八坂の塔を訪ねよう
八坂の塔は京都市東山区にある臨済宗建仁寺派の寺院で、正式名称を法観寺と言います。この塔は、八坂神社と清水寺の中間に位置する京都を代表するシンボル的な塔で、塔の二層目まで登ることもできます。ここでは、そんな八坂の塔について、アクセスや拝観料、御朱印、おすすめの見どころなどを交えて紹介します。
八坂の塔へのアクセス
八坂の塔・法観寺へのアクセス方法は、バスが便利です。市バスによるアクセスの場合、京都駅烏丸口前のバスターミナルで、100系統(D1乗り場)から清水道方面行きの市バスに約20分乗車し、清水道バス停で下車後徒歩約5分で着きます。あるいは、206系統(D2乗り場)から東山安井、清水道方面行きに乗車すれば、東山安井下車後徒歩約5分で行けます。
市バスの場合、料金230円で目的地に乗り換え無しで行けるため便利ですが、道路が混みあうと時間がかかりますので、余裕も持って出かけることをおすすめします。電車によるアクセスの場合、まず、京都駅からJR奈良線で宇治、城陽、奈良行きのどれかに乗車し、東福寺駅で京阪電車、出町柳方面行きに乗り換えます。
京阪電鉄、祇園四条駅で下車後、徒歩約10分で八坂の塔に着きます。所要時間は約30分で、料金はJR,京阪併せて大人290円となります。清水五条駅で下車しても徒歩約10分で行くことができます。また、タクシーでのアクセスの場合、京都駅から目的地まで約15分から20分で、料金は1000円から1500円かかります。
八坂の塔への散策道
八坂の塔・法観寺は八坂神社と清水寺の間にある三年坂と二年坂の間を西に下りてゆくと見えてきます。また、四条通の突当たりにある八坂神社から五条の方向に向かって歩いてゆくと八坂の塔が見えてきます。このおすすめの法観寺の五重塔付近は、京都東山の散策に最適な場所で、周囲には寺社やお店、レストランなどが並ぶ最も京都らしい観光スポットです。
八坂の塔の歴史
八坂の塔で有名な法観寺は、厩戸皇子(聖徳太子)が如意輪観音(にょいりんかんのん)の夢のお告げにより西暦592年に建造したと伝えられており、京都最古の五重塔とも言われています。現在の塔は、1440年に足利六代将軍義政によって再建されており、国の重要文化財の指定を受けています。
もう一つの説は、八坂の塔・法観寺が794年、桓武天皇による平安遷都以前に渡来した氏族、八坂氏の氏寺として創建されたとも云われており、起源は定かではありません。その後1179年に焼失しましたが、鎌倉時代に源頼朝により再建されています。八坂の塔は3度ほど焼失していますが、足利時代に足利義政によって再建されたものが現在の塔です。
八坂の塔の見どころ
京都のシンボルとも言われる八坂の塔・法観寺は、本瓦葺の純和様建築で、高さ46メートルと、東寺、興福寺の五重塔に次ぐ高さを誇っています。おすすめの塔の初層内部には大日如来を中心とした五智如来像が安置されています。また、塔の真ん中を1本の大きな心柱(しんばしら)が貫いており、この柱が塔を支えています。内部を拝観する場合はこの大きな心柱を目の当たりにすることができます。
この心柱は建物を地震などの激しい振動から守るもので、東京スカイツリーの建設に際しても、この心柱が手本とされ、スカイツリーの真ん中にも大きな柱が設置されているそうです。また、この心柱の下には厩戸皇子が創建したとされる時期の礎石が残っており、礎石の溝には、厩戸皇子の夢のお告げにより納めた仏舎利3粒があります。この仏舎利は日本の舎利信仰の原点と言われています。
八坂の塔・法観寺の急な階段を登り、二層目に行くと、二層目にはいくつかの窓があり外の景色が眺められます。西の窓からは、種々のパンフレットなどでもお馴染みの、おすすめの石畳の坂道が見られます。逆に、石畳から八坂の塔を仰ぎ見ている観光客も大勢います。東の窓からは、東山の山々や清水寺の三重塔なども眺めることができます。
八坂の塔の鑑賞ポイント
建仁寺南門方面から東大通りを横切り、八坂通を更に東に歩いてゆくと、坂の向こう側に八坂の塔が見えてきます。坂を上るに従って徐々に塔が大きくなっていく様が素晴らしく、また、坂道の両脇には京の昔ながらの古い街並みが立ち並んでいるため、嫌でも雰囲気が盛り上がります。ただし、このポイントは清水寺へ行く人通りの多い散策コースのため、土日の昼中は混み合います。
八坂通を東に歩き、そのまま八坂の塔を通り過ぎて緩やかな坂道を約200メートルほど上ったあたりが二年坂の始まるポイントです。このおすすめの場所から後ろを振り向くと、八坂の塔と古い街並みのコントラストが絶妙に調和し、大変美しい景観が見られます。春には左手の枝垂桜とのマッチングが素晴らしく、ここからの風景はTVのコマーシャルやドラマなどでも度々撮影されています。
そして夜になると、昔風の外灯に照らされた石畳と八坂の塔がライトアップされ、訪れる人は優雅で幻想的な世界に引き込まれます。おすすめは、日没後30分ほど経過した時の黄昏時です。ライトアップされた八坂の塔は、背景の夕焼け色に染まった空の情景と相まって、一層美しさが引き立ちます。
八坂の塔の拝観料金と拝観時間
八坂の塔・法観寺の拝観時間は10時から16時までで不定休ですが、拝観できないことが度々あるため、前もって電話で確認してから訪れることをおすすめします。拝観料は中学生以上から500円となっており、小学生以下は無料で拝観できます。京都でも内部まで入れる五重塔はほとんど無いため、貴重な体験ができます。
八坂の塔の御朱印
御朱印は1種類!
八坂の塔・法観寺の御朱印は五智如来の1種類のみです。御朱印は1件につき300円となっており、拝観受付で御朱印を拝受できます。右上の山号(霊応山)の部分に押されている印が五重塔の形になっている美しい御朱印です。御朱印拝受できる時間は、拝観時間帯の10時から16時ですが、日によっては早めに受付を閉じることもあるため、あらかじめの確認をおすすめします。
八坂の塔の五智如来
八坂の塔・法観寺の塔内では、心柱を大日如来に見立て、心柱を取り囲む形で四方に五智如来が安置されています。中心の大日如来は密教の根本本尊とされ、頂点に君臨する唯一無二の存在です。東に位置する阿閦如来(あしゅくにょらい)はサンスクリット語で「揺るぎない」を意味し、この如来の悟りの境地が盤石でぶれないことを意味しています。
南に位置する宝生如来は、仏の悟りの一つである平等性智(しょうち)を具現化した如来です。西に位置する観自在王如来(阿弥陀如来)は、無限の光で現世の人々を救い、臨終に際し、極楽浄土へ導くという慈悲深い如来です。そして、北に位置する不空成就如来は、何者にも捉われることなく実践するという意味の成所作智(じょうしょさち)を具現化した如来です。
八坂の塔の太子堂
八坂の塔・法観寺の太子堂は五重塔の後ろにある小さなお堂で、太子堂には、厩戸皇子の3歳と16歳の像が安置されています。また、このおすすめのお堂には、源頼朝、北条貞時、足利尊氏、足利義政等も祀られています。現存する太子堂は江戸期の1663年に、門前の住人によって再建されたと言われており、京都市指定有形文化財となっています。
八坂の塔の薬師堂
八坂の塔・法観寺の薬師堂は太子堂の隣の建物で、このおすすめのお堂も京都市指定有形文化財の一つです。薬師堂には、本尊である薬師如来、日光菩薩、月光菩薩、夢見地蔵菩薩、十二神将像が安置されています。薬師堂も江戸時代に建立されており、夢見地蔵菩薩は京都48願寺の第39番札所です。
八坂の塔の聴鐸庵
八坂の塔・法観寺の茶室、聴鐸庵(ちょうたんあん)は、その場所で五重塔の風鐸(ふうたん)の音を聞くことができることから名付けられました。風鐸というのは、風が吹くと音が鳴るもので、風鈴の元祖とも言われているようです。突上窓(つきあげまど)から五重塔の九輪を見ることができため、仰輪所と言われています。
八坂の塔の木曽義仲の首塚
八坂の塔・法観寺の木曽義仲の首塚は、以前は八坂の塔近くの料理屋の玄関にあったのが移されたものだそうです。木曽義仲は、後白河法皇と対立し、法皇を幽閉して征夷大将軍となりましたが、源義経等に敗れて近江粟津(おうみあわづ)で戦死しました。そしてその後、家臣によって八坂の塔のある八坂郷に葬られたとのことです。
八坂の塔付近の八坂神社
八坂神社は京都市東山区祇園町にある有名な神社で、素戔鳴尊(スサノオノミコト)、櫛稲田姫命(イナダヒメノミコト)、八柱神子神(ヤハシラミコノカミ)が祀られています。この神社は地元の住民から祇園さんと呼ばれ親しまれています。八坂神社は八坂の塔や祇園街にも近く、その名は全国に知られています。
八坂神社へのアクセス
八坂神社へバスでアクセスする場合は、JR京都駅から市バス206番に乗車し、祇園で下車してすぐのところです。電車によるアクセスの場合は、京阪祇園四条駅から徒歩5分で行けます。また、阪急河原町駅から徒歩約8分で着きます。車によるアクセスの場合の駐車場は、八坂神社には4台しか駐車できませんが、丸山公園地下駐車場には134台が駐車でき、30分毎に250円となっています。
八坂神社の歴史
八坂神社の創建は、社殿によれば平安遷都以前の西暦656年と伝えられており、869年の疫病流行に際し、この神社の神にお祈りして始まったのが祇園祭だそうです。明治維新の時期まで、この神社は祇園社または感神院と称してていました。平安時代には、二十二社の一に数えられ、朝廷からも崇敬を受けていました。現在ではこの神を祀る神社が全国で三千を超えるそうです。
八坂神社は京都に流行った疫病を払うために創建されたとされており、疫病退散はじめ、厄除け、商売繁盛、縁結び等にご利益があるとされています。また、境内社の一つ、美御前社(うつくしごぜんしゃ)は、スサノオノミコトと天照大神の間に生まれた美の神様、宗像三女神が祀られており、この神社の祇園神水を飲むと美人になると言われています。
八坂神社の御朱印
八坂神社の御朱印は、明治以前の名称「祇園社」の上に押印されており、初穂料は手書きが500円、台紙が300円となっています。手書きは9時から16時までで、その時間以外は御朱印帳に貼る台紙のみの拝受となります。また、本殿東側にある境内社、悪王子社には荒魂(あらみたま)という荒々しい面を持った神霊が祀られています。悪王子社の御朱印は初穂料が300円です。
悪王子社の悪とは強力を意味し、御利益の強い神様として篤く信仰されています。また、疫神社は別蘇民将来社とも言われ、疫病除けの神様として信仰されています。御朱印は前もって台紙に押印、墨書されており、初穂料300円です。蛭子社は、社殿が1646年に建造されたもので、重要文化財に指定されており、商売繁盛の神として信仰を集めています。こちらの御朱印も台紙で300円です。
八坂の塔付近の清水寺
清水寺は京都市東山区にある寺院で、本尊は千手観音、開基は延鎮です。京都の東、音羽山の中腹に展開する13万平米の境内には国宝と重要文化財を含む30もの伽藍や碑があります。清水の舞台として広く知られる清水寺の境内は、本堂以外にも仁王門や西門、三重塔など有名な建築物に溢れています。
清水寺へのアクセス
清水寺へのアクセスはJR京都駅から市バス206系統東山通北大路バスターミナル行きか100系統清水寺祇園銀閣寺行きに乗り、五条坂下車後徒歩約10分で行けます。また、清水道からも徒歩約10分で着きます。車の場合は、専用駐車場が無いため、京都市清水坂観光駐車場を利用する人が多いようです。バス55台、普通車59台が駐車可能で、料金はそれぞれ500円、1000円となっています。
清水寺の歴史
清水寺は西暦778年に延鎮により開かれました。創建後、10回以上の火災により、堂塔が焼失していますが、その都度建て替えが行われており、現在ある建物のほとんどが1633年に再建されたものです。本尊は千手観音で宗派は北法相宗大本山です。1994年にユネスコ世界文化遺産「古都京都の文化財」の一つとして登録されています。
清水寺の境内
清水寺の正門、仁王門は、幅10メートル、奥行き5メートル、高さ14メートルを誇る堂々たる桜門で重要文化財に指定されています。西門は極楽浄土に往生する入口の門で、この門から眺める西山の夕日は絶景です。この門も重要文化財に指定されています。また、鐘楼は桃山建築様式で造られており、牡丹彫刻の懸魚や四隅の柱の先にある獏と象の木鼻など、見どころ溢れる重要文化財です。
清水寺の三重塔は、高さ約31メートルを誇る国内最大級の塔です。この塔は古くから清水寺のシンボル的な存在で、この中には大日如来像が祀られています。四方の壁に真言八祖像、天井、柱等には密教仏画や龍などが描かれています。また、音羽の瀧は清水寺の起源であり、名称の由来ともなった滝です。流れ出る清水は古くから「金色水」、「延命水」と呼ばれ、清めの水として尊ばれてきました。
本堂は音羽山の断崖に建つお堂で、清水の舞台として広く知られています。このお堂には本尊である千手観音が祀られています。本堂は日本古来の伝統工法により造られており、季節を問わず多くの参拝客が訪れます。この他にも、清水寺の境内には、重要文化財を含め様々な建造物があり、拝観し切れないほど広いスポットです。
八坂の塔を鑑賞しよう
八坂の塔・法観寺は京都市東山区にある五重塔で、八坂神社と清水寺の中間に位置する京都のシンボルとも言われる塔です。この塔は見る場所や角度、背景によって様々な姿を見せます。ここでは、そんな八坂の塔について、拝観時間やアクセス、おすすめの鑑賞ポイント等の情報を織り交ぜながら説明してみました。
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