ベルリンの壁の歴史・おすすめの定番観光スポットをご紹介
ドイツの首都であり、ドイツ最大の人口を抱えるベルリン。ベルリンの壁はドイツの歴史を象徴する最も有名で歴史的なスポットの一つであり、多くの観光客が訪れています。そんなベルリンにあるベルリンの壁の歴史やベルリンの現在の様子、おすすめの定番観光スポットをご紹介します。
ベルリンの壁とは?
ベルリンの壁はドイツの首都ベルリンで東ドイツ(ドイツ民主共和国)によって、1961年夏に突然、西ベルリンの周囲を取り囲む形で建設されました。第二次世界大戦後ドイツは東西ドイツに分断されていて東西間の国境が閉鎖されていましたが、唯一ベルリンでは東西の往来が自由でした。
しかし、西ベルリンの周りを取り囲むように、高さ3メートルの人が乗り越えることのできないベルリンの壁がつくられたことによってこうしてベルリンの西側部分は、東ドイツと東ベルリンから分離され東西ドイツは自由に行き来することができなくなりました。
ベルリンの壁は誰がつくった?
ベルリンの壁をつくる計画をしたのは東ドイツ政府の国家機密でした。旧東ドイツ社会主義統一党(SED)幹部のが命令し、まずはドイツ民主共和国(東ドイツ)の国境警備隊がベルリンの舗装道路を壊して石でバリケードを作り、町を横切る有刺鉄線を張りました。
そして、人民警察官と国家人民軍兵士の監視の下、土木工事作業員によって作られました。1961年8月13日に東西ベルリンの境界線が封鎖され、西ベルリンをぐるりと取り囲む壁が一夜にして作られたのです。ある日突然できたベルリンの壁によって、家族や友達と二度と会えなくなってしまった人たちがたくさんいました。
ベルリンの壁はなぜつくられた?
第二次世界大戦後、敗戦国であるドイツは連合軍(米・英・仏・ソ連)によって西ドイツと東ドイツとに分断され、東ドイツはソ連が占領しました。しかし、そのなかにあったベルリンはさらに分割され、東ベルリンをソ連が、西ベルリンを米・英・仏が、統治することになりました。東ドイツ国内にありながらも西ベルリンだけは西ドイツに属するという、陸の孤島のような状態になってしまいました。
西ドイツは資本主義、しかし東ドイツはソ連社会主義となり、経済格差が徐々に大きくなっていきました。東ドイツの経済が悪化し、国民の生活が苦しくなっていったのに対して、西ドイツと西ベルリンの経済は成長を続け、国民の生活も豊かになっていきました。当初、東西ベルリンの行き来は自由だったために、自由でより豊かな暮らしを求めて、東ベルリンから西ベルリンへ亡命する人が増えていました。
15.06.1961. VDR līderis Valters Ulbrihts preses konferencē paziņo:
— Diena Vēsturē (@UnVissCits) June 15, 2017
"Nevienam nav nodoma celt mūri."https://t.co/uqO43LRVe7#BerlinerMauer pic.twitter.com/MOmskhrtZk
1949年に東ドイツが建国されてからずっと毎日約2,000人の人が東ドイツから亡命をし、亡命をした人には全体では約200万人にものぼりました。この状況に国家存続の危機を感じた東ドイツは、東ドイツの人々が西ドイツに逃げられないように壁を作ろうと考えてベルリンの壁をつくることを実行しました。
ベルリンの壁がつくられ何が起こった?
#OnThisDay 1961 beraten Chruschtschow & Ulbricht, wie sie den Flüchtlingsstrom aus der #DDR eindämmen können. #Mauerbau #BerlinerMauer pic.twitter.com/D5Lm8h3kiZ
— GedenkstätteHSH (@StasiGefaengnis) August 1, 2017
ベルリンの壁は西ベルリンを取り囲むように作られ、西ベルリンは陸の孤島となりましたが、実際には、ベルリンの壁は東ベルリン市民を閉じ込めるためのものでした。ベルリンの壁に東ベルリン市民は近くことさえ許されず厳重な警備が敷かれ、有刺鉄線も張り巡らされていました。しかし、それでも東ベルリンから西ベルリンに逃れようとする人は後を断ちませんでした。
ベルリンの壁が作られた1961年からベルリンの壁が崩壊する前年の1988年までの間に東ドイツから西ドイツに逃れた人は23万人、そのうち約5,000人がベルリンの壁を乗り越えて亡命しました。しかしその大部分はベルリンの壁の国境管理がまだ甘かった1964年までの間のことです。
Die Mauer #BerlinerMauer #Berlin pic.twitter.com/p5ynMFcAL7
— Rob C (@rncfeb) July 23, 2017
1962年8月にベルリンの壁を乗り越えて西ベルリンに逃れようとした18歳の少年が銃で打たれて亡くなって以降、ベルリンの壁を越えようとして亡くなった人は136人にのぼることが最近の調査で分かっています。その中には壁の近くで遊んでいた子供2人も含まれていました。ベルリンの壁を越えようとした未遂もしくはその準備をした人は6万人にものぼると言われています。
ベルリンの壁はいつ崩壊した?
1980年代後半、周辺のハンガリーやポーランドなど東欧諸国で民主化の動きが強まっていきました。そして1985年にソ連の書記長に就任したゴルバチョフ氏が実施した改革である「ペレストロイカ」をきっかけに、自由化・民主化を求める声が高まっていきました。
1989年、民主化を進めるハンガリーとオーストリアの国境が解放されると、東ドイツからチェコスロバキア、ハンガリーを経由して西ドイツへ渡る人が増加しました。1989年10月からは東ドイツの人々が自由を求めて公然と路上で反政府デモをするようになり、デモへの参加者も次第に増えていきました。
そして1989年11月9日の夜、東ドイツ政府が「只今をもって東ドイツの国民は自分の好きな所へ旅行しても良くなった」と、東ドイツ国民の旅行の自由化を発表報道を知った東ベルリン市民がベルリンの壁に押し寄せ、ベルリンの壁が崩され、国境が開かれました。
こうして28年間東ベルリンと西ベルリンんを分断した巨大な壁はついに崩壊したのでした。ベルリンの壁崩壊により東西両ドイツの国境は事実上なくなり、その1年後の1990年10月3日、東西ドイツは統一しました。
現在のベルリンの街はどうなっている?
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— hoshino_photo (@hoshino_photo) July 22, 2017
壁は一部残されて公園のようになっている。
左奥のコンクリートが実物、手前はモニュメント。
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2015.8 @ Berlin
.#BerlinWall #BerlinerMauer #berlin #germany #travel #traveling #visiting… pic.twitter.com/9poFoWGSE9
一つの町が東西に分断され人や家族でさえも会えなくなってしまったという、悲しい歴史を持つベルリンですが、ベルリンの壁崩壊後、失われた28年を復興しようとしたドイツ政府は、ドイツの首都に相応しい都市としてベルリンの再開発を急ぎました。そんな中、先進する世界の都市問題に客観的に向き合い、市民が自分たちの歩むべき道を考えた結果、自然と都市の共生を目指す取り組みが行われていきました。
その結果、ベルリンは、世界一のヴィーガン(絶対菜食主義者)人口を持つ街となり、様々なライフスタイルを受け入れる寛容性と多様性に満ちた街になりました。また、失われた28年のためにデジタル経済の前身となる産業がなかったことからベルリンは一気に21世紀型のデジタル経済へと変化を遂げました。
そして今、地価の高騰したシリコンバレーやロンドン・パリなどに比べても生活コストが安くアーティストビザやフリーランスビザの取得も他都市に比べると簡単なことから、ベルリンは多くのスタートアップやアーティストの集まる街となっており、自由な雰囲気と人々の勢いを感じるのにもおすすめの場所です。
ベルリンの壁定番観光地①「イースト サイド ギャラリー」
Berlin Wall, East Side Gallery & the passage of time: https://t.co/lyCuURx43k #travel #Berlin #Streetart pic.twitter.com/r510YYqVV1
— Clemens Sehi (@anekdotique) August 9, 2017
東駅を出てシュプレー川沿いにオーバーバウム橋まで続く全長1.3kmの壁は、現在、様々なアーティストたちの絵が楽しめるオープンギャラリーとなり、定番の観光スポットになっています。ベルリンの壁崩壊以前にすでに西側の壁にさまざまなメッセージや色鮮やかなストリートアートが壁を彩っていましたが、損傷が進んでいたため、壁崩壊20周年を機に描き直されました。
現在は21か国118人のアーティストたちのアートを楽しむことができます。ベルリンの壁に描かれた絵として有名な旧ソ連のブレジネフ書記長と旧東ドイツのホーネッカー書記長のキスが描かれているのもこのイーストサイドギャラリー(East Side Gallery)。フォトスポットとしてもおすすめの場所です。
#berlin #oberbaumbrucke #bridge #photography #travel #berliner #instagram - for more #photos https://t.co/ZdjCcvOREX pic.twitter.com/lvaDtXkvHf
— Ceren Schäferhoff (@cschaeferhoff) April 14, 2016
イーストサイドギャラリーはOstbahnhof(オストバーンホーフ)駅を出てすぐ、徒歩1分の距離にあるのですぐに見つけられます。近くにはオーバーバオム橋という、赤レンガでできた美しい橋があり、橋の上からはシュプレー川を見渡すこともできるので、時間があれば少し回り道をしてベルリン観光を楽しむのもおすすめです。
ベルリンの壁定番観光地②「チェックポイントチャーリー」
チェックポイントチャーリー(Checkpoint Charlie)は冷戦期に、外国人や外交官、西側連合軍関係者が通行するための検問所だった場所、東ベルリンからベルリンの壁を越え亡命しようとした少年が射殺されてしまったのもこの近くであり、東西ドイツ分断を象徴するような場所です。
One of three border crossings controlled by the Americans was the Checkpoint Charlie in #Berlin. https://t.co/1XymcBIq2F pic.twitter.com/nq6G9M2aZS
— welcome2berlin (@welcome2berlin) August 9, 2017
東西ドイツ統一後に以前アメリカ側が使用していた監視小屋を復元され、現在では屋根の上に片面にアメリカ兵、もう片面にはソ連兵の写真を掲げており、現在ではベルリンの観光名所の一つになっています。
チェックポイントチャーリー跡地に再建された監視小屋の前では、有料で観光向けの軍服を着た方と一緒に記念写真を撮る事ができます。東ドイツ、西ドイツ、アメリカのスタンプをパスポートなどに押してもらう事もできるので、ベルリン観光の記念にぜひ訪れたい場所の一つです。
歴史的スポット「ベルリンの壁」へ行こう
ベルリンの壁の歴史やベルリンの現在の様子、ベルリンの壁に関するおすすめの定番観光スポットをご紹介してきましたがいかがでしたか?ドイツの深い歴史を知るのにおすすめの場所ベルリン。ドイツ観光の際はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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