクセスする場合は、特急で網走駅か釧路駅に行き、JR釧路線・知床斜里駅行きの列車に乗り換える方法が一般的です。
網走駅で乗り換える場合は乗車時間が6時間強、釧路駅で乗り換える場合は6時間半程度かかります。値段はともに10000円前後ですが、乗車時間も料金も網走駅乗り換えの方が若干早くてリーズナブルです。
知床斜里駅から知床の玄関口・ウトロまでは斜里バスが運行する路線バスに乗車すれば、50分ほどでアクセスできます。札幌から知床ウトロまでバスを乗り継ぐと8時間30分ほどかかるため、札幌を朝出発しても夕方になってしまいます。その場合には、斜里駅発ウトロ行きバスの最終便が18時過ぎで終わってしまうため、注意が必要です。
次に、都市間高速バスのイーグルライナーを利用した北海道の世界遺産・知床へのアクセス方法を紹介します。この方法を使うと、札幌市中心部にある札幌ターミナルからウトロ温泉バスターミナルまで、乗り継ぎ無しで直接アクセスすることができ、7時間ほどで到着します。運賃は8000円強となります。
ただしイーグルライナーは1日に1往復しか運転していません。札幌からウトロへは23時過ぎに出発し、翌日の早朝6時半ごろに到着します。ウトロから札幌へは9時20分に出発し、16時過ぎに札幌駅に到着します。
イーグルライナー以外のバスとしては、札幌・網走間を走行する都市間バス「ドリーミントオホーツク号」を利用し、網走からバスやJRでアクセスする方法があります。この方法だと、夜行便も含め、1日9便運航しているため便利です。
車を利用の場合
レンタカーなどで札幌方面から世界遺産・知床へアクセスする場合は、道央道と旭川自動車道を通り、遠軽瀬戸瀬インターで下車後、一般道で知床ウトロへアクセスするルートが最短コースとなります。その場合の走行距離は400キロ前後で、7時間ほどかかります。
ただ、札幌から世界遺産・知床までは距離が長い上に信号が無い道路や変化の少ない道路も多いため、1人だけのドライブは避けた方が無難と言えます。
北海道の世界遺産「知床」は魅力がいっぱいのおすすめ観光地!
世界遺産の知床は、斜里町と羅臼町にまたがる北海道の北西端に伸びる半島で、7万1100ヘクタールの規模に広がる半島と沿岸の海が世界遺産(自然遺産)に登録されています。ここではそんな北海道の知床について、世界遺産や魅力的な自然、おすすめの観光などの情報を取り入れながら説明してみました。
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