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アクアアルタの時期はいつ?水に沈むベネチアを長靴で観光!

アクアアルタの時期はいつ?水に沈むベネチアを長靴で観光!
投稿日: 2017年12月12日最終更新日: 2020年10月8日

イタリア屈指の観光都市であるベネチアの冬の風物詩ともいわれているアクアアルタ。満潮により街の一部が水に浸かるその現象は、観光客にとっては美しい水鏡の絶景を見られる貴重なチャンスとも。アクアアルタの時期や観光のポイントについて紹介します。

ベネチア観光には長靴が必要?見出し

Photo by akipponn

イタリアのベネチアは「水の都」と呼ばれる世界でも人気の観光都市ですが、しばしば高潮による洪水に見舞われ、街が水没してしまうことがあります。最近ではこの「アクアアルタ」と呼ばれるベネチアの洪水が、災害という見方が強かったひと昔前に比べると「ベネチアらしい光景」という、ある種の風物詩になっているという声もきかれます。

ベネチアについて見出し

Photo by akipponn

ベネチアはイタリアの北東部に位置する人口約26万人の都市です。ベネチア湾にできたラグーンと呼ばれる潟(かた)の上に築かれた都市であり、1987年に世界遺産に登録された人気の観光地として知られています。150を超える大小の運河が街全体に広がり、一本のオールだけで漕ぐ小舟「ゴンドラ」は、ベネチアの観光名物にもなっています。

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アドリア海の女王と称される水の都ベネチアは、イタリアでも人気の観光エリアです。ベネチア市街は車の通行が禁止されているため、観光スポットへの交通手段はゴンドラや水上バスなどの船か徒歩になります。イタリア・ベネチアの観光スポットとモデルコースついてご紹介します。

アクアアルタとは見出し

アクアアルタ(acqua alta)は元々はイタリア語で満潮のことをさしますが、ベネト州ではアドリア海北部で定期的に発生する異常潮位現象のことを意味するようです。

イタリア語でアクアは「水」、アルタは「高い」という意味ですが、その名の通り高潮の影響でベネチアの街が水没してしまう現象のことで、ベネチアの洪水とも呼ばれています。

ベネチアでは温暖化による海水面の上昇だけでなく、建物の地盤沈下も洪水を引き起こす要因となっています。また、細長い形をしたアドリア海では、高潮や津波などによって発生する以外の潮位の変化である副振動と呼ばれる激しい海面の揺れが発生します。満潮とこの副振動が重なる時期に、いつもより海面が上昇して洪水が起こりやすいそうです。

ベネチアの特徴的な美しさの源でもあるラグーンですが、この特徴的な形がさらに影響してアクアアルタという洪水を招いているとのこと。昔は数年に1度という頻度だったのですが、最近では1年に60回以上も発生しているそうです。全世界的な異常気象も進んでいる昨今、2050年にはこの高潮は1年に435回も発生すると予測されています。

ベネチアで過去最悪の高潮を記録したのは1966年で、この大洪水はベネチアに大きな被害をもたらしました。

歴史的な黄金の葡萄ドローナはかつて白ワインとして普及していたベネチア一帯の土着品種でしたが、このアクアアルタで壊滅状態になったそうです。その後マッゾルボ島にてこの歴史的品種の復活を目指し、数年前に栽培に成功しています。

アクアアルタの時期はいつ?見出し

アクアアルタはシロッコと呼ばれる季節風の影響で、秋から春の季節に見られる現象です。海面の上昇で既に高くなった水位が、季節によっていつもより強い風が吹くことで更に高くなり、ベネチアの街の石畳の隙間などから水が滲みてきます。サン・マルコ広場など海抜が低いところから浸水が始まり、満潮が重なると水没状態になるということです。

アクアアルタが発生するのは秋から春の季節ということですが、具体的には10月から3月頃に発生しているようです。

初めてベネチアを旅するという人は、この時期は避けることをおすすめしますが、何度目かの訪問ということなら、アクアアルタの季節にあえて訪れてみるのも興味深いものかも知れません。未知の経験が味わえることでしょう。

アクアアルタの対策は?見出し

Photo by12019

アクアアルタが発生する時期にベネチアを訪れる可能性がある人は、長靴などを持参することをおすすめします。最近は折りたたみの小さくなる長靴もあるようなので、旅行用に一つ持っていても良いかもしれません。現地ではアクアアルタが始まると、ビニールの靴カバーを売る人がどこからともなく出ていますので、それを購入するのも一つです。

ベネチアの街では高潮になり水没の可能性がある場合、サイレンを鳴らして知らせてくれます。そして予測に合わせて通路となる橋げたが設置されます。

またベネチア市のホームページでは、高潮情報やアクアアルタの予報がされています。サン・マルコ広場やリアルト橋周辺の状況を、オンタイムで見ることができるWEBカメラもあります。

アクアアルタの時期の観光注意点見出し

先述のとおり高潮の予報によりサイレンを鳴らして街に知らせてくれますが、サイレンは水の高さによって4段階あります。事前情報なく訪れてサイレンの音に何事が起こったのかと驚いたという人もいるようです。サイレンが鳴ると家に戻る人もいますが、大抵の現地の人はアクアアルタには慣れているので、長靴をはいて普通に過ごしています。

ひどい洪水でない限りは普通に観光することもできますが、高台の通路は主要な道のみの設置になるので、細かい路地などでは濡れることを覚悟した方が良いかもしれません。

ただでさえわかりずらい路地が水没すると迷うこともあるので、満潮の時間を予めチェックしてお出かけの予定を立てれば、そこまでひどい状況には合わないはずです。

また、運河の水なのできれいではないということも心に留めておいた方が良いかもしれません。アクアアルタに大はしゃぎして、泳いでみたり、水着になってみたりという観光客も中にはいるようですが、現地の人に言わせると水がきれいでないため病気になる可能性さえあるということ。無駄に多く触れないようにした方が安心かもしれません。

幻想的に見えるアクアアルタも見出し

アクアアルタの写真をみたことがある人は、水鏡の絶景だと思ったかもしれません。実際にただでさえ美しい歴史的建造物のあるベネチアの街が、水面にも映った姿は幻想的でなんとも言えない魅力さえあります。水没したベネチアの趣ある姿を自分の目で見たいという人も多く、あえてアクアアルタの季節を選んべ訪れる人もいるようです。

アクアアルタの起こる季節は観光的にはオフシーズンの時期でもあり、街は比較的観光客が少ないので、あえてこの時期を選ぶ人もいます。

また、ベネチアのカーニバルは2月末から3月の始めにかけて行われるため、アクアアルタが目的ではなくてもこの季節の風物詩もあります。これらの理由から、ベネチア観光は冬がおすすめという人もいます。

アクアアルタから守るプロジェクト見出し

Photo byAlois_Wonaschuetz

幻想的にも見えるアクアアルタですが、現地の人にとってはやはりありがたい話ではありません。お店に支障をきたしていることも事実であり、実際にベネチアを去る住民も増えているようです。そして何よりも、歴史的建造物が水没してしまうことは危機的な状況。そこでイタリアはこの危機を回避するためのプロジェクトを立ち上げました。

およそ7000億円をかけたこのプロジェクトは旧約聖書の「モーゼの十戒」にちなみ「モーゼプロジェクト」と名付けられ、1980年代末からスタートしました。

アドリア海とラグーンに入る海流の入り口となる海の中に防潮ゲートを設置するというもので、固定式の水門だと海流を止めて生態系を壊してしまうため、可動式の水門にしているそうです。

Photo byjpeter2

巨大な可動式水門で洪水から守るモーゼプロジェクトは、イタリアの威厳をかけた壮大なプロジェクトでしたが、堤防の金属の一部にサビ被害が起こり中断してメンテナンスをしたりなど、完成はどんどん伸びているという問題もあるようです。現在のところは2018年稼働予定とのこと。これでアクアアルタが改善されることを願います。

日本の技術がアクアアルタを救う?見出し

Photo byNietjuh

実はモーゼプロジェクトには、日本の技術が大きく貢献しています。中国塗料という日本企業が開発したバイオクリンという塗料は、海洋生物がつくのを防いでくれる画期的なもの。海中にある水門には貝などがついて、稼動部の動きに支障をきたします。バイオクリンはそれを防いでくれる塗料である上、環境に配慮した成分を使用しているそうです。

可動式の板は5年に一度は引き上げて塗料を塗り直す必要がありますが、固定されていて引き上げられない部分もあります。

中国塗料が開発した他の特殊な塗料で、ダイバーが水中に潜ったまま塗ることができることを可能としました。こういった技術がなければプロジェクトは成功に至らなかったことを思えば、日本の技術力が貢献はすごいことです。

アクアアルタのベネチアも魅力的!見出し

Photo byFree-Photos

アクアアルタはベネチアに住む人にはもはや珍しくない現象であり、ありがたくもないことかもしれません。とはいえ、観光客にとっては水没するベネチアの街は幻想的に映り、魅力的なものにさえ感じられます。限られた季節に見られるアクアアルタは、長靴を履いてでも一度は見てみる価値があることでしょう。夜のアクアアルタもまた素敵です。

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投稿日: 2017年12月12日最終更新日: 2020年10月8日

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