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京都の本格イタリアンレストラン「チェンチ」とは
観光地として国内外を問わず人気の高い京都府。古くは政の主要地として発展し、その町並みには現代にまで残る色濃い気品と歴史を感じることができます。京都市の東に位置する左京区は平安神宮などの名高い寺社が多い文京区で、岡崎と呼ばれる地区の一つです。そんな岡崎で味わえる極上のイタリアンをご存知でしょうか?
「チェンチ」が岡崎にある理由
チェンチは2014年、岡崎に開店しました。店長の坂本シェフは、京都に本店をかまえるイタリアンレストランの大手イル ギオットーネ京都本店で長年勤められ、その中で培った技術と経営への知識をもって、出身地である京都府でのレストラン開業という夢を果たしました。
岡崎地区は、京都の主要な観光スポットでもある花街とはまた違った色をしています。京都というワードから連想される芸子・舞妓さんの華やかな姿や御茶屋さんはありませんが、その分落ち着きのある町並みになっています。坂本シェフは「京都らしい落ち着きのある、けれど海外の方でも気軽に来れる場所」としてこの岡崎を選んだそうです。
シェフの心をつかんだ「チェンチ」とは?
「チェンチ」という言葉はフィレンツェ地方の方言で「ぼろきれ」や「ふるぼけたもの」などを意味します。坂本シェフがこの言葉と出会ったのは学生時代に語学留学で訪れたロンドンでのことでした。イタリア人夫婦が経営する古着屋につけられたcenci(チェンチ)という名前は、坂本シェフの価値観にとてもよく合う言葉でした。
古い時代に生まれたものでも現代に生き残るものは、一瞬の流行で生まれては消えていくものとは違う、本当に良いものだと考える坂本シェフ。古くさく感じるものでもだからこそ純粋な良さが隠れているのだと、チェンチという名前にはそういった思いが込められています。
キーワードは「素朴」京都ならではのイタリアン
「イタリアンは、その土地で味わえるものをシンプルにおいしく食べる料理です」やわらかな京訛りで坂本シェフはそう語ります。シェフの考えに基づき、チェンチでは素材の美味しさを活かすことを重視しており、メニューはその時々で仕入れる素材によって変わります。仕入れる素材も国産のナチュラルなものを厳選して使っており、安心して口にすることができます。
チェンチでは坂本シェフの手によって「素材」が最も輝くメニューに姿を変えます。それは決してモダンな料理ではなく、昔から愛されてきたシンプルな食べ方で、まさにイタリアンの王道。名店で培った技術が最高の素材にかける魔法からは、歴史と技術に重きを置く京都らしさも感じられます。
シェフ自らこだわった素材選び
チェンチでは決まったメニューでの提供はされておらず、その時々で仕入れる素材も異なります。開業前から築いてきた坂本シェフ独自の仕入れネットワークを駆使して、国産の野菜や肉、魚介を最も良い状態で提供できるようになっており、中には直接生産者とやりとりをして仕入れる素材もあるほどです。
前菜に登場するモッツァレラは新鮮な状態で仕入れ、提供する寸前に練ってクリーミィな食感を表現しています。坂本シェフが自ら生産地へ赴き、最も美味しいと感じた食べ方を再現するため、店内では様々な工夫をほどこされた食材たちが次々にお皿の上へと並んでいきます。
坂本シェフは「特に旬というものを大切にしたい」と考えており、季節ごと、その時々に素材もメニューも異なるところには強いこだわりが見てとれます。その瞬間にしか味わえないチェンチのメニューは文字通り一期一会。最も美味しい時期の素材を最もおいしい状態で食べられるのもチェンチの大きな魅力です。
こだわりの食器は日本らしさを追求した国産
「日本に店をかまえるからには、日本で作られた良いものを提供したい」という坂本シェフの考えは、使用される素材のみならず、使われる食器にも現れています。たとえ名前が知られていなくても本当にいいものが国内にはこんなにあるということを知ってもらいたい、そんな想いからチェンチのテーブルには選び抜かれた国産ブランドの食器が並んでいます。
たとえば、肉料理に供されるナイフは日本製のステーキナイフには「龍泉刃物」が使用されています。この龍泉刃物は700年もの伝統を受け継いだ「越前打刃物」の技法を活かしたもので、切れ味はもちろんのこと美しさや使いやすさも同様に追求しており、日本の匠の技を感じることができる一品です。
実は、海外ブランドの中には日本で製造されているものも少なくありません。「こんなにも素晴らしいものが国内で作れるのだから、海外のブランドものをわざわざ使わなくても良いものは提供できると思うんです」そう語る坂本シェフが自ら選び抜いた食器はどれも一級品、料理の合間に眺めるだけでも楽しめます。
「チェンチ」の落ち着きある空間の秘密
チェンチの外装はイタリアンレストランらしいレンガ調のつくりになっていますが、そのレンガの積み方は「ねじりまんぽ」と呼ばれる日本特有のレンガの積み方を参考にしています。らせん状にねじれるような積み方をすることで中に引き込まれそうな錯覚を起こすこの「ねじりまんぽ」は明治時代に考案されたものです。
「天井を広くとりたい」という坂本シェフの希望とは裏腹に、京都に残る築100年以上経つ日本家屋は、どんなに高い天井でも2Mほどしかありません。4Mという坂本シェフの希望を適えるには掘り下げるしか手段はなく、その時に出た大量の土でシェフとスタッフ達自身の手から作られたのが、この2500個ものレンガなのです。
らせんを描くレンガのアーチをくぐると、その先には日本家屋独特の木造の空間が広がります。温かみのある木のブラウンの中には無骨な鉄がアクセントで入り込み、秘密基地を発見したような気持ちにどこか胸が躍ります。ダイニングホールはどの席に座っても最奥にある坪庭を眺めることができ、日本らしさを楽しめる設計になっています。
イタリアンレストラン「チェンチ」のランチメニューは?
こだわり抜かれた空間で提供されるチェンチのランチメニューは、3種類のコースから選ぶことが出来ます。最もスタンダードなメニューは6,000円のランチコースで、その他のコースは10,000円と12,000円のコースがあります。その他のコースは前日までに予約が必要となっています。
夏ごろからは賀茂なすを使ったメニューがよく提供されています。木の芽の和風ジェノベーゼペーストを混ぜ込んだバーニャカウダソースや、夏野菜をあえたソースをかけていただく賀茂なすは、猛暑でも食欲が進むこと間違いありません。シンプルながらも絶妙な和と洋の調和を楽しめるランチメニューになっています。
予約は必要?「チェンチ」のランチタイム
チェンチのランチタイムは12時からですが、ラストオーダーが13時までとかなり短く設定されており、予約しなければ席を確保することは難しくなっています。また、スタンダードなランチメニュー以外のコースは前日までの予約が必須です。満席の可能性が高いため、予約することを強くおすすめします。
ランチだけじゃない「チェンチ」のおすすめディナー
チェンチの魅力はランチだけではありません。18時からのディナータイムでは12,000円のディナーコースを楽しむことができます。ディナーは季節の素材をふんだんに使ったイタリアンのコース料理で、こちらも人気が高く席の確保が難しいため予約を入れることをおすすめします。
チェンチのディナーで特に注目したいのは、1年を通して最初に提供される「ペルシュウ」です。ペルシュウとは日本語で生ハムを意味します。近年日本でも生ハム文化が広まっていますが、本場に比べてしまうとまだまだクオリティは低く、質のいい国産生ハムとなると数えるほどしかありません。
国産の生ハムが本場と比べ劣ってしまう最大の理由は気候にあります。イタリアには日本と同様の四季がありますが、特に夏場のイタリアは湿気が少なく夜ともなると肌寒さを感じる地域もあるほどです。生ハムのメッカとも言えるパルマ地方はイタリア北部に位置し、通年過ごしやすい気候が続きます。
チェンチで使用されるペルシュウは、本場パルマで修業した製造者が岐阜県の山間で作る極上の生ハムです。気候をはじめとする生ハム製造に必要な条件を満たした場所で作られるこの本格的なペルシュウは、国内でも20店舗ほどしか扱っていません。最初のひとくちからチェンチの世界へ誘われる、坂本シェフもおすすめの一品です。
もっと美味しく!「チェンチ」で飲めるおすすめのお酒3選
ランチもディナーも魅力たっぷりなイタリアンレストラン「チェンチ」ですが、注目したいのは料理だけではありません。特別な料理と一緒に楽しめる選び抜かれたワインも、チェンチでの楽しみの一つです。お酒が得意でない方でも飲みやすく、料理にも合うおすすめのお酒3種をご紹介します。
「チェンチ」でおすすめのお酒1:ボー ペイサージュ(Beau Paysage)
ボーペイサージュは山梨県にあるワイナリーの名前です。こちらのワイナリーでは殺虫剤や除草剤などを一切使用せず、ありのままのブドウを使用したワインを製造しています。生産者の岡本英史さんによってほぼすべての工程が手作業で行われており、生産数・流通量が少ないため非常に希少なワインです。
坂本シェフおすすめの一本目はこのボーペイサージュのソーヴィニヨン・ブラン。フランス古来からの土着品種であるこのソーヴィニヨン・ブランは魚料理によく合うとされている白ブドウで、近年は白ワインの女王シャルドネにも劣らない人気を見せています。チェンチでは特に夏に提供される川魚のメニューに合わせるのがおすすめです。
「チェンチ」でおすすめのお酒2:ムニ(MUNI)
本場イタリアのヴェネト州には1000年以上前から栽培される土着品種「ドゥレッラ」という白ブドウがあります。このドゥレッラはもともと「ラピオーザ」と呼ばれ、その言葉は「過激な」を意味するものでした。文字通り酸っぱくてタンニンの渋みも強い品種で、現在ではほとんどの農家で使われていない品種です。
MUNIはイタリアのヴェネト州にあるワイナリーで生産されているワインです。現在ではほとんどの農家で使用されていないドゥレッラに、人気品種のシャルドネを加えることでこれまでにない味わい深さを表現しています。生産者のダニエーレ・ピッチさんは2006年がファーストヴィンテージというまだ若い造り手ですが、その味は他にない個性を持っています。
MUNIの白ワインは完熟したドゥレッラをあえて使うことで他の白ワインにはない充実した酸と苦味のハリを楽しむことができます。フルーティな香りとしっかりと地に足のついた奥行きがありつつもスッキリした味わいは、コースメニューの最初に飲むのがおすすめです。
「チェンチ」でおすすめのお酒3:亀の尾蔵舞
亀の尾とは明治時代に山梨県で育成されたイネの一種です。子孫品種も多く存在し、食用米としても酒米としても利用されてきた歴史を持っています。亀の尾蔵舞は竹野酒造から作られる「蔵舞」シリーズの一つで、地域の契約農家で栽培された米を使って作られています。
その味は「綺麗」と評されるほどに透明度の高い味わいで、日本酒になじみのない人でも飲みやすいお酒です。スッキリとした後味はどこか白ワインにも通じるところがあり、イタリアンレストランで出てきても違和感はありません。イタリアン料理によく合う日本酒としてチェンチでも取り扱っているおすすめの日本酒です。
イタリアンレストラン「チェンチ」のこれから
坂本シェフは「姉妹店などの店舗展開は考えていません」と前置きした上で、今後は海外向けや地域一体型のイベントに参加したいと語ります。今後のチェンチはより一層、国内外の生産者と連携を強め、発展するでしょう。「何をするにしても楽しむことが一番大事」という坂本シェフの考え方はこれからも変わらないままで長く残り続ける、まさにチェンチと呼べる考え方です。
特別な日に楽しみたいイタリアンレストラン「チェンチ」
こだわり抜かれた空間で提供される極上の料理は、決して誰しもが毎日口にすることができるものではありません。だからこそちょっと贅沢をしたい日のランチに、あるいは思い出のディナーに、イタリアンレストラン「チェンチ」はそんな特別な日にぜひ訪れていただきたいお店です。
京都のイタリアンレストラン「チェンチ」へのアクセス
チェンチの最寄り駅は京阪神宮丸太町駅、地下鉄東西線東山駅、市バス206系統「熊野神社前」の三つになります。平安神宮のそばなのでどの駅からでも分かりやすく、アクセスしやすい立地になっています。特に春には冷泉通りから平安神宮へ続く桜並木が美しいので、歩いてゆったりと景色を楽しむのもおすすめです。
住所:京都府京都市左京区聖護院円頓美町44-7
電話番号:075-708-5307
「チェンチ」で本格イタリアンを楽しもう!
京都だからこそ味わえる一期一会の本格グルメは一度は口にしていただきたいものです。中には普段出会えないような国産の食材との出会いもあるかもしれません。素敵な旅行の大切な思い出のひとつとして、ぜひ本格イタリアンレストラン「チェンチ」でこだわりの空間を楽しんでみてください。
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