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福岡名物「おきゅうと」
あまり知名度の高くない福岡県民のソウルフード「おきゅうと」という食べ物をご存知でしょうか。「おきゅうと」とは福岡では当たり前のように食卓に並んでいる食べ物であって、スーパーやコンビニなど食べ物を打っているお店ではたいてい売っています。ここでは「おきゅうと」とはどんな食べ物なのか、そして美味しい食べ方について紹介します。
福岡県民のソウルフード「おきゅうと」とは
「おきゅうと」とは福岡では定番の食べ物で、古くから愛されている食べ物です。福岡といえば博多明太子や博多ラーメン、もつ鍋や水炊きなどのご当地グルメが全国的にも有名ですが、この「おきゅうと」に関しては福岡に住んでいる人以外には知名度が低い食べ物です。福岡県民のソウルフード「おきゅうと」とはどのような食べ物なのでしょうか。
「おきゅうと」は見た目はこんにゃくのような食べ物で、のど越しがツルンとし、もちっとした食感が特徴です。福岡では普通に食卓に並んでおり、福岡の旅館などでも朝食の際には並んでいることが多いといわれています。福岡では納豆くらい当たり前な食べ物です。
おきゅうとは福岡ならどこでも買える
「おきゅうと」は福岡では当たり前な食べ物なので、買おうと思えばどこでも買うことができます。基本的にはスーパーで買う人が多いですが、その他にもコンビニなどの食料品が販売されている場所ではだいたい「おきゅうと」は置かれています。さらにお土産用に空港で「おきゅうと」を買うことも可能です。大体どこでも買うことができます。
福岡ではどこでも買える、それほどまでにこの「おきゅうと」を常食している福岡県民が多いわけです。
おきゅうとの原料
そんな福岡の定番といわれているほどの食べ物ですが、「おきゅうと」とはどのように作られているのでしょうか。
「おきゅうと」の原料は主に日本海側に分布しているエゴノリという紅藻の一種、そこへさらにものを固める作用を持っているイギリという海藻をブレンドされたものです。ところてんや寒天で使われている海藻とは違う海藻が原料となっています。
おきゅうとの歴史
「おきゅうと」は海藻から作られている福岡で古くから愛されている定番の食べ物ですが、どのように生まれたのか、なぜこのような名前が付いているのかについては諸説あります。ここでは「おきゅうと」の名前の由来や、生まれた経緯など、「おきゅうと」の歴史について紹介します。
おきゅうとの生まれた経緯
今でも愛されている「おきゅうと」ですが、「おきゅうと」の歴史は古く、享保の飢饉の時代にまで巻き戻ります。当時食べ物に困っている人が多くいる中で、猟師が偶然見つけた海藻を使用して作って、食べてみたことが、「おきゅうと」の原点だといわれています。
その後ではその猟師が偶然見つけた産物により、多くの人々が飢餓から救われました。第二次世界大戦前までは一般的な納豆売りやしじみ売りと並んで、おきゅうと売りがいました。
おきゅうとという名前
「おきゅうと」という名前は、あまりなじみの感じない名前ですが、どのような経緯で付いたのでしょうか。ちなみに漢字では「お救人」「沖人」「浮太」「沖独活」と書かれます。「おきゅうと」という名前の由来は製造する工程の中で、キュッと絞る工程があるため、この食べ物を生み出したのが漁師だったためともいわれています。
「おきゅうと」は漁師が海藻によって偶然生み出した食べ物だから「沖人」「沖独活」という名前や感じになったという説もあれば、飢餓から多くの人を救った食べ物であるため「お救人」になった説があります。どちらが真実かは分かりません。
おきゅうとの作り方
福岡で人気な「おきゅうと」ですが、作り方はとてもシンプルです。まずは上記で紹介した海藻の日本海側に分布しているエゴノリと固める作用のあるイギリを天日干し、これを5回ほど行います。そしてこれらの天日干しした海藻を混ぜてならします。その後に酢を加えて煮詰め、型に入れて常温で放置し、固まったら出来上がりです。
「おきゅうと」は元々飢餓をどうにかするために作られたものなので、作り方はとてもシンプルです。形はお店や販売元によって異なりますが、博多では丸のような小判型が主流のようです。
おきゅうとの味
「おきゅうと」の味についてですが、上記で紹介した作り方から見てもわかるように、調味料が使われているのが煮込む際の酢だけなので、味付けが基本的にはされてはいません。そのため味はあまりなく、どちらかというと味よりも食感を楽しむ食べ物とされています。食感はところてんよりも強く、もっちりとしておりのどごしが良いのが特徴的です。
味が無いため、逆にさまざまなものと合わせやすく、人によって合わせる調味料や食べ方が異なることも、「おきゅうと」の魅力の1つです。おかずとして食べる人、おつまみとして食べる人、おやつとして食べる人などさまざまです。
おきゅうとの栄養とカロリー
博多を中心に食べられている、福岡の定番の食べ物である「おきゅうと」ですが、食べた際に得られる栄養や摂取カロリーはどのようなものなのでしょうか。定番として食べられているこの食べ物は福岡県民にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。ここでは「おきゅうと」に含まれている栄養素や、食べた際の摂取カロリーについて紹介します。
栄養
「おきゅうと」はほとんどが水が主成分となっていて、基本的には栄養素は少ないです。炭水化物、タンパク質、ビタミンB12、ビタミンK、葉酸、さらにナトリウムやカリウム、マグネシウムといったミネラルも含まれてはいるものの数値はとても小さく、栄養を摂るために食べられているというわけではないです。ただ食べた人はお腹のお通じは良くなります。
カロリー
「おきゅうと」を食べて得られるカロリーは100gあたり約6キロカロリーといわれています。海藻だけあってカロリーは低めです。ほとんどカロリーを取らない食べ物であるため、福岡の定番として食べているだけでなく、ダイエット食品として食べている人もいます。ちなみにところてんは100gあたり約2キロカロリーとやはり似通った数値となっています。
ところてんとの違い
「おきゅうと」という食べ物を紹介するときに、よく言われるのが「ところてんのような食べ物」という意見です。「おきゅうと」とところてんは、海藻で作られていることや、食べた際ののどごし、それ自体には味があまりないなど似ている部分が多いため、ところてんに似ていると説明に使われます。しかしこの2つには明確な違いがあります。
原料の違い
「おきゅうと」とところてんの違いは原料です。「おきゅうと」の原料は上記でも紹介した日本海側に分布しているエゴノリという紅藻の一種、固める作用を持っているイギリという海藻をブレンドされたものです。ところてんは、寒天にも使われているテングサやオゴノリという海藻を原料としているため、原料が大きく異なります。
製造方法の違い
「おきゅうと」とところてんは製造方法も異なります。「おきゅうと」の場合は上記で紹介したように海藻のエゴノリとイギリを天日干しし、これら混ぜてならします。その後に酢を加えて煮詰め、型に入れて固まったら出来上がりです。ところてんの場合は海藻を茹でて溶かしたものを、天突きという道具を用いて押し出すことで、糸状に切って出来上がりです。
おきゅうとの美味しい人気な食べ方は?
「おきゅうと」の味や製造方法について紹介してきましたが、基本的には味が無いため「おきゅうと」をそのまま食べることはありませんが、調味料や他の食べ物と合わせることでさまざまな食べ方ができます。博多を中心とした福岡の人たちはどのような食べ方をしているのでしょうか。ここでは「おきゅうと」の美味しい人気な食べ方について紹介します。
おきゅうとの美味しい人気な食べ方1:定番は生姜のすりおろしと醤油
「おきゅうと」のおすすめの食べ方の「生姜のすりおろしと醤油」です。これが「おきゅうと」の最も美味しい食べ方として人気が高いです。生姜の香りと醤油の塩気で食欲がそそられ、美味しく食べられる食べ方です。この「生姜のすりおろしと醤油」はご飯のお供としても、お酒のおつまみとしても食べられる人気な食べ方です。
さらにこの「生姜のすりおろしと醤油」にネギなどの薬味を加えると味のアクセントが付けられ、見た目も彩りが良くなります。ネギの他にも大葉やミョウガを加えても良い感じになります。
おきゅうとの美味しい人気な食べ方2:ネギとちりめんじゃこ
「おきゅうと」のおすすめの食べ方の「ネギとちりめんじゃこ」です。これは上記の人気の高い食べ方である「生姜のすりおろしと醤油」に、さらにネギとちりめんじゃこを加えたものです。「生姜のすりおろしと醤油」の香りと塩気のあるところに、ネギとちりめんじゃこを加えることによって、食感の変化も楽しめるレシピとなっています。
「生姜のすりおろしと醤油」にトッピングを増やした「ネギとちりめんじゃこ」ですが、さらに大葉やミョウガ、さらに大根おろしやいりごまも合うといわれています。ゴマ油を足してみるのも、香りが増してさらに美味しくいただけます。
おきゅうとの美味しい人気な食べ方3:わさび醤油
「おきゅうと」のおすすめの食べ方の「わさび醤油」です。これはシンプルに「おきゅうと」の味と食感を堪能できる食べ方で、刺身のようにわさび醤油でいただきます。「おきゅうと」の味と食感を存分に堪能したい人におすすめです。お好みでお酢やごま油を加えるのも良く合います。これもまたおかずとしても、お酒のおつまみとしても人気が高いです。
おきゅうとの美味しい人気な食べ方4:酢味噌
「おきゅうと」のおすすめの食べ方の「酢味噌」です。「生姜のすりおろしと醤油」や「ネギとちりめんじゃこ」、「わさび醤油」といった醤油ベースの食べ方が人気ですが、この普段から食べている味を変えてみたいという人におすすめの食べ方です。「おきゅうと」の上から酢味噌をかけて食べる、刺身こんにゃくのような食べ方です。
この食べ方は甘辛い酢味噌をかけて食べるものですが、ピリッと辛い中に酸味があるので、暑い夏にはこの食べ方をする人が多いです。
おきゅうとの美味しい人気な食べ方5:サラダ
「おきゅうと」のおすすめの食べ方の「サラダ」です。コーンやトマトといったお好みの野菜と「おきゅうと」を合わせた食べ方です。「おきゅうと」は味が基本的にはないため、サラダの邪魔になることはなく良く合います。野菜の組み合わせは家庭によってそれぞれですが、夏に美味しく食べられるコーンやトマトと合わせることが多いです。
「サラダ」の食べ方をする際には、これもお好みですがお酢や酢味噌といった「おきゅうと」に合わせたものから、サラダに合わせたドレッシングでも食べられます。数あるドレッシングの中でも、特におすすめは青じそのドレッシングです。
おきゅうとの美味しい人気な食べ方6:デザート
「おきゅうと」のおすすめの食べ方の「デザート」です。今まで紹介してきた食べ方は食事の際のおかずとしてのものや、お酒のおつまみとして食べるものでしたが、これは食後やおやつとして食べる食べ方です。「おきゅうと」に黒蜜ときな粉をかけて食べる食べ方です。醤油や酢の味がおかずとして良く合いますが、甘い味もよく合います。
この「おきゅうと」の食べ方は老若男女問わず多くの人から人気が高く、おかずだけでなくデザートとしても愛されています。
お酒との相性も抜群
「おきゅうと」の美味しい人気な食べ方について上記で紹介してきましたが、この「おきゅうと」はお酒のおつまみとしても人気が高いです。どのようなお酒と合うのかというと、おすすめは芋焼酎といわれています。さらにその芋焼酎の中でもおすすめされているのが、霧島酒造の代表的な芋焼酎である「黒霧島」「赤霧島」「白霧島」です。
ここでは「おきゅうと」に合うといわれるお酒である、芋焼酎の「黒霧島」「赤霧島」「白霧島」について紹介します。
黒霧島
大正5年の創業当時の黒麹仕込みの味を、現在の最新設備を使用して作られたのがこの「黒霧島」です。「黒霧島」の特徴は甘さと口に残るとろみ、そしてキリっとした後切れにあります。飲み方のおすすめはロックで、氷を多めにして水との調和を楽しむのが最適とされています。さらに「黒霧島」よりも甘さととろみの増した「黒霧島EX」も販売されています。
赤霧島
霧島酒造の代表的な焼酎である「赤霧島」は、芋焼酎を作るのに理想的といわれているサツマイモ「黄金千貫」のDNAを受け継いでいる「ムラサキマサリ」を原料としている芋焼酎です。気高い香りと澄んだ甘みが特徴的な芋焼酎で、ワインにも似た味わいとなっているこの焼酎は、ロックかストレートで飲むことがおすすめです。
白霧島
霧島酒造の代表的な焼酎である「白霧島」は、初期から作られていたもので、もともとは「霧島」という名前で売られていました。伸びのある味わいでなめらかな口触りの「白霧島」は甘くておいしい芋焼酎です。おすすめの飲み方はお湯割りです。割合としては「白霧島」が6、お湯が4がおすすめです。
どれが1番合うか
「おきゅうと」に合うお酒といわれる、「黒霧島」「赤霧島」「白霧島」について紹介してきましたが、1番合う組み合わせはどれでしょうか。個人の好みはあるものの、最もおすすめされる組み合わせは、「黒霧島」といわれています。機会があれば、「おきゅうと」と「黒霧島」の組み合わせをぜひ試してみてください。
おきゅうとの手に入れ方
「おきゅうと」は福岡では人気な食べ物ですが、全国的には、特に東日本の地域では無名な食べ物です。そのため「おきゅうと」を販売しているお店はほとんどありません。そのため「おきゅうと」を購入する際には、通販を利用する必要があります。ここではどこでどのように通販で売られているかについて紹介します。
林隆三商店
かつて「おきゅうと」作りのメッカであった箱崎で、今も「おきゅうと」を作り続けている創業90年を超える老舗です。おきゅうと5枚入り1袋が270円、おきゅうと5袋入り1箱で1080円、おきゅうと10袋入り1箱で2700円となっています。公式のホームページには「おきゅうと」の美味しい食べ方や作り方、「林隆三商店」の歴史なども載っています。
林隆三商店の「おきゅうと」はエゴノリとイギリといった海藻を使用する際に産地によって性質が異なるため、何種類かをブレンドして作っています。天日干しをした後の茹でる作業は、強い火力にこだわり、ボイラーではなくガスを使用しています。機械の使用の少ない昔ながらの手作りから作られている「おきゅうと」は今も福岡の人の多くに愛されています。
注文する方法については電話とFAXの2パターンとなっています。電話の場合にはお名前、郵便番号、ご住所、お電話番号、注文品目と個数などを伝えます。FAXの場合には、公式ホームページで注文書をダウンロードし、印刷して送信します。
味の明太子ふくや
明太子にラーメンやパスタ用のソースなど、九州博多の名産品の通販を行っている「味の明太子ふくや」です。ここの「おきゅうと」は新潟佐渡産と青森深浦産のエゴノリのブレンドしたもので、独自の食感を作り上げています。内容はおきゅうと包装5枚入り200gが3袋、さらに専用の醤油とかつお節で2052円となっています。
「味の明太子ふくや」で注文する方法は公式ホームページで注文することです。「味の明太子ふくや」で「おきゅうと」を注文する際の注意は、賞味期間は冷蔵で14日間となっているので、家についたらあまり期間を置かずに食べてしまいましょう。
Amazonや楽天市場でも買える
「おきゅうと」は「林隆三商店」「味の明太子ふくや」といった昔からの老舗や、博多名物を販売している通販サイトだけではなく、今や全国的に利用されているAmazonや楽天市場でも購入が可能です。「林隆三商店」「味の明太子ふくや」に注文といったあまり慣れていないことが不安であれば、こちらを利用するというのも1つの手です。
東京でも購入が可能
「おきゅうと」は地元以外ではほとんど販売されていることがないため、他の地方の人が食べるには九州に向かうか、通販で購入するということでしたが、実は東京でも買うことのできる場所があります。それが東京交通会館地下1階にある、博多のアンテナショップ、「ザ・博多有楽町店」です。こちらで「おきゅうと」を購入することが可能です。
博多のラーメン屋の外観をしている「ザ・博多有楽町店」では、博多のご当地ラーメンや話題になるものが販売されており、その中に「おきゅうと」も販売されています。福岡の人曰く、「福岡で食べたものそのまま」らしく、たまに食べたくなると寄ってしまいます。
「ザ・博多有楽町店」には、その他にも東京に来ている福岡県民には懐かしい食べ物が多いです。ウエストというブランドの博多うどん、ハウス製品ではあるもののなかなか東京では手に入らないハウスうまかっちゃんの各種、甘辛たれに胡麻をまぶした唐揚げである努努鶏、福岡出身には懐かしいチロリアンのコーヒー味などもあります。
食べる際の注意
「おきゅうと」の食べ方やどこで買えるのかということについて紹介してきましたが、食べる際には注意することがあります。それは「おきゅうと」は海藻を常温で固めて作ったものであるため、熱してしまうと溶けてしまうことです。上記の美味しい食べ方を紹介でもほとんど調理することが無かったのはそのためです。
美味しい食べ方を模索するうえで、その特性を失念する人もいるようで、「みそ汁に混ぜてみたらなくなってしまった」という経験をした人もいます。
1度は食べてみたい福岡のソウルフード「おきゅうと」
「おきゅうと」とはどんな食べ物なのか、そして美味しい食べ方について、さらにどうすれば手に入れられるかについて紹介してきましたがいかがでしょうか。「おきゅうと」は福岡では人気があるというより、当たり前に食べられている食べ物です。もし九州に訪れた際にはぜひ1度食べてみましょう。もしくは通販で「おきゅうと」を取り寄せてみましょう。
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