オーストラリア国旗の意味や特徴を学ぼう!
南半球にあるオーストラリアには元々アボリジニが住んでいましたが、1770年にイギリスの入植が始まってからはイギリスの支配下に置かれるようになりました。オーストラリアの国旗には先住民や移住民との間の軋轢や歴史に関わる意味が込められています。
ここではそんなオーストラリアの国旗について、ユニオンジャックや星の持つ特徴、由来、ニュージーランドの国旗との違いなどの情報を折り込みながら紹介します。
オーストラリア国旗の意味と特徴
南半球にあるオーストラリアは、地理的に他の大陸からは隔絶された場所にあったため、長い間ヨーロッパ文明の影響を受けずにいましたが、やがて、その存在はヨーロッパの人々に知られるようになりました。始めは流刑植民地とされたオーストラリアは、先住民であるアボリジニとの確執が続きますが、やがて連邦国家に生まれ変わります。
オーストラリア国旗は、旗の左上にイギリスとのつながりを意味するユニオンフラッグが、旗竿の反対側には国土のある南半球を意味する南十字星が、左下には6州と1準州による連邦を意味する七稜星が描かれています。
これらのデザインにはオーストラリアの歴史に関わる由来や特徴が秘められています。現在使用されている国旗は、1901年9月に初めて掲揚されました。
左上:ユニオンジャック
オーストラリア国旗の左上にデザインされているユニオンジャックはイギリスとの深いつながりや関係に由来しています。
オーストラリアでは、1770年にイギリス人のキャプテン・ジェームス・クックにより流刑囚を収容する流刑地としての入植が始まりました。それ以降、オーストラリアはイギリス人主体の国として発展していきます。
イギリス人の移民によって流刑植民地となったたオーストラリアは、1851年に金鉱が発見されて以来、一攫千金を狙う多くの人々が入植し、先住民アボリジニとの間で、あるいは移民者同志の間で争いが絶えず、荒れた時代が続きましたが、長い時を経た後には連邦国家へと変貌を遂げます。
連邦成立後は、宗主国英国や当時新興国であったアメリカ合衆国などからの軋轢に耐えながらも、アジア地域との連携を強化しつつ発展を遂げ、今日に至っています。
オーストラリアにはイギリス王室や女王に因んだ地名が多々ありますが、ユニオンフラッグにはそんな大英帝国の一部として忠誠を誓った証しという特徴が込められています。
右サイド:南十字星
オーストラリア国旗の右側に描かれている4つの星と1つの小さな星は、南半球でのみ見ることができるサザンクロス・南十字星を表しています。南十字星は、オーストラリアでは植民地の時代からオーストラリアを意味する星としてみなされてきました。
この4つの星はそれぞれ、正義、賢明、節制、忍耐を意味すると言われており、この南十字星にはオーストラリア国民が貫くべき意志や希望といった由来、特徴が込められています。
ユニオンジャックの下にある「連邦星」
ユニオンジャックの下にある大きな星はコモンウェルス・スターつまり七稜星ですが、これは6つの州と1つの特別地域を合わせた「連邦」に由来しています。
「連邦」には、ニューサウスウエールズ州、西オーストラリア州、クィーンズランド州、南オーストラリア州、ビクトリア州、タスマニア州の6州に加え、広大な砂漠の中に多くのアボリジニが住む北部準州が付け足されています。
7つの突起がある「七陵星」
オーストラリア国旗の七稜星(しちりょうせい)は、最初は6つの州を特徴付ける六稜星でしたが、1908年以降、北部準州の特別地域を含む七稜星に変更されました。オーストラリア陸軍でも国旗と同様の軍旗が使用されています。また現在、オーストラリアではユニオンジャックを外す斬新なデザインの国旗を作るべく検討しているという噂も聞かれます。
オーストラリア国旗の由来
オーストラリアは、イギリスの植民地としての長い時代を経た後、19世紀に入ると民主的な連合国家として生まれ変わります。それまでオーストラリアの国旗にはイギリスの国旗・ユニオン・ジャックが使われていましたが、6つの植民地が連邦を結成して連合国家の誕生に貢献したため、新しい国旗を作るべく検討が始まりました。
14歳の少年を含む5人が描いた同じようなデザインを選択
新しい国旗を作成するにあたり、世界的な規模でのコンペが行われ、32000通以上の応募がありましたが、14歳の少年を含む5人の人達が同じようなデザインのアイデアを提出していたため、それらの案に若干手の加えられた案が採用されました。この応募によるコンペが、現在の国旗誕生の由来であり原点となっています。
オーストラリア国旗「誕生からの歴史」
オーストラリア国旗のデザインが選ばれたのが1901年で、この年はオーストラリアが民主的な連合国家に生まれ変わった時期です。ただ、その時期はまだオーストラリアには国旗法が無かったため国旗としては扱われず、1953年に国旗法が制定されるまで50年間も待たなければなりませんでした。
1953年以降は現在に至るまでこの国旗が使用されていますが、2016年に行われた国民投票では、国旗を変えることを望む国民の率が60%を越えており、今後オーストラリアの国旗が変えられる可能性があります。
1901年:デザイン選出
1901年1月1日、オーストラリアは民主的な連合国家となりました。6つの植民地が連邦を結成して新しい連邦国家を誕生させたのを契機に、それを特徴付ける新しい旗の検討が始まりました。そして、世界規模でのコンペの結果、14歳の少年たちのデザインが選ばれ使用されるようになったのですが、この時はまだ国旗としては使用されませんでした。
1953年:国旗法で決定
何故国旗として使用されなかったのかというと、当時のオーストラリアにはこの旗を国旗として承認する法律が無かったためです。結局1953年11月に国旗法が制定され、それ以降、国旗として正式に認められるようになりました。それまでに50年もの時を要しています。オーストラリアという国はは何と悠長な国なのでしょう。
2016年:国民投票
2015年にはお隣のニュージーランドで、国旗の変更を巡って国民投票が行われました。ニュージーランドの国旗と似通ったデザインの国旗を持つオーストラリアも、それに刺激されたためか、2016年、国旗を変更するか否かの国民投票を行いました。
その結果、変更すべきという意見が64%、現行の国旗を維持すべきという意見が36%となり、変更を希望する意見がかなり上回っています。近い将来、オーストラリアの国旗はもっと斬新なデザインの国旗に生まれ変わるかも知れません。
オーストラリア国旗「似ている国との違い」は?
オーストラリアとニュージーランドは、18世紀後半にはイギリスに占領されており、イギリスの1つの連邦と見做されていました。しかし、英国からの独立に際し、文化や歴史、政治などの違いが顕著なことから2つの国となりました。ニュージーランド国旗の4つの星は、オーストラリア同様、南十字星に由来していますが、色や星の数に違いがあります。
ニュージーランドと似ている
ニュージーランドの国旗の4つの星は南十字星を表していますが、これらの星は英国の植民地時代であった1869年から使用されています。ただ、オーストラリア国旗との違いは、本来5つある星の内、一番小さな星が省略されているという特徴を持っていることです。
地のロイヤル・ブルーはニュージーランドの周りの青く澄み渡った海と空を意味し、南十字星はニュージーランドが南半球の太平洋上にあることを強調するという特徴を持っています。
星の色と数が違う
ニュージーラン国旗の星は、オーストラリアの国旗とは違い、全て五稜星が赤色で描かれています。これは、先住民のマオリ族にとっての神聖な色が赤であったことに由来しています。また、ユニオンジャックの下に星が無い点や南十字星の一番小さな星が省略されている点など、オーストラリア国旗との違いが見受けられます。
オーストラリア国旗「アボリジニの国旗」
オーストラリアには約6万年も前から先住民であるアボリジニが住んでいたと言われています。ところがイギリスから移民が増えるにつれ、移民たちは先住民のアボリジニに対して迫害や危害を加えるようになり、当初100万人近くいたアボリジニは、7万人ほどに減ってしまったと言われています。
オーストラリアは、長きに渡り白人至上主義政策を行い、強行な同化政策を打ち出してきたため、肌の色の違いが顕著なアボリジニの文化や生活母体が大きく失われてきました。
1967年になってようやく、アボリジニの市民権が確立されましたが、差別意識を持つ人は今日に至ってもまだ存在するようです。
2000年のシドニーオリンピックで、アボリジニであるキャシー・フリーマン選手がアボリジニの旗とオーストラリア国旗の2つの旗を掲げてウイニングランを行いました。これは、アボリジニへの迫害に対する抗議の意味合いと全ての国民が平等であることを訴えたかったからに他なりません。
黒:アボリジニ
アボリジニ国旗の黒は肌の色が黒いアボリジニを表しています。肌は黒いですが、髪の毛は金髪の人が多く、なかなかお洒落な人が多いのも特徴の1つです。アボリジニは過去に迫害や虐殺を受け、極端に人口が減ってしまいましたが、アボリジニが市民権を獲得して以降の1996年には35万人程度まで人口が回復してきているようです。
赤:オーストラリアの大地とアボリジニの血
アボリジニ国旗の赤はオーストラリアの大地とアボリジニの血の色を表しています。白人至上主義によるアボリジニ迫害の歴史には悲惨なものがありました。キャシー・フリーマン選手の母親は白人に無理やり手籠にされたアボリジニの女性で、フリーマン選手は生まれた後、母親から引き離されたため、母親のことを全く知らずに育ったということです。
黄:太陽
アボリジニ国旗はデザインにおいて本来のオーストラリア国旗とは全く違います。真ん中の丸い黄色は太陽を表しており、日本の国旗にも似ています。
アボリジニの国旗がオーストラリアの国旗として認められるようになったのは、キャシー・フリーマン選手がシドニーオリンピックで金メダルを取った時、アボリジニの旗とオーストラリア国旗の2つの旗を掲げてウイニングランを行ったことに由来しています。
このウイニングランはオーストラリアで大きな反響を呼び、それ以降、アボリジニ国旗はオーストラリア国旗として公認されるようになったということです。現在では、オーストラリアの多くの学校では、2つの国旗が仲良く並んで掲げられています。
オーストラリア国旗「ハット・リバー公国」
実はオーストラリアにはもう1つ国旗があります。それはオーストラリアの中に独立国が存在していることを意味しています。1970年、レオナード・ジョージ・ケースリーという人がオーストラリアからの独立を宣言しました。
その理由は、州政府により小麦の販売量が各農場に割り当てられた際、ケースリー農場の割り当てが十分でなく、割り当てを増やしてもらうよう州政府に抗議をしたのですが、認めてもらえないばかりか、農地まで取り上げられるような法案の審議が行われたため、ケースリーは非常手段として独立を宣言したそうです。
この独立国はオーストリア西端にあり、パースから600キロほどの位置にある、75キロ平米もの広大な農場です。この公国では、ワイルドフラワーの輸出と農業、観光業が主要な産業であり資金源となっています。
レオナ―ド・ジョージ・ケースリーがオーストラリアからの独立を宣言
ケースリーはオーストラリアから独立宣言をした後、自分の農場をハット・リバー公国と命名し、独自の通貨や国旗、切手、自動車のナンバープレートに至るまで、国の体裁を整えるものを種々用意したそうです。この小国には総勢30名が暮らしていますが、ケースリー本人が国王で息子たちが大臣、使用人が国民ということです。
面白いのは、土地に暮らすのは30名ほどですが、世界各国に国民が3万人ほどおり、現在でも市民権を得るための手続きをしている人が多数いることです。市民権を得るには、100オーストラリアドルを出せば簡単に申請できるそうです。
1970年に独立を宣言して以降、公国は現在でも存続しているようです。そしてその国旗は紺地の中心の白丸の中に、牛に乗った王様が描かれ、天秤がデザインされています。この公国の国旗とオーストラリア国旗との違いは一目瞭然です。
オーストラリア国旗について調査しました!
オーストラリアは南半球にある大国で、その歴史を辿ると、先住民アボリジニと後から住み着いたイギリスからの移民との間の軋轢が長く続き、2つの国旗自体にもその苦難の歴史が刻まれています。更に、オーストラリアにはもう1つ小さな独立国の国旗があることを知っている人は少ないでしょう。
ここではそんなオーストラリアの国旗について、その意味や由来、特徴、星の色や形の違いなどの情報を取り入れながら説明してみました。
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