この記事の目次
京都・源光庵で参拝しよう
京都市北区鷹峰(たかがみね)にある源光庵は曹洞宗のお寺です。特に紅葉の時期には、角窓の「迷いの窓」と丸窓の「悟りの窓」から眺める本堂前の庭園の絶景は評判に違わない美しさを映し出します。ここではそんな、源光庵について、アクセスや御朱印、二つの窓、紅葉時の撮影スポットなどの情報を交えて紹介します。
京都・源光庵へのアクセス
京都駅から電車とバスで源光庵にアクセスする場合は、市営地下鉄烏丸線・国際開館行きに15分ほど乗車し、北大路駅下車後、北大路バスターミナルから市バス北1系統・佛教大学・玄琢(げんたく)行きに約20分乗車し、鷹峯源光庵前で下車後、徒歩1分で目的地にアクセスできます。
バスのみのアクセスの場合は、京都駅前バスターミナルから市バス101系統または206系統・北大路バスターミナル行きか、205系統・九条車庫前行きに約40分から50分乗車し、千本北大路バス停で下車後、市バス6号系統・佛教大学・玄琢行きに10分ほど乗り、鷹峯源光庵前で下車すればすぐに目的地にアクセス可能です。
源光庵に大阪や名古屋方面から車でアクセスする場合は、名神高速道路から阪神高速8号京都線に入り、国道24号線、367号線などを経由して北上すれば目的地にアクセスできます。無料の駐車場には20台ほどの車が駐車できますが、紅葉シーズンは駐車禁止となっていますので注意が必要です。
京都・源光庵の営業時間と拝観料
源光庵は、基本的には年中無休ですが、土日祝日など、法要のある場合には一時的に拝観できない時間があります。営業時間は朝9時から夕方17時までで、拝観料は中学生以上の大人が400円、小学生以下の子供が200円となっており、11月の紅葉時は中学生以上の大人のみ500円となります。
京都・源光庵の歴史
源光庵は、元は1346年に臨済宗・大徳寺の徹翁国師が隠居所として開いた寺院で、その当時は復古堂と呼ばれていました。その後、1694年に卍山道白禅師が開山し曹洞宗に改修しました。本尊は釈迦如来です。本堂の天井板は伏見桃山城から移築したもので、1600年に、徳川家家臣の鳥居元忠等が西軍に敗れ自刃した時の跡がが血天井として残されています。
京都・源光庵の境内
源光庵の山門をくぐり境内に入ると、正面奥に本堂があり、右側に庫裡があります。境内参道には石畳が縦横に敷かれ、美しく整った庭が造られています。本堂からは書院へと庭園が続き、存在感のある燈籠が真ん中に立てられており、全体に静かで落ち着いた庭園です。
境内奥には「稚児の井」と呼ばれる井戸があります。徹翁が源光庵を開いたばかりの時期には近くに水が無くて困っていたところを、童子が現われて水の出る場所を教えてくれたという言い伝えから名付けられたもののようです。人が少ない西側の庭も、落ち葉による敷き紅葉の様が見事で撮影には絶好の場所です。
京都・源光庵の本堂
源光庵の本堂は1694年に建立された入母屋造、浅瓦葺の建物です。須弥壇の中央奥には本尊の釈迦如来坐像が祀られています。脇には、阿難尊者と迦葉尊者が鎮座しています。そして有名な「悟りの窓」と「迷いの窓」もこの本堂にあります。また、畳廊下の上には血天井とよばる天井を見ることができます。
京都・源光庵の本堂1:悟りの窓
源光庵の本堂には「悟りの窓」と呼ばれる丸窓と「迷いの窓」と呼ばれる角窓があります。悟りの窓の円は大宇宙の心を表わしており、ありのままの清らかな姿、偏見のない自然な姿、禅で言う悟りの境地を表現しています。そしてこの窓を通して見る庭園の紅葉は、見事という他に言い表せないほどの美しさを見せます。
京都・源光庵の本堂2:迷いの窓
源光庵本堂のもう一つの窓・迷いの窓は、人間が誕生し一生を終えるまで逃れることのできない過程、生老病死の四苦八苦を4つの角により表現しています。つまりは、人間の波乱に満ちた生涯を表しており、悟りの窓から見る庭園の景色とは一味違った趣のある紅葉の絶景が楽しめます。
京都・源光庵の本堂3:血天井
1600年に天下分け目と言われる関ヶ原の戦いが始まりましたが、その前哨戦とも言うべき戦いで、徳川家康の中心・鳥居元忠の守る伏見城は、石田光成を中心とした西軍の攻撃を受け、13日間の戦いの末、落城します。1800人余りの兵の内、生き残った380余名は一人残らず伏見城の中で自決しました。
伏見城で自決した360余名の屍は、2か月以上も放置されました。その後、その凄惨な廊下の床板は5つの寺院に分けられ、その一部が源光庵に奉納されました。源光庵は、その床板を天井に張り、死者の霊を供養しました。ところどころ血に染まった足跡がありますが、この足跡は源光庵にしか遺されていないそうです。
京都・源光庵の紅葉
源光庵の紅葉の見事さは広く知られているところですが、JRのキャンペーン「そうだ京都、行こう」で使われたポスターの風景がこの窓からの風景です。冬の雪景色や初夏の青紅葉なども含めた四季折々の美しい景色がこの2つの窓を通して見事に映し出され、人々を魅了します。
源光庵本堂の「悟りの窓」、「迷いの窓」からの紅葉の景色はインスタ映えがすると大変人気があり、絶好の撮影スポットとなっています。この窓の外は立ち入り禁止の場所となっているため、人が映り込むことがなく、安心して紅葉の美しさを撮影することができる場所となっています。
特に人気のあるスポットが丸窓の「悟りの窓」です。撮影する位置により丸窓の外の景色が微妙に変わるため、最も美しい写真が撮影できる場所を狙って何度も場所を変えて取り直す人たちがいます。ただ、紅葉のシーズンである11月中は、混雑が激しかったりマナーの悪さから、堂内の撮影が禁止されたことも過去にあったため、撮影には十分注意を要します。
京都・源光庵の御朱印
源光庵の御朱印は庫裡で拝受できます。この寺院の御朱印には霊芝観世音と力強い達筆で墨書されています。源光庵の本尊は釈迦如来ですが、それとは別に霊芝自然(れいしじねん)の観音像が祀られています。霊芝観世音というのは、1681年に卍山禅師が宇治田原の山中で思いがけず手に入れた霊芝自然の観音像を指します。
霊芝(れいし)は万年茸科のキノコで、古くから中国でも幸福をもたらすキノコとして珍重されてきたもののようです。日本でも縁起物としてあるいは霊験あらたかなキノコとして重宝されてきました。また、中央上側の御朱印の丸と角の図柄は、丸窓と角窓、2つの窓を表しているようです。御朱印は初穂料300円で拝受できます。
京都・源光庵付近にある光悦寺
光悦寺は源光庵から3分ほど歩いた場所にあります。光悦寺は京都市北区鷹峰にある日蓮宗の寺院で、1615年に江戸期の文化人・本阿弥光悦が徳川家康公から与えられたこの鷹峰に草庵を結び、法華題目堂を建てたのが始まりです。光悦はこの地に一族や工芸職人を呼び集め、様々な工芸を推進しました。そして彼の死後、この場所が光悦寺となりました。
京都・源光庵付近にある光悦寺の営業時間と拝観料
光悦寺は11月10日から11月13日の休みを除き年中無休で営業しており、営業時間は8時から17時までとなっています。拝観料は一人300円です。無料の駐車場には12台まで車が駐車可能です。光悦寺の紅葉は例年11月中旬から12月初旬にかけてが見頃の時期となります。
京都・源光庵付近にある光悦寺の境内
光悦寺へのアクセスは鷹峰源光庵前バス停で下車後、徒歩3分ほどでアクセスできます。光悦寺の堂宇は本堂のみで、広い境内は全て庭園となっています。楓の参道の景色は見応えがあり、特に紅葉の時期は絶景の景観が楽しめます。境内は回遊式庭園となっており、木々の間を縫うように、竹で作られた手すりの小径が巡ります。
京都・源光庵付近にある光悦寺の境内1:鐘楼
光悦寺の大きな石碑のある山門をくぐると、左手に元禄5年に造られた鐘楼が見えてきます。この鐘楼は茅葺き屋根の下に鐘楼が吊り下げられている珍しい形で、木々に囲まれた庭園に調和した風流な造りとなっています。山門をの先をまっすぐ行くと庫裡があり、そこに受付があります。そして庫裡の前が本堂となっています。
京都・源光庵付近にある光悦寺の境内2:大虚庵
光悦寺には7つの茶室が点在しています。中でもよく知られている大虚庵は本阿弥光悦が鷹峰で暮らした居室の名称ですが、現在の大虚庵は1915年に建てられたものです。大虚庵の前にある菱形状に組まれた竹の垣根は、光悦垣または、臥牛(ねうし)垣と呼ばれ、緩やかな弧を描きながら斜面上に造られているため、高さが徐々に変わるユニークな造りとなっています。
京都・源光庵付近にある光悦寺の境内3:三巴亭
三巴亭(さんばてい)は1921年に建てられた数寄屋建築で、八畳2間、水屋等からなり、北西の八畳間は光悦堂と呼ばれ、仏壇には光悦の木造が安置されています。三巴亭には現在、過去、未来の3つの意味が込められているそうです。光悦の茶道の庭では、静寂な空気の中でわび、さびに通じる精神世界が味わえます。
京都・源光庵付近の光悦寺境内4:その他の茶室
この他にも、題目堂があった場所に建てられた了寂軒、京都市内を見下ろせる場所に建つ本阿弥堂、本阿弥光悦の号・徳友斎に因んで名づけられた徳友庵、騎牛庵、自得庵など7つの茶室と、庫裡に接する枝折戸がお洒落な妙秀庵があります。妙秀庵は広さ3畳ほどの狭い茶室で、7つの茶室同様、大正時代に建てられたものです。
京都・源光庵付近にある光悦寺の紅葉
光悦寺は鷹峰の紅葉の名所の一つです。このお寺の紅葉は、参道の眺めが一番美しいのですが、人が多く、撮影には難しいスポットです。人がいない状態で撮影するためには、朝一番で拝観することをおすすめします。また、境内全体に広がる紅葉も見応えがあり、光悦垣付近の落ち葉とのコントラストも美しいと評判を呼んでいます。
京都・源光庵付近の光悦寺御朱印
光悦寺の御朱印は庫裡の受付で拝受します。このお寺の御朱印は、日蓮宗のお寺がみなそうであるように、中央に特徴のある格調の高い髭文字で「南無妙法蓮華経」と墨書されています。御朱印を受領するには、御朱印帳を受付に預け、拝観を終えた後に受け取ります。御朱印の初穂料は300円となります。
京都・源光庵付近にある常照寺
常照寺は約五千坪もの境内がある日蓮宗の寺院で、紅葉の名所としても知られています。常照寺へのアクセスは鷹峰源光庵前バス停で下車後、徒歩約3分のところにあり、源光庵からも近い場所に位置します。この寺院は1616年の本阿弥光悦の土地寄進により、また、1627年の光悦の息子・光瑳の発願により、日乾(にちけん)上人が開設し、鷹峰壇林と称されました。
京都・源光庵付近にある常照寺の営業時間と拝観料
その後、天下随一の太夫と謳われた島原の芸妓・吉野太夫が帰依し、朱塗りの山門を寄進しました。この門が良く知られた吉野門です。常照寺の営業は年中無休で、営業時間は8時30分から17時までとなっています。拝観料は中学生以上の大人400円、子供200円ですが、紅葉シーズンは大人のみ500円となります。また、駐車場は40分までが無料です。
京都・源光庵付近にある常照寺の山門
常照寺では、吉野太夫が寄進した朱塗りの山門・吉野門と赤く色づいた参道の木々のコントラストが絵になると評判で、絶好の撮影スポットとなっています。また境内には、その他にも吉野太夫の墓所や吉野窓が備わった茶席・遺芳庵など、吉野太夫にゆかりの深い場所があります。
京都・源光庵付近にある常照寺の境内
常照寺の境内には、本堂を中心に、開山堂、鬼子母尊神堂(きしもじんどう)、常富堂(つねみどう)、書院の衆みょう堂、庫裡の梅樹庵などがあり、その他にも吉野太夫の墓所や茶席・遺芳庵、聚楽亭、歌舞伎俳優の片岡任左衛門等によって建てられた珍しい帯塚などがあります。毎年4月第2日曜日には、吉野太夫を偲ぶ「吉野太夫花供養」が行われ、法要や茶会が催されます。
京都・源光庵付近にある常照寺の紅葉
常照寺の広い境内では、山門以外にも紅葉の見どころがいくつもあります。特に本堂前の紅葉は、黄色やオレンジ色に色づいた木々が美しく、見応えがあります。茶席などに座りながらゆったり紅葉を鑑賞するのも悪くないのではないでしょうか。例年では、11月下旬の時期が最も見頃となります。
京都・源光庵付近にある常照寺の御朱印
常照寺の御朱印を拝受する場合は、寺務所に依頼しておくと拝観後に受領できるようになっています。日蓮宗の場合は御朱印のことを御主題という表現で表しますが、達筆で墨書された「南無妙法蓮華経」の文字はお寺によってそれぞれ特徴があり、同じ内容でも様々な御主題が楽しめます。
京都・源光庵の紅葉を満喫しよう
京都市北区鷹峰にある源光庵は、「悟りの窓」と「迷いの窓」から眺める紅葉の美しさが評判の寺院です。この源光庵のある鷹峰一帯は紅葉の名所で、源光庵以外にも光悦寺や常照寺など紅葉で知られるスポットがいくつもあります。ここではそんな源光庵について、アクセスや御朱印、撮影に絶好な紅葉スポットなどの情報を交えて説明してみました。
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