カラフルな京都八坂庚申堂をご紹介!
京都東山の八坂庚申堂(やさかこうしんどう)は古くから「庚申さん」と呼ばれ、人々に親しまれたお寺です。境内には、とにかくたくさんのカラフルな願掛け「くくり猿」が、吊り下げられおり、まるで蜷川実花さん的な素敵な写真が撮れると人気のスポットです。そんな八坂庚申堂の思わず欲しくなるようなお守りや、とても興味深い庚申信仰やその由来、そしてアクセス等をご紹介します。
八坂庚申堂とは
庚申信仰発祥の地である八坂庚申堂の正式名称は大黒山金剛寺庚申堂と言い、秘蔵の本尊である「青面金剛」を祀るお寺です。中国の道教の教えであるこの庚申信仰が日本に入ったのは平安時代で、最初に八坂庚申堂が建てられたのも1000年以上も前になります。大阪四天王寺庚申堂と東京入谷庚申堂と合わせて日本三庚申と言われていますが東京入谷庚申堂はすでに現存していません。
朱塗りの鮮やかな山門の屋根には「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿がおり、その前の石碑には、「日本最初の庚申尊」と三猿が刻まれています。奥には人気の写真スポットの、願掛けのくくり猿に覆われた「おびんずる様」と呼ばれる石仏地蔵の小堂があり、その奥には江戸時代1679年に再建された本堂があります。本堂入口や石灯籠等にもくくり猿や三猿が見られます。
八坂庚申堂の庚申信仰とは?
本堂には、奈良時代に秦河勝が秦氏の守りとして中国から招来した本尊の青面金剛や、この八坂庚申堂を平安時代に建てた浄蔵貴所(じょうぞうきしょ)が祀られています。青面金剛は末法の乱れた世の人々を救おうとお釈迦様と阿弥陀様とお薬師様が相談した結果、足元の邪鬼を踏みつける夜叉の姿で現れたそうで、悪い人間や、庚申の夜に人間の体から這い出る尸(さんし)という虫を食べると言われています。
人間の寿命を縮める尸(さんし)の虫
尸(さんし)の虫とは人間がこの世に生まれ落ちたその日から、人間の頭部、腹部、脚部の住み着く3種の虫で、庚申の日の夜、その体内から一匹ずつ這い出て、天帝と呼ばれる神様にその人の行った悪行を報告しに行きます。庚申日は60日ごとに巡っており、その罪は天帝の台帳に記録されていきます。天帝は悪行の罰としてその人間の命を地締め、悪行の数が500を超えるとその人は死ぬと言われています。
庚申の夜の過ごし方「庚申待ち」とは?
中国の道教から伝わるこの教えは、平安時代に陰陽師によって広められました。まずは貴族達の間で「庚申の夜の過ごし方」として一晩徹夜する事が行われ、それが「庚申待ち」の風習となりました。江戸時代にはこの風習が庶民にも広がり、寿命を縮める尸の虫を食べてくれる青面金剛を祀る風習や、庚申の夜は一晩一心に願い続けると願いが叶う等、庚申信仰はピークとなりました。
八坂庚申堂の独特な祈祷や願掛け
庚申日は年に6回巡ってきます。その日、八坂庚申堂では病気平癒・災難除け・縁結び等の祈祷から、少し変わった独特の祈祷が行われます。難病奇病や願い事を封じ込める開基の浄蔵貴所由来の秘法「こんにゃく封じ祈祷」は黄色の人型の紙に、名前と年齢、そして願い事を書いてこんにゃくに封じ込めるそうです。浄蔵貴所は学問、音楽、霊力においてマルチな修験者だったと言われています。
また、「タレコ封じ祈祷」は新品の下着を持参し、庚申宝印を押して祈祷していただきます。これは下の世話にならずに元気で過ごすための秘法だそうで、五色お守りが授与されます。そして「鉤召祈祷」、は(こうちょうきとう)と読み、家出や行方不明の人や失くし物を引き寄せる祈祷です。
猿型のこんにゃくを無言で食べる「こんにゃく焚き」とは
庚申日には、猿型のこんにゃくが3個振舞われる「こんにゃく焚き」があります。開基の浄蔵貴所が父の病気祈願にこんにゃくを捧げたところ無事治ったという事から庚申の日に振舞われるようになったそうです。猿型のこんにゃく3つを北を向いて「庚申さま」を念じながら無言で食べると諸病諸厄が免れると言われています。
八坂庚申堂の人気の願掛け「くくり猿」
フォトジェニックな写真でお馴染みの「おびんずる様」と呼ばれる石仏地蔵の小堂には、なで仏(びんづるそんじゃ)がおられます。自分の直したい体の部位を「おびんずる様」を撫でて拝むとご利益があると言われています。そして、その小堂にびっしりと吊り下げられた人気の願掛け「くくり猿」は「庚申さま」の御分霊の入ったお守りです。
「くくり猿」は、くくり猿に託した願い事を叶える為に様々な欲望に振り回されない様、常日頃から自己を戒める様にと、手足を縛られた形になっています。そして欲望が起こった時は、合掌し、庚申さんを念じると良いそうです。また猿は庚申さんのお使いと言われ「くくり猿」には「猿結び」=「縁むすび」のご利益もあるそうです。
お寺の至る所には、願い事を書かれたくくり猿が吊り下げられていますが、お守りとして自宅の軒にに吊るしたりと、日頃から目に入る場所に置くと良いそうです。カラフルなくくり猿は一体500円です。また周辺の民家やお店の軒先に吊るされている五連のくくり猿は、「家庭円満」や「商売繁盛」「御縁があるように」等の願掛けだそうです。この五連くくり猿は2500円です。
八坂庚申堂の人気の「指猿」お守り
八坂庚申堂では手作りのオリジナルお守りやお札がお受けできます。その中で人気なのが指先の形に猿の顔が描かれた「指猿」のお守りです。ひとつひとつ職人が手ひねりで手作っているため、大きさや形にかなりの差があり、色合いもリアルな人の指のようです。その指に、様々な表情の愛嬌のある猿の顔が描いてあり、中には眼鏡を掛けているものもあります。
この「猿指」のお守りは、「お猿さんのように、手先が器用になりますように」と作られたものだそうです。一体は200円で何種類か並べて飾りたくなるお守りです。また他にも、災難厄除けのお守りの手作りの丸い猿の土鈴や、開運招福の「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿お守り、そして開運のお守りは少しリアルな猿の顔の土鈴です。どれも手作りで味があります。
八坂庚申堂の「庚申」と本来の干支の考え方
今では干支(えと)といえば十二支で12年に1度自分の干支が巡ってくると思っています。しかし、そもそも干支とは、「十干」と「十二支」の組み合わせとなり60年で一周巡った事になります。古代中国では、時間、月、年、方角を表す全てに用いられ、万物の五つの要素とされる「木火土金水」の陰陽五行説も加わり、その意味等から様々な迷信も生まれています。
そして、「庚申」の年や日は「金気が天地に充満して、人の心が冷酷になりやすいとされた。」と言われ、この風習のきっかけにもなったとされます。現在でも、鰻を食べる事が習慣になった「土用の丑の日」や、一巡し誕生年の干支に還る60歳の「還暦」、また、四柱推命の占いなど、様々な所でその関連を見る事が出来ます。
八坂庚申堂へのアクセスをご紹介
電車と徒歩でのアクセス
電車でのアクセスなら京阪電気鉄道京阪本線「祇園四条駅」がおすすめです。ここからのアクセスなら約1.2キロです。四条通りを東に進み、南へ下りていくと徒歩約15分で到着します。また、「祇園四条駅」のすぐ西にある阪急電鉄京都本線「河原町駅」からのアクセスや、京阪本線「清水五条駅」からも徒歩約20分ほどで到着します。
JR京都駅からバスでのアクセス
JR京都駅からのアクセスはバスが便利です。京都駅前からは、様々な京都の観光地へ行くバスが出ています。ここのD2の乗り場から出ている市バス206系統「北大路バスターミナル行き」に乗れば、約15分で八坂庚申堂の最寄のバス停である「東山安井」に到着します。バス停からは五重塔(八坂の塔)を目印に、約6分程歩くと到着します。
八坂庚申堂へは着物で行くものおすすめ
八坂庚申堂には多くの着物を着た女性がフォトジェニックな写真を撮りに訪れます。京阪本線「祇園四条駅」周辺には、アクセスの良いたくさんのレンタル着物店があります。リーズナブルな価格で豊富な種類から好みの着物を選べ、着付けとヘアセット、そして重たい荷物も預ってもらえる店がほとんどです。着物を着て京都の街を歩くのもおすすめです。
「煩悩」がサル!八坂庚申堂のお参りへ行こう
いかがでしたか?庚申さんは「災難」「病気」「煩悩」が猿(去る)ことで幸せになると言われています。願い事を叶えるためにはまず「欲望の心をコントロール」する事が大事なのだと教えてくれます。人は欲望に弱く、何かを成し遂げたいが継続出来ずに投げ出してしまう事が往々にしてあるものです。そんな自分を戒める為に、八坂庚申堂にお参りに行ってみるのも良いのではないでしょうか。
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